裏社会の技術者、茉姫の苦難⑤
Added 2024-01-19 12:35:24 +0000 UTC度重なるくすぐり装置実験によって、我慢強い私ですら耐えられない程のくすぐりを味わってみたい、常人を超えるくすぐったさを体感してみたいと思うようになった。つまり私の我慢強さと私の技術力の戦いである。一度こうしたいと思ったら止まらない私は、早速行動に移った。幸い、今は音葉からの新たな依頼は無いし、他の顧客からの依頼は既成品の納品のみで、そう時間の掛かる事ではない為、研究に没頭出来る。 茉姫 「まずは……、やっぱりくすぐりにより弱くなる装置ね。これさえあれば、あの触手ですら我慢出来なくなるかも知れないし。」 これまでの経験から、焦らし責めというのがより敏感になる要素だけど、それはあくまで一時的。となると作るべきはくすぐり装置ではなく、人に直接効果を与える何か。つまり薬物の類である。 茉姫 「身体に直接投与する物はやっぱり危険よね。あ、肌に直接塗り込む軟膏の様な薬を作ってみようかしら。」 軟膏、つまりクリーム状の塗り薬。肌に塗って浸透させ、その部分だけくすぐりに対し敏感にさせる。それが持続すれば常にくすぐりに弱い身体を作れる筈だ。これが上手くいけば、我慢強い私も普通のくすぐりマシンで我慢も出来ずに笑い出せるかも知れない。勿論それは私の我慢強さ次第だし、どっちにしろワキを激しくくすぐられたら笑ってしまうだろうけど……。それでも、軽く優しいくすぐりにすら耐えられず笑ってしまう程の、敏感な身体というものに興味が湧いてしまったのだ。 早速軟膏の製作に取り掛かるのだが、具体的にどの様な成分を付与するべきか。とにかく、まずは思ったままに作ってみる。研究とはそういうものだし、そこから私は試行錯誤して新たな技術を身に着けてきた。 製作開始から3日。2種類の試作品が完成した。普段ならもっとスムーズに作れるのだが、このワキに触れ続けているマジックハンドが、やっぱりくすぐったくて集中出来ない。でもこのマジックハンドも、私の肌をより敏感にする要素であり、我慢強さを身に着けた物でもある。いっそこのマジックハンドの動きも私なりに改造してみたい。 まず1つ目の作品は、痒みを誘発する成分を混ぜ込んだ軟膏。むず痒い感覚を与える焦らし責めの効果を利用し、痒みをワキに与える事で敏感になるのではないか、という発想だ。 茉姫 「この試作品は、右ワキで実験してみようかしら。」 右腕を上げて、そこへ試作品の軟膏を人差し指で塗っていく。塗った所が徐々にワキへ浸透していき、それと同時に僅かな痒みが表われ始めた。 茉姫 「んっ……、これは、思ったより辛いけど、んん……!良い、実験に…なりそうね…!」 右ワキが痒みに襲われムズムズしてきた。これは焦らし責めをされている様で、中々に期待が出来る。そこで私はすぐに2つ目の試作品を手に取った。 茉姫 「今度は、こっちの軟膏を左ワキに……。」 試作品を2種類作った理由はこれだ。左右のワキで塗り分けて実験することで、効力を比較出来るし、同時に研究出来て時間の短縮にもなるのだ。 この2つ目の軟膏は、媚薬を混ぜたボディクリーム。媚薬のイメージは飲み物タイプで口から体内に接種させるのがメジャーだが、香水タイプや塗り薬タイプもある。その塗り薬を強力なものに作り変え、肌の滑りを良くするボディクリームと混ぜ合わせた物だ。 茉姫 「う〜ん、やっぱりこっちは体感は変わらないわね。」 いくら成分を強力にしても、塗り薬タイプの媚薬では瞬間に効果は出ない様だ。そもそも、ワキに媚薬を付けてどう変わるのかも未知の領域だが、これもまた良い実験結果であり、継続もまた実験には必要不可欠だ。