※このお話には残酷な表現は含まれていません。
ただし、今回は新しい試みとして、途中に”実写の写真”が入っておりますので、
気になる方は通常版のほうをご覧ください。
(人によってはグロいと感じるかもしれません)
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ピンポーン。
「はぁい。今出ますぅ。」
インターホンの呼び出しに口頭で答えながらドタドタと廊下を走る女性が一人。
気の早い夏の入り口に差し掛かった33℃の空気に熱された屋内。素足で走る彼女の足元、よく磨かれたフローリングにはクッキリと蒸れた足跡が残されていた。
「こんにちはー。靴のお手入れに…わぁ!?」
彼女が勢いよくドアを開けば、暑そうな作業着を着込み首から名札をぶら下げている作業員の女性が丁寧に頭を下げる。
しかし、挨拶の定型文を最後まで言い終わらないうちに驚いてしまったのは、出迎えたお客様である女性の姿があまりに想定外だったからに他ならない。
「お待ちしてましたぁ。どうぞお入りくださぁい。」
「…お、お邪魔します。」
30代半ばにして女優のような美しい顔立ちにグラビアアイドル顔負けの抜群のスタイル。
それでいて暑さ対策なのか身に纏うのは頼りないゆるゆるのキャミソールとショートパンツのみ。同性であっても目の毒としか言いようがないその魅力的な姿を前にしてプロであるはずの彼女も動揺を隠せない。
「うふふ。やっぱりビックリしちゃいましたかぁ?よく驚かれるんですぅ。デカいなぁって。」
「し、失礼しました…お綺麗ですし、モデルさんなのかなぁ…って、つい見惚れてしまって。」
そして最も驚いた理由は、彼女の身長だった。
193cmという超長身は、目の前に居る平均的な身長と比べて頭1つ分以上も高い。男性相手ならまだしも、女性相手に首を痛くして見上げるという経験はほとんどないだろう。
「ありがとうございますぅ。でも、ただの靴が大好きなOLですよぅ。」
「はい。我が社のサービスをお選び頂ける方ですので、その辺りは承知しておりますよ。」
靴の手入れだけにわざわざ家に人を呼ぶほどのサービスを使用する人はそう多くはない。
だからこそ、プロフェッショナルである作業員たちは、その仕事の質に誇りを持って働いている。
「さて、本日は冬用のロングブーツのお手入れとうかがっておりますが。」
「そうなんですぅ。これ、超お気に入りなんですけどぉ、さすがにそろそろお手入れしないとなぁって。」
「ふむふむ。拝見しますね。」
彼女が靴箱から取り出した黒いスウェード素材のブーツを受け取ると、先端にライトの付いたいわゆる内視鏡側のカメラをその内部へとゆっくり挿し込んでいく。
外側から見れば新品同様の綺麗な状態に保たれていたそれも、その内側はといえば愛着を持って使い続けていたことが簡単にわかるほどの傷みようだった。
「これは…なかなか履きこまれたようですね。」
「超ヘビロテしてましたぁ!春も涼しかったし、ついこの間まで履いてて…サイズがないから特注だし、履きまわしたりするのも大変なんですぅ。」
「なるほど…靴がお好きだと辛いですね…」
これです、とでも言うように持ち上げられた28cm相当の彼女の足を見て、改めてその規格外のサイズに驚く。
何千足という靴を見てきた靴のプロでさえも、そのサイズにあった靴を見たことはほとんどなかった。
「わかりました。外側は相当お綺麗にされておりますので、今回は内側を綺麗にさせていただきますね。」
「ありがとうございますぅ!!」
ロングブーツの、さらにその内部のお手入れともなるとそれなりに難しい作業となる。
ファスナーを足元まで下ろしたとしてもそこから爪先までは狭い空間しかなく、取り外すわけにもいかないシャフトの部分が煩わしい。だからこそ、プロとしてのやりがいがあった。
「では、どこかお部屋をお借りできますでしょうか。繊細な作業になりそうです。」
「あ、それなんですけどぉ…私に良いアイデアがあるんですぅ!」
「…?」
☆ ☆ ☆
「じゅ、準備できました…」
「はぁい。」
