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擽鬼夜行──死神の足音──

死神の足音 (F/F) ──言霊より出でし混沌の怪物は、お前に成りにやってくる──。 怪談というのは、聞き手のマナーこそが重要なのだと思う。 怪談を包み込む秘密のヴェールを剥ぎ取らないその行儀の良さこそが肝要なのだと思う。 だから例えば、聞かされた実際にあったとされる怪談話に対して、聞き手がその話は本当なのかと必要以上に問いただしたり、執拗に調べ回ることはマナー違反なのだと思う。 本当かどうか分からない。けど、嘘にはお前ないし本当なのかもしれない。でもやっぱり…と怪談を疑ったり信じたりする。その絶妙なバランスが怪談を怪談として成り立たせているのだ。 暖かな湯に浸かりながら、"山本 京(やまもと きょう)"はそんなことを考えていた。 鏡の前に立つ。 湯に濡れた白い肌。形の良い胸。うすぴんく色の乳首。 自分の身体を見て思う。 ──やはりなんと、華奢だろうか。 そんなことを考えるのは、自分でも可笑しいと思う。 一般的に考えてみれば、京は決して華奢な体型ではない。 自分の身体というより、人類の身体そのものが華奢だと京は思うのだ。 この前、交通事故の現場を目撃した。被害者の身体は捻じ曲がっていた。即死である。 被害者が車と接触するその数秒前、京は被害者を見ていた。普通の体型であった。決して華奢でもなければ太っているわけでもないいわゆる中肉中背の身体だ。 ちょっとやそっと押したり叩いたり、蹴ったりしてもびくともしない普通の身体だった。 それが。鉄の塊と接触するなり、一瞬にして死体となった。 その時に京は思ったのだ。人の身体というものは、華奢で脆いのだと。 考えてみれば当然のことだ。鉄の塊と接触して無事でいられるのは超人くらいのもので、普通の人間は命取りなのだ。 身体とその内に秘められる精神もまた脆いものだ。人の精神は簡単に傷つく。簡単に病む。そしてそのダメージは肉体に浸透する。 人間は、身も心も弱いものだ。 その脆さからは逃れられないと京は思う。 精神が限界に達すれば人は死を選ぶことが多い。 肉体が限界を迎えれば、言わずかもがな死する。 自身だけが不死身という超越した力を持っていたら、肉体が限界を迎えることはまずないとして、精神が限界を迎えることもないのだろうか。 不死身という圧倒的な優越感があれば、精神など病まないかもしれない。 ならば不死になれば、人間は身も心も強くなれるのだろうか。 ──不死か。 京は鏡の前でぷくくと笑った。 徐福じゃあるまいし、不死なんて馬鹿馬鹿しい。 だいたい死なぬことは良いことなのか。誇れることなのか。 人より先に死ぬことは、劣っていることなのか。 京にとっては、それを考えるのは重要なことだった。 山本 京には、死期が迫っているからだ。 正確に言えば、そんな気がする。というだけである。 近頃、毎晩毎晩、しの足音が近づいてきている──気がする。 濡れた黒い髪をかき上げる。 髪が後ろに撫でつけられる。 普段は髪を下ろしているから、髪を上げた自分の顔を見るのは新鮮だった。 こうすると、強くなった気がした。 風呂から上がった京は髪を乾かして化粧水やらなんやらを塗ったくって床についた。 京は寝つきが悪いので、眠気が来るまでスマートフォンでお気に入りのサイトを閲覧するのが日課だった。 心霊やオカルトを題材にしたサイト"鵺の館"というサイトだ。運営しているのは女子高生である。 サイトのクオリティは非常に高い。サイトを開くと妖怪である鵺をモチーフにした可愛らしいキャラクターのアニメーションが流れるし、コンテンツも動画から写真からテキストから何から何まで揃っている。 そして、この運営者とオカルト・心霊に関するメッセージのやり取りをすることも出来るのだ。 京も何度かメッセージのやり取りをしたことがあった。 京にとっては、このサイトとこの管理人の女子高生は心の拠り所だった。 学校にだって友人はいるが、怪談好きの物好きなどいない。だからこそ、この時間は京にとって特別だった。 瞼が重くなってきて、京は布団にくるまった。 眠気はすぐに襲ってきた。 だが、その眠気は、嫌な音によって妨げられた。 どん。どん。どん。 何かを叩くような音。それはまるで足音のように聞こえる。 この頃、寝つこうとすると必ず聞こえるのだ。 どん。どん。どん。 足音はどんどんと近づいてきて、最後には、京の部屋にまで入り込んでくる。 京は恐ろしくて部屋の様子を伺ったことはないが、それでもわかる。足音がしている間、絶対に部屋には何かがいるということが。 