私の名はアレイス。王国に支える魔法騎士だ。 自分で言うのもなんだが、その実力はトップクラスで王国の騎士団の中でも1、2を争う程だ。まあ、自分で言うのもなんだが、その戦闘能力に加え、整った顔立ちとサラサラの髪、抜群のスタイルとボディライン、そしてその素肌を露出し見せつけるセクシーな装備。非の打ち所のない見た目に加え、頭も良く、瞬時に物事を判断できる冷静さを兼ね備えてる。それから、自分で言うのはなんだが、容姿端麗、頭脳明晰とは正に私の事で、この完璧なポテンシャルで男は勿論、同性の女まで魅了し虜にしてしまうパーフェクトレディなのだ。自分で言うのはなんだがな。 だが実はそんな私にも、唯一の弱点というものが存在する。それは言ってみれば“子供のじゃれ合い”で、一見するとただ遊んでいる様にしか見えない行為なのだが、私はその行為がとてつもなく苦手なのだ。 その行為とはズバリ、“くすぐり”である。つまり私は、超が付く程のくすぐったがりなのだ。相手がどんなに魔力の少ない弱者であろうと、くすぐる能力に特化してさえいれば私を倒す事も容易だろう。クールで敵無しの完璧なこの私が、ちょっとくすぐられただけで無様に笑わされ力を使う事も出来なくなってしまうのだ。それぐらい、私はくすぐりという行為に強い苦手意識を持っている。 全身敏感な超くすぐったがりな私だが、中でも特に弱いのが腋である。この、“誰もが憧れを抱き見る者全てを魅了し虜にしてしまうような魅力とエロさを兼ね備えた筋肉により窪みが強調された黒ずみのない綺麗で滑らかかつセクシー故に異常なほどくすぐりに弱い超敏感な自慢の腋”は、露出の多いノースリーブの戦闘服によって常に晒されてる。だから当然、ちょっとでも腕を動かせばその腋は露わになってしまい、簡単に狙われてしまう。 それが分かっているならば、ノースリーブの服を着なければ良いではないか、と言う者も多いだろう。だが私はあえてそれはしない。何故なら、弱点でもあるそのくすぐりが、その……、ちょっと好きなのだ。くすぐられている時間は、当然くすぐったくて、苦しくて辛いのだが、終わってみると何だか物足りない様な、不思議なもどかしさを感じるのである。それに、普段あまり笑う事のない私にとって、我を忘れ大笑いする事がストレスの発散にもなっている様な気がする。ちょっと悩んだ時、イライラした時など、くすぐられて笑った後は何だかスッキリした気分になるのだ。 そのキッカケは、同居人であるセシアという魔術師の女性が原因だ。とある事件で私はそいつに散々くすぐられる事となり、いつの間にかその感覚の虜になってしまったのだ。それ以来、同居する事になったそいつと、稀にくすぐり合っている。 だが最近、そのセシアにあまりにもくすぐられ過ぎて身体がより敏感になってしまった事で、くすぐられる事に苦手意識を持つようにもなってしまった。本当に稀に、軽くじゃれ合うようにくすぐられる程度ならまだ良いのだが、身体を動けないように拘束してくすぐられようものなら、その耐え難い刺激に苦痛を感じてしまうのだ。 くすぐったがりなのに肌の露出が多い戦闘服を着ている私。それはくすぐられる事が好きだったから。しかし、今はそれが苦痛に変わってしまった。と、ここまで聞くと再びこの疑問に戻るだろう。肌の露出を減らした服を着れば良いのでは?と。実は、元々殆ど肌の露出がない鎧を着ていた私は、その当時はパワーで押し切る戦い方をしていた。そして戦闘服を変えた時、同時に戦い方も大きく変えたのだ。素早く動いて敵を翻弄し、手数で戦うスタイルに変えたことでより強くなれた。また自分に向いている戦闘スタイルだとも自覚し、これ以上ない程に手応えを感じているのだ。だから今更そのスタイルを戻す訳にもいかず、戦闘服に関しては諦めるしかなかったのだ。 これは、そんな私の変化が芽生えた頃の話である。 セシア 「それじゃあアレイスちゃん、出かけてくるわね〜。」 アレイス 「あぁ。」 同居人のセシアは、私がくすぐられる事となったキッカケの事件を起こした張本人である。勿論それには様々な理由もあったが、決して無罪放免とはならなかった。その為、私の住むこの王国内の敷地からの外出を禁じられている。 ではそんなセシアが何処へ出掛けるのか?この王国内には広大な敷地に見合った様々な施設が存在しており、魔術師として王国に仕えると誓ったセシアはその鍛錬や知識を身につけるため図書館へと向かったのだ。