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おはことめ
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まいごのナナホシすずちゃんとおっちゃん文書

「おっちゃん、その辺のコンビニ寄ってく?」「ん? せやなぁ」 コンビニに入り、ジュースと夕飯の弁当を買う。運動不足を心配するおっちゃんに連れ出されて、少し遠くの公園まで散歩していた帰り道。 「あ~……もうこんな時間なっててんなぁ」「そうだねぇ」 時計を見るともう夜の8時だ。おっちゃんと一緒に歩いているとあっという間に時間が過ぎるから不思議である。 「帰ったらなにしよっか」そう言いつつおっちゃんの方を振り向いた瞬間だった。違和感を覚える。周りが知らない街並みになっているように感じたのだ。今日来た道は少し遠いといってもこれまでに何度も通ったことがあるルートで、帰り道も同じはずなのだが……「おっちゃん、道間違えちゃったかなぁ」「ほんまやなぁ。なんか見覚えあるようなそうでもないようなとこ来てもたんかなぁ」スマホを使って現在地を確認する。画面に表示されている自分たちの位置はさっき入ったコンビニの近くだった。 「とりあえずコンビニまで戻る?」「このまんまいったら完全にわからんとこ行ってまいそうやしなぁ」来た道を引き返した。 コンビニを目指す道中何度か同じところをぐるぐる回っている気がした。 「おかしいなぁ……」「せやなぁ……」結局コンビニにはつかず街並みも見覚えがあるようなないような、特徴の無い住宅街が続くばかり。またスマホで現在地を確認したがなんと表示されているのはさっきと同じコンビニの近くのままだった。「あれ、動いてない」そもそも表示されている地図とこの街並みの地形が一致していない。「おっちゃんこれ完全に迷子だ……」「ほんまや……どないしょ……とりあえずその辺で食べよか。」しばらく歩いて見つけた公園のベンチで食べることにした。公園の時計は8時を指している。 「なんか変なとこに迷い込んじゃったみたいだね」「こういうのあんねんなぁ」二人で弁当をつつきながら話し合う。 「スマホ電波入るし使えるみたいだけど8時で全部止まってるみたいなんだよねぇ」「時間停止モノやん」 「どうやったら帰れるとか、ルールみたいなのあるのかな」「とりあえずそのへんのうちの人に聞いてみよか」弁当を食べ終わった私達は手近なところにある民家を訪問した。 「留守みたいやなぁ」「次行こうか」隣も留守、その隣もそのまた次も。その後何十件と訪問したがどの家も明かりはついているのに誰もいない。というよりここにきてから生き物に出会っていない。疲れもあり少し不安になってきた。 「うーん……あ、ちょっと待っててや」おっちゃんが広い民家の敷地内に入っていく。「あっ!おっちゃん!」私も追いかけて入った。 ガレージの奥の倉庫からおっちゃんがでてきた「ほらこれ!ここ車あるし倉庫もあるからこいつもあると思ってん」おっちゃんが長い金属の棒……バールの様なものを見せてきた。「おっちゃん、もしかしてこれで……」「やるで!」鼻息荒くおっちゃんははりきっている。「危ないから私がやるよ……」「あー……」おっちゃんからバールの様なものを取り上げる。 「まずはこのうちにしようか」留守を確認すると私は裏庭にまわる。家の壁に張り付いて窓の中の様子をうかがう。カーテンの隙間からは明かりが見えるがやはり人の気配はない。「いくよ」おっちゃんに声をかけてから私は思い切り窓ガラスを叩き割って手を入れ鍵を開けた。 「お邪魔しま~す」中を見回す。生活感がありほんの今までだれかがいたかのようですらある。奥へ進むとキッチンに出た。洗い途中の食器とシンクに落ちて割れた皿に蛇口から出る水がかかり続けている。床には女性ものの服が一式散乱していた。冷蔵庫を覗いてみる。中には食材がそのまま入っている。腐敗はしていない様だ。「ん?」ラップがかけられた皿の上にメモが乗せられていた。 『お仕事お疲れさま。夜ごはん作っといたからレンジでチンして食べてね』手書きの文字。筆跡は女性のものだろうか。 「ほんとうに今まで誰かが住んでてさっき突然消えたみたいだ……」「ほんまやなぁ」おっちゃんがキッチンで物色しながらこたえる。「おお、これは……」「え?何々」一枚の写真を見つけたようだ。写真には若い男女が映っていた。「ここの住人やろなぁ。うちらもようわからんけど色々使わせてもらいます」おっちゃんが恭しく写真に拝んでいる。 「もう今日はこんなところで休もうか……」明日になったら元に戻っているかもしれないし、そうじゃなくてもなぜかライフラインは生きてるししばらく大丈夫だろう。一応出るうちに水だけ浴槽に貯めておこう……風呂場で水を溜めている間にリビングで一休みする。ソファーに座っているとおっちゃんが私の膝に頭を乗せて寝転がってきた。「ねぇ……おっちゃん」おっちゃんの耳を撫でる。毛並みの良い綺麗な狐の耳。 おっちゃんは目を細めて気持ち良さそうだ。「なぁにぃ」寝ぼけ気味のおっちゃんの声。「おっちゃんとこうしてるとなんか落ち着くんだよね」おっちゃんの頭を抱きしめる。「うちはちょっとどきどきするかも~」私の胸の中でおっちゃんがモゾモゾしている。「おっちゃんと一緒でよかったよ」「うちも~」 そろそろ溜まったみたいだから眠ったおっちゃんには少しどいてもらって水を止めに行った。リビングに戻るとおっちゃんに探してきた毛布を掛けて私はソファーの横にタオルケットを敷いて寝た。 次の朝。朝というより夜8時。あれから時間がたっても特に変わりなく8時のまま時計は止まっていて外も暗いままだ。「せんぱいおあよー」寝ぼけまなこのおっちゃんが私の腰にしがみついてくる。「おはようおっちゃん」おっちゃんの頭をなでる。 朝食に昨日見つけたこの家の人の夜ご飯を食べながら現状確認と今日の活動方針を決めていく。 「まず私達は午後8時から時間が進まない謎の住宅街に迷い込んだ」「せやな」 「住民は突然消えたみたいにいないけど電気ガス水道が使える」「これはラッキー」 「ネットも使えるし食料もあるし虫とかもいないし当面は問題なさそうだけど……」「食料あるうちに帰る手段だけ見つけれたらここ住んでもええよなぁ」 「……とりあえずこの辺を探検してみようか」「せやなぁ」 それから私達は周りの家の窓を割り鍵を開けてまわった。どの家も最初の家と同じくいままで人がいたのに突然住人が消えた様子だったがひとつ気になることがあった。 火をつけっぱなしにしている家があったのだが昨日からつけっぱなしだったはずなのに鍋にお湯が沸いていた。これだけ時間が経っているのに蒸発していなかった。もしかしてと思い最初の家に戻る。割ったはずの窓が割れていなかった。 「ねぇ……」「なにぃ」 「ここで一緒に暮らす?」「せんぱいそうしたいん?」 「ここならさ、全部止まったまま過ごせるのかもしれない……」「ええよ」

まいごのナナホシすずちゃんとおっちゃん文書 まいごのナナホシすずちゃんとおっちゃん文書

Comments

文書があると解像度高まりますよね

おはことめ

ナナホシすずちゃんとおっちゃんがずっと一緒にいれる世界,最高だ…… 途中のイチャイチャもかわいいし,バールを預かるシーンも解像度高くてホクホク......

にもうさく


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