なんせ、聞こえるのだから。 女の声が。 低い女の声が。 どん。どん。どん。 足音が近づいてきて、ピタリと京のすぐ近くで止まったかと思うと、 「お前にしようか」 とそう耳元で囁く声が聞こえるのだ。 それから気配も足音も消える。 それが、毎晩続いていた。 これが夢なのかどうなのか未だによく分からない。 だが今日も、聞こえる。 どん。どん。どん。 女が近づいてくる。 死の足音。 京はこの音のことをそう呼んでいた。 死神が近づいているんだ。そう思っている。 死期が近いから死神が近づいているのか、死神が近づいてくるから死期が近いのかどちらかは分からない。 人間が脆いとか、不死がどうとかそんなくだらないことばかりを考えているのもこの音のせいだろうと思う。 それとも死神は、それらの無駄な考えが呼び寄せたものなのか。 思い込みか、夢か。現実か。定かではない死神の足音のことを京は幾度か鵺の館の運営者に相談しようとした。 だが、相手がいくら博識とは言え、年下の女の子──それも高校生に真面目に死期が近づいているかもしれないとか、死神が来ているとかそんなことを尋ねる気にはなれなかった。 だから、神社に頼ろうと思った。 外出先で空女ノ神社という神社を見つけた。 聞けばかなり有名な神社らしい。 それも、悪霊退散にはもってこいなのだとか。 この神社に辿りけたのは運命だと思った。この神社ならば相談出来る気がした。 だが、京が鳥居を潜ろうとすると、近くにいた女が京にこう言った。 「その神社。今は近づかない方がよろしいですよ」 色の白い顔をした細身で長身の女だった。 女は"黒島"と名乗った。 その神社の関係者だという。 京がそれでも鳥居を潜ろうとすると、やはりまた黒島はそれを止めた。結局、京は神社には入らなかった。 そして今日。 どん。どん。どん。 死神の足音が近づいてくる。 ぎいとドアが開く音がする。 どん。どん。どん。 京は、ぎゅうと掛け布団を握りしめて目を閉じる。 丸めた指と指の隙間から、じゅくっと汗が溢れ出した。 どん。どん。どん。 音が止んだ。 すぅと息を吸い込む音がした。 「お前に、決めた」 すぐ耳元で冷たい吐息と共に死神の声がそう囁いた。 京は飛び起きた。 全身に冷たい汗がびっしりと浮いており、べったりと寝巻きが皮膚に張り付いている。 死神は、京の傍に立っている。 生白い肌。首元まで伸びた黒い髪。その前髪は均等に切り揃えられている。 女の片方だけの切長の目に浮かぶ異様な色の瞳がぎらりと京を見据えていた。 「あっ──」 京が声を上げるよりも早く、女は京の首を掴んだ。いや、鷲掴みにした。でかい。手が相当デカい。規格外に長い指が京の首を締め付ける。 京の身体が宙を舞った。 女があり得ないほどの力で京を投げたのだ。 背中に強烈な痛みが走った。 がしゃん。と何かが割れる音が背面に走った。 京は座卓の上に倒れていた。座卓は粉々に砕けている。 女が京を見下ろしている。真っ黒いブーツを履き、黒いコートを羽織っている。 女の背丈は異様に大きく、天井まで届きそうなほどだった。 京は体中にびっしりと汗をかいていた。 震えが止まらない。 何が何だかわからない。 だが、はっきりとしていることがあった。 この隻眼の大女から放たれている氷のように冷たくて吸い込むたびにむせ返りそうな空気は───この世界のものではない。 「お前にしよう。私は、お前になることにした」 女は言った。 女の手が伸びてくる。成人している女の京の手をすっぽり飲み込めるほど大きな手。長い指が、伸びてくる。 京は傍に転がり、女の手をかわした。そのまま起き上がり、よろよろと倒れ込むようにして台所に転がり、流し台の引き出しを強引に引っ張り開け、包丁を取り出した。 この包丁には、京の生きる力──生力や、ほんの少しの霊力が注がれている。 退魔師が悪霊を退魔する際に用いるキバという退魔具を真似て作ったものだ。 鵺の館の運営者がサイトで作り方を紹介していたのを参考にしたのだ。 包丁を握った京の手はさっきよりも震えていた。 京は当然、刃物を他者に向けて振るったことなどない。 「あがくな」 死神は言った。 どん。と死神が一歩踏み出し、黒いブーツで床を踏むとフローリングが軋む。 死神が白い腕を振る。 頼みの綱であった包丁は弾き飛ばされ、壁に突き刺さった。 「あっ!」 京は小さく悲鳴を上げ、死神を見上げた。 死神は京の目の前にいた。 死神の大きな手が、京の小さな頭の額に押し当てられる。 長い指が頭を鷲掴みにする。 死神の手に力が加えられると、京の身体に浮遊感が襲いかかり、京はそのまま床に張り倒された。 仰向けに倒れた京の腰あたりに死神の体重がのしかかる。 