本当は今日もくすぐらせて欲しいと頼まれたのだが、ここ最近は先程の苦痛の理由もあり私はその願いを断り続けているのだ。 それでもたまにあいつがじゃれ合うようにくすぐってくるのを私が叱ったり、相手にしないようにすると、セシアは仕方なく図書館へ行く。セシアには悪いが、私もあまりくすぐられたくはないし、ゆっくりしたい時もあるのだ。その分、セシアが少し寂しそうではあるが……。 アレイス 「まあ、魔術の鍛錬に熱中しているようだし、これであいつも少しは気が晴れるだろう。今日はゆっくりさせて貰うとしよう。」 ここ最近、王国の外の森の魔物が暴れて街に被害が出たりと色々あって非番でも臨時出動が続いていたからな。たまにはベッドで昼寝をするのも良いかも知れない。そう思い自室に向かい休息をとる事にした。ちなみに、いつ招集があっても良いように、自室では胸の鎧を外しただけの戦闘服でいつも過ごしている。 アレイス 「ふぅ……、今日は陽気も良くて絶好の昼寝日和だな。」 ベッドに横になった瞬間、ウトウトと微睡んでしまう。それだけ疲労が溜まっていたのかも知れないな。そんな至福の一時を過ごしていた時、それは突如起こった。 アレイス 「……!?」 突如、天井から魔力を感知したかと思うと、小さな魔法陣が複数個同時に展開される。そしてその魔法陣からケーブルに繋がれた枷型のアームが飛び出したのだ。 魔力を感知した時点で気付いていたが、やはりセシアの罠か。大方、このアームで私を拘束した後にくすぐろうと考えていたのだろう。 アレイス 「全く……。」 リラックスしたタイミングでのこの素早い拘束なら私を捕らえられるとでも思ったのか?私の反射神経を舐めて貰っては困る。 私は魔法騎士、騎士としての近接的な戦いに加え、ある程度の魔法を使う事も出来る。つまり武器が無くてもそれなりに戦えるという訳だ。私は自身を覆うドーム状の防御魔法を発動し、目の前に迫るアームを全て弾いた。何度襲って来ようがそのアームが私を捕らえる事は出来ないだろう。 セシア 「残念ねアレイスちゃん、それはダミーよ?」 アレイス 「……っ!?」 どうせ図書館へ出かけた振りをして近くに潜んでいるだろうとは思っていた。だが、その言葉と共にセシアが新たな魔法陣を展開する。私が思わず驚いてしまったのはその魔法陣が展開された場所である。私の防御魔法の唯一防げない場所、私が寝転ぶベッドに展開されたのだ。 その予想外の攻撃に一瞬の隙を突かれてしまい、新たに現れた金属製の枷アームによって私はX字のように両手足を斜めに伸ばした状態で拘束されてしまった。 セシア 「うっふふ……、捕まえたわよ❤」 拘束されると同時に私の防御魔法は砕かれてしまい、セシアが私の真横まで近づいてくる。余程私をくすぐりたかったのか、とても嬉しいそうな顔を浮かべながら両手をワキワキと動かして、今にもこの手でくすぐってやるぞとアピールしてくる。 アレイス 「まんまと不意打ちを食らってしまったな……。だが、これしきの拘束を私が解けないとでも思ったか?」 私を捕らえただけで満足している様ではセシアもまだまだ詰めが甘いな。拘束されていようとも、魔法が使えない訳では無いのだから、こんな拘束簡単に壊して── アレイス 「なっ……、何……!?」 枷に魔力を注ぎ込み破壊しようと試みたが、それは不発に終わってしまった。この枷にはセシアの別の魔法が掛けられており、それによって破壊を阻まれたのだ。 問題はその魔法である。枷に私の魔力を注いだ瞬間、枷が私の魔力を吸い取ってしまったのだ。 セシア 「魔力吸収。この魔法を習得するのに随分と苦労したのよ?」 そう、この魔法の正体は魔力吸収。その名の通り、他者の魔力をそのまま吸い取ってしまう魔法だ。つまり、敵の魔力を無力化した挙げ句、それをそのまま利用できる反則的な魔法である。 アレイス 「まさか、最近図書館によく通って習得してのはこの魔法の為か!?」 この魔法、反則的と言ったのは言葉通りで、あらゆる魔力を吸い取ってしまう最強の名に恥じない強力な魔法なのだ。習得には相当の年月を要すると言われ、そもそも習得出来る人間すら殆どいないと聞く。この魔法を習得する大前提に、莫大な魔力、構造を理解する知識と頭脳、長期に渡る修練と根気。これは魔術師の人生を掛けても習得出来るかどうかと言う伝説の魔法なのだ。 王国ならば確かにこの魔導書はあるだろうが、少なくともこの王国内にそれを習得出来た人間はいない筈だが?