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【F/M】百年おにごっこ#1

1. 百年おにごっこ (F/M) ──不確かな噂をあてにしてはいけないよ── ◯ その女から百年のあいだ逃げ続けないといけない。 その女はいつどこにどんな姿で現れるか分からない。 その女に捕まったら、"おに"にされてしまう。 ◯ 古い木材の香りが漂う薄暗闇。至る所がささくれた畳の上に、それは置いてある。 蝋燭の灯りでオレンジ色に照らされているその小さな"守袋"を、三人の青年が覗き込んでいる。 「これは、御守り?」 黒髪のやや幼さを残した顔つきの青年──"吾妻 洋(あずまよう)"が首を傾げてメガネをくいと上げた。 「違うよ。これは"にえのあかし"と呼ばれてるものだ」 蒼黒く髪を染めた中性的な美青年"田水 空斗(たみずそらと)"はそう言ってその薄ピンク色の唇をニヤリとさせた。 「中には何が入ってんだ?」 やんちゃ坊主の"近島 健吾(ちかしまけんご)"が腕組みをしてふんと鼻息を立てて聞いた。 ソラト「諸説あるね」 健吾「なんだ?誰も中身を知らないのか」 ソラト「そうとも言えるし、知った者がもういないとも言える」 ソラトが言うと、臆病なヨウがあからさまに嫌そうな顔をした。 ヨウ「それでさ、どうしてこんなものを持ってきたのさ」 健吾「そうだぜ。こんな…ぼろっちい公園まで来て…」 健吾はあたりをキョロキョロ見渡した。 三人の青年のいる古びた集会所の外は小さな公園が広がっている。遊具は滑り台と鉄棒のみだ。どれも酷く錆びついており何年も手入れがされていないことが明らかだった。 この公園で最も目を引くのは──奇妙な鳥居だった。 ここには神社があるわけでも、祠があるわけでもない。 ただ鳥居だけが、ぽつんと立っている。 鳥居は灰色だ。元から灰色なのか年月を経て灰色に変わったのかそれは定かではない。 「ここじゃなきゃダメだったんだよ」 ソラトが言った。 ソラト「ここが、"百年おにごっこ"の発祥地なんだから」 ヨウ「ひゃくねん?」 ソラト「百年おにごっこ。古い都市伝説だけどね。昔、この公園──と言っても当時は公園でもなかったんだろうけど──で、とある儀式が行われたっていうんだ」 「当時、この周囲は飢餓に苦しんでいた。神様にその飢餓を吹き飛ばしてもらうため、生贄が必要だったんだね」 「でも…生贄なんてそうそう選べるものじゃない。進んで生贄になる人もいないし…」 「そこで。おにごっこで生贄を選んだって話」 健吾「なに?おにごっこで!?バカかよ」 健吾が口を開けて片眉を吊り上げる。 ソラト「夕陽が沈むその瞬間に鬼だった者が生贄に選ばれることになった。そして、一人の女が生贄に選ばれた」 「女は、生贄として捧げられる最後の瞬間まで、鬼ごっこはまだ終わってない、と言い続けたそうだよ」 ヨウ「終わってない…かぁ…」 ソラト「そう。そしてこの"にえのあかし"は、鬼ごっこの際に鬼になった人が持つ決まりになっていたものだ」 「これを持って外の鳥居をぐるっと一周すると…鬼ごっこが始まると言われている」 ヨウ「鬼ごっこが始まるってどういうこと?」 ソラト「生贄に選ばれた女はまだ鬼ごっこが終わっていないと言っていた。彼女は本気でそう思っているんだろうね。そう思わないと自分が生贄に選ばれてしまうから」 「そしてそのまま彼女は殺された」 「でも──彼女は死してもまだ鬼ごっこが終わっていないと思っている」 健吾「なんだよそれ…」 ソラト「だから…今でもこの"にえのあかし"を持って鳥居を回ると、女が追いかけてくるって噂があるんだ」 「鬼ごっこが再開される」 「彼女が死してからも続いているという…長い長い鬼ごっこがね」 「鬼ごっこは終わらない。百年経とうが何年経とうが…」 健吾「だから百年おにごっこか…」 健吾は腕組みをして納得したように頷いた。 ソラト「そうだね。ちなみに、鳥居を回ることが鬼ごっこ開始の合図になる理由は… 生贄を選ぶ鬼ごっこを始める際にも、実際にそういった動きをしたからと言われているね」 ヨウ「最初の鬼ごっこの始め方と同じってことだね」 「ほんと。ソラトはこういうのに随分と詳しいね」 ソラト「大したことないよ」 ソラトはそう言いながらも自慢げに鼻を鳴らした。 健吾「それで?もしその"にえのあかし"を持って鳥居を回ったとして…鬼に捕まったらどうなるんだ?生贄にでもされるのか?」 ソラト「鬼にされるって話さ」 健吾「鬼ぃ?」 健吾がけったいな顔をした。 ヨウ「鬼?鬼ってあの鬼?」 ソラト「そう。あの妖怪とかの鬼だ。最初に捕まった人は赤鬼に。次に捕まった人は青鬼に…されてしまうという」 健吾「わけわかんねぇな」 ヨウ「まさか…ソラト。百年おにごっこをやるつもりなの?」 ヨウが不安げにソラトの顔を覗き込む。 