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①賭けに負けたせいで顰めっ面でチンポにキスしまくるゲヘナ風紀委員行政官、天雨アコの葛藤 前編《2万文字》

 ゲヘナ学園風紀委員会執務室に置かれた応接セットのソファ最奥は天雨アコの指定席だった。常に執務机の様子が視界に入り、何か問題が発生すれば(勿論なくとも)敬愛する委員長の元へと真っ先に駆けつけられる。やれヒナのペットだ番犬だと揶揄されようとも、その席はいわばヒナ委員長に最も近しい者が侍るべき特等席であり、私生活でも交友を持つイオリやチナツといった、親しい役員にすら譲り渡したことはない。  しかし、本来アコが坐するはずの席は今、簒奪者によって占領されている。たかだか数か月前にキヴォトスに赴任してきたばかりの、先生という肩書を持つ大人だ。食費を切り詰めてオモチャを買ったり、女子生徒の生足を口に含んだり、と問題行動が山のように報告される一方で、親しみやすさからか、あっという間に多くの生徒たちから信頼を勝ち取っていった。その中には最愛のヒナ委員長も含まれており、並び歩く隣で花の蕾が綻ぶような笑顔を咲かせている姿を目撃してしまって以来、アコにとって彼の人は簒奪者となったのだった。  特等席である本革張りのソファに、あろうことか直で尻を載せ、大の字になってのびのびと踏ん反り返っている姿を見ていると、まるで自分のプライドさえもその汚い尻の下に敷かれているように感じて、たまらずアコは下唇を噛んだ。彼の不躾な態度には勿論だが、何よりそんな男に奉仕しなければならない状況が屈辱だった。 「このぉッ……♡ っ、むっ…んちゅっ♡ このっ♡ このぉッ……♡ ん、んぅぅ〜っ……ちゅっ♡」  口を開くたびに恨みがましい声が漏れる。だがいくら不満を態度に示そうとも、アコが胸に滾らせている怨嗟は、ほんの欠片たりとも眼前の目の敵には伝わらない。奉仕のために使わされている唇が、彼女の苛立ちをかき消すほどに甘ったるいリップ音を鳴らしてしまっているせいだった。 「あー、それそれ。それやばい、もっとして」 「このっ、好き勝手言ってっ……! むちゅっ♡ ちゅっ、ちゅっ、ちゅ〜っ♡♡」 「うぉぉっ、チン先キスくっそ効くぅ……」  亀頭の先端へねっとり唇を押し付けると、竿に張り巡らされた血管が脈動してカリ首のエラが膨みを増す。さながら一個体の生物となったチンポが、跪いて媚び仕えるメスに威を示しながら勝ち誇っていた。  無理もない。アコが眉を八の字に逆立てたり呻き声をあげたりして反抗的な態度を取る一方、その唇はいやらしいリップ音とキスでおちんぽ様を讃えることを強いられている。チンポに意思があるならば、目の前の女を『俺様に絶対逆らえないメス』と認識するにちがいない。少なくとも、アコの頭の中ではそういうことになっている。 (たかが生殖器の分際で、私のこと見下してッ……♡♡ いい気にならないでほしいんですけどっ……!) 「そう、そのまま唇押し付けて……あー、きもちぃー……」 「っ……♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡」  キツツキのようにチンポへ吸い付く無様を晒してはいても、アコには確固たる矜持があった。内外問わず敵の多いゲヘナ風紀委員の折衝役として、毅然とした態度を貫かなければ、組織を、ひいてはヒナの居場所を守ることなどできない。シャーレの先生に対して警戒心を解かず未だ以て強硬な姿勢を取り続けているのは、生来の思い込みの激しさに加えて、そうした責任感の強さに由来するものでもある。  一度取り結んだ外交的約定を反故にすることは相手に付け入らせる隙を与えるも同然であり、それはやがてヒナ委員長を脅かす火種になりうる。そういうやむをえない事情を受けて、今は『先生専属のおちんぽちゅっちゅ女』に成り果てているだけなのだ。チンポの先っちょに、オスに媚びつくキスの雨を降らせていても、彼女の言い分には『不愉快だけれど』『不本意ながら』『仕方なく』『他に方法はないので』など、その動機を否定する枕詞がたらふくに盛り付けられていた。 (くっ……そもそも、賭けに負けさえしなければ、誰がこんなことっ……♡) 「んちゅっ……♡ ちゅぅぅっ♡」 「あ゛ー……そうやって一生、チンポにキスしててほしいわー……」  先生は背もたれへと首を倒して深く息を吐いた。さながら温泉に浸かっている時のような心地よさ。そこへ教職者の立場や大人の倫理観といった普段の彼を社会的な存在へ繋ぎ止めるものが、今は背徳感を煽るスパイスとなって脳髄をちりちりと痺れさせる。そのため、彼は表面的には軽口を叩いてアコを奉仕させている不遜な態度を取りつつも、その実、時折一線を超えそうになる自らの凶暴性を抑え込むので手一杯な状態だった。  足元に侍った女の、あまりにセンセーショナルな体つき。乳は重く、腰はくびれて、尻はでっぷり、足は長く。顔立ちは凛々しくも愛らしく。生まれてくる世界が違えば華やかな芸能界の頂点にでも、あるいは王族の妾にでもなれただろう。ひとりでも多くのオスを虜にする天命を預かって生まれ落ちたと言われても納得できる。それでいて、精神のほうはまだとことん未熟で、男を知らないだけのくせに、自分をレズもどきに勘違いしているときた。  蠱惑的すぎるグラマラスな肢体に、思春期特有の瑞々しい威勢の良さが組み合わさった、まさに男が調伏したくなる要素のみで構成された女――それが、天雨アコだった。 「ん~~っ……ちゅっ♡ ちゅっ……♡ ちゅぅぅ~~っ♡」  チンポを睨みつける顔を敢えて見ないようにして、先生は深い息を絞りだした。アコがいかにメスの素養に満ち溢れていようとも、彼にとっては庇護すべき大切な生徒でもある。  実をいうと、この状況そのものが彼の本意ではない。許せるのは、チンポへのキスまでだ。