【3,515字】小人園
Added 2022-07-24 15:00:00 +0000 UTC※このお話には残酷な表現が含まれています。 [newpage] 「はぁ~、可愛かったぁ!ウチでも飼えればなぁ…」 「まだ学生なんだしそんなお金ないでしょ。今は観るだけで我慢しなさい。」 「ちぇー。」 腕を組み指を絡ませ合いながら、ピタリとゼロ距離でくっつきながら歩く2人の少女たち。 背の高い少女がぷくーと膨れているのをやれやれと見上げながらも、その頬を指先でツンツン突く少女もまた嬉しそうにしている。 どこから見ても仲睦まじいカップルである彼女たちは、数日ぶりの週末デートを楽しんでいた。 「そろそろかな…」 「ん?どうかした?」 「いや、なんでも。それよりほら、次は学生街だって。私たちみたいな子もいっぱい居るんじゃない?」 「あ、ホントだー!早くいこいこっ!」 「コラっ!今日は高いヒール履いてるんだから、走ったらコケるわよ!」 「えへへー。腕組んでるから平気だもーん!」 「…もう。」 先行して駆け出す彼女に手を引かれ、弾かれるように走り出す少女。 体格差がゆえか、はたまた同じく踊る心がゆえか、その足取りはとても軽やかだった。 「わ、凄い!これまでで一番おっきいねー!」 「ホントね…ああ、ここの小人ちゃんは元のより大きくしてあるみたいね。だからそれに合わせて街も大きいんじゃない?」 「なるほどー!表情まで見えちゃうかなっ!?」 そう言って、目の前のアクリル板の向こう側に広がる、彼女たちの100分の1スケールで作られた街並みに、キラキラした瞳を向ける。 中に居る展示物…小人の少女たちは、自分たちを見下ろす新たな存在を今さら気にも留めず、彼女たち自身の日常を送っていた。 「…どう?見えた?」 「うーん、やっぱりまだ小っちゃくてそのままじゃ無理かも。でもでもっ!ほら、あそこ見てよ!」 「ん-……ああ、あの子たち?めっちゃくっ付いてるね。」 「だよねだよねっ!!カップルかなー!?やぁん、可愛いぃ~♪」 「ふふっ。こんなに喜ばれたら小人ちゃんたちも見られ甲斐があるわね。」 女子高生たちの間で人気のデートスポットであるここ”小人園”を、とりわけ気に入っているのが彼女だった。 入念な下調べのすえ連れて来た彼女は隣でホッと一息つきながらも、先ほどからチラチラと時計を確認している。 「今はちょうど学校帰りの時間帯なのかな?一緒に帰りながら寄り道してる子たちとか、あっちの学校ではグラウンドで部活してる!楽しそう~!」 「そうね。」 「はぁ。この子たちはバイトとかしなくても毎日美味しいエサを好きなだけもらえるんだもんね。良いなぁ。」 「えぇ…私は小人とか絶対にやだけど…」 「じゃあじゃあ、あたしに飼われるのでも?」 「あんたはエサやりとか忘れそうだからもっとやだ。ていうか、どっちかと言えば私が飼い主でしょ。」 「むぅ。夜はあたしのペットになるくせに。」 「バッ…!外でそんな話っ…!」 カンカンカーン。 彼女が顔を若干赤らめながら反論しようとした直後、あたりに鐘の音が鳴り響く。 それが待ちに待っていたショーの時間であることを思い出した彼女は、気持ちを切り替えて恋人をエスコートし始めた。 「な、なに、どうしたの?」 「いいから。これから人気のショーが始まるらしいわよ。」 「へぇー!どんなのだろー!!」 彼女が再びアクリル板の向こうにキラキラした瞳を向けると同時に、『清掃タイムに入ります』というアナウンスが流れる。 すると、ミニチュアの街並み内にあるすべての建物の扉や窓に対して、街並みを囲うものと同じようなアクリル板が現れた。 「あれれ?小人ちゃんたち、お家に入れなくなっちゃった?」 「そうみたいね。あ、来たわよ。」 「来たって誰が……清掃の、おばさん…?」 ポカンとした表情で見上げた彼女の視線の先には、スタッフ専用扉を抜けてミニチュア街へと入ってきた数名の女性の姿があった。 少女たちの母親と同年代と思しき、スタッフ用ユニフォームを身に纏い素足状態の彼女たちは、各々が手に布巾や掃除機を持っている。 「え、え、お掃除って閉館後にやるんじゃないの?」 「普通はそう思うわよね。でも、ここじゃ清掃もショーの一環なんですって。ま、経費節減なんでしょうけど。」 「で、でもっ!小人ちゃん、たち…が…」 当然ながら、茫然とする少女のことなど意に介することなく、職務に熱心な清掃員おばさんたちはミニチュア街の清掃を始める。 申し訳程度に広がっている小人用道路に窮屈そうに下ろされていく素足は、そこを必死に逃げ惑っている小人のことなど気にしていないようだった。 「あ、あっ…踏んだら、死んじゃうのに…」 「そうよねぇ?さっきまでイチャイチャしてたさっきの子たちも、ほら。