ソラト「御名答!」 ソラトはヨウを指差し、"にえのあかし"を握って立ち上がった。 ヨウ「ご、御名答って…正気!?」 ソラト「大丈夫。どうせ何も起こらないよ」 ソラトは外に出て真っ直ぐに鳥居の方へ向かって歩き出す。 ソラト「今は、心霊がお金になる時代だからねぇ…この様子を実際に記録して動画サイトに流せば一儲けできるに違いないよ」 健吾「大丈夫かよ?それやったら…鬼ごっこの参加者になるってことじゃないのか?」 ソラト「心配ないって。噂では、鬼ごっこに参加させられるのは、女だけらしいから」 「それに…こんなの全部嘘っぱちさ」 ソラトは涼しい顔で微笑み、そのままぐるりと鳥居を一周した。 鳥居を回ったソラトはしばらくあたりを見渡していた。ヨウは不安げにキョロキョロと視線を泳がせ、健吾も落ち着かないようにうろうろしていた。 だがその後いくら待っても何も起きなかった。 ◯ ソラトが百年おにごっこに参加する儀式を行ってから数日後。ソラト、ヨウ、健吾の三人はいつも通り学校から帰っていた。 いつもの時間。いつもの三人。いつもの道。 それなのに、いつもとは何かが違う。 何か異様なものをソラトは感じていた。 「ねぇソラト。あの人、知り合い?」 ヨウが小声で言ってちらりと目を動かした。ヨウの視線の先には、車道を挟んだ向こう側の歩道に立つ女がいた。 若い女だ。 「いや知らないね」 ソラトはそう答えた。本当に知らない女だった。 「何だあの人。ずっとこっち見てないか?」 健吾が言う。 確かに、ソラトたちが女のいるあたりを通り過ぎても、女は首だけを向けてじっとソラトたちを見つめていた。 健吾「気持ち悪ぃ。さっさと行こうぜ」 健吾は特に気にも留めなかったのかため息をついてさっさと歩き出した。 ソラトの家はヨウと健吾の住む場所から少し離れたところにある。町の中でも人気のない通りで、今のような夕暮れ時には特に不気味な場所と化す。 二人と別れたソラトは一人、その静かな通りを歩いていた。 ソラトだけがアスファルトを踏む足音が響いている。 はずだった。 ソラトの足音にもう一つの足音が重なっている。 ソラトは立ち止まった。 ソラトの足音が止む。 だが、ソラトと重なるようにして響いていたもう一つの足音は止まらない。 ソラトはゆっくりと振り向いた。 視線が後方へ向いたその瞬間、ソラトは息を飲んだ。 視線の先。後方に──女がいた。 あの女だ。 さっき、車道の向こう側からソラトたちを見つめていたあの若い女。 ソラトに近づいてくる、その女の目はまっすぐにソラトを見つめている。 後をつけられた?いやそれは考え過ぎか。そもそもさっきだってたまたまこちらを見ていただけかも知れない。いやそれにしては明らかに異常だった。 様々なことが頭をよぎる。 ソラトが何か言うよりも早く、女の手がすうと動いて人差し指がソラトを指した。 「君だね」 女は言った。 「なに?」 ソラトは思わずそう返事をした。 「鬼ごっこ。参加したでしょ」 ソラトは女の口から飛び出た"鬼ごっこ"という単語を聞いてようやく、自分が百年おにごっこの儀式を行ったことを思い出した。 全身の穴からどっと冷や汗が吹き出す。 握りしめた拳の内側はすでに汗でぐしょぐしょだった。 「みぃつけた」 女はニカッと微笑んだ。 細身の女の身体がゆらゆら揺れる。 待て。なんだ?誰なんだ。鬼ごっこってあの百年おにごっこ?分からない。教えてくれ! ソラトの頭の中を様々な疑問と焦りがぐるぐる渦巻く。 女は両手を肩の高さまで上げると、そのまま細く長い指をクネクネうねうね動かした。 銀色のリングがたくさんはめられた指は異様なくらい柔らかな動きで蠢いている。 その動きはなんだか何かをくすぐるようなそんな動きに見えた。 「君を君を君を…捕まえてくすぐってくすぐってくすぐって…赤鬼にしてあげる」 女は、ソラトだけを見つめた目を大きく剥いてそう言った。 ソラト「くす…ぐる?」 女の言っていることがまるで分からなかった。なぜ鬼ごっこでくすぐられるのだ。そもそもくすぐりをなぜ…。 何も分からない。理解が追いつかない。だが、こんな異常な女に捕まってしまけば、恐らくただでは済まないことはソラトにも分かった。 だから逃げた。 ソラトは鞄を放り捨て、家に向かって走り出す。 「逃さない逃さない」 背後から、女が指をクネクネさせながら追ってくる。 女の脚はただ歩いているようにも見えるのだが、その速度はまるで早送りの映像のように素早い。 「コチョコチョだぞぉ。コチョコチョだぞぉ」 女は狂ったように繰り返し囁きながら、ソラトに迫ってくる。 ソラトは息を乱しながら必死に必死に走った。 手元にはスマートフォンがあるが、助けを呼んでいる暇もない。 「コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ〜」 突然、背後から女のケッタイな甲高いコチョコチョボイスが響き渡った。 