とかくオスの本能が目の前の未成年を女として意識してしまわないうちに、とっとと射精してこのイカれた状況から脱しなければならない――そんな危機感が彼を急き立てていた。これは唇を借りての性欲処理だと思い込もうとし、頭の中では別の女の姿を思い描く。口ずさむ乱暴な暴言は手っ取り早く興奮するための、やむえないスパイスだった。  だが、ただでさえ思い込みの激しい女であるところのアコが、その葛藤を察するはずもなかった。女の尊厳を犠牲にして不慣れな奉仕に勤しんでいるというのに、まるで風呂に浸かって寛いでいるかのような――つまりは、自分がおチンポに口づけを捧げている姿を見ようともしない――先生の態度にだんだんと苛立ちを募らせてゆく。 (……っていうか、こんなことをさせておいて、何寛いで天井なんか見上げてるんですかこの男っ……! 食後の喫煙気分? 私のことフェラホールかなんかだと思ってる? っっ~~!! そうですかそうですかそうですかっ……!! 唇だけ使う約束を取り付けてきたのもっ、私の舌遣いなんか端っから期待してないってことですかっ…!!)  ムキになってどんどん吸い付きが強まるフェラチオに、たまらず先生は奥歯を噛みしめる。  チンポをむちゅむちゅと挟み込む肉厚な生意気リップ。亀頭にふきかかる憤りたっぷりのあつあつ吐息。そして極めつけは、仇を見るような目で睨む上目遣いだ。チンポへの服従を接吻で誓っているにもかかわらず、それでも心は絶対に明け渡さないとでも言わんばかりの決意に満ちた気丈な顔つき。目尻に薄っすらと悔し涙を浮かべた表情は、ちらりと見ただけで加虐心を無茶苦茶に掻き立てられる。このフェラ顔を直視してしまったならば、喉奥へ無理やりチンポをねじ込まずにはいられなかったにちがいない。 「ちゅっ♡ ちゅぅ~~っ♡♡ むっっちゅぅぅ~~~っ♡♡」 (っ、このっ、このっ、このっ! いい加減こっち見たらどうなんですっ!?)    アコが今チンポに捧げているものは唇だけではない。乙女の純情や羞恥心といった、彼女が生を受けてから十七年間育ててきたものでもある。それが百歩譲ってオスの優越感を満たすための養分にされているなら、納得はできずともまだ理解はできた。しかし、チンポにむちゅむちゅとリップ音を押し付けるアコの奉仕は完全に先生の視界から追い出されている。自分の恥は差し出したそばから、文字通りのノールックで廃棄箱に投げ入れられているのと同義だった。 (こんな真似させておきながら無視だなんてっ、どこまで人を辱めればっ! はっ…!? ひょっとしてっ、私のことは別になんとも思ってないからっ……ほかの女の子におちんちんキスさせてる妄想とかしてるんじゃっ……!?)  そうと気づいた瞬間、全身の血液が沸騰するような怒りがアコを襲った。快不快は置いておくにしても、男の視線が自分に集まるのが当たり前な彼女にとって、相手にもされない扱いはこれまでにない屈辱だった。たちまち端正な顔立ちが真っ赤に火照ってゆく。その熱は彼女の明晰な頭脳にまで及び、理性的な思考回路を瞬く間に融解させ、めらめらと燃え盛る衝動が彼女を満たす。  女の沽券を回復するために、残された手段は『なんとしてでも先生の視線を奪う』、それだけだった。 「んぢゅっ♡ ん~んぢゅっ……♡ んちゅっ♡ んぢゅぅぅ~~っ♡♡」 「うっ!? おぁっっ……♡」  それまでの唇を触れ合わせるだけのうぶな口づけはどこへやら。迫力のある笑顔で違反生徒を取り締まる『しごでき女』がタコのように頬をすぼめてチンポへと吸い付く。もはやがむしゃらでうるさい吸啜音を鳴り響かせるのも意に介さない。ぎらぎらと悔し涙で潤んだ瞳はオスの注意を惹くことしか考えておらず、自らを客観視できる精神的余裕が失われているのが一目で分かる面をしている。さらには全力の接吻に費やされているために、呼吸の役目を一手に託された鼻の穴は大量の酸素を取りこむべく「むふぅ…♡むふぅっ……♡」と膨らんだり縮んだりを繰り返している。正常な感性を持つ女の子は、これを『他人に見られたら恥ずかしすぎて死んでしまう顔』と評するのだろう。 「んぢゅっ♡ ちゅぅぅぅ~~~っ♡♡ むぢゅぅぅ~っっ♡♡ ちゅっちゅっぢゅぅぅぅ~~っっ♡♡」 (こっち見なさいよッ……! こっち見ろっ…! こっち見ろこっち見ろこっち見ろぉっ……♡♡)  爛々と赤黒く光る亀頭に、薄紅色のルージュでキスマークの華が咲き乱れる。ヒナ委員長に感想を求めて、「悪くない」と言ってもらえた色だった。言った本人は着飾ることよりも実用性を重視するタイプなので、最低限の保湿効果に言及したついでのそっけない返事ではあったものの、以来アコはずっとその口紅で唇を飾っている。 (っ……♡ ヒナ委員長のお気に入り色が、私の唇の形を借りて、おちんちんをキスマークまみれにしてるっ……♡♡ こ、これじゃ、まるで、ヒナ委員長への忠誠心まで、勃起の栄養にさせられてるみたいじゃないですかっ……♡♡ ふざけんなっ、ふざけんなぁっ……♡♡)  気を惹こうとして吸い付けば吸い付くほど、マッチポンプ式にアコの敵愾心が燃え盛り、美形行政官の初めてフェラはお下品極まりないぶちゅぶちゅラブコールに成り下がってゆく。 「ん〜〜ぢゅっっ♡♡ ちゅぅぅぅ〜〜〜っっ♡♡♡」 「うぉぉっ……く、ぁ、ぁっ……」 「っっ……♡♡」  その甲斐あってか、先生の口から快楽に戸惑う声が漏れたのを聞いたとき、アコの心はにわかに沸き立った。  (ほらっ、ほら、やっぱりっ……!! やはり痩せ我慢をしていただけで、気持ちよくなってるんじゃないですかっ!! それならもっと激しくして、降参って言わせてやる……! 無理やりこっちを向かせてやるっ……!!) 「ん~~っぢゅっ♡♡ んぢゅっっ♡ んぢゅぅぅ~~っっ♡♡ ちゅぅぅぅぅ~~~っっ♡♡ ちゅぅぅぅ~~♡♡」  ちりん♡ちりんちりんっ♡ ちりんちりんちりんっっ♡♡  頭ごと激しく前後させて唇を押し付けるたびに、首のチョーカーに紐づいたカウベルが踊り跳ねる。