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調査隊レイシア『絶望の責め苦』

レイシア 「んっ………、んん………。……っ!!」  四方八方が肉壁のような何かに覆われた場所で私は目を覚ました。目の前に広がったその光景で、私は自分がどうなってしまったのか、その全てを思い出した。  私は、食人植物の魔物に呑み込まれてしまったのだ。ここはおそらくその魔物の体内だろうか。この魔物の生態は未だ分からない部分が多いが、食人植物ならばこれから消化活動が始まる筈だ。そうなれば私の命もここまでだ。その前に何とか脱出しなければ……。 レイシア 「……っ!?」  そう思い魔法の発動を試みたが、全く魔法が発動出来ない。この魔物の体内は魔法を無力化する魔法でも施されているのだろうか?魔法を発動するには、それに見合った魔力を消費させ体外へ解き放つ必要がある。だがこの場ではそもそも魔力を体外に放つ事すら出来なかった。  これは絶望的だ。魔力そのもが封じられてしまったという事は、外で待機しているセラに対し救援信号を送る事すら出来ないという事だ。……いや、魔力すら封じられ体外へ放出できないという事は、外からも私の魔力を感知する事すらできないという可能性が高い。それは即ち、外のセラからすれば突然私の魔力探知が途絶えた事となり、私がピンチであるという事だけは伝わる筈だ。 レイシア 「セラ……!聞こえる?私よ……!」  私がこの魔物に捕食されてからどれだけの時間が経過したのだろうか。ほんの一瞬なのか、何時間も経っているのかも分からない。どちらにしろ私に出来る事はただ1つ。そこにセラがいると信じ、必死に助けを求め声を上げる事だけだ。 レイシア (なっ、何……!?)  魔物の体内から、外にいるかも知れないセラに私の声を届けるために叫んだ。すると、“まるで私の声が特殊なエネルギーに変換され、この魔物に吸い込まれる”かのように、魔物の力が増幅されるのを感じた。  もしかしたらこの魔物は、体内に取り込んだ者の声を糧に成長する植物なのかも知れない。それが事実ならば、このまま声を出し続けてしまうと魔物がどんどん成長してしまい、セラでも倒せなくなってしまう可能性もある。つまり、私は声を出す事も躊躇わなければならず、叫んで助けを求める事も叶わなくなってしまったのだ。  いや、まだ諦めてはいけない。少なくとも私の魔力が探知出来なくなった場所は把握している筈だ。そしてその場に辿り着いたセラがこの魔物を見つけてくれれば、そいつが私を捕食した魔物だと察してくれるだろう。  私がこの魔物に消化されるのが先か、セラがこの魔物を倒すのが先か。とにかく私はただセラの助けを信じ祈り続けるしかない。 レイシア (な、何……?体内の肉壁が動きだして──)  突然、魔物の体内の肉壁が波打つように動き出した。これから消化活動が始まるのかも知れないと思うと、恐怖で堪らない。とは言え、私にはどうする事も出来ない。  魔法が封じられている上に、両脚は肩幅に開いた状態で肉壁に埋もれ、両腕もまた頭上に真っすぐ伸ばした状態で肉壁に取り込まれており、一切の身動きが出来ない状態なのだ。  と、自分の体勢を客観視する事で気がついてしまった。自分のこの状況と、この魔物が私を捕食する前に何をしていたのかを……。 レイシア (うっ……、こいつまさか……!)  まだ肉壁が波打つ理由も、その目的も定かではない。だが、こんな体勢で身動き出来ないように動きを封じられた私に、この魔物が起こす行動なんてもう分かりきっている。それを察してしまった私は、より強い恐怖心に襲われ身震いしてしまう。 レイシア 「ひぃっ……!?」  そしてそれは現実となってしまった。突如背後から襲い掛かってきた2本の触手が、私の腹部をサワサワと撫で回したのだ。 レイシア (そうだった……。声を出してはいけなかったんだったわ……。)  私の小さな悲鳴がエネルギーとなり、魔物がまた成長するのが伝わってくる。幸い、その声のボリュームや時間にエネルギー量も比例しているようで、今回はかなり少量で済んだようだったが、今後は声を出さないようにもっと気を引き締めなければ……。  