瞬間、ソラトの腋の下や脇腹のあたりに強烈なこちょぐったさが走った。 ソラト「ぶぎぃっ!!?ぎっひひひひひひひひひひひひ!!?くそっ!!?なっっなんだっ!?これっ!!?うひひひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははは!!?」 全身から力が抜け、ソラトはそのまま地面に崩れ落ちた。 「コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョォォ〜」 女がコチョコチョと囁くだけで、ソラトの身体にはまるで数人に寄ってたかってくすぐられているようなくすぐったさが炸裂する。 ソラト「やめろっ!!くそっ!!?あははははははははははははははははははははははははははは!!?なんだこれはぁぁぁぁああああははははははははは!!!」 地面を転げ回るソラトの元に、女がやってきた。 「捕まえた」 女は唇を小さく動かして囁いた。指はまだウネウネコチョコチョ蠢いている。 その時ようやくソラトは女の顔をしっかりと確認した。 顔はごく普通だ。その辺にいる若い女の顔である。 だが、黒目。 黒目が、異様に大きい。 これほど大きな瞳なら、どれだけ離れていても視線を感じさせることだろうとそう思った。 女が細く長い器用そうな指をワキワキと曲げ伸ばしする。 「赤鬼にしてあげる」 女が身体を曲げて指をソラトに近づける。 ソラト「はぁはぁやめろっ!くすぐるなぁっ!!」 さっきのコチョコチョボイスによって無力化されてしまったソラトは非力に細い腕を振り回した。 女はソラトをくすぐりの刑にかける気なのだ。 ソラトはくすぐりが苦手だ。幼少期から姉に死ぬほどくすぐられてきたのがトラウマにもなっている。 女の身体がソラトにのしかかる。 ソラトの腰あたりに女が馬乗りなった。 女の身体はその細い身体からは想像もつかないほど重く、非力なソラトがもがいたところでびくともしなかった。 「コチョコチョだぞぉ」 女がソラトを見つめたまま、両手に揃う器用そうな長い指をワシワシと曲げ伸ばしする。 艶やかな爪。小麦色の肌。その手はとても死人のものには見えない。 ソラト「やめろっ!!このっ!!イカれ女っ!!」 ジタバタと暴れるソラト。 だが、振り乱れるソラトの腕をするりと抜けるようにして女の手がソラトのちょうど肋のあたりに降りた。 指先と爪の先っちょが、ソラトの肋骨に狙いを定める。 ソラト「しまっ───」 ソラトが女の手を振り払うよりも早く、女の指先がコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!!っとソラトの肋骨の表面を掻き回した。 ソラト「ぶくっ!!?くくくくくくっ!!!?くっっひゃひゃひゃははははははははははははははははははははははははははは!!?ちょっ!?やめっ!!?いひゃはははははははははははははははははははははははははは!!?」 爪の先っちょが、指の先っちょが敏感な肋骨の表面を滑るたび、ソラトを耐え難いくすぐったさが襲う。 ソラトは、その細い身体を波打たせながら笑い声を搾り上げ、くすぐるその手を振り払おうとした。 しかし、女の手首を掴んでも女の手はビクともしない。まるで石像のようだった。 「逃げたら。いけない」 女はぼそぼそ呟きながら、細身のソラトの少し浮き出た肋骨の表面をコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョと細かくこしょぐっていく。 ソラト「ぎひゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?なんでっ!?なんでコチョコチョっ!?っっひひひははははははははははははははははははははははははははははははは!!?」 爪の先っちょが肋骨の表面をコチョコチョ引っ掻くたびにゾクゾクするくすぐったさがソラトの全身の神経を震わせる。 「男は贄になれない。男は贄になれない。鬼にしてやる。赤鬼にしてやる」 女は大き過ぎる黒目でソラトを見つめながらふうふうと息を荒くしてさらに素早く指を動かして肋骨をくすぐり上げた。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! ソラト「ぎぃあっっっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?そこっ!!そのやめろっ!!いひゃひゃひゃひゃはははははははははははははははははははははは!!!」 腋の下にほど近い肋骨。そこには、脇の下から伸びる敏感な神経が張り巡らされている。女の爪の先っちょはその神経をしっかりと狙い撃ちした状態でコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ蠢いている。 