【9,416字】名門学院の新理事長が優秀者の選抜試験をするお話
Added 2021-04-07 14:00:00 +0000 UTC※このお話には極めて残虐な表現が含まれています。 [newpage] 『生徒の皆さん。1年間お疲れさまでした。本年は…』 とある中高一貫の名門女子校。今日は1年最後の登校日、すなわち終了式が行われている。総勢数千名もの生徒を抱えるマンモス校であるここでは、1箇所に集まるのではなく各教室でモニターを通じて式に参加する形式を取っており、現在は就任したばかりの女性理事長による挨拶が始まったところだった。 『…と長い話はこの辺りで。これより、皆さんも気になっているであろう、”選抜試験”を行いたいと思います。』 新理事長の就任とともに当年度より急遽取り入れられた制度、選抜試験。『当学園に相応しい女子のみを選りすぐるため』という目的以外の一切が知らされていないその制度には、生徒だけでなく教師からも反発の声が大きかった。それでも絶対権力者である彼女に逆らえるものはおらず、遂にそれが実施されることとなる。 『まずは…そうですね。教員の皆さんも含め全員、机などにしっかりと掴まってください。』 試験実施に際しての注意とは思えないその内容に誰しもが首を傾げながらも、教育が行き届いた彼女たちは理事長の指示に従う。そうして全員が困惑していると突然、教室中の窓やドアといった外部との出入口が独りでに閉まり堅く施錠されてしまった。 「り、理事長っ!せめて教員には説明をっ…あっ…気分が…」 『少しクラっとするかもしれませんがすぐ収まりますからねー。よいしょっと…』 各教室内に閉じ込められることとなった彼女たちがすぐに気付けるはずもなかったが、その不思議な感覚は学院の敷地全体がみるみるうちに縮んでしまっていることによる影響だった。すぐ傍にあった理事長室は対象外となっており、何でもないようにそこから出てきた理事長は高いヒールをコツコツ鳴らしながら縮み続ける学院へと距離を詰めていく。 「きゃああああああ!!」 「皆さん!机にしっかり掴まって!!」 そんな些細なはずの振動は学院内の小人にはズシンドスンという大きな揺れとなって襲い掛かる。突然巻き込まれた理解不能な事態にパニックに陥りかけている少女たちは、教室から飛び出そうと窓やドアを揺するものの強固な電子ロックは彼女たちの力程度ではビクともしない。それでもなお縮み続ける幼い少女たちのか弱い心のことなどお構いなしとばかりに、理事長はもはや完全に見下ろしてしまえるサイズとなった学院に向かって容赦なく近付いていく。 『あらあら。1/1,000ってこんなに小さいのねぇ。ゴミと間違えて踏んでしまいそう。』 およそ200m四方という都会にしては広大な敷地を持つその学院も、今の理事長から見れば20cm四方程度の地面の模様程度でしかない。比較するようにすぐ隣に並べられたハイヒールは踵の位置を揃えてもつま先が学院の敷地からはみ出しており、彼女の足よりも小さいことが簡単にわかってしまう。最大で10階まであるはずの校舎の高さに至ってはピンヒールの半分にすら届いておらず、彼女のほんの一部でしかない靴という存在だけで学院を圧倒してしまえる存在感を放っていた。 『さて、ここでは難しいので試験は理事長室で行います。慎重に運びますが、掴まっていないと危ないですからね。』 そう言って屈んだ彼女は最初からその用途であったかのように敷かれている鋼鉄製の台座に手を差し込むと、壊れ物を扱うような繊細さで学院を敷地ごと持ち上げてしまう。今や身長1mm程度しかない小人たちにとってはとんでもない距離を移動していることになるはずが、不思議なことに強大なGに押し潰されたり教室内を跳ね回って液状化してしまうようなことはなかった。 『重力制御装置を組み込んでありますので大丈夫だとは思いますが…歩きますね。』 個人的な趣味から、近付く際にはスイッチを入れていなかったことを隠しながらも、学院を無事に抱えた彼女は理事長室へと帰って行く。そこへ至るわずか数十秒の間に、外に見える景色から中に居た全員が自分たちの置かれている状況を理解せざるを得なかった。 ☆ ☆ ☆ 『それでは改めて。選抜試験を行いたいと思います。』 理事長室にて、フカフカの高級チェアに腰かけて脚を込んだ彼女はモニターに向かって微笑んでいた。