四六時中身に着けているので音を鳴らさないことには慣れている。けれど、吸い付きの激しさを訴えるべく、アコは敢えて激しく頭を振った。  首輪の鈴は動物が人間に飼われていることを周知させ、その動きを飼い主に知らせるために取り付けられる。チョーカーもカウベルも手枷も、ヒナ委員長にすべて捧げて奉仕する覚悟のあらわれだったはずなのに、今の自分は先生どころかそのイチモツに仕えるペットだ……。そんなノイズのような思考がアコの脳裏をよぎり、すると、他の装飾品や制服の意匠に至るまで、自分が身に着けているもののすべてが卑猥に思えてきてしまった。 (ちがっ♡ 私はっ、先生のペットなんかじゃっ……♡♡ おちんぽすきすきちゅっちゅ女なんかじゃ、ないのにっ……♡ くぅぅッ……♡♡ ゆるせませんっ!! これも全部この人のせいですッ!! 大人の男なんてやっぱりさいってぇっ……♡♡)  奪われた尊厳を回復するために、さらなる羞恥心を搾取される。憤懣やるかたない不条理を前に、アコは悔しさや情けなさを怒りの火にくべてゆく。先生をきっと睨みつけ、他の思考が挟まる余地などないぐらいに気持ちを昂らせる。  己が抱える自己矛盾から、懸命に目を逸らすように。 「むぢゅぅ~~~っっ♡♡ ぶちゅっ♡ むちゅぅぅ~~っっ♡♡ ぢゅッ♡♡」  アコとて羞恥心はある……というか実のところ、彼女は羞恥心に凄まじく弱かった。『ヒナのペット』という呼び名は矜持にかかる部分であるからウィークポイントに響かないだけで、たとえばさっきの『先生とそのおチンポのペット』という思い込みは、アコの脳内に強烈に焼き付いている。おそらく今日以降何度も思い出しては身体を熱くさせる、精神的な弁慶の泣き所となるだろう。彼女の心の内側には年相応な感性が秘められており、生来の思い込みの激しさや気性の物々しさはそういったやわらかい中身を守る外郭の役目を果たしている。ゆえにこそ自らが招いた痴態を自覚してしまうわけにはいかず、それらを責任転嫁することで己を守っている。思い込みが解ける前に、一刻も早くこの状況から抜け出さなくてはならないのは彼女とて同じなのだ。  事前の取り決めでは先生から『チンポへの接触は唇のみに限る』との条件が課されてはいたが、方便で切り抜けられる範疇の横着なら問題ないはず。アコは数々の恥辱を味わわされた仕返しに、一部とはいえ約束を反故にしてでも一矢報いてやろうという気になっていた。 (さっきちょっと激しくしたら、嬉しそうなびっくり声上げてましたしっ……!! 舌を這わせて男性器を舐めてあげたら、もっと悦ぶはずですよねっ……♡♡ いいですよね、多少のルール違反ぐらい。私みたいなイイ女に、おちんぽ舐めてもらえるんですしっ……!)  色白爆乳美人として生を受けたハイエンド女ならではの思い上がりが、アコに唇を開かせた。まだ誰の侵入も許したことのない真っ赤な口腔が露出し、未だにふんぞり返ったままの先生のチンポをちゅっぽり咥え込もうと接近する。 「んっ…ん、あぁ~っ……♡♡」  学園自治区の中で特に治安が最悪との呼び声も高いゲヘナにあって、上流階級の立ち居振る舞いが身についているものといえば、真っ先にヒナ、次点でアコの名前が挙がることだろう。テーブルマナーに造詣の深い彼女には当然、口の中や舌を他人に見せるのは下品だと厭う感性が備わっている。  ただでさえ品位を損なう行為をチンポを悦ばせるために行わなければならないなんて、フェラチオとは下品を下品でコーティングしたような許し難い行為だ。乳首の先にじんじんと熱が集まってくるのを頑なに怒りのせいだと思い込もうとしながら、アコは大量の唾液をまぶした舌をおそるおそるチンポへと触れさせた。 「……んれぇっ♡ …っ!?」  その瞬間、アコの頭の中で火花がぱちぱちと爆ぜ、アクアブルーの瞳が困惑に揺れた。舌先を起点に電流が生じ、肩や腰、肘まで彼女の全身の神経に伝播してスパークさせる。そして一拍遅れて、口の中に充満したのは、まるで夏場の公衆便所を想起させる、据えた臭い。 (くぅっっっさッ!?!?♡♡)  むせかえるほどの臭気にあてられ、端正な顔立ちが今にも泣きだしそうに歪んだ。  この時アコはさっきまで行っていた唇での接触が、所詮体の表面同士を触れ合わせているに過ぎなかったことを痛烈に思い知らされた。口づけの際にもクサイと思ってはいたが、粘膜に付着させるのはわけが違う。 (なにこれっ…♡ こんなの、女の子に嗅がせていい匂いじゃっ……うぎゅッ♡ 舌が、ぴりぴりしてっ……♡♡ うっっっ♡♡ くっっっさぁっ……♡♡ あっあっ♡ うぐぅっ……♡ う、内側から犯されてるみたいっ……♡♡)  瀟洒ぶって気取った女の面の皮を剥ぎ、メス本来の役割を無理やり思い出させてやるとでもいわんばかりの猛々しさが、味覚と嗅覚を通じてアコを狂わせる。役割を忘れてのうのうと生きる女にメスとして生を受けた本来の意味を思い出させ、その本性を“暴き出す”力……それは本来正しい意味で、『暴力』と呼ばれるべき力だ。濃厚なオスの匂いはまさにメスを調伏させるための暴力であり、そんなものでガツンと殴りつけられる衝撃たるや、まんこに処女膜を張っている女にはひとたまりもなかった。 「すぅっ……♡ う゛ぅぅ~~~ッッ♡♡ くぅぅっ、ぐ、ぅ……♡♡」  耐え難いほど不快で、吐き出したい。そのはずなのに、なぜだかチンポに舌が癒着して引き離すことができない。息を吸うたびに女を駄目にするオス臭さが肺を満たし、ぞくぞくと鳥肌が立つ。 (んっっ……と、なんなんですか、これッ…♡ やばいっ、やばいやばいっ…♡ 頭ぼーっとしてくるっ……♡ っっ……♡♡ でっ、でもっ、ここで、呼吸をやめたらっ……♡ 先生の匂いに負けてっ、尻尾巻いて逃げたことになるっ…! に、逃げるわけにはいかないんですっ……♡♡ だからこんな、女の子の鼻の奥をツンとさせるおちんぽ臭なんかにっ、女の子をバカにするおちんぽ臭なんかにっ、ま、負ける、わけにはぁっ……♡♡) 「すぅぅ~~~っっ……♡♡ ん゛ぉッ♡♡ へっへっへっ♡♡」  こめかみに青筋こそ浮かんだままではあるが、その感情の出どころは濃厚なオスフェロモンが効いてしまう自身への煩わしさであった。  