つまり。この奇妙な女は凄まじくくすぐりが上手いのだ。 ソラト「うぎひひひひひひははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?かっっははははははははははははははは!!くるしぃっ!!くるしぃっ!!!っっひははははははははははははははは!!!」 女の指のひと引っ掻きひと引っ掻きが、ソラトの肋骨の神経を震わせ、精神をすり減らす。 これ以上コチョコチョされては堪らない。そう思ったソラトが膝で思い切り女の背中を蹴り付けた時だった。 女の細い身体がぐらりと揺れた。 効果てきめんかと思った直後、女はその大きな黒目でぎょろりとソラトを睨みつけた。 「悪い子。そんなに早く鬼になりたいか」 女は肋骨から手を離すと、すぅっと横っ腹に手を移動させた。 そして、制服シャツをぺろりと捲り上げて素肌の横っ腹に爪を立てた。 ソラト「いぎっ!!?」 ひんやり冷たくて硬い爪の先の嫌な感触がソラトの横っ腹を襲った。 ソラト「やっ…やめろそこはっっっ!!」 ソラトがふるふると首を横に振る。 「赤鬼にしてあげる」 女は、横っ腹を爪の先で引っ掻くようにコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!っとくすぐり掻いた。 ソラト「んがっ!!?んぁははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?ひぃぃぁぁぁあははははははははははははははは!!?いひゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!?あっははははははははははは!!?」 引き締まった横っ腹をくすぐったい爪の先が素早く這い回り、神経を掻き嬲る。 その、神経を直接こそばすような恐ろしいくすぐったさにソラトの目からは涙がドバドバ溢れ出していた。 ソラトの顔がぐんぐん赤く染まっていく。 「コーチョコチョ。コーチョコチョ。赤鬼さんにしてやろかっ。コーチョコチョ。コーチョコチョッ。悶えて死んでも仕方なし」 女は、無表情のまま唇だけを動かして唄った。 女の指遣いが徐々に不気味な歌のリズムに合わせて激しく奇妙なものに変わっていく。 コチョコチョッ!!コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョッ!!コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!! ソラト「いひひ!!?あはは!?あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?ぎぃぁぁぁぁあはははははははははははははははははははははは!!?ぃぁぁぁあああああああああはははははははははは!!?」 頬を伝う涙がボタボタと地面に流れ落ちる。 予測不能なリズムを刻む女の指遣いは、爪の先で横っ腹の神経を不規則に嬲ってソラトの呼吸を乱す。 カリカリカリカリ!! コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョッ!! コチョコチョ…コチョコチョ………コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! ソラト「にゃはは!!?にゃっ!!?ぁぁぁぁあはははははははははははははははははははははははははははははは!!?ぎゃぁっっっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?やめっ!!!?それっっ!!?そのっっっそれっっやめろぉぉぉぉぉ!!」 呼吸を乱し、精神を乱し、肉体を苦しめるその不気味なくすぐりリズムに命の危機さえ感じたソラトは自分も想像できないほどの力で身体を捻った。 女が、転げ落ちた。 ソラトは、女の様子を確認する余裕もなくヘロヘロになりながら立ち上がって、今にも転びそうな足取りで必死に駆け出した。 後ろを振り向く気にはなれなかった。 自宅である小さなマンションの二階まで一気に駆け上がり、震える手で鍵穴に鍵をぶっさして回し、玄関ドアをこじ開けて中に転がり込んだ。 転がり込む瞬間、視界の端に姉がいるのが見えた気がした。 「姉ちゃん!やばい!早く鍵をかけて!変な女がいる!」 ソラトは、肋骨と横っ腹に残るあの女の艶やかな爪の先の感触の余韻に苦しみながら姉に向かって叫んだ。 だが返事がない。 ソラトが恐る恐る顔を上げると、そこにはやはり姉がいた。 ソラトよりも背の高い四つも年上の姉は、部屋着を着てそこにいる。 姉はソラトを見下ろしていた。これほどまでに取り乱した弟を、黙ったまま見つめていた。 