《前編》逆ナンで引っ掛けた童貞陰キャくんを筆下ろしで釣って男のプライドぐちゃぐちゃにした挙句、マゾに堕とす動画を鍵垢配信するこの人は一体、何草はづきさんなんだ……?《1.5万字》
Added 2023-01-31 15:10:14 +0000 UTC「みなさんこんばんは~。今月もご支援ありがとうございま~す。それからたくさんのコメントいつも読ませてもらってます~」 手元にあるノートPCで動画撮影が始まったことを確認した七草はづきは、録画中のビデオカメラに向かって小さく手を振ってみせた。身バレ防止のために口元をマスクで覆っていても、動画をアップロードするといつもコメント欄は『今日も顔がいい……』『主さんお綺麗です』といった彼女の外見をほめそやす文字に溢れかえる。 他人から好意的な言葉の数々を大量に浴びせられ、はづきはむず痒い感情を抱く。これが同性からの賛辞であれば慎重に扱わなければならないが、配信サイトからのフィードバックデータを鑑みるかぎり、この有料チャンネルを登録している支援者はその殆どが男性だ。そして男性は女性とは比較にならないほど顕著に、異性への外見的魅力に性欲を結び付ける本能的気質があることもまた、十分に理解している。だから、男性からの褒め言葉の返答に相応しいのは『え~❤ そんなことないですよ~❤』などと体裁上は否定してみせる、社交辞令の猫撫で声ではない。 「えーっと、じゃあ本編始まる前にちょっとだけ。……嬉しい気持ちのおすそ分け、しちゃいますね~❤」 カッターシャツのボタンを上から四つ外し、ずいっ、と前屈みになる。動画内では事務員服をきっちり着用しているため、視聴者諸兄にとってはづきは物腰は柔らかだが、ガードの硬そうな印象が強いだろう。そんな女が男性視聴者のために、胸元をくつろげる。 「今日は可愛いのつけてるんですよー❤」 中に着込んだ透けブラ防止の黒キャミソールに指をひっかけて下に引くと、ぎゅうぎゅうに押し込められて縦長一本線をなす豊満な谷間があらわになった。シャツは丈とウエストで選ぶのが基本だが、はづきの場合は適正サイズの中でゆったりめのものを選んでも胸周りの窮屈さが目立ってしまう。おかげで乳テントを形成するシャツの胸部ボタンは真横への引っ張り皴ができている状態。その拘束を解かれた今、薄桃色の花柄ブラジャーごと、日焼け痕のない真っ白なGカップがたぱたぱと揺れる。 まるで昼間は何処かの事務所で経理を担当していそうな装いでありながら、着衣の下におおよそ片手では鷲掴みしきれないほどの巨乳を隠していること。身体の見せびらかしが男たちへのサービスになる、と自分の価値を正しく認識していること。そうした強かな振る舞いが、画面の前の男たちを惹きつける。 今まさに撮影中のはづきは知る由もないが、本編のフィニッシュシーンに次いでここの『長い谷間を見せびらかしながらの頬染めにこにこ笑顔』も、ファンユーザーたちの一時停止率が高い。 その原因は容姿の良い女の自己肯定感の高さが垣間見えるから、という理由のほかにもうひとつ。先にも少し触れた、彼女がカメラの前では滅多に衣服をくつろげず、生肌を晒さないでいることも大きい。首を傾げたくもなろう。これだけ容姿に恵まれた女が顔面も肢体もことさら見せびらかすことなく、この成人向け有料個人チャンネルはいったいどんな手法で数多のファンを獲得しているのか、と。 男ウケする愛らしい顔立ちも、ぱっつぱつに胸元を膨らませている巨乳も、細っ濃いくびれも、衆目にはほとんど晒さない成人向け動画とはいったい――。 はづき曰く、このチャンネルの主役は彼女ではない。 つまり、売り物は彼女の身体ではない。 それを裏付けるようにサービスタイムはものの十数秒で呆気なく終わり。もったいつけるそぶりもなく、ボタンが留め直されて豊満な生乳は隠されてしまう。着衣が乱れたまま、はづきが本編に入ったことはない。それは暴走や勘違いを招かないための、彼女なりの配慮なのだ。画面外の準備も済んだことを確認したはづきは、カメラから視線を外し、『もういいですよ~❤』と手招きをしてみせた。チャンネルの出演者は彼女のほかにもうひとり、男性が出演する。友達でも、ましてや彼氏でもない。はづき自身、ついさっき出会ったばかりの初対面の男。 今日、促されるままおずおずと画面無いに映りこんだのは、一人の成人男性。上背こそはづきを追い抜いているものの、肉付きは少し痩せ気味。色白な肌も併せると、男らしい逞しさなどは感じられない。典型的なインドアタイプの青年だ。 おずおずとして頼りなさそう、そんな印象を抱かせる男が生まれたままの姿で現れた。