しかし、これにより私は更なる絶望を理解してしまった。どんなにくすぐられても、身動きすら出来ない私はそれに対する抵抗も許されない。それに加えて声を出してしまえばその分だけ魔物が強くなってしまうため、どんなに辛くても声を出す事すらも許されないのだから。 レイシア 「んん……。………んっふ…………。」  必死に口を閉じ声を出さないように我慢するも、この触手は私をくすぐって笑い声を出させるのが目的だ。だから撫で回す以外にも、触手の腹を使ってもぞもぞとくすぐったり、先端部をチョロチョロと素早く動かしたりと、様々な手法で私をくすぐり笑わせようとしてくる。  どうにかその触手から逃れられないかと腕に力を込めるが、肘の少し上から腕全体を肉壁に包み込まれた挙げ句、その拘束する力も強くとても引き抜けるようなものではなかった。  そしてそれは下半身も同じだ。足をこの肉壁から引き抜けないかと力を込めるが、押さえ込まれた部分が多すぎてどうにか出来るものではなかった。これがせめて足首だけを捉える拘束だったらまだ希望も持てたが、太ももから足先までを呑み込まれているせいで、脚を曲げる事も出来ず根本的に脚を抜くという行動すら叶わなかった。 レイシア 「…………んっ!」  腹部を責める2本の触手とは別の触手がまた背後から現れた。そしてその触手は、私の背筋を上から下へ、すぅ〜っとなぞりだしたのだ。  全身に鳥肌が立つようなゾワッとする感覚。当然これもくすぐったく、その刺激に耐えきれず僅かに小さな声が漏れてしまった。だが幸いにもこのレベルの声ならエネルギーには変換されないようだった。このぐらいの声なら出しても問題ないと知れたのは、私にとって数少ない慈悲であった。 レイシア 「んっ……!……んんっ…………。」  とは言え、腹部のくすぐりに加えて背筋をなぞられるのは中々に耐え難い。腹部を刺激する触手に気を取られ過ぎると、不定期に訪れる背筋のくすぐりに声が出てしまう。  いくらこのレベルの声なら出しても問題ないとは言え、これ以上くすぐりが増えたらもっと大きな声が出てしまうのは確実だ。 レイシア 「んっ…、!?くっ………!んんっ……!」  そんな事を思っていた矢先、今度は正面から新たな触手が1本増え、私のへそをツンツンと突っついてきたのだ。それも今回の触手は腹部をくすぐるそれとは違い、かなり細い個体となっていた。この魔物、体内で使う触手をくすぐる場所によって最適な形状に使い分けしているらしい。  そんな細い触手がへその穴を突っつけば、魔物の体外でやられた時よりその先端が奥まで入り込み強いくすぐったさを生む事になる。つまり、私はより耐えられなくなって声を出してしまうのだ。 レイシア 「んいぃ……!!?」 (くぅっ……!そこ……、ほじくらないで……!)  へそをくすぐる触手は、そこ突っつくだけには飽き足らず、その細さを利用しへその穴をほじくるようにくすぐってくる。急激に増してしまうくすぐったさに私は耐えきれず、一瞬だが大きな悲鳴を上げてしまうのだった。 レイシア 「ひひ……、んっく……!…………くぅっ!」  これ以上魔物を成長させまいと、私は必死に口を閉じ声を抑えようと努める。だがどれだけ我慢しようとも、くすぐられる場所が増えれば単純にくすぐったさが増す。それにより私の声の漏れ出す頻度も上がってしまう。 レイシア 「ひあ……!?っくくく、んんっ……!!っくぅ……!」  それを繰り返されれば時間と共に魔物は成長を続けてしまう。それが原因で、更に追い打ちをかけてくる触手が増えてしまった。今度は両サイドの肉壁から2本の触手が現れ、私の脇腹をコソコソと素早く引っ掻くようにくすぐり始めた。  堪らず私は声を出してしまいつつも、その後の笑いたい衝動を必死に抑え込んでいた。当然、声を出せば魔物が成長してしまうから、それを防ぐために必死になるのは大前提なのだが、今のこんな責めに負けて声を出す訳にはいかない理由が他にもあるのだ。 レイシア 「くっふふ、んんっ……!ふふふ……!」 (まだ、こんなところで笑う訳にはいかないのよ……!こんな段階で笑ってしまったら、この先は絶対に堪えられない……!)  この魔物は私をくすぐって声を出させるのが目的だ。