毎日これを繰り返しながら私のワキの変化を記録しつつ、実際にくすぐって感度を確かめていく。 そこで私は、くすぐり方を自由に調整できる音声認識機能を備えた左右の対となる2つのマジックハンドの製作に取り掛かった。指で激しくくすぐるのは勿論、撫でるようにくすぐったり、優しく引っ掻くようにくすぐったりと、様々な行動を音声で命令し、それに従いくすぐりを行えるマシンだ。停止や作動も音声で行えるようにする事で、私が拘束された状態でも操作出来る。 そして更に、そのマジックハンドがくすぐった部分の感度を数値化出来る様にする。これは私が捕まった時の拘束マシンの技術を使う事で可能になるだろう。つまり、そう難しい技術を必要としないマシンであり、私の技術力なら一日で出来るだろう。 それを明日から実験として使用しつつ、私のワキの感度を記録するとしよう。と、思い作業に取り掛かったのだが、私のワキを常に捉えているマジックハンドがやはり厄介だった。 茉姫 「んんっ……。っふふ、んふぅ……。」 特に右ワキ。痒み成分を与えたワキにそのマジックハンドの指が触れている事で、いつもよりくすぐったさが増したのだ。実験的にはワキを敏感にするという目的に沿っている為、嬉しい事ではある。だが、いざそれを受ける立場に戻ると、軟膏による痒みもあって常に右ワキがくすぐったい。こんな状態では手元も思うように動かせず、かなり作業に支障をきたしてしまっている。 茉姫 「んっく……!んんっふふ、くふふふ……。」 それでもこの新たなマジックハンドは一日で完成させたい。でないと初日の結果が判断出来ない。ちゃんと考えてから実験するべきだったと今更後悔しながら、私は必死に作業に取り掛かった。 茉姫 「ふぅ……。何とか操作型マジックハンドも出来たし、んっ……!……ふぅ、後は日々実験を繰り返していく訳だけど……、んん……、これって私が毎日くすぐられるって事よね……。」 一日この右ワキのくすぐったさと戦いながら作業している内に少し刺激に慣れたのもあって、何とかマジックハンドは完成に間に合った。これで無事にこの実験が進められる。 だが、一度何か考えたら製作し実験して結果を出さないと気が済まない、という私の悪いクセで後先考えず行動してしまった結果、改めて考えると自分で自分をくすぐる実験をしようという訳か……。まあ、私自身の我慢強さと私の技術力で戦おうとしてる時点で仕方ない事だろう……。 茉姫 「この実験そのものは、んん……、ん、楽しみの方が強いし、……今更考えてても、っく、仕方…、ないわよね。」 昨日ワキに軟膏を塗ってからもうすぐ丁度24時間。毎回その時間に計測する為、逆算するとそろそろ実験の準備に取り掛かった方が良さそうだ。 マジックハンドに私がくすぐられるという事は、逆に言えば私はそのマジックハンドによるくすぐりを受けながら、ワキを晒し続けなければならない。だが、私にそんな事出来る筈もない。だからこの部屋には、私が作り上げた作品を実験する為に、拘束装置が用意されている。 拘束装置が埋め込まれた壁には様々な設定が出来る様に複数のボタンやスイッチとモニターがある。私が設定したくすぐり実験の時間は10分。少なくともその間は私が拘束されていなければならない。実験開始予定時刻まで後5分弱。だから私はタイマーを15分に設定し、拘束された状態で実験開始予定時刻を迎え、そのまま実験終了まで拘束され続ける事にした。 茉姫 「タイマーは15分、拘束の姿勢は……、バンザイ。拘束場所は、両手首、腰、両足首……っと。」 必要な設定を終えた私は、その壁に背を向けまずは「気を付け」の姿勢でその場に立った。その後、両脚を肩幅より少し大きめに開き、両腕は少しだけ左右に開きそのまま姿勢をキープする。 