真っ黒な目元隠し以外には一切の衣服を身につけていない。 「さっき、同人ショップのアダルトコーナーで出会ったKくんです~❤ お姉さんに優しくリードされる系の同人誌ばかりを手に取っていたので、気になって声をかけちゃいました❤」 隣に全裸の成人男性が腰かけたことを全く意に介さず、はづきは彼と出会った経緯を視聴者に語る。人好きする笑顔を浮かべながら、淡々と淀みなく。まるで購入品のレビュー動画を録るような気安さで。 むしろ恥ずかしがっているのはKくんと呼ばれた男性の方だ。慣れた様子のはづきに圧倒され、時折求められる同意に『うぅ…❤ ぁっ、はい……❤』と蚊の鳴くような声で応じ、膝の上で両手の指を忙しなく動かし続けている。その所在なさははづきと対照的で、自己肯定感の低さや自信のなさが透けている。 一目見ればわかる、彼は自分から女性に前のめりになれるタイプではない。ましてやこういうベッドのある部屋で女性とふたりきりになった経験には縁がなかった類の男だ。それがオタクショップではづきのような美人に突然声をかけられ、あれよあれよと人生初のラブホテルに連れ込まれてしまったらしい。まだ現実を飲み込めきれていないと顔にかいてある。 しかし、身体のほうは実に正直で、生まれて初めて異性とラブホテルにいる現実を正しく理解している。手遊びの影で隠そうとしていても、股座の逸物は膨らみきってしまっていた。逆に言えばその臨戦態勢の肉竿こそ、はづきの持ちかけた『企画』の話に賛同している証そのもの。 今はただ身体の周りに緊張の膜が張っているだけ、とはづきは見ている。彼がいくら大人しそうな童貞くんでも、男である以上、その奥底にはイイ女を抱きたい本能的な欲求が眠っているものだ。ひとたびこの膜を破裂させれば、陰キャオタクくんだって、目の前のエロい女を捕食対象とみなすケダモノの本性を出せるようになる。 そのためにはさりげなく男のプライドを刺激しつつ、自分にさも気があると思わせてワンチャンありそうなことをそれとなくほのめかせばいい。はづきは誰にでも優しい柔らかな物腰と相まって、そういった手立てが――つまりは、周りの男たちを勘違いさせるのが昔から得意だった。 「あ、先月お誕生日だったんですね~。お酒とか、飲んでみました?」 「……ふふっ、そんなことないですって。私も好きですよ、カシオレ」 「はい。成人したら、してみたかったこと。やっぱり、運転免許?」 「ほかには、そうですねー……えっちなお店、とか……❤」 「やっぱり、興味でちゃいますよねー……❤ ……行きました?」 「えー、なんで~? もったいな~い❤ かえって恋人ができてからじゃ通えませんよ~? もしかして、普段、オナニーとかしません?」 「あー、ぜったいもっとしてるでしょ~❤ ……三回くらい?」 「図星っぽいですね~❤ 自分でシコシコするので満足だから、もうセックスいいかなってこと?」 「……うそつき❤ ほんとは?」 「実感が湧かないって、あー……❤ くすっ。でもわかるかも。初対面の人と初めてをするのって、きっと怖いですもんねー?」 「だからお顔見て選びたいな~って? ……ふふっ❤ なら女の子を選ぶ前に、女の子側から選ばれちゃったことになるんですね~❤ 実は、その、私もKくんが童貞さんっぽいなー、初めてえっちのチャンスあげたいな~って……❤」 「あ、一応お聞きしたいんですけど、誰かとお付き合いした経験は……?」 「ふふっ。ごめんなさい、いじわる言って……❤ 童貞さんの初めてって、恋人えっちしたがる人が多いって聞きますから。 私のこと、いいなー……って思ってくれたんですよね? この人となら、初めてのえっちしてもいいかなー、なんて」 「え~なんで謝るんです~(笑) 嬉しいですよぅ~❤」 彼の緊張を解きほぐしつつ、同時に視聴者に聞かせるための彼の身の上話を引き出していく。アダルト動画本編前の出演女優へのインタビューのようなこのやり取りは、毎回必ず動画に収められる。 これははづきの持論だが、男性は『見るセックス』に自分自身を投影はしても、感情移入はしない。できれば出演する男役には限りなく個性が削ぎ落されていることが理想で、そのシルエットに自身を重ね合わせて悦を疑似体験している。大切なのは興奮を煽る事象が発生している現実であり、竿役が何を考えているかなどの情報はノイズだ。セックスがどうあがいても男性優位の行為である以上、感情移入の土台となる、『劣勢への共感』が付け入る隙はない。 こう分析したうえではづきは出演者の男性の背景を掘り下げていく。彼のもつ、性的弱者としての特徴――つまりは、視聴者男性たちとの共通点――を詳らかにするために。