そして、私をこんな体勢で拘束しているという事はつまり、私の弱点であるワキも当然くすぐる対象であると言う事だ。  そのワキをあえて責めないのは、私が笑い出すまでのこの状況を楽しんでいるのか、ただ責める場所の順番が決まっているだけかも知れないが、どちらにしろまだ私の弱点であるワキもくすぐられていないこの状況で笑い出してしまったら、この先もう我慢する事など絶対に出来ない。そうなったら魔物はどんどん成長し強くなってしまい、セラによる救助も困難となってしまうだろう。 レイシア 「ふひっ……!っひひ、んっふふ……!!」  だが、どれだけ強い意思を持って堪えても、くすぐったいという感覚は私の我慢を簡単に崩そうとしてくる。そしてそれを少しでも許せば、私の意思を無視して笑い声が溢れ出てしまう。このくすぐりによる笑いは、強い意思や努力でどうにかなるものではなかった。 レイシア 「んあぁっ……!?あうぅ……、んっ、ふふふふふ……!!んいいぃい……!!?っひひ……!」  成長を続ける魔物が新たに増やした2本の触手は、私の左右それぞれの二の腕を撫で始めた。外でも私は二の腕のくすぐられた時に感じたが、どうやら私はワキの次に二の腕が敏感なようだ。正確に言えば、二の腕でも肘に近い方ならば他の部位とそう違いを感じないくすぐったさなのたが、ワキに近い部位となるとそのくすぐったさは一気に跳ね上がってしまう。  それを知ってか、まるでジワジワと私を追い込むように、肘の方から腕の付け根に向かい少しずつ撫で進める触手。限界までワキに近づいた触手はまた肘の方へ戻っていくが、その場所に辿り着いた瞬間にそのくすぐったさに負け大きな悲鳴に近い声が出てしまうのだ。 レイシア (まずいわ……。私の声がエネルギーになって、どんどん魔物が成長しているのを感じる……。でも、くすぐったくて声を抑えられない……!)  この魔物の体内にいるからか、その成長が良く分かる。まず明確なのは、この魔物の持つ魔力が少しずつ膨れ上がっている事。そしてその影響か、私の四肢を拘束する肉壁はより強く私を押さえ込み、私からより自由を奪ってくるのだ。 レイシア 「ふふっ……!んんっふふふふ!くっ、くくくくく……!!ひぃっ……!っひひ……!」  そして魔物が成長すれば、私を責める触手も動きがより激しくなり更にくすぐったくなる。その結果、私はもっと堪えられなくなってしまい、口から溢れ出る笑い声が多くなってしまう。そしてそれが魔物の糧となり、またくすぐりが強くなる。これでは負の無限ループだ。 レイシア 「くっふふふ、ふひひひ……!ま、待って……、っくくくく……!そこは……!」  そんな中、更に力を付けた魔物がまた触手を増やした。その新たな出現場所と、その触手の先端が狙いを定めた場所で、いよいよ私は察する事となる……。  その場所を責める事を目的として現れた2本の触手は、背後から私の胸の横を通り、その先端を胸の少し上の方を指すように見せつける。  つまり、私の弱点である……、ワキだ。 レイシア 「んっく、ひひひ、んん……!っくふふふ……!」  ワキへ狙いを定めた触手は、まるで私の恐怖心を煽るかのように、そこに触れる寸前でくすぐる真似を繰り返す。  ワキをくすぐろうと先端をクニクニと見せつけるその動きは、他の場所をくすぐられているのを忘れてしまうぐらい、見ているだけでワキがくすぐったく感じてしまう。それだけ、ワキを責められたあの時のくすぐったさが身体に刻み込まれてしまっているのだろう。 レイシア 「お願い、んっくくくく、そこだけは……、やめて……!っひひひひ、ワキは……、んんっふふふ、弱いからぁ……、いっひひひひ……!」  捕食される前にくすぐりを受けた時は、動いて抵抗する事も、声を出す事も、自らの意思で制限していた。一方、今回はそもそも身動きが出来ないよう拘束されているため、自ら制限しなくてはいけないのは声だけで良い。  だがそれは決して楽な事ではなく、寧ろ残酷な事であった。拘束され身動き出来ないという事は、どんなに耐え難い苦痛を受けても、私の意思ではこのくすぐったさから逃げる事すら出来ないという事だ。どれだけくすぐったくて身体に力を込めても、私のワキは無情にもこの魔物に捧げられ、くすぐりを受けなければならない。