頭にハテナマークを浮かべたまま案内されたのは、明らかに彼女の寝室だった。
オンナの甘い香りがより濃く漂うその場所へ一歩踏み入れてから、高まる鼓動をなんとか押さえるのに必死になっている。
回らなくなってしまった頭のまま、なぜか言いつけ通りにブーツを倒れないように固定するとともに、その内部へと内視鏡カメラをセッティングさせられたのだった。
「言った通りにやりましたけど…こ、これでは内部のお手入れが…」
「うふふ。それはだいじょうぶですよぉ。えいっ♪」
「うわ!?」
ベッドに腰かけていた彼女がその長い腕を伸ばしたかと思えば、軽く腰を引っ張りそのまま抱きかかえるようにして倒れ込む。
不意を突かれたことと力の差によって抵抗できず、そのまま2回りも大きな女体に抱き潰されていた。
「お、お客様!?こ、このようなこと、困りますっ!」
「女同士なんですしそんなに気にしなくてもぉ。あれぇ?でも、ドキドキしてくれてますかぁ?」
「そ、そんなことはっ…」
咄嗟に出た否定の言葉も虚しく、今にも外へ零れ落ちてきそうな2つの山がむにゅりと押し付けられると、服越しでもわかるその柔らかな包容力に蕩けてしまいそうだった。
触れてしまえるほどの距離にある美しい顔がゆるく微笑み、瑞々しい唇からは熱い吐息交じりの甘い声が漏れてくる。耐えろというほうが無理だと言う状況に、頭がぼーっとし始めていた。
「ふふっ。効いてきたみたい。ほーら、深呼吸ですよぉ?」
「えっ…うそ、何がどうなって…?」
驚愕に見開かれたその表情のまま、彼女の身体がシュルシュルと小さく縮んでいく。
服も下着も取り残す形で縮みゆく彼女を追いつめるように、圧し掛かったままの巨体は動くどころか圧迫を強める。
「(お、重い…潰されちゃう…!)」
息を止めることで縮小が止まることにいち早く気付いたことが仇になったのか、人形サイズほどで止まった彼女へと巨大な胸がむにゅむにゅと転がすように押し当られる。
自身の数倍もの大きさを誇るそれは、今となっては快感ではなく命を危機をもたらす恐ろしい存在へと変貌していた。
『あれぇ?息止めてますぅ?』
「…っ!」
『うーん、小さくならないと潰れちゃうかもしれないですよぉ?』
「ッ!!」
あくまでこれまで同じ冷静なトーンでそう言ってのける内容にはあまりにも現実味がありすぎた。
仕方なく口を開き大きく深呼吸してみると、彼女の濃厚な香りが体内を侵食するように駆け巡り、脳を蕩けさせるとともに身体をみるみるうちに小さくしていく。
『うふふ。小さくなっちゃうともぉーっと潰れやすくなると思いませんかぁ?』
「!!!」
当たり前といえば当たり前の事実を突きつけられて思わず息を止めるも、もはや縮小化が止まる気配はない。
そうして涙を流しながら自身のブラの内側を見上げていた彼女は、突然侵入してきた巨大な何かに摘まみ出される。
『なーんて、冗談ですぅ。怖がらせてごめんなさぁい。』
人間の100分の1サイズ、1.6cm程度に縮んでしまった全裸の女性を指先で丁寧に摘まみながらそう笑いかける。
非現実的な事象に遭遇しているにも関わらず、目の前に存在するビルよりも大きく美しい顔を前にして自身の置かれた状況を受け入れるしかなかった。
「ど、どうしてこんなことを…」
『えーっと。ブーツのお手入れをして欲しいんですけどぉ…』
「そ、それとこれがどう繋がって…!」
『お気に入りだからシャフトのトコが傷んじゃうのも嫌だしぃ、中も爪先の所までちゃーんと綺麗にして欲しいのでぇ。』
「…え、ま、まさか…?」
ニコリと妖艶に微笑む絶世の美女から目を逸らしてみれば、これから挑むことになった巨大な洞窟が口を開けて待っていた。
☆ ☆ ☆
『はい。必要なものを縮めましたぁ。生き物以外なら簡単に出来るんですけどねぇ。』
「…ありがとうございます。これでなんとかいけそうです…」
『よろしくおねがいしまぁす♪』
命綱代わりの裁縫糸を括り付け、ベッドの上から床に立てられたブーツの白い内側を覗き込む。
高層ビルから見下ろしたかのような遥か下には薄明かりに照らされた靴の底、摩擦でほとんど消えかかっているブランドロゴが見えている。