京がいくら暴れても、まるで巨岩の下敷きにされたような重みが身体にのしかかっているため、びくともしない。 死神が太ももと膝で京の身体をキュッと締め付けるようにした。これで京は完全に馬乗り拘束の餌食となった。 死神の身体はとてつもなく──冷たかった。 京は呼吸を乱す。 心臓が飛び出そうなほどにバクバクと鼓動する。 「お前をこの現世に留めている生きる力を、そして僅かばかりの抗う力を」 死神はそう言って、ずいっと両手を見せつけるようにして前に出した。 死神の生っ白い指がウネウネと蠢く。 指は、大きな身体に反して異様なくらい器用に蠢いている。 両手が蛇が獲物を喰らうように素早く伸び、京のガラ空きだった腋の下に差し込まれた。 「あぅっ!!?」 他者の指が敏感な部位に差し込まれ、京の全身の筋肉に緊張が走る。 「ここだな」 死神の白い指は、差し込まれた腋の下にあるミゾのような箇所に素早くモゾモゾと食い込んだ。 そこは、腋の下で感じるくすぐったさの泉のようなところで、指先がくいこんでいるだけでとてつもない──くすぐったさが生じた。 「あっ!!あっ!!?やめっっ」 京は抵抗するが、身体から力が抜けて上手く暴れることさえできない。 「吐き出せすべて」 死神──女は目を細めてぼそりとそう言うと、腋の下の神経の密集しているミゾにさらにぐりりりりっと指先を食い込ませ、 クチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュ!!っと神経を抉るように動かし出した。 「ぎゃっっ!!?」 グンと体温が上昇する。 腋の下に、耐え難い不快感が炸裂する。 腹部がヒクヒクと震える。 腋の下で暴れる不快感は、身体中を駆け巡り、笑い声となって外部に発散された。 「あはははははははははははははははははははははははははは!!?なっっ!!?なんっっっでっ!?これっ!?っっひひひひひはははははははははははははははははははははははははははは!!!くっっ!!?くすぐったぃぃぃぃっ!!」 京はここでようやく、これがくすぐりなのだと理解した。 女は無表情のまま、冷たい目で京を見下ろしながらクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュと腋の下のくすぐったい神経を捏ね回す。 「くきひひひひひひひひひ!!?やっっやめっっ!!!やめでっ!!うへへへへははははははははははははははははははははははははははははははは!!!あっっっはははははははははははははは!!なんでっっこんなっっ!!?っひひひはははははは!!!」 京がどれだけ暴れても、女の指先はしっかりと腋の下のくすぐったぁい神経を捉えたままクチュクチュクチュクチュと小刻みに動きくすぐったさを注ぎ込んで来る。 京はくすぐられるのが苦手だ。一秒でもくすぐられたくない。 それなのに。もう十秒以上も続けられている。 終わりが見えないくすぐり地獄に京は気が狂いそうだった。 「もっと吐き出せ」 女は腋から手を離すと、京の寝巻きの中に手を入れてきた。 女の冷たい指が皮膚を這い、腋の下に到達する。 「はぁはぁはぁ…!!ぎゃっ!!?」 女の生の指の先と硬い爪の先が腋の下の素肌を捉える。 「あぁっ!!やめでっ!!」 京の懇願虚しく、女は腋の下に爪を立ててコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!!っとくすぐり回した。 「ぶはっっ!!?ぎゃあああああああああああ!!!はっっはははははははははははははは!!!やめっっ!!!素肌はっ!!直接はやめてぇぇぇ!!!っっへへへへへはははははははははははははははは!!!死ぬっ!!死ぬぅぅぅ!!!うひゃははははははははははははははははははははははは!!!」 これまで経験したこともないゾッとするようなくすぐったさが京を襲った。 女の硬くてツルツルした爪が、ヌメヌメした指先がコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョと腋の下を這い回り、神経を刺激していく。 「お前は死なないお前は私になるのだ」 女はそう言って触手のように滑らかに指を操って爪の先で神経を引っ掻き、指の先で皮膚をくすぐり刺激する。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ…!!! 「あっははは!?なんでっ!?どういうっっっ!!!っっひひひひははははははははははははははははははははははははははははは!!!そんなのっっ!!なりだくない"っ!!っひひはははははははははははははははははははは!!