学院はといえば先ほどより少し大きい1/100サイズへと戻された状態で、彼女の前方にある床へと置かれている。 「あれが…理事長なの…?」 「嘘でしょ…信じられない…信じたくないっ…!」 2m四方というそこそこの大きさになったとはいえ教室内から直接窓の外を覗いてみれば、そこに見えるのは100倍サイズという超巨大な理事長の下半身のみ。左ひざの上に乗せられた右足の先端では戸建て住宅よりも巨大なハイヒールがつま先に引っかかる形でブラブラと揺れており、万が一にでもすっぽ抜けてしまえば大惨事となることは目に見えていた。 「理事長!そ、その、お靴のことなのですがっ…!」 『…なんですか?話の途中なのですよ。』 「き、危険、ですので、止めて頂ければ、と、思いまして…」 『危険?…あぁ、ふふっ。』 それでも勇気を振り絞った一人の教師が物申すと、愉快そうに笑った理事長はやめるどころかさらにブラブラと揺らしながら学院のほうへと近付け始めた。そうして踵部分の白ずんで硬くなった部分や剥がれ落ちかけているかさぶたといった足裏の詳細な様子が見えるほどの距離にまで接近すると、あろうことか引っかけていたつま先の足指を1本また1本と引き抜いていく。 『あっ、脱げちゃいそう…』 「お願いです!!お止めくださいっ!!」 『うふふ。私の靴が脱げただけで何をそんなに困るのかしら?』 各教室内の様子を映したカメラとマイクによってパニック状態をしっかりと把握している彼女は、『自分の足からただ靴が脱げそうになっている』というだけでその状態が引き起こされているという事実にひどく興奮していた。それでも、仕事への意識を忘れなかった彼女は、乱雑に靴をぶつけてから素足でグチャグチャに踏み躙りたい欲求をなんとか抑えこみ、しっかりと靴を履きなおしてから足を元の位置へと戻す。 『さて、話を戻しますね。選抜試験の目的は既に何度も周知のことですので、これから具体的にどうするか説明します。』 いよいよ本来の理事長としての顔に戻った彼女の話を聞き逃すまいと、混乱しながらも席へと戻った生徒たちは真剣な表情でモニターを見つめていた。この国でトップクラスの学院へと実力で進んだ彼女たちは各々に優秀であるという自負があるものの、社会に出てさらに戦っていくためにはここで負けるわけにはいかない。 『簡単に言えば…これからあげる5つの要素ごとにワースト3位までの学級には、この学院に相応しくないということで消えて頂くことになります。』 個人ではなく学級単位での順序付け。さらにはそれに基づいた”消えてもらう”という過激な表現に、ざわめきが広がっていく。それでも、精々が退学勧告くらいだろうと考えていた少女たちは、理事長の真の恐ろしさを嫌というほど知ることとなる。 ☆ ☆ ☆ 『さて、それでは基本中の基本、勉学におけるワースト3ですね。もちろん学年差は考慮したうえで客観的に決めたものです。そうして選ばれた最下位は…高等部1年F組の皆さんです。』 自分たちのことだと名指しされた高等部校舎6階にある1ーFでは、誰のせいだ私じゃないと非難の応酬が繰り広げられていた。それでも『選抜方法が非公開である以上は異議申し立てを行う権利がある』として学級一の秀才が学級をまとめ始めた頃、キャスター付きのイスでガラガラと接近してきた理事長が当該クラスへと手を伸ばしてくる。 『それでは、高等部1年F組には…あら、最上階とはちょうどいいですね。』 「な、何がですかっ!理事長、私どもにも説明を…」 『ここを分離して…よし。はーい。窓から離れてねー。』 「え、わ、きゃあああああああ!!!」 すぐそこに迫った理事長に対して担任教師が直接抗議しようとした次の瞬間、まるで積み木でも持ち上げるかのように両側の窓を指で挟み込んだ彼女が教室そのものを上空へと連れ去っていく。少し大きくなると同時に重力制御が切られていたことで、教室中の小人たちはその些細な揺れに翻弄され教室内を転がりまわってしまう。 「理事長、なんてことを…ケガ人が!複数のケガ人が出てしまっていますっ!!」 『はーい。他の学級の子たちはモニターを見ておいてくださいね。』 「なっ…あれが、私たちの教室…?そん、な、待って、待ってくださいっ!!」 彼女によって持ち運ばれたというだけで机やイスとごちゃ混ぜにされボロボロとなった教室は、気付かないうちに校庭の真中へと下ろされていた。