彼がどんな人となりで(自分たちと同じ教室の隅っこにいたような人間で)、どんな性体験を抱えていて(自分たちと同じように女性経験皆無の童貞で)、はづきのような女性を前にすると気持ちがどのように揺らぐ(同じように甘い展開を期待してしまう)のか。それをほじくり出して、雑魚男性のみんなに見せてあげるだけで、彼らは生唾を呑んで彼に感情移入するようになる。 そうして没入感を高めることで、まるで実際にはづきに誘惑を受けているかのような気分にさせ、画面の前の顔も知らないオタク君たちをまとめて調教する。はづきは『彼』を数千人の視聴者たちの鏡にして、疑似的な体験を配信しているのだ。 「へぇー……❤ じゃあ、昨日の夜もオナニーしちゃったのに、またおかず漁りにきちゃったんです~? それもお姉さんに優しく筆おろししてもらうものばっかり❤ 毎日えっちの予習してるんだー……?❤ ふふっ、健気でかわい~……❤ よかったねー、おちんちんくん~❤ チャンスがきましたよ~❤ くすくす……❤」 性経験の乏しさが明るみに出るたび彼のペニスがぴくぴく揺れるのを確認して、はづきの口元がマスクの下で綻ぶ。思惑通り、本当は異性に飢えているのに自分からは出会いの場を作れない、そんな男の子を選んできた彼女の目に狂いはなかった。 「……じゃあ、お待ちかねみたいですし、そろそろ始めちゃいましょうか❤」 カメラに向かって両手をぱちんと合わせるのは、ここから動画の本編が始まるというお決まりの合図。そうして、もはや常套句となった企画説明がすらすらと読み上げられる。 「いつも通り、20分のあいだ、お射精を我慢できたら童貞卒業のゴム無し生えっち❤ できなかった場合にはこの動画を支援サイトに公開しちゃうってことで、K君にはお約束してもらってます❤」 ごくり、と生唾が喉を下る音をマイクが拾う。まぎれもなく隣の青年が漏らしたものであったが、視聴者もまた同じタイミングで息を呑んでいる。といっても、両者のそれは完全に質を異にしている。童貞の理想を絵に描いたかのような美人に初めての性の手ほどきをしてもらえるかもしれない。そんな淡い期待を抱いているのは、彼ただひとり。彼以外の数千人の前には、彼が辿った末路がこうして動画のアップロードが既になされているという形で結実しているのだから。 「みなさ~ん❤ Kくんのこと、応援してあげてくださいね~❤」 笑顔で両手を振るはづき。そのまるきり危機感のない姿は、彼のチャレンジの成功に自身の生膣生ハメ生中出しが懸った女の態度とは思えない。その軽率さゆえ、青年ははづきのことを『童貞をつまみ食いするのが趣味の物好きなお姉さんなのではないか』と思うようになる。 彼はまだ知らない。オスの性癖をいたずらに踏み荒らすことに喜びを覚える女の存在を。それから、異性への期待をまんまと弄ばれることを悦とする男たちがいることも。 この有料チャンネルを登録しているユーザーの中に、竿役がはづきに筆下ろしセックスしてもらう展開を期待するものはいない。彼らは自分たちと同じ童貞陰キャの悲願が虚しく潰えてしまう様子を心待ちにしているのだ。 急激に興奮のボルテージが高まってきた視聴者諸兄の耳元に、はづきの声が囁く。 『動画があがっていることから諸々お察しだとは思いますけれど、最後までお楽しみくださいね~❤』 今のは画面に映っている女が話しかけてきたわけではない。撮影した動画を再生しながら、はづき本人が後撮りの音声を本編と同時に流す、いわゆるオーディオコメンタリーと呼ばれる形式。 勿論はづきもまた、彼の童貞を貰ってあげる気はさらさらない。彼女の楽しみは『自分とのセックスを夢見る男性が、その期待を煽られるに煽られたあげく、未練たらったらの状態で精液もろとも吐き捨てさせる』瞬間にある。初めから憐れな結末に導くことは決定しているものの、竿役君にはチャレンジ失敗のその瞬間まで、なるべく可能性を仄めかしておきたい都合上、はづきの本心や視聴者向けのコメントはこちらの副音声で語られる。 『内向的で大人しめの印象を受けましたけど、見栄っ張りなところはやっぱり男の子ですね~❤ 彼女なんかできたことないのに、今はいないです、なんて……❤ ふふっ、かわいい~~❤ そんなの余計いじわるしたくなっちゃいますよ~❤ ちょーっと、負けちゃったときのお話吹き込んであげただけで……ほら❤』 画面内のはづきが耳打ちをすると、彼の顔色は今にも増して赤らんだ。息を詰まらせながら狼狽している。マイクが拾いきれないひそひそ声で何やら話をしているが、その慌てようから内容は想像に容易い。