篭絡されそうになっているメスの本能を叱咤し、不退転の精神でチンポを睨みつけるアコ。だが先ほどまでとは比べ物にならないほど眼光は弱弱しく、対抗心ばかりが逸った結果、無様に舌をべろんと垂らしたまま肩で息をしている。その姿は誰がどう見ても、大好きなおチンポを前に『まて』を言いつけられ、むしゃぶりつく瞬間を切なそうに待ち望むメス犬そのものだった。 (くっ……♡ 負けないっ……♡ 負けないっ……♡♡ ぜったいぜったい振り向かせるっ……♡♡ っっ……♡♡ こ、怖くないっ……♡ ビキビキに勃起したオス臭いおちんぽなんて、全然怖くないんですからっ……♡♡) 「っ…ぇろっ……れろっ……♡♡ んぇぇっ……♡」  たっぷりと何十秒もかけて己を奮い立たせると、アコは鈴口の周りをぺろぺろと舐め始めた。味蕾が痺れるのを感じながら、『人としての正気を失ってしまわないために』という言い訳のもと、思考放棄はせず、それどころか敢えて頭をはたらかせる。  ここにわだかまっているものは乾いた汗であれ、剥がれ落ちた垢であれ、チンポから滲み出てきた老廃物……つまりは男の身体の中でもっとも獣めいた場所から不要となって排出された汚らしいもの。それを女が自らの身体に取り込むことでチンポを清めたり労わったりして、男《支配するもの》と女《仕えるもの》の上下関係を明確に定義し直す儀式が、フェラチオの本質なのではないだろうか。だとしたら、先生が『チンポキス』のみを許したのも頷ける。あれはまだ奉仕行為と呼べる一方、これは明確に関係を書き換える意味を孕んでいる。先生と生徒の関係を、主人のオス様と卑しいメス奴隷という関係が上書きしてしまいかねない。  そこまで考えて、アコはある仮説に思い至る。 (えっ……それじゃあ、あんなに頑なに「フェラチオは駄目だよ」って念を押してた理由は、私のことをそういう目で見ないようにするためなの……? 初めのほうに「チンポに一生キスしててほしい」だの、「唇もっと押し付けて」だの言ってたのも、早々と快楽に下っていたのではなくって……私のことを、生徒として大事にできているうちに、さっさと射精してしまうためだったってことに、なりませんっ……!?)  その推測が真に迫っていることを指し示すかのように、身体の至る所からは冷や汗が噴き出していた。首や腋、そして足元が見えないぐらい大きく前にせり出した胸……特に下乳部分のブラウスはじっとりと肌に張り付いている。  冷や汗はいわゆる疲れマラなどに代表されるストレス防御のための生理反応の一部であり、『危機的状況にある時、子孫を残そうとする本能が生殖意欲を掻き立てる』は俗説に過ぎない。しかし、この乳汗はいうなればオスの凶暴性に興奮するあまり、液体となって滲み出してしまったメスフェロモンだ。ただでさえ更衣室を同じくする同僚――もといイオリには気まずそうにされていたが、その甘ったるい汗クサ臭が今のアコにはよく分かった。  自分の身体がオスに媚びつく反応をし始めたことを受け、不安がいよいよ迫真めいてくる。  やっぱりやめたほうがいいんじゃなかろうか。もし先生の体裁を無理やり剥いで、大人の男の人を本気にさせてしまったら、きっと私は生徒ではなく、女として扱われてしまうっ……。  わかっていたけれど、むしろそれを強く意識すればするほど、アコは舌先を動かすことをやめられなくなっていった。それどころか理性的な考えや恐怖とは裏腹に、舌先が勝手にチンポをれろれろと舐めほじる。女の胎に突き付けて子種を放出する銃身を挑発する。その積極的な舌遣いにはルール違反を犯していることに気づかれたいと思っている節が込められていることはもう、否定できない。  不安を押しのけてしまうほどの大きな感情……つまりは、期待が込められていた。 (っ…あっ、あっ……♡ 私が、先生の言いつけ守らないでっ、勝手にチンポにむしゃぶりつく『女』だってこと、バレたらまずいんじゃっ……♡♡ で、でもっ、私のことほったらかしにする先生も、悪くないですか……!? っっ……く、ぅっ……♡♡ ほらっ、私っ、フェラしちゃってますよっ♡ 先生に駄目って言われたのに、勝手にれろれろ舐めちゃってますよっ…♡ っ……ねぇっ……♡ こっち、み、みて、くださいっ……♡♡ みてくださいっ……♡♡ 『こっち見ろ』だなんて、もう思ってませんからっ……♡ 見てくださいっ、私のフェラ見てくださいっ……♡♡) 「れろれろれろっ…♡ れぉん、れぉん、れぇろれろぉぉ……♡ れぅぇぅぇぅ……♡ れぇう、れろれろぉ~~~……んぇ?」  今度こそ先生が振り向いてくれるまで挑発的なフェラでアピールするつもりになったアコの舌先から、突然、生臭いオスの熱が消失する。怪訝に思った彼女が視線を下げると、先生の手がチンポの根元をしっかりと握っているのが見えた。  その直後だった。筋骨隆々に膨らんだ肉の竿が大きく振りかぶられ、面打ちする竹刀のように勢いよくアコの顔面へと振り下ろされたのは。  べちんッッッ♡♡♡ 「ッッッッ!?!?♡♡♡」  アコには一瞬、何が起きたのかわからなかった。ただ、人生ではじめて男に顔をぶたれた衝撃が、委縮しきった脳みそに軽度のアクメを引き起こしていた。 「えっ、ぁ、ぇっ……」  目の前の現実だけはくだらない言い訳も、つまらない嘘に飾られてもいない。  ひりひりと痛む鼻先。毎日手入れをかかさない髪にまで飛沫した我慢汁。そして怒髪天を衝く勢いで反り返っているチンポ。すべてが状況を物語っているが、それでもかみ砕けず呆けているメスに、気つけが飛ぶ。 「アコ。