しかもお前、図書館に行くようになったのはここ数ヶ月だろ? セシア、お前……………、天才か? セシア 「そうよ?くすぐらせてくれなくなったアレイスちゃんを無理矢理にでもくすぐる為の方法を模索して、この魔法を習得しアレイスちゃんを拘束するという結論に至ったのよ❤」 アレイス 「こんな魔法、そう簡単に習得出来る訳ないだろう…!しかもこんな不純な目的の為に……。」 セシア 「寧ろ私のその目的がどれだけ大切で、必要な事か。魔法の習得はある種その執念が大切なのよ?私からすれば、アレイスちゃんをくすぐって笑わせる為ならこんな魔法の習得なんて安い努力よ?」 馬鹿げている!こんな魔法を前代未聞の短期間で習得できる程の実力があるのに、それを下らない私利私欲の為に習得するとは……。 アレイス 「くっ……!その実力をもっと社会貢献に活かせないのかお前は…!」 早くこの拘束を解かないとまずい。欲を溜めに溜めたこいつのくすぐりは絶対に耐えられない……!何でも良い、会話を続けながらこの拘束を解く方法を考えなくては……! 私は必死にアームのケーブルを引き千切ろうと手足に力を込めるが、枷とケーブルの繋ぎ目は勿論、ケーブルそのものも“まるで魔法が掛けられたかのように”強固でびくともしない。 セシア 「無駄よ?アレイスちゃんの魔力を吸収したその枷とケーブルは、その魔力でより頑丈になったわ。」 アレイス 「まさか、私がこのアームを壊そうと魔力を込めれば込める程、私の魔力を吸収したこのアームは強固になる、という事か?」 セシア 「ふふ……、そう言う事❤」 魔力吸収は、吸収した魔力を意のままに操る事が出来る。私がこの枷の破壊に費やした魔力により、逆にこの枷を強固にしてしまったと言う訳か……。 どうやら、大ピンチのようだ。まあ壊す事だけを考えれば、魔力を私の腕に込めて筋力を高め、その力で破壊するという方法もある。それなら魔力吸収によって吸い取られる心配もない。あの枷やケーブルに対して魔力を込めてる訳では無いからだ。 だが、格闘家ではない私では、その手法による肉体強化の影響はそこまで大きく表れない。つまり、私の魔力で強固になってしまった枷を壊す程の力は出せない、という事だ。現に今もそれを少し試みているが、強固になったアームはビクともせず壊れる気配がない。 私ぐらい莫大な魔力があれば、より多くの魔力を込めれば、その分だけ力が増幅されこのアームを壊せるかも知れない。しかし、それで壊せたとしても、セシアにまた同じ事をされるだけだ。しかもこの戦法では私の方が消費魔力が多くなってしまう。私と同等の魔力を持つセシアとその戦いを続ければ、間違いなく先に私の魔力が尽きてしまう……。 アレイス 「くっ……!どうやら本当に無駄なようだな……。」 はぁ……、仕方がない。くすぐったいのは辛いが、少しくすぐられればこいつも満足するだろう。私も一度はくすぐったいのが好きだった時期もある訳で、もしかしたら久々にくすぐられたらその感情を思い出すかも知れない。それに、こいつに寂しい思いをさせていたのも事実だ。こいつが満足するまでしばらく我慢してやるか。どうせ今の私は何の抵抗も出来ない訳だし、どれだけ懇願しても聞く耳など持たないだろう。 セシア 「ようやく観念したようね❤」 アレイス 「……あぁ。もう好きにしろ。」 セシア 「じゃあ、お言葉に甘えて、まずはどうやってくすぐろうかしら❤」 どうせこうして私を捕らえる計画を立てた時点で、どうやってくすぐるかも考えていた癖に。白々しいヤツだ。 セシアは私の無防備な身体をじっくりと舐め回すように観察する。その中でも、私の弱点である腋を見つめている時は、ニヤニヤと怪しげな笑みを浮かべ顔を赤らめている。その視線を伸び切った腋に感じるだけで、腋がムズムズしてしまう。それなのに、腋は久々のくすぐりを求めるかのように無防備な状態を維持し続け、まるでセシアを誘惑しているようにすら思えてしまう。 セシア 「それじゃあ……、まずはコレにしようかしら❤」 そう言って魔法を発動するセシア。その魔法により生成されたのは、フワフワの綿、所謂、梵天が後ろに付いた、耳掻きだった。
こーじ
2025-03-24 20:30:51 +0000 UTCamasura
2025-03-24 13:30:37 +0000 UTCこーじ
2025-03-24 08:43:21 +0000 UTC炙り蜻蛉
2025-03-24 08:12:02 +0000 UTC