これから挑む射精我慢について、より詳しい指示を受けているのだろう。 『我慢できたら、恋人ごっこのいちゃいちゃえっちですけどー……❤ もし……もしも、ですよ? 制限時間内におもらし射精しちゃったら、こんな敏感おちんちんにセックスなんてまだ早いですよ~って、セックスをお断りされる形になっちゃうんです……❤ そのたった一回の、強烈な失敗体験で……変な性癖に目覚めちゃう人も少なくないのでー……がんばってくださいねー……❤ って❤』 お決まりの流れ。彼女の甘い罠にかけられてまんまと巣穴に引きずり込まれた獲物たちは、ここでやっと自分たちが賭けなければならないものに気づく。『はづきとの童貞卒業セックスチャレンジ』には挑戦するための対価となる金銭は必要ない、万が一の顔出しもしなくていい。だから何も失うものがない、あまりに都合の良い話なのだと思い込んでいたその甘い目算が潰える。代価は確かに存在する。 賭けるのはメンツ。男が大切にする見栄やプライド、あるいは男尊女卑に紐づいた矜持。だがそれらは所詮、目に見える形がないものであるがゆえに――はづきみたいな美人と交われる可能性があるというならば、いや、たとえむしろそうなれずとも、射精の手ほどきを受けられるならば儲けものではないか――そう、錯覚する。 『……それでも、大丈夫です? お射精がまんチャレンジします?』 実体が存在しないからこそ、一度壊れれば取り返しがつかない、そんな致命的な事実に青年は気づけない。万にひとつ、自分は何か大変な思い違いをしていたのではないかと危険感知めいた予感がはたらいたとしても、もう遅い。既に極上のメス相手から生殖機会をほのめかされた未使用の男性器は今こそが自分の命の懸けどころだと信じて、はづきに注ぎ込むための精液を金玉にて急ピッチで製造し始めている。彼のように有り余るセックスへの憧れをオナニーで燻ぶらせてきた童貞にとって、極上の女と交尾する機会を目前に、今更後に引くなんて選択肢は存在しないのだ。 そうして飢えに飢えたオスに、自らの身体という景品をこの女は見せびらかす。胸や足をさりげなく押し当てながら、更に何事かを耳打。やがて彼が小さくコクリと頷くと、彼に見えない腰の位置でピースサインをつくり、カメラへさりげなく目線を寄こした。 『ふふっ❤ は~い、交渉成功~❤ 今日の童貞くんはいったいどんな恥ずかしい恰好でお射精させられてしまうんでしょうね~❤』 彼の目の前に垂らされた初体験の機会が羨望虚しく取り上げられてしまう様が、視聴者男性たちにとっては眉唾のオナネタになる。そのためはづきの副音声は視聴者諸兄の興奮を煽るための『プレイ中の心の声』を聞かせながら、感情移入自慰をお手伝いする『オナニーオペレーター』の役割も担っていた。 垂らした釣り餌に食いついてしまったお魚さんと、餌ではなく『他の魚が釣り上げられているさまを羨んで』はづきの足元に集まってきてしまうお魚さんたち。どちらもはづきにとっては滑稽で哀れで、愛くるしい。 『今日みなさんにご用意していただくものは、ティッシュと、ローションと、あと……ローターですかね~。以前、乳首虐めで使ったミニローターがあると思いますので、それを使いましょう~。 気になる方はコンドームは……あっ、みなさん持ってないですよね~(笑) ビニール手袋とかかぶせてもらったりすると、いいかもです~❤ 音声ファイルは6番をリピート設定にしておきましょう~❤』 感情移入オナニーにどっぷり浸かるための指示が囁かれるあいだ、画面内でも着々と準備が進む。ベッドに乗り上げた青年は、勧められるがままにカメラを正面に据えて尻もちをついた。しかし反り返ったペニスを曝けだすには抵抗があるらしく、股を開くのにたっぷり躊躇って、十数秒の間を必要とした。 一方、カメラの向こうの男たちは、度重なる童貞卒業失敗動画でシコらされて躾けられたはづきのペット君たち。彼らにとって、飼い主でありオナニーオペレーターでもあるはづきの指示は絶対。これまで何度も惨めな感情移入射精を味わってきたおかげで、彼女の命令に倣えば気持ちいい射精に導いてもらえることが刷り込まれてしまっている。 『準備できました~? じゃあ、オナニーの姿勢とってくださいねー❤ 今日のポーズは~……ちんちん❤』 ベッドの上で動画を視聴しているもの。モニターの大画面の前で椅子に座るもの。皆一斉に足をM字に畳んで股間を見せる服従のポーズをとる。まるでK青年の背後から視線をくれているカメラ目線のご主人様に、仕込まれたマゾ芸を披露するかのように。向こうから、リアルタイムの男たちの醜態は見えていない。