どこから撮っているのか、そのすぐ真上には足を組んだ状態の理事長の右足が翳されていて、足裏のサイズだけでも教室以上というその大きさの対比から教室がいかに小さく儚い存在かが伝わって来る。そんな状況に置いた理事長がこれから取ろうとする行動は、学院中の小人にも簡単に想像できてしまった。 『消えてもらうというのは…こういう意味ですよ♪』 楽しそうにそう呟いた彼女は足元に置かれた小さな箱の上へ向かって容赦なく自分の足を踏み下ろした。頑丈な鉄筋コンクリート造りであるはずのその教室の天井も彼女の巨大なハイヒールを支えることはできず、10m四方もある靴底部分があっけなく踏み抜いて、その下に居た十数人の女子生徒たちを一瞬でブチュリと踏み潰してしまう。 『ふふっ…本当に柔らかい…イチゴを踏み潰したときよりあっけないわね。』 ロクに手入れもされていない薄汚れた巨大な足指がペディキュア代わりの返り血に染まりながらお互いに擦りあわされる様子は、生き残った少女たちにとって恐ろしい化け物以外の何ものでもなかった。たかだか16歳程度には到底耐えられない凄惨な状況に失禁や失神、腰砕けといった状態で身動きできないでいると、思い出したかのように再び動き出したその足が残り僅かな生存者たちの尊い命を刈り取っていく。 『学級単位で連帯責任ですからね。最後の一人まで…きゅっきゅっ♪』 足指よりも遥かに小さい小人には暴れまわる彼女の足に抵抗する力などあるはずもなく、床と靴底の間で圧縮され、壁と爪の間で切断され、足指と足指の間で練り潰される。いたいけな16歳の少女たち約30人と赴任したばかりの新人女性教師は、この悲劇を誰に伝えることも出来ないまま僅か十数秒足らずの間に無残に蹂躙されてしまった。 ☆ ☆ ☆ 『さて、次はこの学級ですね。他の皆さんも目を逸らしちゃダメですよ?』 先ほどと同じように摘まんできた教室を足元の校庭へ置くと、今度はその天井部分にピンヒールの先端をあてがった。彼女の足と比較すれば余りにも細く見えるその棒も、小人視点では直径1mを超える巨大な円柱上の物体に他ならない。理事長がくすくすと笑いながらその先端で天井の上をなぞるように動かしていると、モニターを通してみていた中の生徒たちは追い立てられるようにして狭い教室内を逃げ回らざるを得なかった。 『うふふ。ちょこちょこと動いて可愛いわね。流石は13歳の元気さといったところかしら。さて、上手く当たるといいけれど…えいっ、えいっ♪』 言葉とは裏腹に何の心配もなさそうな彼女は、中学に入ったばかりという幼い少女たちが泣き喚ていているその小さな箱へ向かってピンヒールを容赦なく突き刺していく。『ズボッ』ではなく『サクッ』という表現が合いそうなほど簡単に天井を刺し貫いたその先端は、逃げきれなかった少女たちを数人ずつまとめて床と一体化させてしまう。 『こっちだと踏んだ感触しないわねぇ。ホントにちゃんと踏めてるのかしら。』 そう言って理事長用の机に置かれたモニターをじっと見つめながら、足の位置を微調整しながらも1-C教室という名の小さな箱の上で踵の上下運動を続けていた。彼女にとっては足の運動程度の軽い動きでしかないそれも、その箱から出られない少女たちにとっては無慈悲に命を奪う殺戮以外の何ものでもない。 『うーん…あと、この隅っこ辺りが…掃除と同じで難しい所よねぇ。でもヒールを立ててあげれば…』 教室の隅に逃げたところで当然見逃してもらえるはずもなく、いくら泣き叫んだところで理事長の3分の1以下という短い生涯を理不尽に終わらされていく。彼女の片足はおろか、履いている靴の、そのまたほんの一部でしかないピンヒールが、小人にとっては自分たちよりも遥かに強大で存在する価値のある物体なんだと知らしめていた。 ☆ ☆ ☆ 『さて、次ね。勉学、運動と来れば…やはり芸術でしょう。進学校だから力を入れてなかったなんて言い訳は今さら遅いわよ?』 既に6つもの学級が彼女の両足の下へと消えていき、200人近い尊い命が儚く擦り潰されていた。それでもあと9つもの学級が残されているかと思えば生徒たちはただひたすらに祈るより他なく、なかでも姉や妹といった大切な存在を踏みにじられた少女たちは、窓の外に聳える理事長の巨体を恐怖と憎しみの感情で見上げている。 『ワーストは…中等部2年C組ね。場所は…うーん。引き抜きにくいし直接行くしかないかしら。』 9階建て校舎の中層階に位置するその教室はこれまでのように簡単に取り外せる場所ではなかった。