あのおばさんの足が次下りてきたら…はい、ぐちゃっ。」 「や、やだっ…どうして!?なんでこんなこと…」 彼女と同じ気持ちであろう、小人の少女たちもまた泣き喚きながら生き延びようと必死に足掻いていた。 それでも、どの建物も出入口が封鎖されていて入れないため、おばさんたちの素足で踏み潰されてシミへと変わり、布巾でホコリと一緒に拭き取られていく。 そんな凄惨なシーンに耐えられなくなった少女が身体を反転させようとすると、恋人である少女が背後からぎゅっと抱きしめて離さない。 「だーめ。ちゃんと観なさい。こういうショーなんだから。」 「どうして、どうしてこんなイジワルするのっ!」 「…あんたがだ~い好きな小人ちゃんたちに、ヤキモチ妬いたから、かな?」 「なにそれ…そんなの、可愛すぎて怒れないじゃん…」 「ふふっ。ありがと。」 ベッタリとくっ付いた少女たちが一瞬で仲直りして見下ろすなか、おばさんたちの清掃はテンポよく進んで行く。 おばさんの素足が入らないような細い路地に逃げ込んだ少女たちも、その頭上を掃除機が唸りを上げながら通り過ぎれば一人も残っていなかった。 「…おばさんたち、けっこう容赦ないね。小人ちゃんあんなに可愛いのに。」 「ん-、溜まってるホコリと同程度って認識なのかもね。所詮は替えが利く展示物でしかないわけだし。」 「完全にゴミ扱いかぁ。」 「一応、知性があることもちゃんと利用してるみたいよ?ほら、これに繋いだら小人ちゃんたちの音声も聞けちゃうらしいし。」 「えぇ…それは流石に悪趣味なような…気になるけど。」 「素直でよろしい。んじゃちょっとだけ小さい音量で聴いてみよっか。」 小さくコクンと頷いた彼女とイヤホンを分け合うと、顔を寄せ合って音声配信サービスに耳を傾ける。 そこから流れてくる音声は、彼女たちと同年代の少女たちが経験するにはあまりにも非情な現実を突きつけてきた。 『や、やだっ…こっち来ないで…!』 『ダメ!あっちからもおばさんが!!先輩たちみんな踏み潰されちゃった!!』 『もっと速く走って!!』 『無理だよ!!歩幅が違いすぎる!!』 『どうして開かないの!?入れて!入れてよぉ!!』 『お願い!助けーーー』 『今よ!足元をくぐって!』 『あのおばさんは摺り足で来るから無理だよお!!』 『きゃあああ!!』 『あっちから掃除機が来る!!みんな手を繋いで!!』 『ウィーーーーーン!!!』 『いやぁぁぁぁぁ…!!』 10代半ばの体力に自信があった少女たちも、圧倒的な巨体を誇るおばさんたちの前ではあまりにも無力だった。 100人以上をまとめて踏み潰せてしまうような巨大な素足が道路を埋め尽くすように踏み下ろされ、逃げることを許さないとばかりにその上を擦り付けていく足裏が彼女たちをシミへと変えていく。 一人につき数百を超える小人の命を奪い去っていくおばさんたちは、自らのその行為になんの感慨もなく、ただ淡々と余りにもあっけない殺戮をこなしていくのだった。 「…もう、十分かな。」 「ん、そだね。これでもまだ、小人ちゃんが羨ましい?」 「……ううん。あたしは人間で良かった。こうやって邪魔されずにぎゅっとしたいから。」 「ん。」 2人の少女は互いの温もりを分かち合うかのように、さらにむぎゅっと密着する。 その脳内には、彼女たちと同じように生きていながらも、巨大なおばさんたちによって理不尽に命を奪われていく少女たちへと想いが共有されているのだった。 完
Comments
詳細なご感想ありがとうございます。 遅くなってごめんなさい! これからも色んなシチュエーションを書いていきたいと思いますっ
もんてすきゅー
2022-09-17 16:40:05 +0000 UTC恋人が小人に夢中で焼き餅焼いちゃったんですね~。可愛い♪ わざわざ逃げ道を塞いだ上での掃除という名の殺戮ショー! 小人たちにもその後の人生があったはずなのに無造作にあっけなく摘み取られて心が抉られます~♪ 仲良く寄り添う小人の百合カップルたちが為す術もなく蹂躙されてしまうのは堪えますね~♪ 残虐な殺人行為から目を逸らすことすら許さず注視させるとか恋人ちゃんかなりのドSですよね♪ 光景のみならず凄惨な音声まできっちり聞かせる鬼畜っぷり! 小人に憎しみじみた感情抱いてるならいっそ直接蹂躙してほしかった気持ちもありますね~。 小人百合カップルを好き放題玩具にして弄び虐殺する残虐な巨大百合カップルの話とか拝んでみたいです。 ノリノリの二人が夜の営みに使ったり踏み躙ったり、及び腰の恋人に無理矢理蹂躙させたり。 愛しい人に残虐な光景を見せ付けるドSな恋人ちゃんを見てついつい妄想が捗ってしまいましたw
穂村
2022-07-25 18:19:52 +0000 UTC