『対象ヲ確認。起動シマス。』 壁から音声が聞こえると、私の姿勢に合わせて足枷と腰を括る金属のベルト、そして手枷が装着される。そして私の両サイドから頭上まである、壁に敷かれたレールを手枷がゆっけりと移動していく。それにより両腕は徐々にレールに沿って移動し、肩の高さを越えガチャンと音を立てると、両腕を頭上に真っ直ぐ伸ばした「バンザイ」の姿勢で止まった。この拘束の姿勢が完了してから設定時間、つまり15分はこのまま一切動く事は出来ない。 茉姫 「………ふぅ。んっく……、やっぱりこの姿勢でくすぐられるのは、……んふぅ……、き、緊張するわね……。」 実験開始予定時刻まで後1分。それまでのこの時間は、とてつもない緊張感に襲われ心臓がバクバクと鼓動してしまう。それと同時に、早く実験を始めたいというソワソワ感と、実験開始予定時刻まで待たなければならないもどかしさ、ただただくすぐられる事を待つ様に晒されたワキに感じる焦れったさ、そんな様々な感覚が私の脳内を支配し更に胸の鼓動が高鳴ってしまう。 そこへ更に追い打ちをかける様に、右ワキを痒み成分の軟膏が襲いかかる。大きく晒された無抵抗の右ワキに空気が触れるだけで痒みが増した様な錯覚を覚え、何だか今まで以上にムズムズする。しかも、私が常に装着させられているマジックハンド。これもまたワキを晒す姿勢になった事で、その存在そのものがくすぐったさを与えてくる。 こんな状態で更にマジックハンドでワキをくすぐろうと考えているのだ。相当くすぐったいのは間違いないだろう。それでも、私は全力で我慢しなければならない。寧ろこれで笑ってしまったら、実験にならないのだ。 茉姫 「んんっ……、そ、そろそろね。……ふぅ……………。っふぅ、マジックハンド、起動。」 実験開始の時間がいよいよ迫ってきた為、私はマジックハンドを起動させた。その声に合わせ動き始めたマジックハンドは、私からの更なる指示を待つようにその場に浮遊していた。ちなみに、この浮遊する技術は私が元々開発していた物で、それをマジックハンドに組み込んだ。ケーブルなどを繋いでいるとそれが邪魔になる可能性があり、実験に支障をきたすと思ったからだ。 茉姫 「くすぐりの対象は…、私。んっ…、ふぅ……、場所は両ワキ。責め方は、……人差し指による引っ掻き。時間は、10分。」 このマジックハンドは誰でも使える訳ではない。私をマスターと認識させている為、私の声にしか反応しない。だから一人称である“私”と言うだけで、くすぐる対象を“如月 茉姫”と認識出来る。あとはAIが人体の部位を記憶している為、ワキと言えばワキをくすぐるし、くすぐり方は予め私が記憶させている為、この程度の指示であとは自動で私をくすぐってくれる。 茉姫 「うぅ……、いよいよね……。」 私の指示に従い、2つのマジックハンドがジワジワと近づいてくる。ずっとワキに触れ続けるマジックハンドの存在も相まって、すでにむず痒いというか、くすぐったい。そんなすでに笑ってしまいそうな状態の中、私の実験は始まった。 茉姫 「んぃいいぃいっ!?っひっひっひっひっひっひっひっ…!やばっ……、くふふふふふふふふふ、くすぐったいぃ…!」 流石は私が作ったマジックハンド。理想通りの動きで私のワキを刺激してくる。まあ、マジックハンドのくすぐる動きは、ここですでに作られていた技術で、それを組み込んだだけなのだが。 そして肝心のくすぐったさ、つまり実験中のワキへ伝わる感覚の問題だが……。 茉姫 「んんっふふふふ……!くっ、ひひひひひひひ…!」 どちらも変化を感じない。まあ初日だしそんなすぐに結果が出るとも思ってはいなかった為、そこはまだ予想通り。 