白目から溢れ出るほど大きな黒い瞳で。 「ひっ!?」 ソラトは小さく短い悲鳴を上げた。 全身にふつふつと鳥肌が立った。 「コーチョコチョ。コーチョコチョ。赤鬼さんにしてやろかっ。コーチョコチョ。コーチョコチョッ。悶えて死んでも仕方なし」 姉が、姉の声で、あの唄を口ずさみながら指をワキワキと蠢かした。 背の高い姉の大きな手の、長い指が不気味に蠢いているのを見たソラトは口を開けたまま固まってしまった。 姉は、転がっているソラトの両腕を掴み、凄まじい力で奥の部屋まで引きずっていく。 ソラト「やめろっ!!?やめろっ!!?なんだっ!!?何がどうなってるんだっ!?」 姉は喚くソラトに反応せず、仰向けになってバンザイしているソラトの腕の上に座り込んだ。これでソラトは腕を下ろすことが出来なくなった。 血の気のない姉の顔がソラトを覗き込む。 ワキワキと曲げ伸ばしされる長い指の先は、ソラトの開きっぱなしの腋の下に狙いを定めていた。 ソラト「やめっっ…!!!」 「コーチョコチョ。コーチョコチョ。赤鬼さんにしてやろかっ。コーチョコチョ。コーチョコチョッ。悶えて死んでも仕方なし」 姉がまた不気味な唄を歌い始め、ゆっくりとそのソラトにとってはトラウマそのものの長い指を脇の下に近づけてくる。 ソラト「や、やめろっ!!なんでっ!?なんでこんなっっ!!」 ソラトの目から、恐怖の涙が一滴、こぼれ落ちたその時、姉のトラウマ級の指先がソラトの剥き出しの腋の下に喰らい付いた。 「コォチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ〜!!!」 姉特有の甲高いコチョコチョボイスと共に、指先がめちゃくちゃに暴れ出し、敏感で堪らない腋の下をこちょばしまくり始めた。 ソラト「い"っ!!?っ!!?あっ!?ぎぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!?あは!?あはははははははは!!?あっっっははははははははははははは!!?やめっっっ!!?そこはぁぁぁぁぁあああああああああああはははははははは!!?」 電撃が走ったかのようにソラトの細い身体がビクビクと震え上がる。喉が潰れるほどの叫び声が腹の底から放出される。 昔、ピアノなどの楽器を習っていた姉の指の動きは凄まじく滑らかで、動きに無駄がない。 「コォチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ〜!!!」 黒い瞳でジッとソラトの赤く染まり上がった悶絶顔を凝視したまま、女は長い指を触手みたく器用に操って腋の下を蹂躙する。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! ソラト「かはっ!!?あへっ!!?もうやめっっっ!!?ぃぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああはははははは!!?ワキはっ!!!ワキはぁぁぁぁぁああああああははははははははははははははははははははははは!!?」 腋を閉じることも出来ない状態でコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョと長い指先によって浴びせられるくすぐりの刺激をソラトはただ受け続けるしかなかった。 気が、狂いそうだった。 姉の指は、まるで骨など存在しないかのように滑らかに曲げ伸ばしを繰り返して指先と程よく伸びた爪の先っちょでソラトの腋の下を掻きむしる。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! ソラト「んぁぁぁっっっっははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?もうやめでっっ!!?いやっっ!!?いやだぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああコチョコチョはぁぁぁぁぁあああああああああああはははははははは!!?」 絶え間なく刻み込まれ続ける腋の下へのくすぐり刺激の連続にソラトは顔を赤く染めて悶えまくっている。 呼吸は大きく乱れ、今にも意識を失いそうになっていた。 「これに弱かったね」 姉はぼそりと呟くと、両手を肋骨に伸ばし、肋骨の隙間に指をはめ込んだ。 姉の指先が肋骨の隙間にあるくすぐった過ぎる神経を捉える。 ソラト「いあっっ!!?ま、待って!!それはダメだって本当にっ!!!」 この指のセットの仕方は、姉がよくソラトをお仕置きする際に使っていた"お仕置きのあばらコチョコチョ"で用いていたのと同じものだ。 そのくすぐりこそが、ソラトにくすぐりのトラウマを植え付けた地獄の責めなのだ。 