昼休みの教室。ほかの生徒はほとんどいない。おっちゃんと机を挟んで向かい合いお昼を食べながらだべっている。昼休みの終わりも近づいたころ話題は恋の話に。
「せんぱいはだれか好きな人おらんの?」「べつにいないよ」「へー。やっぱりなぁ。せんぱい周りに興味ないもんなぁ」懐いて付いてくる割には遠慮なく言う。
「そうは言うけどおっちゃんはどうなの」学校にいる間はかなり高い頻度で会いに来ているので実際気になっている。「んー?うちはせんぱいの事すきー」机に突っ伏して抱きつこうとしてきた。「そういう好きの話じゃなかったでしょ」胸をめがけて進んでくる頭を押し戻した。「えぇ?うちのはそういう好きやで?」「すぐそういう冗談を…」
「本気や」頬におっちゃんの小さな手が添えられる。おっちゃんの真剣な目がまっすぐこちらを見ている。おっちゃんは身を乗り出し二人の距離はどんどん縮まっていく。くちびる同士が触れ合った。
そのときパァンと快音が教室中に響いた。一瞬こちらを見る生徒もいたがすぐに目をそらした。頭の中が真っ白になっている。そして手が痛くなってきた。
「ごめんな」目の前のおっちゃんが頬をさすりながら呟いた。
昼休みが終わるチャイムが鳴った。