ただ問題なのは、痒み成分の軟膏を塗った右ワキ。ずっとむず痒くくすぐったさに近い感覚があったのに、くすぐられた瞬間その痒みが完全に消えてしまったのだ。 茉姫 「いっひひひひひひ、これは……、んん!っくくくく、もしかして……!」 痒みは、それより強い刺激を受けると感じなくなると聞いた事がある。痒い所を叩いたりしてヒリヒリと痛んでいる時に一時的に痒みが治まるのもそれが理由だ。つまり、くすぐったさによって“痒い”という感覚が消えてしまったのかも知れない。 それに加えこの人差し指で引っ掻くくすぐり方が、まさに痒い所を掻いてくれてる様に感じたのだ。それにより寧ろ少し気持ちよさすら感じる気がして、それがくすぐったさを抑えてしまっているような気もする。 茉姫 「くひっ、ひっひっひっひっひっひっひっひっひっ!んんっ……!っくくくくくくく!」 ちなみに媚薬クリームを塗ったひだりワキもくすぐったさが強くなった感じはしない。でもそれはあくまで感じ方の問題だ。感度の数値が変化すればそれがそのまま実験成功となる訳だ。 単調な動きを繰り返すマジックハンドのくすぐりに耐えた私は、拘束から解放されてからマジックハンドの数値を確認した。 茉姫 「ワキの感度は、どっちも90。やっぱり変化はないわね。」 そこに表示されていた90という数値は、私のワキの感度だ。私が最初にここへ潜入した時、音葉に言われた感度は89だったが、この一ヶ月で90に上がったらしい。ただこの生活を続けていても、これ以上の変化はないから安心しろと前に言われた。 茉姫 「まあ前代未聞の実験をしている訳だし、初日はこんなものね。」 若干期待しつつもやはり現実はそう簡単ではないと思い知らされた初日。それでも私はこの実験を毎日繰り返しながら、さらなるくすぐり拷問用の装置の開発に取り掛かった。 次に私が考えたのは音声認識によって自在に動く拘束具。つまり私が作ったマジックハンドの応用だが、機械が自立、浮遊し移動する技術はマジックハンドに搭載されている。つまり、これを手枷、足枷として製作。それを手首や足首に嵌め声で命令するだけで拘束できるのでは、と思った訳だ。 これに、自動でターゲットを捉え手足に嵌めてロックする機能まで付ければ、スパイを捉える罠として間違いなく機能する。例えば、自動でスパイの手首に嵌められた枷に、音葉が「上昇」などと指示を出す事で、枷が空中に浮遊しスパイの腕はそれに持ち上げられる。更に足も同様に固定し上昇させる事で空中でIの字拘束が完成するという訳だ。 茉姫 「これが完成したら、音葉に売り込んで買わせようかしら。」 音葉が買わずとも、この装置が出来れば間違いなく裏社会で殺到する人気商品になるだろう。くすぐりを拷問として採用していない企業でも使える拘束具であるが故に、需要は高い筈だ。 この拘束具を開発してから一週間。苦労はしたけど無事に完成した。顔認証されていない人間をターゲットとして自動認識し、即座に手首、足首に飛び掛かる。そして手錠の様にすぐに嵌められロックが掛かる。その瞬間、枷はその場に留まりターゲットがどれだけ力を込めても枷はその場で身動き出来なくなる。そして拘束完了の合図が使用者に届き、後はその使用者がターゲットを好きなように出来る。これが私の開発した拘束具である。 茉姫 「音葉、ちょっと私の部屋に来れる?」 音葉 『茉姫さんから連絡して頂けるなんて珍しいですね〜。良いですよ。すぐに行きますね〜。』 早速私は、自慢の装置を紹介するべく電話で音葉を呼び出した。 音葉 「お待たせしました。何でしょうか?」 茉姫 「ちょっとスパイ様に拘束具を作ったから、それを売り込もうと思ったのよ。……それ、何?」 