「ゆっくりお願いしますね!?」
『だいじょうぶですよぉ。いきますねぇ。』
「ひゃ、わわっ!?」
見た目にはゆっくり持ち上げられたその糸の先では、爪ほどしかない小人の女性がぶらりぶらりと揺れ動く。
振り飛ばされてしまうんじゃないかという恐怖と戦っている間にも少しずつ高度が下げられていき、右足用のブーツの中へと吸い込まれていった。
「うぅ…これがブーツの中だなんて…虫にでもなった気分…」
自分の住むマンションよりも背の高い筒の中は所々裏面の皮が剝がれかけていた。そこを下ろされていく彼女が真上を見上げてみれば、徐々に小さくなる円の中に収まりきらない美しい顔が覗いている。
靴の中から人間を見上げているという光景に自分が小人である現実を突きつけられてしまい、心が折れそうになってしまう。
「それにしてもこの匂い…彼女には管理の仕方を教えてあげないとかも…」
徐々に外界とは違う異なる空気が濃くなっていき、息を吸いこむたびに濃厚な匂いが肺の中一杯に広がっていく。
革製品特有の臭いには慣れている彼女にとっても、そこに混ざり合う足汗や皮脂といったいわゆる足の匂いは強烈で、小さくなったからなのかより鋭敏に感じ取ってしまう。
『はぁい、着きましたぁ。2時間経ったら引き上げますねぇ。』
「了解でーす!…って聞こえないだろうけど…」
”地面”へと降り立った彼女は腰に付けていた糸を外すと、すぐ傍に並べられている道具一式のほうへと歩いて行く。
9cmというそこそこ高いヒールの上にあるその場所は、少しでも気を緩めれば爪先へと転がり落ちてしまいそうなほどの急勾配だった。
「さっきは見えなかったけど下だけじゃなくて横も上もボロボロ…よっぽどお気に入りなのね。」
自身も靴が好きな彼女にとって、サイズがゆえに普通の人間のようには靴を楽しめないであろう彼女の心を想えば同情心が芽生えてくる。
同じ靴をずっと履き続けていくことを望む彼女のためにも、小さな身体を活かして普段よりも綺麗にしてやろうという気持ちになっていた。
「頑張るのはいいけど…爪先が遠いよー…」
今居る場所からつま先までの道のり、つまり9mもの高低差がある25mとは、学校で言えば3階下の3つ隣の教室まで行くようなもの。
それが、ただのブーツの中を下るだけ、女性の足の踵から爪先まででしかないということに、自らの小ささを改めて思い知らされる。
「ん、しょっ……うぅ…下りるのはいいけど帰りは大変そうだ…」
革張りの急勾配を半ば滑るように下りながら、爪先へと移動していく。
入り口からの光が遠くなる半面、ライトが照らす光が強くなっていき、普通の手入れではなかなか手の届きづらい先端部分の様子が明らかとなる。
「これは…このサイズで見るとなかなかだね…」
これまでに何千何万と踏みしめられてきたことで、元々は白かったはずの生地は途中から赤みがかった薄茶色へと変色している。
所々には紛れ込んだ挙げ句に踏み潰されてきたであろうゴミが幾つもへばり付いていて、それこそが冬に女性の美しい脚を彩るブーツの裏の顔に他ならなかった。
「ケホッゴホッ!!やっぱり、ここまで来ると、かなり匂いが…それに、歩き辛い…」
これまでに多量の足汗が染み込みぎゅっぎゅと踏みしめられたことで、変色した部分は柔らかくなっている。
100分の1サイズの小人の重み程度では凹みすらしないそこは小人でないとわからないほど凸凹に歪んでいて、荷物を持ちゴミを避けながら進むにはなかなか厳しい場所だった。
「ふぅ…やっと指先の部分まで来た、けど……やっぱり虫になった気分になるなぁ…」
左側前方に広がる、これまでより数倍は濃くなっている楕円形。
彼女の部屋よりも広いそれは親指が作り出したシミに他ならず、横に並ぶ少し薄めの楕円形群まで含めるといよいよ自分が足にまとわりつく虫のように思えてしまう。
「ブーツを素足履きしてるとこうなっちゃうんだ…普段はここまで見えないし、恥ずかしいような複雑な気分だよ…」
同じように真っ黒に近いほど変色している側面には、目を凝らしてみれば皮脂の後が残っている。