ソラト「やめでっ!!!死ぬっ!!それやられたらっっっ───」 涙声のソラトの懇願は届かない。 姉はすうと息を吸い込み、そして─── 「コォチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ〜!!」 コチョコチョボイスと共に肋骨をゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!!! ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!!っとえぐるように、ほぐすようにこそばし始めた。 ソラト「ぐぎぁっっ!!?いぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?かはっ!!?くるじっ!!?かぁぁぁぁぁあああああああああああああはははははははははははははははは!!?死ぬっ!!?死ぬっっっ!!?死ぬぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 くすぐったい神経がみっちりと詰まった肋骨の奥深くを指先でゴリゴリほぐされ、ゴチョゴチョえぐりくすぐられたソラトは下半身から力がごっそり奪い上げられ、失禁した。 それでも、姉は指先のみを器用に操ってゴリゴリゴチョゴチョと神経を嬲り続ける。 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!! ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!! ソラト「くはっ!!?あっっ!!?ああああああああああああははははははははははははははははは!!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!っっっひひひはははははははははははは!!もう許してっっ!!もう許してぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 ソラトは右へ左へ身を捩りながら、震える絶叫を轟かせる。 いくらソラトが暴れたところで、肋骨の隙間に嵌め込まれた姉の指先はズレることなく神経をえぐり嬲りくすぐり続ける。 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!! ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!! ソラト「ぐぁぁぁぁぁぁああああああああああああはははははははははははははは!!もうしなぃっっ!!もうしないからぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああはははははははははははははははははははははははははは!!?かへっ!!?あへっ!!?くへっ!!?ぃぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」 何を誤ってこうなったのか。なぜここまでくすぐられないといけないのか。ソラトは何も分かっていない。だが、とにかく謝るしかないとソラトの脳はそう判断していた。 そうすれば、地獄から抜け出せると思っていた。 だが、姉の指が止まることはなかった。 弟の弱点を知り尽くした姉の指は、その後も弟ソラトの全身の弱点をたっぷりと可愛がったという。 お仕置きが終わった頃のソラトのその顔は、鬼のように真っ赤に染まっていたとか。 続く…??(検討中)

Comments

reoさんありがとうございます! 百年おにごっこの鬼は、どんな姿でも現れます。それは、自分の良く知っている人も例外ではありません。 ですがもちろん、あの後は姉は元に戻っていると聞いています!記憶はない…みたいですが! くすぐり殺されていてもおかしくなかったですが、"赤鬼"にされるに留まったことがせめてもの幸運だったかも知れません。 こういう怪談は訳がわからないまま終わるのもまた一興かなと思っております。楽しんで頂けたようで幸いです! ありがとうございます!また気が向いたらサクッと書いてみようと思います!

Kara

ソラトを追いかけていた女が、ソラトの姉に成り代わったシーンは凄く怖かったです。ソラトへのお仕置きが終わった後、姉は元に戻れたのでしょうか。 女のくすぐりは無茶苦茶ハードでしたし、ソラトが死ななくて本当に良かったです。 今回は世にも奇妙な物語の不条理ホラーっぽい感じで面白かったです。もしこの話の続編があるなら、ヨウと健吾がくすぐられるのも見てみたいです。

reo


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