あああああああああ!!やめてっ!!いやぁぁぁぁああははははは!!」 慣れない。 これだけ長い間コチョコチョくすぐられているのにその刺激に一向に慣れる気配がない。 それどころか、くすぐられればくすぐられるほどに女は京の腋の下のどこをどのようにくすぐれば良いかを把握していき、くすぐったさは増していく。 終わりの見えないくすぐり地獄に京は頭の中に冷や汗が垂らされたような寒気に襲われた。 それは死の恐怖だった。 女の手が下方にスライドし、がっしりと京の乳と肋骨を浮かんだ。 親指が下乳と肋骨の境界線にある神経のミゾに食い込む。 女は親指に力を入れ、グリグリグリグリッとくすぐったい神経を指圧した。 京「はあっっ!!?」 「かっっっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?あはっ!?はっっ!!?くあああああああああああああああああ!!?あはははははははははははははははははははははははははは!!?」 まるで親指の先からくすぐったいエネルギーを送り込まれているかのように、女の親指がグリリと神経を圧するたびに、京は耐え難いくすぐったさに悶えさせられた。 腰が浮き、腹からはなけなしの酸素が吐き出される。 親指がグリグリ動くたび、京の心に宿っているはずの生きようという生力が一気に削がれていく。 グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリッ!!! 「ふぎぎぎっっ!!!?くるじっっ!!?いひひひひひはははははははははははははははははははははははははははは!!?くぁぁぁああははははははははははははははははははははははははははははははは!!!?」 神経が縮み上がるような鈍くも鋭いくすぐったさを絶え間なく送り込まれた京は、口から唾液を垂らし、涙を流し、顔をぐちょぐちょに歪めている。 女は手を離した。 京はべたりと力なく床に伸びる。 女は、すっかり手脚から力の抜けた京の手首を掴んだ。 ずる。ずる。と京を引きずっていく。 死神が自分を死の国へと連れていくのだと京はそう悟った。 女は浴室に入ると、そのあり得ないほどの怪力で京の衣服を剥ぎ取り、裸に向いた。 そして、京を乱暴に湯船に頭から突っ込んだ。 瞬間。朦朧としていた京の意識ははっきりと覚醒した。 視界が濁る。 残り湯の生温かさが上半身を包む。 起きあがろうとすると凄まじい体重が京の上半身にのしかかった。 女だ。あの死神の女が、湯船に浸けられている京の頭や胴体に腰を下ろしたのだ。 湯船から出ている京の素足に奇妙な感触が走った。 女の冷たくて滑らかな手のひらが、足裏に何かヌルヌルしたもの──おそらくボディソープか何か──を塗り込んでいる。 「がばっ!!?ばっっ!!?んばばば!!!」 まだくすぐられている訳でもないのに京はそれがくすぐったくて堪らなくて、暴れた。 泡が視界を遮る。 京はゾッとする。 この状況で、ボディソープでヌルヌルにされた足裏をコチョコチョされたら。あの指で、硬い爪で掻き回されたら。 悍ましい想像が京の脳裏をよぎる。 想像のその先にあるのは─けど死である。 京は知っている。その想像が想像でないことを。 女の、ボディソープでヌルヌルになった指が爪が、ガッとボディソープでヌメヌメになった足裏に突き立てられた。 「あばっ!!!」 京の腰がひくんと動き、足指はぎゅうと丸められ、足裏は襲いかかるであろう刺激に怯えている。 女の長い指がゆっくりと折り曲げられていくのが分かる。 爪が、しっっっかりと突き立てられ、足裏に張り巡らされた神経を捉える。 「ぐばっ!!?」 嫌だ。いやだ。 くすぐったいのは嫌だ。 足の裏は嫌だ。 笑いたくない。 くすぐったくされたくない。 死にたくない。 京は最後の抵抗をした。 必死に細い脚をバタつかせ、両手を暴れさせる。 女はそんな京にトドメをさせるべく、爪をしっっっかりと足裏に突き立てたまま、その長い指を暴れさせ、ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!!っと足裏をこしょぐり回し始めた。 「ごぼぉっ!!?んぼっ!!んぉぉぉほほほほほほほほほほほほほほ!!?ぶほぉぉぉほほほほほほほほほほほ!!!ぶばっっ!!?やめ"でっっ!!んぁっ!!やめ"ぇぇっ!!!ぶははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 無数の泡がぶくぶくぶくぶくと濁った視界を覆う。 柔らかくい足裏に、女の爪がゴショゴショゴショゴショ這い回り、その神経を嬲っていく。 