これほど残酷で非情な事はないだろう。 レイシア 「いっひひ、んんっふふふふ!だ、ダメ──」  そして、無情にもその触手が動き出してしまった。しかしそれも当然だろう。この触手は、ただ私の恐怖心を煽るためだけに現れた訳ではない。私のワキをくすぐる為に現れたのだ。 レイシア 「ひいいぃいいっひひひひひひひ!!んんっふふふふふふふ……!!っくくく、あひひひひひひひひ!!」  声を出さないように我慢しようと頭の中で決意していても、どれだけ歯を食いしばって口を閉じていても関係ない。この刺激の前ではそんな意思や努力などお構い無しに、笑い声が溢れ出てきてしまうのだ。 レイシア 「やっ……やめ、きひひひひひひひ……!!くっふふふふふふふふ、んんっ、ふふふふふふふふふ!!」  声を出してはいけない、という状況はこの魔物の体外でくすぐられていた時と同じだが、その時とは根本的に苦痛の概念が全く違う。  あの時ワキをくすぐられたのは、私が人形になりすました時の十数秒、そしてこの魔物に捕食されないよう抵抗した時のあの一瞬だけ。人形になりすましていた時は、声を出す事も抑えられず、もう腕を上げ続けていられないと判断した結果、自らの意思で我慢を止めた。そして捕食されまいと魔物の口の縁を掴んだ時も、そのくすぐったさからワキを守るために、すぐにその手を離しワキを閉じたのだ。  つまりそれらはどちらの状況でも、自らの意思でワキを閉じくすぐりから逃げる事が出来たのだ。だが今は、どんなにくすぐったくてもワキは無防備に曝け出され閉じる事は出来ない。どれだけ辛くても、そのくすぐりから逃れる術がない。そもそもそれが耐え難い苦痛なのに、そんな状況で声を出さず我慢する事など無謀に等しいのだ。 レイシア 「あひひひひひひ、ぷぐうぅっふっふつふっふっふっ……!!くっ、ふふふふふふふふ、いぃっひひひひひひひひひひひ……!!」  外では耐えられなかったワキを引っ掻くようなくすぐり。いや、今はその動きをもっと素早くしたようなものとなっており、その暴力的な責めはあまりにもくすぐったかった。しかも私が耐えきれず声を出し続けてしまっている事で、魔物がより力を得てくすぐる強さは更に上昇してしまう。 レイシア 「いぃいっひっひっひっひっひっひっ……!!それやめて、んんっふふふふふふふ、く、くすぐったいぃ……、っひひひひひひ!!」  声を出す事を我慢出来なくなっていた私は、また当初の目的を忘れ“笑い声を出さない事”に必死になっていた。どうにかワキをくすぐるのだけでもやめて貰えないかと、言葉など通じない触手に対し必死に訴えていた。 レイシア 「だめ、んふふふふふふ……!!そこ駄目、だから……っあひひひひひひひひ、そこの筋、ぃひひひひひひ!!窪み、ひひひひひひひひひひ、くすぐったいのよぉおぉ……!!」  だが魔物が餌として求めているのは、私の声である。くすぐって笑わせる、というのはあくまで私から声を出させる手段であり、私がこうして懇願する言葉もまた、魔物にとっては餌でしかない。それは私が捕食されここから外へ助けを求めた時に理解した筈だが、笑い声を抑えようと必死な今の私には、そこまで考える余裕すらなかった。 レイシア 「ぷぐぅううぅっふふふふふふふ!無理っ、無理ぃいいぃいっひひひひひひひ!!ワキ嫌ぁぁあ、あっふ……、いぃいいぃぃひひひひひひひひひひ!!」  ワキのくすぐったさだけでもどうにか出来ないかと、顔を左右に振ったり身体を必死に捩って刺激を誤魔化そうと試みる。だが、そんな事でくすぐったさが和らぐのなら、私はこんなに苦しみはしないだろう。 レイシア 「ひはは、あっはは……!んぐぅううぅっふふふふふふふふ、いっひひひひひひひひ……!窪みの所ばかり、ひひひひひ、あひひひひひひひひ、引っ掻かないで……!!」  どんどん強くなる触手の動きに耐えられず、一瞬だがついに笑い声を出してしまった。一度でも限界を超え盛大に笑い出してしまえば、もう二度と耐えられなくなってしまう。そんな予感がして、どうにかそれだけは避けようと顎に力を入れて歯を食いしばり必死に堪えた。 レイシア 「くぃいいぃっ、ひひひひひひひひ、ふぅううぅっふふふふふふふふ、いっひひひひひひひひひ……!!」  