踏み潰される心配はないと安堵していた生徒たちも、別の手段を講じるという理事長の発言に一縷の望みを奪われて絶望する。そんな彼女たちが居る校舎のすぐ傍へハイヒールを脱ぎ素足となったつま先を近付けると、すぐ目の前の教室内に居た生徒たちは慌てて反対側の窓付近へと逃げ出していく。 『うん、入りそう。ちょっと失礼するわね。』 「きゃあああああああ!!」 「来ないでぇええええええ!!」 少女たちの悲鳴に頬を緩ませた理事長は所々血に染まった足指で校舎の壁をあっけなく突き破ると、建物内部をその足指で抉り取りながら奥へ奥へと進んで行く。1本数mずつもある巨大な化け物は、生徒たちが数人がかりでも突破できなかった窓やドアを簡単に押し潰して教室内へと侵攻する。当然ながら止まることのないその足指は獲物を求めるようにクネクネと蠢きながら、逃げ場を失った小人の少女たちを足指の間に挟み込んでグチュグチュと磨り潰していく。 『ふふっ。こそばゆいわね。抵抗してるのかしら?』 「り、理事長!!おやめくださいっ!!」 『もう、決まったことだと言っているでしょう。』 「ち、違います!!ここは2-Cではなく1ーCです!!2-Cはここの3階下です!!」 『…あら。』 理事長が手違いで蹂躙していたのは何の関係もない中等部1年C組であり、制裁対象としてあげたクラスは同じ校舎内のさらに階下にあった。本気で間違えてしまった彼女は羞恥に顔を赤く染め上げていて、先ほどまで楽し気に蠢いていた足指はその動きをピタリと止めている。それでも、既にそのクラスでは生徒の半数以上が理事長の足指によって原型がわからないほどの肉塊へと変化させられていて、彼女の些細なミスによって失われた命は当然ながら戻ることはない。 「ど、どうするのですか!理事長!!彼女たちは優秀な生徒そのものでした!!」 『いえ、その…』 「そもそもこのような非人道的な行為が許されていいはずありませんっ!試験は即刻中止して私たちを元の大きさに戻してください!!」 『…うるさいわねぇ。』 「ひっ!!」 熱血指導で有名な女性教師の反論に痛いところを付かれた理事長は、低い声で威圧するかのように小さく唸った。それと同時に再び動き始めた足指は、教室の隅で抱き合って泣いていた少女たちを小指で優しく撫でるかのように磨り潰してしまう。もはや人と人との意思疎通さえ不可能なんだと思い知らされた小人たちは、理事長というたった一人の個人が振るう理不尽で圧倒的な暴力に絶望するしかなかった。 『長い人生、誰でもミスはあります。大切なのは、そこから何を学び、どう挽回するかですね。』 彼女にはもはや羞恥や後悔といった感情は見られず、圧倒的な力に酔いしれ開き直っていた。それを証明するかのように引き抜かれることのない右足は、あろうことかそのまま体重をかけられていきその足裏が薄っぺらい床と天井をぶち抜いてしまう。そうして数フロア分の教室を無残に踏み潰していった彼女の足は、ようやく本来の教室へと辿り着くこととなった。 『こうしてしまえばいいわけです。多少、巻き添えになってしまったクラスもあったようですが…これは次にあげる項目のワーストだったと言っても過言ではありませんね。』 本来の2-Cや間違われた1ーCだけではなく、その間に存在していた3つの学級が彼女の一存によって何の心の準備もさせてもらえないまま一方的に踏み潰されて足裏の瓦礫と一体化してしまった。それだけではなく、教室の中心部を失ったことで隅に逃げていた生徒たちも数フロア下の教室にまでポロポロと零れ落ちていくしかなかったが、彼女の足の甲へと叩きつけられていく少女たちはなだらかな坂を転がり落ちて、擦りあわされている足指の間で文字通りゴミのように磨り潰されてしまう。 『予定より多く潰してしまったので、特別采配として芸術はワーストだけにしておきましょうか。校舎も倒れかかってしまっていますし、ささっと次の項目である”運”のワースト処分といきましょう。』 ☆ ☆ ☆ 『ふぅ。長かった選別試験もいよいよ次が最後の項目になりますね。最後は、伝統ある女子校としてある意味で最も大切なもの…そう、見た目です。』 運がなかったいう理由だけでさきほどの校舎がまるごと遊び半分に踏み躙られ、残るは5項目の最後である見た目、つまりは顔の良さという基準だけになった。大半の企業等において堂々と基準にはしていなくとも、社会においては切っても切り離せないこの要素もまた、優秀な生徒を残すために必要であると理事長は主張する。 