爪でひと引っ掻きされるたび、京は飛び上がるほどのくすぐったさを受けていた。 ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!! 「がばっっ!!?ばっっっ!!!!んばっっぁぁぁぁああああははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!ぶばっっ!!がばっっ!!?っっっはははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 女はただガムシャラに爪を這わせているのではない。 くすぐったい神経の密集している土踏まずを執拗にゾリゾリ削いだり、母指球に指先でコチョコチョ細かくくすぐったり、指の付け根のぷっくりした部位を繊細な動きでくすぐり回したりして徹底的に京にくすぐったい死の地獄を味わわせている。 女はその、恐ろしいまでのくすぐりテクニックでボディソープまみれの足裏を殺しにかかる。 ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!っと指先と爪で神経を犯し、 ガリガリ!!っと爪の先で神経を引っ掻きくすぐり、 ゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリゾリ!!!っと土踏まずを削りくすぐる。 「ぶばっ!!ばっっ!!ぐばっっ!!!んぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!ごぼっ!!?ばっっ!!?っっっっ!!?ぐるっっっ!!?ぐるじっっ!!!ぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!かっっ!!?」 ひときわ大きな泡ぶくが京の口から漏れ、京の身体から酸素が完全に失われた。 空っぽになった京は、笑い声すら発することも出来ないまま、そのくすぐったさに身悶え苦しむ。 女──死神はトドメだと言わんばかりに土踏まずに爪を密集させ、小刻みな動きでゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!っと土踏まずのくすぐったい神経を灼きくすぐった。 「っっっ!!?かっっ!!?っっっっっっっ!!?っ!!!!んぁっ!!!っっっっっ!!!─────っっ!!?」 残忍なまでに鋭利なくすぐったさが土踏まずに襲いかかり、そのくすぐったさは京の身体を貫いた。 生ぬるい湯が肺に流れ込んできて、心臓が最後の鼓動をどくんと大きく鳴らした時、京は見た。 濁った湯の水面を破るように何かが自分を覗き見ているのを。 湯に黒い髪を漂わせ、目を細めて京を見つめているのは─── ───自分の顔だった。 山本 京は絶命した。

Comments

ありがとうございます!! 『擽鬼夜行』ではホラーシリーズ本編に登場した登場人物たちの過去やサイドストーリーを描くことも多くなると思います! 今回はその一人目!山本 京のお話でした。 思えば壊のくすぐりも久しぶりでしたね! そうですね…もう過ぎてしまったことではありますが、京が羅那に相談していたら未来が変わったかも知れません。そうなると壊は誰に化けていたのか。 京が羅那に頼っていたら、壊は真っ先に羅那を始末しに向かったのか…それは今となっては分かりませんね。 黒島については、『鬼神の宴』で少し触れています。 実はそこまで大物でもないので、今後彼女がさらに暗躍するということはほとんどないのですが説明はどこかでしっかりと入れたいと思っております! こちらこそ感想ありがとうございました! これからしばらくは『死擽』などの過去作の登場人物が登場することになると思いますがよろしくお願いします!

Kara

今回の擽鬼夜行シリーズは死擽の番外編みたいな感じでしたね。本物の山本京が登場したのには驚きました。斑鳩壊のくすぐりを久しぶりに見ましたが、やっぱり何度見ても不気味で悍ましいです。壊にくすぐり殺されて自分の存在を乗っ取られた京が哀れでなりません。羅那の存在を知ってたようですし、羅那に相談してたら未来は変わってたんでしょうか。あと、黒島の登場には驚きました。彼女は死擽本編にはエピローグにしか登場しませんでしたが、裏で色々暗躍していたようですね。ホラーシリーズの次回作で彼女の真の目的が明らかになるのを期待してます。 今回は久しぶりに死擽の雰囲気が味わえて嬉しかったです。次回の擽鬼夜行シリーズの投稿も楽しみにしてます。

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