今度の新刊の漫画の元は
「3P程度のSSに挿絵をつけたものを1セットとして、それを数セット収録した本」を作ろうと考えていたときの1編でした。
折角支援していただいてるのに目新しいものを出せないのは申し訳ないので、今回はそのSSを載せてみます。
(添付ラフ絵はSSの挿絵として考えていたもの)
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チキの見る夢
「あれ?ここはどこだろう?」
気がつくと、いつの間にか目の前には遠くまで見渡せるような平野が広がっていた。
地面は僅かな起伏があるだけでほとんど平坦で、その大部分に小さな灰色の物体が敷き詰められている。
それらを可愛らしい靴の下に踏み敷きながら、緑色の髪をポニーテールに纏めた少女――チキは立っていた。
チキにはこの風景に見覚えがあった。
「これはあの夢…だよね?チキ、またいねむりしちゃったのかなぁ…」
近頃たまに見る夢だった。途方もない大きさになって異界にいる夢。
地面に敷き詰められた灰色の物体はそれを圧し潰して鎮座している靴に比べるとあまりにも小さいが、それでも砂粒サイズ以下の異界の人々からすれば見上げる程の高層建築なのだ。
あのお家、以前異界に普通に召喚された時に聞いた名前は…確か「びる」だったっけ。そんなことを考えながらチキはどんな風に「遊ぼう」か考えていた。
『せっかく現実では有り得ない状況にいるのだから遊んじゃおう』
何度か同じ夢を見た彼女はそんな結論を出し、以来この夢を見たときは思い思いの方法で「遊んで」いた。
何故か夢で「遊んだ」後は目覚めた後もスッキリ爽快、疲れも取れている気がする。かつて悪夢に悩まされていたこともあり、チキはこの夢が好きだった。
「えっと、今日はくんれんしてたんだっけ。それでつかれて寝ちゃったのかな?そういえば身体が重い気がするかも…とりあえず、お靴脱いじゃおうかな」
リボン飾りがついたピンク色のパンプス。普通の大きさならば女の子らしく非常に可愛らしいその靴も、異界のどの建造物よりも大きなサイズともなると地上に異様な圧迫感をもたらしていた。
その途方もないサイズの靴から、それを履きこなす少女の素足がゆっくりと姿を現す。戦闘訓練で走り回っていたためか、汗ばんでしっとりとした血色の良い健康的な足裏。
それは瑞々しい果実のようで、愛らしい少女の外見と相まってそれまで逃げ惑っていた人々も一瞬見惚れてしまう。
やがて、少女の甘いフェロモンを纏いながらゆっくりと迫りくる広大な足裏を見て我に返るも、人々の逃げ場はどこにも残されていなかった。
「ひゃうっ…くすぐったぁい」
大地が割れるような破砕音、轟音。阿鼻叫喚の悲鳴、怒号。そしてそれとは真逆の少女の甘い声。それらが交ざりあう中降ろされた柔らかな素足は、そこに存在したものを全て粉砕、圧縮しながら地中深くに埋め込んでしまう。
「んっ…やっぱりきもちいいなぁ。チキ、このかんしょくだいすき!」
感触を楽しむように、あるいは貪るように、チキは踏み降ろした足をぐりぐりと動かし、かろうじて無事だった周囲の街区をそこにいた人々ごと足の下に呑み込んでいく。
やがて足が退けられたとき、そこには少女の汗が染み込んだ更地と元が何であったか分からないくらい粉砕された瓦礫が残るばかりであった。
「よーし!まだまだいっぱい踏んじゃうからね!」
いつの間にかもう片方の靴も脱いだチキは、両足でぺたぺたと街を踏み潰していく。一歩ごとに大地には広大な足形の更地が生まれ、そこに在ったものは消失していった。
ひとつの街をぺちゃんこにしたくらいではチキの「お遊び」は止まらない。隣街でもチキからすれば数歩の距離だ。次々と街がそこにいた住人ごと足裏に呑まれ、足指に咀嚼されていった。
「がおーっ!えへへ、早く逃げないとチキがやっつけちゃうよ?」
瓦礫と汗にまみれ汚れた足裏をまだ無事な街に翳し、そこにいるであろう人々に見せつけながら明るく笑うチキ。
無論、普段の彼女であればこのような残酷な事はしないのだが、夢であるという開放感が少女を大怪獣に仕立て上げていた。
くしゃくしゃして、やわらかくて、裸足で踏むとくすぐったくて気持ち良い。
こびとさんの街にチキのおっきな足跡を残すとなんだかどきどきする。そんな瑣末な理由で住民達は街ごと少女の壮大な足裏マッサージに巻き込まれていった。
「ふぅー、ちょっとつかれちゃった」
近くにあるものから夢中で二桁以上の街を踏み滅ぼした辺りでようやく落ち着いたチキ。近くにまだ手をつけていない大きめの街を見つけると、中心部に踏み入り腰を下ろしていく。
お尻の下で街が潰れるのがくすぐったいのか、無邪気な笑みをこぼしながら一息ついた。
遠くで破壊劇を繰り広げていた少女が驚異的な速度で接近してきて、あっという間に休息所にされてしまった都市の住民は気が気でない。これ以上何事も無いまま少女が立ち去ってくれることを祈っているが、無論そうは行かない。
少女が脱いでから手に持ったままだった靴を置こうとしたとき、ふと、街と靴とを見比べて何かを思いついたような悪戯っぽい笑みを浮かべたのだ。そして、靴を横向きにするとおもむろに履き口部分で地殻ごと街を削り取り始めた。
「わーっ、こうすると街ごとチキのお靴のなかに入っちゃうんだ!面白ーい!」
地殻ごと靴の中に入れられた為、街にはまだ多数の生存者が居たものの、そこは外とは違った危険に溢れていた。チキが普段から素足履きしていて、先程脱がれたばかりのそこはまだ少女の体温と汗のニオイ、甘い少女のフェロモンが濃密に渦巻く魔境。
逃れようにも街区よりも広大な靴内に逃げ場など無く、人々は一人、また一人と倒れ伏していった。
「えへへ、座ってたって踏んづけちゃうよ?ほーら、怪獣だぞー!がおーっ!」
そんな惨状はつゆ知らず、チキは座りながらもぺたりぺたりと街を踏み潰したり、降ろした足を摺り動かして足裏でたくさんのものが粉砕される感触を楽しんだりと、相変わらず気ままに無邪気に破壊を繰り広げていく。
誰にも気兼ねすることなく、誰にも邪魔されず、誰にも咎められない、チキだけの楽しい遊び場。だってチキの見ている夢なのだから。
これからも、チキはこの夢を見るたび楽しんでいくことだろう。
――時々寝起きのチキの足の裏や身体の所々が汚れている事は、誰も知らない。
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拙い文でしたがいかがでしょうか。
感想や、漫画にする際に「こういうシチュが欲しい」というのがあればコメント下さい。
(ティンときたら採用するかも…?)
蒼凪イバネ
2018-06-11 15:42:57 +0000 UTC