だが必死に堪えても、笑い声は留まらず私の意思に反し口を無理矢理こじ開けようとしてくる。どんなに頑張っても、この笑いたい衝動が「努力などしても無駄だ」と告げるように、ひたすら絶望感を与えてくるのだ。 レイシア 「ちょっ……!!?っきひひひひひひひひ、待ち、なさい……!くっふふふふふふ、そ…、それはずるいわよ……!んんっふふふふふふふ、くっくくくくくくく……!」  そんな絶望の最中、正面からまた新たな触手が2本、私の目の前まで伸びてくる。そしてそれらも露骨に私のワキに狙いを定めていたのだ。今までは触手が増える度にくすぐる場所を変えていたが、今回はワキへの責め手の追加。それに私はまた強い絶望を感じてしまった。 レイシア (やっぱりこの触手、私の弱点がワキだと理解してる……!!) 「やめて、いっひひひひひひひ……!もうワキは……、あっふふふふふ、きひひひひひひひひ……!!」  あえてワキを最後に責める場所にしたのも、そのワキだけくすぐる触手を増やしたのも、全ては私の弱点がそこであると理解しての行動だとようやく気が付いた。  だからと言って素直にそれを受け入れられる訳がない。だから私は必死に訴え続けた。これ以上ワキをくすぐる触手を増やされたら、私は……。 レイシア 「んいいぃいっ……!!」  そんな私の恐怖心などお構い無しに、次の触手も私のワキに触れる。勿論、それはただ触れただけでは済まなかった。新たに触れた触手も、ワキの筋や窪みを激しく引っ掻くようにくすぐり始めたのだ。  すでに限界を感じていた私が、更にそんな責めを受ければどうなってしまうかなど、分かりきっていた。 レイシア 「ぃいあぁああっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっダメ、ひははははははははははははははははもうダメぇえぇええっへへへへへへへ!!はうぅ、んぁあはははははははははははははははは!!」  ワキをくすぐる触手が増えた途端、私の我慢はあっさりと崩壊してしまった。一度口を開いて笑い声を出してしまったら、口を閉じようと試みても笑いがこみ上げてきて、そのまま笑いが吐き出されてしまう。 レイシア 「あぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ、そ……、そこっ、あはははははははははははははははははははくすぐったいぃひひひひひひひひっ!!やはははははははははははははははははははははははワキ、あはははははははははははははははワキくすぐったぁい!!」  強制的に腕を持ち上げられ、伸び切ったワキ。そこを複数の触手が引っ掻いたり撫でたりしてくすぐってくる。そのくすぐったさに私は我を忘れ笑い悶えた。  今なら分かる。何故この魔物が捕食対象をくすぐって笑わせるのか。私は口数が多い方ではないし、大声を出す事も殆どない。そんな私ですらこのくすぐりによる笑いならば、継続的に大きな声を出し続けてしまう。つまり、くすぐって笑わせればどんな人間でも都合の良い餌となるのだ。 レイシア 「お願いぃ、ひはははははははははははははははははあぁっははははははははははは!!わきぃいいぃっひひひひひひひ、ワキ閉じさせてぇ!!んあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっワキ、やめてぇぇえぇっへっへっへっ!!」  どうしてもワキを閉じたい。ワキに襲い掛かるくすぐりを払い除けたい。しかし、両腕を真上に伸ばした状態で拘束された私は、そのワキをくすぐられるために晒す事しか出来ない。これこそ私が絶望した残酷な仕打ちである。 レイシア 「あっ、ひあはははははははははははははははははははは待って、あははははははははははははははははははははははははは増えてる……!んあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっワキ、増えてるぅふふふふふ、いやあぁあぁぁははははははははははははははははははははははははは!!」  くすぐりによる笑い声により魔物は凄まじい勢いで成長する。それはつまり、より私へのくすぐりが激しくなるという事だ。  ワキへのくすぐりが更に強くなり、窪みを引っ掻く触手がより素早く動き出す。