一転して真っ白になっている足指より先の爪先部分との対比が、これまで履かれてきた長い日々を物語っているようだった。
『わぁ!見えました!爪先まで着いたんですね~おめでとうございまぁす!』
「…ビックリした…」
ようやく作業に取り掛かかろうと準備し始めたとき、内視鏡カメラを通して状況を確認したのか大きな声が反響する。
手元の時計を確認すれば既に10分近くが経過していて、ブーツの爪先にまで行くだけでこれだけかかってしまう自分を情けなく感じていた。
「頑張りますよーっと。さて、この黒いのを引っぺがす所からかな…」
眩しいライトを片手で遮りながら反対の手を強く突き上げておく。
ようやく始まった靴掃除は、親指の跡に残る顔より大きなゴミを引き剥がすことから始まるのだった。
☆ ☆ ☆
「はぁっ…これ、思ったより、キツい…」
作業を始めてからおよそ1時間。
掃除そのものは意外とスムーズに進んでゴミ袋3個分ほどのゴミと皮脂汚れを集め、見える範囲は綺麗になりつつあった。
「やっぱ、酸素が、薄い気がする…よ…はぁ…」
ファスナーをあげたままのロングブーツの内部は、いかに立てかけているとはいえロクに換気されるはずもない。
元々が新鮮な空気というわけでもないこの場所ではたとえ小人といえども酸素が足りなくなってきていた。
「うぅ…あの人、まだ、戻らないのかなぁ…一人に、しないでよっ…」
思い出したかのように『少し席を外しますね』なんて言って、ズシンズシンという足音を響かせながら遠ざかっていったのはほんの数分前の出来事。
スマホを返してもらえておらず、今自分が小人であることを知っているのが彼女一人である以上、目を離されるのは恐怖以外の何ものでもない。
「…いいや、考え方を変えよう。見られてないなら、少し休憩させてもらって…って、言ってたら足音が。」
もたれかかれそうな壁を探そうかと思った瞬間、出て行ったときと同じように地面を揺らすような轟音が近づいてくる。
しかし、そのペースが先ほどよりうんと速く、音も小さいことに小人が気付けるはずもなかった。
『おかーさーん。ただいまー。って、あれ、居ない?』
「…えっ?お客様…じゃない!?」
彼女からは声しか聞こえないその存在、部屋へと入ってきたのは、夏服ブレザーの胸元を暑そうにはだけさせている一人の女子高生だった。
事情を知らない巨人が現れたことに、先ほどまで考えていた恐怖がいよいよ現実感を持って心臓を打ち鳴らし始める。
『ん?おかーさんってば、またこんな場所にブーツ持ってきちゃって。ホント好きだなぁこれ。』
「わ、ちょ!?私がここに居るの!お願い気付いてっ!?」
よりにもよってブーツに興味を持った彼女に対して、何もしないことではなく自分に気付いてもらうことを狙ってカメラに向かって猛アピールを始めた。
しかし、そこにガッシリと据え付けてあったそのカメラは彼女からググっと遠ざかると、爪先は一瞬にして真っ暗闇に覆われる。
『なんだこれ、ライト?おかーさんのやることはよくわかんないなぁ。』
「そ、そんな…」
気付いてもらう唯一の手段が奪われると同時に、まるでついでのように引っかかった命綱までもがあっけなく靴の外へと消えていく。
続いて聞こえたスプリングが軋む音とベッドに腰かける声は、この先に起こりそうな事態を簡単に想像させる。
『んしょっ…と。いっかい履いてみたかったんだよね~。こーゆーオトナっぽいブーツ。』
「う、嘘でしょ…やめ、やめてぇ!!」
彼女の精一杯の悲鳴がブーツの中だけで虚しくこだまするなか、反対側のブーツからはファスナーが下ろされる音が聞こえてくる。
その後には布擦れの音と皮製品と肌が擦りあわされる独特の音が聞こえてきて、左足用のブーツが履かれたことを理解してしまう。
『あはは。おかーさん用の、素足だとやっぱりブカブカだぁ。爪先スカスカだし歩けないかも。』
「…!そ、そうだ…爪先に逃げればっ…!」
平均よりは高い170cmオーバーの彼女は足のサイズも母親には及ばず、若く眩しい素足をそこへ入れてみれば踵か爪先のどちらかが大きく余ってしまう。
中に居る小人が潰されずに生き残る道は、届かないほど先まで逃れる以外になかった。