見えていないはずなのに、彼らにはマスク越しにはづきがくすりと笑われたと思いこんでしまう。 『はい、いつもどおり、合図があるまで自分の身体を愛撫してまっててくださいね~❤ あ、おちんちんは勝手に触っちゃダメですよ~❤ それ、私のですからね~❤』 許可のないチンシコは禁止。なんの拘束力も持たない、はづきからの一方的な通達でありながら、その命令は視聴者諸兄に絶対の強制力を発揮する。画面内の準備が整うまで、彼らは思い思いに自分の身体をイジめ始める。青年に自分の姿を重ね合わせ、その羞恥心と緊張にどっぷりと浸りながら。 「いつもオナニーするときは、おちんちんの皮、剥いてます?」 サーモンピンクの中身を覗かせる包皮のつぼみを気遣われ、緊張で縮こまった青年の肩がびくんと跳ねる。包茎は敏感な亀頭を保護する役割から、経験の未熟さや性機能の不完全さを連想させるマイナス印象の温床だ。そんな包茎が今この時ばかりは珍しく役立つ。射精を我慢するチャレンジなので被せておいたほうが刺激がマイルドになる。 『見るからに普段は皮オナしてるおちんちんですけどー……❤』 しかし、いかんせんK青年にとってははづきは童貞を捧げる予定の相手。彼は自分が皮オナ常習犯であることも見抜かれていることも知らず、ただ少しでもはづきによく見られたいという見栄が邪魔をする。 その結果、視線を足元に落としながら、小さく顎を下に引いてしまった。ズル剥けちんぽのゴシゴシ扱きなんて、たったの一回もしたことがないのに。 『ぷっ、ふふっ❤ あーぁ、意地はっちゃった……❤』 「……じゃあ、一応痛くないようにいっぱいぬるぬるにしますね~❤」 はづきは大きめのタイマーをKくんに持たせると、その言葉通り手のひらにたっぷりとローションを盛った。そうして彼の胸の前で両手を合わせローションを手の中で揉みこむさまを見せながら、ペニスに手を伸ばす。 「わぁ、すご~い❤ とっても硬くって、ピンピンに反り返ってます~❤ かっこいい~……❤」 おそるおそるを装って生殖器に触れたはづきはローションを塗り広げながら、甘ったるい声色でおちんちんを褒めそやす。男性器はメスを征服するための最もオスらしい部位であり、それゆえに男性らしさの自信の源だ。 初めて自分のペニスが女性に触れられる感動と、今まで感じたことのないようなちんぽが芯から疼く感覚、そして上玉のメスからちやほやされる高揚感。これらが三位一体となって、魂の抜けるような吐息を漏らしながら呆けた間抜け面を晒してしまう。 「女の子の弱いとこ、ほじくってやるぞー❤ って意気込みを感じるカタチですねー……❤ ふふっ、これ、入れられちゃったら、ほんとに大変かもです~❤」 甘ったるい猫撫で声でほめそやしながらも、その言葉に嘘は含まれていない。オナニーで左右に歪むことなく、綺麗な反り返りの曲線を描いていることは彼女が本心からそう思っている感想だ。 「それにすっごくカチカチ❤ 女の子を威嚇してるみたいで、こわいですよぅ❤ えっちのときは、手加減してくださいねー……?❤」 指でとんとんと突くたび、先端まで鋼の棒のようになったペニスがぶるんぶるんと首をふる。奥歯を噛みしめコクコク頷きながらも、青年は手加減なんておそらくできないであろうことを確信する。これまでオナニーにしか使ってこなかった自分のペニスが、実ははづきから見て魅力的なものだと知らなかったのだ。優越感や自己肯定感といったものが、チンポの先まで漲っていく感覚で、彼はどんどん気が大きくなっていく。それが、青年にとっての都合のいい事実だけを口にしたはづきのリップサービスだと気づかないまま。 男の子は何も知らないで、調子に乗せられている時が生き生きしていて可愛らしい――というのもまた、はづきの持論。彼の劣等感を刺激しかねない真相は、ペニスを侮られて悦ぶ変態たちに囁いてやればいいのだ。画面内のはづきに代わって、副音声が語らなかった本心を語る。 『身長にしては、おちんちんだいぶちっちゃめかな~❤ それに長ぼそ~い……❤ 引っかかりはするでしょうけど、圧迫感はなさそうですね~❤ あと、やっぱりすごく感じやす~い❤ 20分ぎりぎりまでもたせるの、無理だな~ってここで分かっちゃいました❤ もしセックスする機会があるとしたら、とってもやさしいセックスをしてくれそうですね~(笑) 女の子をイジめない、えらい子えらい子~❤』 歯に衣着せぬおちんちんへの評論が流れ、ここから動画へのコメントは激減する。すっかりKくんに自分を重ね合わせている視聴者諸兄はその言葉が自分に対しての嘲りに聞こえてしまうために、もうキーボードの上に手を置いていられない。 