その上、またワキをくすぐる触手が増えてしまい、より大きな笑い声を出させられてしまった。 レイシア 「いいぃぃいぃっひひひひひひひ、んあぁああはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっくすぐったいくすぐったい!!あははははははははははははははははははははははははははははははもう駄目、ひゃはははははははははははははははははははははははくすぐり、やめてぇえええぇ!!」  増える触手も形状に様々な違いがある。先端が枝分かれした触手は、それぞれの先端でワキを擦り上げる。先端が尖った触手も、カリカリと小刻みにワキを引っ掻くようにくすぐったり、人の手を模したような触手は、動きまで人の手を再現しているかのようにこちょこちょとくすぐってくる。  腹部に集まった触手も、脇腹をカリカリと引っ掻くもの、グニグニと揉み込むようにくすぐるもの、枝分かれした細い触手でお腹を撫でるものなど、細い触手でへそをほじくったりと、ワキ以外もしっかりくすぐったさを与え私から笑い声を引き出してくる。 レイシア 「いやあぁあぁはははははははははははははははははは、やめ……っはははははははははははははもうやめてえぇえへへへへへ!!苦し、いひひひひああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっははっはっはっ、んは……、っはははははははは、んあぁぁあ、あははは、いぃっひっひっひっ……!」  笑いすぎて呼吸もまともに出来ず、そのあまりのくすぐったさに意識も朦朧としてくる。だが今の私にとっては、ある意味そのまま気を失ったり、いっそ死んでしまった方が楽なのかも知れない。くすぐったいという刺激を抵抗も出来ぬまま受け続ける方がよっぽど苦痛なのだ。寧ろこれで楽になれるなら……と、ついに自らそうなる事を望んでしまった。 レイシア 「あっ、ははははは……、ひはは……!……んなっ!!?な……、何……!?」  心身ともに限界を迎えたかと思ったその時、この魔物の魔力が体内で膨れ上がり、眩い光を発し私を包み込んだ。すると、笑いすぎて痛みを伴っていた腹部、まともに呼吸出来なかった事による息切れ、抵抗する為に暴れたせいで疲弊した体力など、あらゆる疲労がみるみる内に回復していったのだ。つまり、魔法による治癒である。  この魔法は治癒術の中でもかなりの上級魔法、リザレクションだろう。その効果は、単純な体力の疲労や身体の怪我、さらには呪いや状態異常も回復し元に戻す事ができる破格の魔法である。まさかこんな食人植物の魔物がこれ程の魔法を使えるとは思わなかった。 レイシア 「あひぃっ!!?んやあぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっま、待って……、っあははははははははははははははははははははははははははははははくすぐったい!!やははははははははははははははははははははははははこんなの、ずるいぃいっひひひひひひひひ、なははははははははははははははははははははははははずるいわよぉおおぉ!!」  何故こんな魔物がそのような魔法を使えるのか。何故捕らえた餌に対しそのような魔法を使うのか。それは私の身体が身を以って教えてくれた。  気を失う事で逃げられる筈だったくすぐり。だが私の体力が回復した事で、疲れや朦朧とした意識も戻ってしまい、それは叶わなくなってしまった。つまり、またこのくすぐり地獄を受け続けなければならなくなった、と言う事だ。しかも、この治癒によってもたらされた絶望はそれだけではない。 レイシア 「だめ、ひぃいいあっははははははははははははははははははははははははははは、またワキ……っはははははははははははははははくすぐったいいぃいっひっひっひっひっひっひっひっ!!」  そのくすぐったさにより私はずっと笑わされていたが、少なからず同じ場所を同じようにくすぐられ続ければ、その刺激に多少は慣れてくるものである。それが例え私にとって最も敏感なワキであろうと変わらない。  だから長時間くすぐられる事で少しずつくすぐりの耐性が付いていたのだが、あの治癒術によってその耐性もリセットされてしまったのだ。