お前何勝手に舐めてんだオイ」 「ぇ、ぁっ、ぇっ……」  まるで体の内側に送り込まれた拡声器から直接腹の底に響かせるかのようなドスの効いた低い声でどやされ、たまらずアコは全身をぶるぶるっとふるわせた。ゲヘナの模範生に数えられる彼女にとって、ただでさえ誰かに叱られた経験は皆無に等しい。  理知利口が取り柄の生娘は、大人の男の本気の怒気を前に怯みあがった。 「しゃぶっていいなんて言ってねぇだろーが」 「っ、ぁ……はいっ……」  そもそも、叱ると怒るはちがう。前者が相手に何かを諭す教育的意義が強いのに対し、後者はフラストレーションをぶつける感情の発露に他ならない。そして今、彼女にぶつけられているものはアコの“もどき”とはちがう、まぎれもない怒りである。  自分が既に生徒のひとりではなく、粗相を犯した女として見做されている。そのニュアンスを吊りあがった瞳から読み取ったアコは、心臓を鷲掴みにされているかのような緊張の中にあって、下腹部がじんじんと疼くのを感じていた。 (あ、ぁ、これが、お、お説教っっ……♡ わ、私っ、怒られてるっ……! 怒られちゃってるっ……♡♡ こんなに自分本位に女の子を見下してる先生の顔なんてっ、見たことないっ……♡)    静謐な苛立ちを宿しながらも、全てを見透かす裁定者のごとき心眼がアコを真っすぐに射竦める。そこには小賢しいメスの魂胆を暴き立てる、怜悧な光が宿っていた。  かの瞳はこう言っている――『お前は散々「奪われた尊厳を回復する」だとか、「一矢報いてやる」だとか威勢だけ一丁前な方便を垂れていたが、それは所詮弁を弄した建前でしかないだろう』、と。 「ぁっ…ぁ…♡」  周りに大人も男もいない世界でぬくぬくと肥えていた女の自尊心。それを直接どやしつけられ、心臓とお腹の奥がきゅぅきゅぅ縮み上がる。先生が自分の特等席でふんぞり返っていることに苛立ちを募らせていた自体が、そもそもとんでもない不敬だったのではないか。もはや大前提すら疑い始めている。本能に組み込まれている狩られる側の遺伝子が「とっとと己の過ちを認めて目の前のオスに遜れ」としきりに降参の勧告を促しているみたいだった。 「なぁ、おいコラ」 「っっ…♡」  それでもなけなしの意地が、アコの中にある言い分を必死に膨らませる。 (っ、た、確かにっ……約束を反故にしたのは確かに私ですけどっ…!でもっ、だってっ……!!)  その動機はほとんどが屁理屈にすぎないものだった。しかし、アコはどうしても今謝るわけにはいかなかった。次から次へと繕った言い訳の中には、れっきとした彼女の本心も埋もれていたからだ。偽りの怒りの陰に秘匿した思いは確実にあって、今なおその一心は消えずに燻ぶっている。その気持ちが嘘でないことだけは、せめて伝えなければ死んでも死にきれなかった。  アコは目線よりも高い位置に屹立するマラへ恭しく近づくと、かろうじて届く位置の尿道がぼっこりと隆起した裏筋に唇を這わせた。そして自分の正直な気持ちを行動で示して陳情するべく、チンポにちゅぱちゅぱと甘え始めた。   「むちゅっ……♡ はぁ、むっ…んぅぅ~っ……ちゅっ♡ はむっ……ちゅっ♡ はむはむはむっ……♡♡」  すり、すり、すり……♡  ぶっ叩かれたばかりの顔面を使っての頬ずり。竿の汚れをその端正な顔立ちで拭い取り、垂れてきたカウパーごと唇がチンポにまとわりついて、これをねぎらう。不本意そうな上目遣いは相変わらずだが、心を砕いた丁寧な奉仕っぷりには敵愾心とは正反対の気持ちが透けていた。 「むちゅっ……♡♡ むちゅむちゅむちゅぅぅ~~っ……♡♡」 (だって、だってだってだってっ……!! さみしかったんですもんっっ……!!) 「ちゅぅぅ~~っっ……♡♡ ちゅっっ♡ むちゅっ……ちゅぅぅっ♡♡ むちゅっ♡ ちゅっ♡ちゅぅぅ〜〜っ♡♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅぅぅぅ~~~っっっ♡♡♡」 (確かに私が悪いですけどっ……そんなに、怒らなくてもいいじゃないですかっ……!! 私っ、初めてのキスだったんですよっ!? それをおちんちんに捧げたのにっ!! 恥ずかしいのがまんしてがんばったのにぃっ……!! なんでっ、なんでぜんぜん、見てくれないんですかっ♡♡ 優しくほめてくれないんですかぁっ……♡♡)  溜め込んだ鬱憤をまくしたてる勢いで、アコは聳え立つ男性器に口づけの雨を降らせてゆく。これまでの生意気な唇遣いとは打って変わって、強がりな態度を取り続けていた自らの非を釈明しようとするいじらしさが詰まっているキスだった。  かまってもらいたいがばかりに偽りの敵意を燃やして思い上がりを抱き、しまいには約束を破ってチンポに舌まで伸ばしたことへの謝罪。オス様の怒りを収めていただくため、媚びへつらおうとするメスの本能。そこにほんのちょっとの拗ねた気持ちが加わって、細まった瞳が何かをせがんでうるうると揺れる。 「ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅぅっ♡」 (私だってこれぐらいできますっ♡ できるんですからっ…♡ ほら、見てくださいっ。私だって、今はあなたに仕える女の子なんですよっ……♡♡ だからっっ……ね、ねぇっ……♡♡ ねぇってばぁっ……♡ そんなに怖い目で睨まなくてもいいじゃないですかっ……♡♡ す、すっ…すみませんでしたっ……♡♡ すみませんでしたぁッ……♡♡ だからっ……ゆ、許してくださいっ……♡♡ 怒らないでくださいっ……♡♡)  無言の圧力を伴った鷹揚な視線にじぃっと見下されても、アコはチンポから顔を離さない。卑しい女だと軽蔑されているのかもしれない。癪に障る女だと疎ましがられているのかもしれない。けれどたとえそうであったとしても、ようやく視線を寄こしてもらえたことが嬉しくて、その返礼としてできる限りのおもてなしをしなければならないという使命感がはたらいていた。 