男を容易く舞い上がらせてしまう耳障りの良い建前と、オスの面目を真っ向から圧壊させ劣等感を植え付ける本音。そんな正反対の劇薬を左右の耳の穴から流し込んで、視聴者の頭の中でぐちゃぐちゃに混ぜあわせる。はづき特性のマゾ悪化栄養剤。 「ほんとにセックスしたことないんです~? こんなに女の子ほじくるの上手そうなカタチしてるのに、もったいないですよぅ❤ 私ならぜったい放っておかないのにな~……❤」 天性のマゾ調教師が、画面の中ではガードの緩そうな女のふりをして媚び声を紡ぐ。手元なんて目で見て確認するまでもない。扱い慣れた感覚のみで、根元まで包皮を剥いて追いやってから、利き手の五指が隅々まで亀頭を滑る。 ペニスの扱いを知悉しきった指先の動きに、K青年はすっかり押し黙ってしまった。横一文字に引き結んだ唇を内側から噛みしめ、甘い悲鳴を漏らすまいとする姿勢は実に涙ぐましく健気である。後ろのはづきに精いっぱいいい恰好をしようとしているのだろうが、副音声のはづきには完全に舐められてしまっている。 『あはっ❤ かわいい~……❤❤ こんなので、きもちいいんですね~❤ まだローション塗ってるだけなのにな~❤』 腿の筋肉まで力ませているせいで、尻穴までひくひく窄まっている。これからその場所がどんな目に遭うのか、ちんぽにばかり気を取られている哀れな青年はまだ知らない。 「さて、と……そろそろ始めますね~❤ 制限時間は20分です、がんばっていきましょ~❤」 はづきの指がとうとうちんぽを扱く形に絡みつく。だが陰茎に巻き付いたのは人差し指と親指の細っこい輪っかだけ。他の三本指は筒の形状を取るでもなく、ぴんと伸ばして遊ばせてしまっている。 本気で手コキするまでもない――余裕を通り越して侮辱的な舐めプに、青年は生まれて初めて女に対してムカつきを自覚した。自分は目立つタイプではないからとこれまで無意識のうちに腹の底に沈めていたオスとしての生来の荒々しさの断片、あらゆるメスどもへの怒りが水中ではじけた気泡のように浮かび上がってくる。 ――女のくせにっ、女のくせにッ❤ チンポハメられる側のくせにッ❤❤ いくら色恋沙汰の場数を踏んできたとしても、女であるかぎり生膣に生中出しをくらってしまえば呆気なく妊娠する。オスに孕まされるために生を受けたエロかわいいまんこ風情が、オス様のっ……『俺様』の生殖機能を侮っている。 チンポの先まで憤りがビキビキに行き渡る。はづきに対する青年の評価が『童貞をもらってくれるかもしれない蠱惑的なお姉さん』から『さっさとまんこ差し出さない舐めたエロメス』に針が触れた瞬間だった。 しかし、その激情さえもお膳立てされたものであり、思い通りに事が運びすぎて背後の女が笑みをこらえきれないでいる様子に青年は気づけない。そういった察しの悪さこそ童貞の所以であり、そのせいでわるい女に目を付けられてしまうのだというのに。 ここまでイラつかせれば、もう充分。チンポがイラついているほど、この甘ったるいギャップは童貞陰キャオタクに効く。はづきは仕上げとばかりに、真っ赤な耳たぶへ手加減手コキをする真相(大嘘)を囁いた。 「……ちょっとだけ手加減しますから……朝まで恋人いちゃハメしましょうね❤」 マイクが拾えてしまうくらいの大きな音をたてて、生唾が喉を下った。ただでさえ童貞は自分に向けられる好意にまるきり耐性がない。女に舐められていることへの怒りを滲ませ完全にガードがゆるみきっている状態で、自分にとって都合の良すぎる種明かしなど喰らってしまったら。 ――っ、は、はづきさんっ、セックスさせてくれるつもりなんだっ……❤❤ ――あっ、うぅっ、すきっ……❤ すきぃっ……❤ 『くすっ❤ ガチ恋童貞くん、できあがり~❤』 男なら誰もが持つ、女を犯したいという欲望。一見、大人しそうに見える陰キャオタクのほうがむしろ性に対する飢えは強い。その憧れたっぷりのセックスへの渇望に、好意の匂わせをほんの少し垂らしてやれば、童貞なんてとりわけ簡単に手玉に取れてしまう。 この場にのぞむ全てのオスに片想いを植え付けてようやく、はづきはチンポへの刺激を許す。扱いている最中に惚れさせるのでは遅い。それでは『チンポを気持ちよくしてくれるから好きになった女』なんて認識どまり。射精を焦らして弄び始めると、音を上げてしまう可能性がある。 大切なのは順序をきっちりつける、つまりは惚れさせたうえで触ってあげること。『好きな女からチンポへのお恵みをもらえること自体幸せなんだ』と思い込ませられれば、童貞男子たちの心は決してはづきから離れられない。 