『まいいや。こっちも履いてみよ。よっ…』
「き、来た…なんて大きな足…お願い、ここまで届かないで…!!」
左足と同じようにファスナーを下ろし、部活帰りのために汗で蒸れたままの右足をそのままブーツへ入れていく。
代謝の早い足からモクモクと湯気がのぼるのを祈りながら見ていたはずが、その足が途中で止まったかと思えば巨大な両手の親指が入り込んできてブーツの両側が掴まれる。
『やっぱ大きいなぁ。』
「…って、嘘、待って、やめてっ!!」
その行為は、ブーツを履くために整えるためだけの簡単かつ無意識のようなものだった。
巨人に持ち上げられたことで地面が急激に踵に向かって傾いていき、無力な小人はなすすべもなく足指のほうへと転がり落ちていく。
「はうっ!!い、痛ぁい…せ、せめて、踏み潰されちゃわないよう、足指の間に避難を…」
小指よりも小さな彼女は、目の前に聳え立つ巨大な親指に恐怖しながらもなんとか人差し指との間に出来た狭い空間に潜り込む。
そこからは未だに足汗がジクジクと染み出してきていて強烈な匂いになっているものの、怪物のような足指と汚い床との間で磨り潰されることを思えば何倍もマシだった。
『ん、意外といけそうかも?』
「きゃあああ!!グルグルするぅ~~!!」
両足を履き終えた彼女が右足を持ち上げてコツコツと床を叩くと、小人にとっては数m単位で前後左右に揺さぶられることを意味する。
それでも、足指や足裏がぎゅっぎゅと踏みしめるような音を立てるたび、万が一にもそこに巻き込まれ赤いシミの仲間になることを避けるためにも、足指の間という安全地帯から出るわけにはいかなかった。
『ん、んっ…なんかくすぐったい…虫でも入ってたのかな?』
「(つ、潰されちゃう…)」
小人の動きを感じ取った足指がむず痒そうにしながら底へとしきりに擦り付けていた。
その間に居たことでなんとか潰されずに済んだものの、グリグリと動き回る足指に翻弄されて全身をひどく打ち付ける。
『虫ならこのまま潰しちゃおっかな~。別に私のじゃないし。元々汚いしわかんないでしょ。』
「(ま、待って…おねが…い…)」
ついには居場所がバレてしまったのか、器用に傾けられた拍子に持ち上がった親指の下に転がされてしまい、その上からズシンと巨大な指の裏に圧し掛かられる。
自分自身の何倍もあるそれをどけようと精一杯もがくものの、ビクともしないまま徐々に意識が薄れていった。
『ふふっ。ばいばいっ。』
[newpage]
「死ぬかと思いましたよ!!」
「ふふっ。ごめーん♪」
ベッドで目覚めた"元小人"を覗き込んでいた、美女と美少女の顔。
母娘というよりも姉妹のような2人の顔を見て、彼女は自分が死んだわけではないことを遅れて理解した。
「…いえ、そもそもは、私を縮めて、その上置いてったお母さんが悪いので、娘さんのせいでは…」
「だってさ、おかーさん?」
「ごめんなさぁい。」
気を失った後のことはよくわからないけど、ひとまずは生きていて良かったとだけ。
ただの靴のお手入れのはずがどうしてこんな目に…と考えるものの、今は難しいことは考えられなかった。
「でも、虫だと思っても潰さない方がいいですよ?後始末が大変なんです。」
「あはは。あれねー、私だって虫だと思ってたらやんないよ?」
「…え?」
「実は知ってたんだよ。カメラ抜く前に小人さんの姿見えてたもん。」
「………えええええええええ!!」
無邪気そうに笑う美少女が何でもないようにそう言ってのけ、ホッとするやら腹立たしいやら複雑な気分になる。
知っててあんなことをしたのかと思うべきなのか、知ってたからこそ死なずに済んだのだと思うべきなのかは難しいところだった。
「…はぁ。それなら、もういいです。死なないようにしてくれたってことですもんね。」
「え?ううん、死んだら死んだでいっかなって思ってたよ。」
その言葉に愕然としながらも、キョトンと傾げられる小首に、思わず許してしまいそうになる。
自分自身が美少女と美女に弱いという嫌な事実に気付いてしまった彼女は、『反対側もお願いしますね』という言葉に対して首を縦に振るしかないのだった。
完