「ちゅっ……♡ っ!? ぇ、ぁ……♡」  弁解と告白が入り混じったチンポキスの最中、先生の手がおもむろに伸びてくる。叱られると思って反射的に両目を瞑ったアコだったが、ガサツな手つきで髪をわしわしと撫でつけられたと知ると、おそるおそる目を開いた。  そして、真っすぐに見下してくれる瞳と見つめ合って、理解する。 (あっ♡ あ、ぁ、ぁっ♡♡ もうっ! もうっっ……♡♡ 褒めるのおそいっっ♡♡ 私、寂しかったんですからっ♡ おちんちんキス無視されてっ、悔しかったんですからっ♡♡ 怒られたのだってっ、すっごく怖かったんですからぁっ……♡♡)  箸に割り入れられた生卵の黄身みたく、どろどろと漏れ出してくる本音の数々。立場や体裁に固執し続けてきたドライな女の上に、無視し続けていたウェットな気持ちが降り注ぐ。 「こら」 「っっ……♡」 「睨むのはいいけど、頬ずりはやめんなよ」 「………は、いっ…♡」  すり、すり、すりっ♡  すぅり…すりすりすり♡  下された命令に従うことが失態を取り返すチャンスだと感じ、アコはその真っ白な頬を躊躇いなくチンポを撫でるために差し出した。むわりと香り立つオス臭さのせいで、たまらず眉間に皺が寄る。そうして不本意そうに見える顔をしておきながら、人懐っこい……否、“チンポ懐っこい”頬ずりをするギャップがエロスを引き立てており、先生もまた同じように眉間に皺をつくった。 「ふぅぅーーっ……あー、くそ」 「んぅぅ……ちゅっ、ちゅっ♡♡」 (そうですっ♡ ちゃんと、そうやって、見ててくださいっ♡ おちんちんに媚びつくためにっ、女の子が恥ずかしい目に遭ってるんですからっ、ちゃんと見てっ♡ 見てっ、見てくださいっ……♡♡ 目を離すなんて許しませんよっ……♡♡) 「はーっ……それやば。顰めツラのくせしてうやうやしいの反則だろ……」  快楽を帯びてしっとりと湿った、大人の男性が腹の底から絞り出した野太い声。それを聞いたアコの心臓は強く激しく高鳴った。『もっともっとこのオスを悦ばせたい』という気持ちが子宮の炉に熱をくべる。粗相の償いという意味でも、先生の気を惹く意味でも、この程度では全然物足りない。 「あ、あのっ……♡」 「あ゛ー……?」 「こんなのでっ、射精する、つもりですかっ……♡」 「どういう意味?チンポ頬ずり女」 「そ、のっ……舐めて…あげても…いい、ですよっ……♡」  性懲りもなく本心を繕いかけた悪癖を咎める鋭い眼光が、彼女に言葉を選び直させる。 「ぁ……じゃなくてっ……舐め、て、あげたい、んですけど……♡」 「ほぉーん……まぁ、嘘つかなくなっただけマシか。にしても、はじめは“絶対に吠え面かかせてやります”とか言ってた癖に、今はチンポ舐めてぇんだ?」 「そ、れはっ……♡♡」  “敗者は勝者の生殖器に奉仕する”―――先生との賭けに負け続けて痺れをきらしたアコが、互いの尊厳を賭けると銘打って一方的に持ち掛けたルール。そうとも、この一連の行為の原因は彼女の無茶苦茶な癇癪に端を発した騒動だ。結果、自らの設けたルールで汚泥を被ったのだから、改めてその事情を持ち出されてしまってはアコに反論の余地はない。 「じゃあ、どっち転んでも自分が得するような勝負持ち掛けてきたんだァ。ふぅーん、小賢しい変態女だったんだね、アコちゃんは」 「うぐぅぅっ…♡♡」  ヒナのペット。横乳見せびらかし女。いちばん風紀乱してる風紀委員の名折れ。頭脳担当のくせに知性の足りない風刺画ファッションモデル。品性の欠落した体に、品性の欠落した衣服を纏った痴女。巷で噂される数々の悪評はアコの耳には届いても、心にまでは届かないものばかりだった。だが、先生から吐きつけられた“小賢しい変態女”の一言は、堅固な心の殻もろとも羞恥心を的確に射貫く。 「なァ、変態アコちゃん」 「や、それ、やめっ……♡」 「本気で俺にクンニさせるつもりだったの?」 「ほ、本気でしたってば……!」 「あー、ちがう。聞き方変えるね。クンニしてもらうの、楽しみにしてた?」 「っ、ぁっ……♡♡」  重ったるい乳に比して華奢すぎる肩がびくんと跳ねる。チンポビンタからの説教を経て先生をお仕えすべきオスと称え遜ってしまったメスの本能が虚偽の申告を許さない誠実さを獲得してしまった今、その問いかけは彼女の“もっとも打ち明けたくない部分”ですら容赦なく引きずり出す。普段の温和な先生からは想像もつかない堂々たる威圧感の前では、自分がどうしようもなくただ一匹の女でしかないことをアコは思い知った。 (っっ……♡ ぁ、ぁ、やだっ……♡おちんちんに頬ずりしながら、打ち明けたくなんかないのにっ……♡ やだっ、やだ、やだやだぁっ……♡♡ 本当にやだぁっ……♡♡ こんな、こんなことになるならっ……もっと、もっとちゃんと伝えたかったのにぃっ……♡♡ ばかっ……私のばかっ、ばかっ、ばかぁっ……♡♡)  視線を外せない。体裁を繕えない。明け渡さずにはいられない。どくどくと早鐘を打つ心臓の鼓動に押し出されて、心の奥底に沈めていた気持ちがせりあがってくる。本当は駆け引きや強がりといった煩わしさのないフラットな状態で打ち明けたかった――そんなふうに後悔する自分をやけくそ気味に詰る心とは別に、本能に支配された唇が秘密を自白をしようと動く。 「……っ、し、てま――「俺はすっごい楽しみにしてたよ」――えっ、ぁっ」 「歯止め効かなくなんないように、ちゅーだけの約束にしたけどさ。ずぅーっと金玉に精子貯めてきたし」 「ぁ、ぁ、ぁっ」 「だから、すっげーイラついちゃっててごめんな。怖かったよね?」 「う、ぁ、ぅぅ~~っっ……♡」  突然告白を遮られたばかりか、先生もまた自分と同じように情熱的な気持ちを抱いていたことを告げられて、アコは瞳が熱で潤んでゆくのを感じていた。あれだけふてぶてしい態度を取っていながらも、彼の不興を買ったわけではなかった。本気の嫌悪を向けられていたわけではなかった。