『ふふっ……❤ じゃあ、これからおちんちん扱きっぱなしになっちゃうので、先にお尻にローター詰めちゃいましょうか~❤ ここ、一時停止ポイントです。……準備できました~? 今日は指二本ですよ~❤ ……はい、おちんちん握ってよし❤』 副音声の合図でそれまで思い思いに前戯にいそしみながら、今か今かと許可を待っていた視聴者たちがいっせいにはづきの言葉に倣って、尻穴にローターを詰め、陰茎の根元に指輪っかをひっかける。 「それじゃ、初めてセックスを賭けて~……❤」 『マゾ童貞のみなさんのための~……❤』 「お射精がまんチャレンジスタ~ト~❤」 『オナニースタート~❤』 にゅっこ……❤ にゅっ、っこ……❤ にゅこ、にゅこ、にゅこぉ……❤ はづきの指輪っかが水音を鳴らして肉竿を上下し始める。二秒かけて一往復するペースの、非常にゆるやかな動き出しだ。それでも女性に委ねられた経験のない逸物はビクビクと逃げるように跳ね回る。 「ちゅこちゅこ、ちゅこちゅこぉ~……❤ どーです? きもちーですか~❤」 気持ちいい、なんてものではない。女性からペニスを擦られる快楽は、これまでちんぽを扱く行為が射精に必要な一過程と捉えていた童貞の認識を木っ端みじんに破壊した。気持ちよすぎて勝手に声が出る、頭の中が真っ白になる、といった漫画的な表現が誇張ではないことをその身をもって知る。 『ふふっ……❤ がまんできてると思わせるためにぃ、ちょっとずつ加減していきますねー……❤ はーい、みなさんも指輪っかちょっとずつゆるめてくださ~い❤ ゆっくりゆっくり、弱めにシコシコ……❤ シコ、シコ、シコ~~……❤ ふふっ❤ おもらししないようにさりげなく気を遣ってもらえるの、うれしいですね~❤ 何か言うことありません~?』 ――うぅっ❤ はづきさまっ、手加減お手コキありがとうございます~っ❤❤ すっかり青年に没入している視聴者たちは、促されるままに自分の指輪っかから力を抜いていく。動画内の当人とはちがって、彼らにご褒美はない。オナニー射精をするためにこの動画を再生したはずなのに、射精から遠ざかりながらお礼の言葉を口にする。 「にゅこ、にゅこ……❤ にゅっこ、にゅっこぉ……❤」 一方の青年もまた、はづきの思惑通り、徐々に指輪っかを緩められていることに気づかない。徐々に刺激が弱まっていくのを、慣れ始めているからだと勘違いしたまま、ペニスを世話される心地よさをまじましと噛みしめる。 自分のちんぽをはづきのような美人に世話させている――その事実は、童貞の彼の中にえもいわれぬ心地よさを生んだ。その感情の正体こそ、ちんぽにいい女を侍らせて初めて味わうことができる、メスへの優越感だ。教室の隅っこで大人しく生きてきた彼の中にも確かに根付く、支配的な衝動そのもの。 間延びしたのんびり声、思わせぶりな態度、ゆるゆるした手コキ。魅力的な女性だと感じていたはづきの何もかもが、今の彼には猛烈にもどかしい。女にチンポの世話をさせる心地よさを知った今、このイイ女と一刻も早く両想いの初めてセックスを堪能したいという繁殖欲が金玉の中で騒ぎたつ。 『この背中に押し当てられてる、でっかい乳とか、もんでみたいっ……❤ もんでみたいよ~❤ はづきさんのでかパイ両手で鷲掴みしたい~❤ そしたら、ひゃんっ❤ってかわいい声で鳴いたりしてっ……❤ たぷたぷ弾いて、おっぱいぐにぐに伸ばしてみた~い❤……みたいなこと、考えてそうですねー❤ くすくすっ❤ やーん❤ こわいです~❤(笑)』 撮影時の心の声を再現しているのだろう。仏頂面で手コキの快楽に耐え忍ぶ童貞男子を、後撮りのはづきが茶化してからかう。 『抱き寄せてすべすべの背中さすったり、下着に包まれたお尻を撫でまわしたりしたら、きもちーだろうなぁー……❤ あとあと~、首筋に鼻押し当てて思いっきり嗅いじゃお……❤ いいよね、いいよねっ……❤ やばい、匂いだけで射精できちゃうかも……❤ それでそれで~♪ ねっとりしつこい前戯で、身体中撫でまわしてイかせてやるんだっ……❤ こっちだって、恥ずかしい思いしたんだから、はづきさんだっていっぱいイかせるっ、イかせてやる~❤(笑) シーツびちょびちょになるまで手マンしてやるんだ~❤(笑) ……ぷっ、ふふっ❤ あーぁ、女の子のイかせ方なんて知らないくせに❤ お手コキがまんできてるつもりで、調子づいちゃってますねー❤』 何も知らない青年の肩の上に顎をのせながら、動画内のはづきはカメラ越しのマゾ童貞たちを真っすぐに射抜く。『貴方』に女の子の本音を聞かせてあげているんですよ~❤と視線が語る。 