私の部屋に来た音葉は、まるで機械をレーザー加工などする際に使用するようなゴツいゴーグルの様な物を頭に着けていた。その存在感が強過ぎて、思わずそれを確認せずにはいられなかった。 音葉 「相手を見るだけでその感度が見えるゴーグルを開発させたんです。まだ試作品で、しっかり相手がその素肌を数秒間晒さないと判断出来ないんですよ。」 茉姫 「何よそれ。全然実用性が無いじゃない。私ならもっと良い物作れるんだから、素直に私に依頼すれば良かったじゃない。」 音葉 「勿論考えましたよ?でも茉姫さんに依頼すると高いですからね〜。こちらの技術者で作れるならそれに越した事はないんですよ。」 茉姫 「まあ、マジックハンドの動きとか、AIの技術は確かに凄いと思ったけど、そっちの技術者って、元ある機能を活かした新しい機械を作るの不得意よね。」 音葉 「仰る通りですね。」 茉姫 「まあ私も無理にとは言わないけど。必要なら私に依頼しなさいよね。っと、それより、この枷なんだけど。」 私は早速枷の説明をした。やはり私の技術や発想力は秀でており、使い方やその機能を説明しただけで音葉はすぐに気に入ってくれた。 音葉 「コンパクトですし、トラップとしてもかなり良い性能ですね!流石は茉姫さんです。」 茉姫 「どう?早速なんなら私で実験してみる?一応こっちでも実験はしたけど、その機能を実際に見たいんじゃない?」 音葉 「まあ、そうですね〜。じゃあお願いします。」 私は枷の設定を変更できるタブレットで、私の顔認証を解除する。これにより枷に取り付けられた小型カメラが私を見つけた瞬間、私をターゲットとして捉えるのだ。 茉姫 「良いわよ。枷に指示を出して。」 音葉 「はい。では、索敵。」 音葉は「索敵」の指示を枷に送ると、自動で浮遊した枷がターゲットを探し動き出す。そして私を見つけるや否や、瞬時に私に飛びかかってくる。 枷のテストでもあるため、私は枷から逃げようと努めるが、あっさりと手首、足首を捕らえられてしまった。勿論、私が開発したからそうでなくては困るが。 枷に捕らえられた私は、立ったまま手足をその場で固定されたように動けなくなり、逃げる術を失う。 茉姫 「手足を捕らえたら、枷にはその場に留まる力が働くから、私はこのまま手足を動かす事が出来ないって訳。後は、タブレット操作で指示も出せるし、声による指示をタブレットか枷本体にすれば、その通りの体勢で私を拘束出来るわ。拘束方法も記憶させてるから。」 音葉 「成程。では、空中でX時に拘束。」 音葉の指示により、私を捕らえる4つの枷が動き出す。私を一度宙まで浮かせ、手足を斜めに伸ばすように枷が移動し、指示通り私をX時に拘束したのだ。 音葉 「良いですね〜。捕らえた直後の尋問にピッタリですね!」 茉姫 「そうね。もっと本格的に責める時に専用の拘束具を使うって感じで十分だと思うわ。この前作った触手をこれに導入出来るようにもしてあるし。」 音葉 「私もそれが理想だと思っていました❤相変わらずお高いですが、買わせて頂きます!」 相変わらず私の機械の金額には文句を言うが、それに見合った機械だと感じてくれたようで、無事買い取らせる事が出来た。 音葉 「あれ…?茉姫さん、ワキの感度が上がってますよ?」 茉姫 「えっ!?ホント?」 そう言えば、毎日同じ時間に記録しているから、今日はまだ実験はしていなかった。 音葉 「はい。でも左ワキだけ。右は前に測った時のまま90ですが、左は93になっています。」 左ワキは、媚薬クリームの方だ。しかも93という高数値。まさか今日になって急に跳ね上がるなんて事があるとは。 茉姫 「実は今、感度を上げる薬品を開発中で、私で実験している最中なのよ。