そう察したがゆえの安堵で、今にも張り裂けそうだった緊張がじんわりと氷解してゆく。 (あ、ぁ、ずるいっ……ずるいっ♡♡ それ今言うの、反則じゃないですかっっ……♡♡) 「で、俺がすげぇイラついちゃってたのと同じで、アコもそんだけ楽しみにしててくれたのかなーって」 「っっ……♡♡」  ごくり、とアコは息を呑む。あらかじめ用意していた『バター犬のようにおまんこを舐めさせて、先生に屈辱を与えるつもりでした』という言い訳を取り繕う予定ではあったが、身体はじんじんと熱いのにもう反論する気は微塵もなくなっていた。  アコは回数こそそれほどではないものの、その分たっぷりと時間をかけてオナニーをするタイプだ。特に万魔殿の嫌がらせで本来不要な雑務を押し付けられたり、緊急要請で非番を台無しにされたりした日の深夜は自らを慰めずにはいられない。お気に入りのバスボムを使って熱くやわらかく香り付けした体におおよそルームウェアとは呼べないようなシースルーのネグリジェを纏わせて、昂った気を静めるデトックスオナニーに勤しむのが日課と化している。  それが、この二週間はどうだ。ストレス発散のための行為のはずが、暇さえあれば毎秒のように先生と取り結んだ約束のことばかり考えていた。ムラムライライラした気持ちを糧に、毎晩毎晩ベッドのうえで「勝つっ…勝つっ、ぜったい勝つっ……♡」などと独り言の自己暗示をかけながら、ケツを浮かせて乳揉みまんこ弄り。当然、妄想するのは徹夜明けのメス臭おまんこを丁寧に舐めまわされている一幕。だが、たとえ妄想の中であっても先生はすごく意地悪だった。敏感なクリトリスをちょんちょん小突いてきたり小陰唇を広げるようにしたりして、アコを悶えさせるだけ悶えさせるくせに、肝心なところで攻めの手をおろそかにして絶頂へと押し上げてはくれない。その妄想に倣ってアコもまた繰り返し寸前で指を止めた。アクメを渇望する体の悲鳴を無視して、先生の大きな手のひらに見立ててめいっぱい指を広げた手で乳をゆったりと揉みしだき、キュンキュン疼く下腹部を撫でまわす。そうやって自分で自分を嬲っておきながら、その全てを瞼の裏に思い描いた先生のせいにして、半泣きになって罵詈雑言を吐きつける。  そんなオナニーばかり毎日続けていれば、ワーカーホリックのヒナにすら心配される『イライラアコちゃん』も出来上がろうというもの。積もりに積もった莫大な鬱憤は、同じだけの期待を膨らませていたからこそ生じたものだ。その正体と向き合うことができた今、もうイライラには急かされない。むしろそんな自分の苦悩を、先生には知ってほしいとさえ思う気持ちがアコにはあった。 「し……て、ました」 「何を?」 「っ……せ、先生と、えっちなこと、するのっ……楽しみにしてましたっ……♡」 「クンニさせたかったんじゃないの?」 「それはっ……! そう、なんです、けどっ……♡」 「けど?」 「こういう事態もっ…想定、してたと言いますか……」 「女扱いされることを?」 「っ……ちゅっ……♡」  返答の代わりにリップ音が鳴る。耳をすませていなければ聞き洩らしてしまいかねないほどかすかな啄み。そこには快楽に訴えかけるための乱暴な誘惑も、男の気を惹こうと一生懸命な嫉妬心もなく、さながら花も恥じらう乙女が交わす初めての口づけのような初々しくも切実な好意だけが含まれていた。 「……むちゅっ♡」  ビキビキビキッ♡♡  チンポは寛大だ。それまでにいくら不躾な態度を取っていようとも、オスに真っすぐ求愛することもままならないひねくれた女であろうとも。媚びつく態度ですり寄ってきたならば、その女を己のメスと見做して受け入れる度量がある。  よく肥えたミミズのような太い血管が笠の膨張に合わせて浮き上がる胎動は、まさしくチンポが「俺のモノにしてやる」と息巻く本当の意味での勃起であった。 「……は? えっ……えっ……!? も、もっと大きくなるんですかっ、これっ……♡ え、ぁ、すごっ……♡ おっきぃっ、おっきすぎっ……♡♡」  生殖がてら女の胎の中を徹底的にイジメ抜く凶悪なシルエット。大きい、どころの騒ぎではない。目の前に屹立するチンポはアコがベッド下のオモチャ箱に隠しているどんなディルドよりも太く長く、そしてハリボテにはない、女を孕ませる気概に満ち溢れている。  アコの背にぞくぞくと悪寒が走る。孕まされることがリスクであると̪識っている女の身体は、本能的にチンポを怖いと思い込むものだ。だがそのギラギラした亀頭の放つ不思議な魅力に視線が惹きつけられる。それどころか見つめ続けているうちに、瞳の奥から熱いものが溢れ出してきた。今まで必死に堪えて隠して我慢し続けていた発情したメスの潤いが涙となってとうとう溢れ出してしまったのだとアコは思った。 (あっ、ぁっ♡ 指やオモチャとは比べ物にならないっ……♡ これが、こんなグロテスクで凶器みたいなものがっ、女の子の大切な場所に押し入ってきてっ、処女膜をぶちぶち破ってっ、さんざんお腹の中をかきまわしてっ、おまんこの形を変えまくった挙句っ……手前勝手に子種をびゅーびゅー蒔いて、孕ませるんですねっ……♡ そんなに私が、エロいんですかっ……♡ いじめたいんですかっ……♡♡)  アコには自分が可愛げのない女だという自覚はあった。そもそも異性に気に入られたいと思ったことはないし、可愛がられるための人相づくりもまっぴらだった。好かれるのはどうせ身体だけ。ゆえにこそ気を許すまいと強情な態度を貫いてきたというのに、いざこうして女を孕ませる凶悪な銃身に狙いを定められると子宮がじゅくじゅくにとろけてゆく。 (お腹の奥あっつッ…♡ 膣がもぐもぐ蠢いてるっ…♡ おいちょっと私の身体っ、なにうれしくなってるんですかっ♡ 勝手に悦ばないでって言ってるでしょっ♡ 嬉しくなっちゃダメだってばっ♡ あーもうっ、なんでこんなにチョロいんですかっ♡ 先生は私の身体だけが好きなんですから、勘違いしちゃダメだってぇっ……♡♡ 心を許しちゃっ、ダメっ…ダメなのにっ…♡ 飽きたらっ、ぜったいすぐ捨てられちゃうに決まってるっ……♡)  今にも快楽に靡きそうなメスの顔つきをしていながら、最後の一歩が踏み出せずにいる不器用で意地っ張りで臆病な女。