『それでー、ふわとろに仕上がった求愛まんこで、いよいよ童貞卒業っ…❤❤ 挿入するときは、っ、べ、べろちゅーしながらの、正常位ッ……❤❤ 生チンポを突き立てたら、さすがのはづきさんも余裕じゃいられないでしょ……❤ 俺のこと、陰キャオタクの童貞だと思ってなめてかかって、生中出しセックスで釣ってみようとするから、いけないんだぞ~……❤ でもっ、や、約束は約束だからっ……❤ そーだ、腕も足も俺の身体にがっちり絡みつかせて、生中出しせがんでもらうとか、い、いいかなっ……❤ いいよねっ……約束だもんっ……❤ あー、やばいやばい、恋人セックスじゃんこんなの~❤ 呼び捨てっ、呼び捨てにしちゃうぞっ……❤ 女の子を、呼び捨てっ……❤ はづきっ❤ はづき好きだ~❤(笑) 責任とるっ、責任とるから~❤(笑) うぅ~❤ はづきぃ~❤ 好き好き~❤ 結婚してよぉ~❤ ……ぷっ❤ ふふっ、ふ、くくくっ……❤』 ゆったりまったりお手本チンシコを見せつけつつ、はづきは彼らの没入感に適度に水を差す。散々童貞を心の声アテレコでからかっておきながら、こうして言いなり自慰行為に耽る自らの醜態を客観視させて羞恥心を煽る。そうしてまた慣れてきたら、主観の没入オナニーに切り替えさせる、その繰り返し。 そうしてしっちゃかめっちゃかに振り回してやることで、彼らはいっそうはづきの手のひらで転がされることにのめり込んでいく。 『あー、お腹いた~い……❤ ふふっ、でも、女の子の名前の呼び捨てに憧れてるって、ちょっと安直すぎますかね~? どうなんですー? 女の子とお付き合いしたことのない童貞のみなさん~? みなさんもオナニー中は、お相手のお名前呼び捨てです?』 相手の名前を呼びながら自分で自分のチンポを扱く間抜けな自慰をしている、と決めつける口ぶり。その理不尽な見下しに憤る男たちの声は、はづきに届かない。はづきもまた聞く必要はないと思っている。どうせ彼らは声高に反論するふりをしつつも、興奮している負けマゾばかりだと知っているから。 『じゃあ、試しに今、はづき、って呼び捨てしながら扱いてみてください~。いきますよ~……せーの、はづき~っ❤ はづき~っ❤ はづき~っ❤ あれあれ~おかしいですね~? 一生懸命呼んでるのにぃ、画面の中のはづきさんはKくんばっかりで、全然こっち見てくれませんね~❤』 「Kくーん? 息あがってきてますよー……❤ 大丈夫ですー?」 感情移入から無理やり引っぺがした視聴者たちへはもう一瞥も寄こさず、はづきは青年へのゆるやかな手コキにかかりきりだ。彼らはつい今しがたまで自分たちこそがはづきに手コキをされている当事者の意識だったのに、ひとたび客観視を強いられれば、その羨ましい他人へはもう入り込めない。 他の男のペニスを嬲って遊ぶご主人様と、その動画をおかずにモニターの前でシコらされている自分。疎外感と嫉妬とが入り混じった悲痛な呻き声は、飼い主の足元にすり寄って鳴く、牙を抜かれた獣さながらだ。 『みなさんがしっくりくる呼び方にしてくださって結構ですよ~? はい、ど~ぞ~❤』 はづきは敢えて呼び名を口にしない。わざわざメンツを潰してあげなければ素直に負けを認められない野良のオスとはちがって、彼らはマゾ悪化オナニーの通信教育を受けている、首輪がついた飼い犬たち。強制なんてしなくとも、自らへりくだると知っている。 ――はづき様っ、はづき様ぁ~~っ❤ ――うぅっ、ご、ご主人様っ❤ ご主人様っ❤ ――おかずをくださるっ、優しい飼い主さまぁっ❤ 彼らは録画の中の女性の気を引きたくて、思い思いの敬称を呼ぶ。 さっき副音声が筆おろし初セックスの妄想を語って思い描かせたのは、こうしてふと我に返らせたときに、配信動画なんかの言いなりになってチンポを扱く現実とのギャップで惨めなマゾ快楽を際立たせるためだ。 メスに振り向いてもらえない求愛行為を、はづきはまるで他人事のように応援する。 『ふふっ❤ ほーら、構ってもらえるまでシコシコがんばれー……❤ シコ、シコ……❤ シコシコ……❤ あのお手々の動きを真似して、しっかりいじわるしてくださいねー……❤ こっち見て~……❤って、きもちを込めて、片思いの拗らせオナニーがんばれ~……❤』 指輪っかがいちいち根元をきゅぅっと狭めては、交互に揺すってもったいつけながら引っこ抜く。彼らは一度だって味わったことのないはづきの生手コキを食い入るように見て、その弄ぶような手つきを必死で真似する。これが動画配信である以上、マゾへの通信教育に関して、はづきが彼らに物理的に手を貸してやれることはひとつもない。彼ら自身で彼らの身体を開発させる、そのためにはこうして、オスの求愛対象に選ばれることがいちばん手っ取り早いのだ。 《後編に続く》