『さて、ワーストは…高等部3年A組ですか。大学進学が決まった生徒も多いでしょうが…学院の名を汚してしまう子をそのままにしておくわけにはいきません。』 もはや無茶苦茶な理論を隠そうともしないことよりも、彼女がチェアから降りて四つん這いになったことに多くの生徒は驚いていた。正しく着こなされたスーツの胸元からは同性でさえつい目をやってしまうほど豊満な谷間が覗いていて、学院に向かって接近するたびに両腕に押し出されるようにしてゆっさゆっさと揺れ動きぶつかり合っている。 『教室は…ここですね。場所もちょうど良いですし、18歳にまで成長した身体はさぞ美味でしょう。』 そこからさらに接近したことで学院の大半が彼女の巨体の影に隠れようとしていると、生徒たちはそのまま身体の下で押し潰されてしまいそうな錯覚を覚える。それでも実際には彼女は校舎の端ギリギリ、開けた空間である校庭へと狭そうに両胸を下ろし、器用に校舎を避けるように置いた両腕で上半身を支えながら目的の教室付近へ顔を近付けた。 『さて、窓を開けて…っと。うふ。近くで見るとなんだか美味しそうに見えてきたわね。』 小人の力ではどうにもならない窓を両指で軽くこじ開けると、開いた穴にその妖艶な唇をぴたりとくっ付けた。中に居る少女たちにとっては自分たちの身体よりも遥かに巨大なそれは人間の一部には到底見えず、喋るたびに生暖かい吐息を吐き出しながら内部の白い歯と赤い舌が見え隠れして恐怖心をあおられる。”食べられる”という生物としての根源的恐怖を同じ人間相手に抱くはずもなく、今の理事長は彼女たちにとって対応な存在ではないことを本能も認めてしまっていた。 『それじゃ、いただきます。すぅーーーーー。』 「手を離さないで!!離したら吸い込まれちゃう!!」 「嫌!助けっ…」 舌を伸ばすでも掻き出すでもなく、彼女がとったのは吸い込むという方法だった。それでも、歯ほどの大きさしかない小人の少女たちはその暴風に抗うことはできず、次々と友人たちから切り離されては唇の隙間へと消えていく。 『んふふ♪すぅぅぅぅ…』 「きゃあああ!!」 「食べな、食べないでぇえええっ……」 中には唇に付着して何とか吸い込まれずに耐えていた少女もいたものの、中から這い出てきた巨大な舌がまるで食べカスを舐めとるかのようにぺろりと一舐めしてしまえば、そこには彼女のテラテラと妖しく光る色っぽい唇だけが残される。一人また一人と理事長に吸引されて教室内から吸い出されていき、ついには教師を含めた全員が理事長の口腔内へと誘われることとなった。 『もぐもぐ…うふ。食べ物はよく噛んで食べなさいと教えているでしょう。食べている間に口を開くのはマナー違反だけれど、今回は教育のための例外ですよ?』 わざと口を大きく開きながらグチャグチャと咀嚼音を立て、唾液の海で溺れていた小さな少女たちを舌と歯で噛み潰していくその様子をモニターは全教室へとしっかり届けている。残された彼女たちの大半にとってはそこに居る少女たちは部活やサークル活動において尊敬する高3の先輩たちであり、そんな彼女たちが一人の女性によってまるで食べ物のように咀嚼されていく光景は吐き気を催すには十分だった。 『ふふっ♪ほーら、こんなにぐちゃぐちゃ♪でも、まだ頭の骨とか残ってるわねぇ。』 モニターごしではなく本人から伝わって来る実際の生々しいクチュグチャニチャアという咀嚼音は、例え耳を塞いでいても防ぎきれず、完全に常軌を逸した状況に対して正気を保てなくなった中学生たちが次々と失神していく。直接的に何かをされていない生徒たちでさえ心を蹂躙されるには十分すぎる出来事であり、もはや逃げ出そうという気力や叫び声をあげる体力が残る生徒はほんの一握りだった。 『…ごくん。さて、次は…ふふっ。直接舐め取っちゃうのも良いかもしれないわね?』 ☆ ☆ ☆ その翌日、入学希望者説明会にて。 『我が学院には、文武両道はのみならず、芸術の分野や身なりにも秀でた少女たちが多数在籍しております。この国の未来を創るのは貴女たちです。是非、我が学院の門を叩いてくださいね。』 摩訶不思議なことに、帰らぬ人となってしまった生徒たちや教師陣のことを気に留めるものはどこにもいない。そのため、才色兼備で優秀な卒業生ばかりの排出しているその学院には入学希望者が絶えなかったという。 完