引っ張り出してやったばかりなのに、もうまた葛藤の沼に沈みかけている。その様子を先生は黙って見守り続けていたものの、あまりにぐずぐずやっているものだから、とうとう痺れを切らして唇に無理やりマラ先を押し付けた。 「っ……んむぅっ!?」 「嘘でチンポが勃つかよ。好きな女が可愛くてこうなってんの」 「んむぅ…ぅっ♡ う、うそぉっ…ちゅ…♡ ぜったいうそぉっ……♡」  いじけた声色でアコは先生の言葉を突き放そうとする。その一方、我が物顔をして唇にべったり塗りたくられているチンポを払いのけようともしない。ヒナお気に入りの口紅の色を奪いながら動き回っているにもかかわらず、だ。  このちぐはぐさこそがまさにアコの面倒臭さを表している。わざと逆らった態度を取るのは、つまるところ心のうちに抱えている不安をもっと強く肯定してほしいから。なんでもないように言い放った「好きな女」だの、「可愛い」だの、心臓と子宮が諸共にときめかされる台詞のおかわりを、面と向かっては要求できないので拗ねたふりをしているだけ。  けれども、ギンギンに反り返って唇の割れ目から挿入の機会を伺っているチンポを跳ねのけられていない時点で、彼女の真意は見え透いたものであった。 「嘘じゃないってば。ヤリモクだったらもっと好き勝手してるよ。だろ?」 「っっ、そ、れは……♡♡」 「好きだよ、アコちゃん」 「あっ…♡」  逃げ道を全て潰されたところへ少々強引に甘やかな雰囲気を浴びせられ、アコの心臓は木の橋を走り抜ける馬の蹄のような大きな音をたててときめいた。すっかり拗らせていた高慢さが真摯に注がれる先生からの熱で溶け落ち、花園に秘匿されていた乙女の心が表出する。 「はい、俺は言ったよ。アコの気持ちも聞きたいな。俺のチンポ、どう? 好き、は難しいだろうからさ、せめて、正直な感想くらい聞かせてよ」 「うっ、ぁっ……」 「ねぇ、アコ。怖い? 臭い? それとも、かっこいい?」 「……か……か、っこいい、ですっ……♡」 「じゃあ、キスして?」 「……ん…ちゅっ♡」  Оの字型につくった唇が静かに吸い付いてリップ音を鳴らす。これまでしていたオスを振り向かせるための乱暴で手前勝手なキスフェラとは一線を画す、女の唇の感触をチンポに堪能してもらおうとする意思の籠った口づけだ。  先生への敵愾心と完全に折り合いをつけられたわけではない。けれども人格はともあれ優れた才能には敬意を払わなければならないように、この引き絞られた剛弓さながらのチンポには「これなら女の子をイジメたくなってもしょうがない。女の子はイジメられても仕方ない」と思わせるほどの説得力が伴っており、おかげでアコは素直な心で遜ることができた。 「うわ、キスめっちゃ丁寧」 「っっ……♡」 「なんで睨むのさ」 「ちゅっ……♡ …んっとに、ムカつき、ますっ……♡ ムカつくのにっ…ちゅっ……♡ なんで、こんなにっ、かっこいいんですかっ……♡ さい、あくっ……♡ さいあくぅっ……ちゅっ♡」 「あ゛ー……好き。好きだよ、アコちゃん」 「ちゅっちゅっちゅぅぅ~~っっ……♡♡」 「顰めツラ上目遣いかわいすぎ。チンポくっそイライラする」 「わ、私だってっ…お、おまんこイライラしますっ……♡♡」 「チンポしゃぶってもらいてー……」 「っ、ぁ」 「アコの口ん中あったけぇんだろーなァ……寂しいなァ……」 「っっ……♡♡」  いくら恭しく尽くそうともやはり唇を押し当てるだけではもどかしいらしく、先生の台詞にはため息が多く混じり声色も揺れるようになった。その声を聞くたびになぜだか胸が締め付けられる感じがしていたのだが、その正体が――メスの役目を十分に果たしきれないでいることへの申し訳なさ――いわゆる罪悪感と呼ばれるものであると気づいた今、アコは自分がかなり取り返しのつかない状態であることを自覚せざるをえなくなった。 「あ、のっ……♡」 「んぁ…?」 「わたしは、いい、ですよ」 「……なにを?」 「だから、そのっ……フェラ、してもっ……♡」 「それはアコの意思で?」 「っ……そう、ですっ…♡ わたしが、してあげたいんですけどっ……だめ、ですか…♡」  頬ずりをして、チークをべったりとチンポに塗りたくる。声のトーンこそツンとしているが、やはりさっき怒られたことを思い出すのか、台詞が尻すぼみになっていてどことなく不安げだ。ぶっきらぼうを装った瞳の中には潤んだ熱がゆらめいている。  彼女なりに勇気を振り絞って本心を打ち明けているのだ、というニュアンスを先生は汲み取った。 「……いいよ。じゃあ、気持ちよくしてくれる?」 「ぇ……ぁ、はい」 「あ、もっとキツイ命令口調がよかった?」 「……まぁ、そう、です、かね……♡」  これはもう生徒のおねだりではなく、れっきとしたメスからの誘惑。右へ左へと視線を彷徨わせて曖昧にお茶を濁そうとする恥じらいが、大人のオスが社会的な動物であるために押し殺している暴力性をぞわぞわっと掻き立てる。こんなふうに劣情をほのめかされては、大人でも“大人しく”していられるべくもない。  先生は足の先に引っ掛けていた校内用の上履きを脱ぎ、蹲踞のポーズをするアコの太ももにどっかりと素足を乗せた。従えているメスのむちっとした肉の感触を足の裏でむにゅむにゅと確かめながら、まるで肺の中にある空気を全て入れ替えるように大きなため息をつく。そうしてたっぷりと威厳を漲らせ、女に一言、義務の遂行を申し付けた。 「――しゃぶれ」 「っ、はいっ…♡ ん、ぁぁ…っ♡ れろぉ…っん♡ んぢゅぅっ……ぢゅぅっ……♡」 《後編に続く》


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