ようやく効果が出たようね。」 音葉 「感度を上げる薬品?それ、商品化出来たら是非買わせて下さい!!」 茉姫 「急にテンション上がったわね。そんなに欲しいの?」 音葉 「当然ですよ〜!くすぐり拷問をメインにしてる組織ですよ?そのくすぐりが効かなかったら困りものですよ。感度を上げる薬品なんて最高じゃないですか!」 茉姫 「まあ、要はどんなスパイもくすぐりに弱くなる訳だから、必需品かもね。」 自分の感度の限界、些細な責めでも我慢出来なくなる、というのを求めていただけだったが、確かにこれが商品となればそれこそ全ての企業に売り付けられる良い物になるわ。 音葉 「その薬品が完成したら、色々応用品とかも出来ますか?」 茉姫 「う〜ん、そうね。…………あ、例えば、命の危険がない程度の、気絶させるレベルのガスみたいな物に配合させるのも面白そうよね。」 音葉 「成程〜。ガスを吸う事で気を失わせ、同時に身体を敏感にするんですね❤」 茉姫 「そういう事。」 音葉 「では、気絶ガスの方はこちらで開発しますので、そちらの商品化お待ちしております❤」 茉姫 「えぇ。必ず完成させてみせるわ。」 これは凄い発明になる。ガスに限らず、あらゆる物に媚薬作用を組み込めば、どんなスパイも屈してしまうだろう。それを確信し私は媚薬クリームの研究に力を入れる事にした。 茉姫 「ふぅ……、緊張してきたわ。」 そして今日の実験の時間になった。すでに感度が上がったと知ってしまったのはとんだネタバレだが、敏感になったと理解した上での初めてのくすぐり。緊張と同時に、未知のくすぐったさを味わえる喜びで、内心ドキドキしていた。 90から92に上がった事でどれ程のくすぐったさになるのかは分からないが、初めての変化に期待値が上がってしまう。 茉姫 「よし、くすぐり開始。」 いつもの様に壁に拘束された私は、マジックハンドに自分をくすぐるように指示をする。そしてそれに従ったマジックハンドは、私のワキを人差し指でくすぐり始めた。 茉姫 「んぎぃいいいいいぃぃいぃいっひひひひひひひひひひひひひ、これっ、くひひひひひひひひひひひやばぃいひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 右ワキへの刺激はいつもと変わらない。だが、敏感になった左ワキへの刺激はとてつもなかった。ただ人差し指で引っ掻くようにくすぐられているだけなのに、くすぐったいという刺激が左ワキから脳へと送り込まれ、無理矢理笑わせようとしてくる。 茉姫 「くひひひひひひひひひ、無理ぃいい…!いぁっはははははははははははははははははははは!!これ無理ぃぃい、ひははははははははははははははははははははははは!!」 こんな単調で優しいくすぐりに、私はあっけなく笑わされてしまった。こんなにくすぐったいと思い、我慢も出来ずに笑ったのはいついらいだろうか。 我慢なんて出来ない程の感度を知りたくて、自分でこうなる事を望んだが、これは中々に辛い。笑わされる事自体苦しくて辛いのだが、何より左ワキに襲いかかる指が与えてくる刺激が、とにかくくすぐった過ぎるのだ。 茉姫 「これ、ひゃははははははははははははははははははははやばい、やばいぃぃぃい!!っはははははははははははははははははくすぐったすぎっ……!あっはははははははははははははははははははは!!」 ただの人差し指の動きでこんなにくすぐったかったら、沢山の指で激しくくすぐられたら、どうなってしまうのだろう……。ワキ以外にも、全身こんなにくすぐったくなったら、どうなってしまうのだろう……。 強烈なくすぐったさを味わいながら、また私の疑問を私自身の身体で、検証したくて堪らなくなっていた。