それにより、私はまたとてつもないくすぐったさに襲われてしまったのだ。 レイシア 「わきいいっひひひひひひ、わき……!わきいいぃいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ、あぁあっはははははははははははははははははははははははははワキはもうやめてぇ!!きゃあっはははははははははははははははははははははははははおかしくなる、うはははははははははははははははははははもうワキ、ぃひひひひひひひ、くすぐらないでええぇぇえぇ!!」  折角ほんの少しワキへのくすぐったさに慣れてきたと思ったのに……、またこんなくすぐったくて堪らない責めを受けなければならないのか。もうワキを閉じれないのも嫌という程に理解したのに、身体がワキを守れと命令を下し必死に身体を捩って抵抗する。  でも、それを続けてもワキは無防備なままである。それでももがき続ける私の身体はすぐに疲弊してしまう。するとそれを見計らったかのように、魔物は私に治癒術をかける。その結果、また私の身体はそれまで受けていたくすぐったさを忘れ真新しい感覚を与えられる。  だから少しでも疲弊しないよう、出来るだけ身体を動かしたくないのに、また無意識に抵抗を求め無駄に暴れてしまう。そしてこのループに更なる絶望感を覚えれば、また精神的にも疲弊する。だからまた魔物は治癒術を私に与え回復させられてしまう。こんなの、あまりにも酷すぎるではないか。 レイシア 「ひぎゃああぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっこんな、あっはははははははははははははは卑怯よぉお!!んあっはははははははははははははははははははははははははお願いだからっ、ひゃははははははははははははははははははははははははいっそ殺してぇええ!嫌あぁぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ一思いに、死なせてぇっへへへへへへへへへ!!」  どんなに長時間くすぐられ笑い悶えても、苦痛を味わい続け疲弊しても、何度も回復させられまた同じ苦痛を味わわされる。もう私は死ぬ事も許されず、こうして苦しみ続けなければいけないのか……。  そんな深い絶望感に浸りながら笑い悶えていた私に、ようやく救いの光が差したのだ。 セラ 「レイシアさん、無事っすか?」 レイシア 「っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ……、お、遅いわよ……、セラ……。っはぁ、っはぁ、っはぁ……。」  私の唯一の希望、セラがこの魔物を倒し、私はついにくすぐり地獄から解放された。ようやく救い出された私は、セラに悪態をつきつつもその安堵感を覚えながら、あまりの疲労にそのまま気を失ってしまった。  その後、セラの調査と私の経験によりあの魔物の生態が徐々に明らかになった。  やはりあの魔物は他では見られなかった新種の魔物であった。ターゲットをくすぐって笑わせる事でその声を餌とする食人植物、その生態から私達はあの魔物を、くすぐり植物「ティックルプラント」と名付けた。  そしてその生態。まず、木に縛り付けられていた人形はやはりあの地で行方不明となっていた者達を模した人形だった。どうやらティックルプラントは、捕食した人形と姿形が全く同じ複製人形を生み出せる能力があるようだ。セラの話では、あの場へ駆けつけた時には私の人形も木に縛り付けられていたのだと言う。そこから捕食された人間の複製人形を作り出す能力があると推測出来た訳だ。  そして人形を木に縛り付け、くすぐるような行動をしていた理由だが、これは確たる証拠はないがやはり娯楽に近い行動と推測される。体内では食事を目的とし人間をくすぐり、外では実際に人間をくすぐっている感覚を味わう為の行動以外に、その理由が説明できないのが現状であった。  また、ティックルプラントが体内に捕らえておける人間は1体につき1人まで。つまり、このティックルプラントはあの場に複数体、少なくとも確認できたのは、外の複製人形の数だけ生息していたとの事。そしてやはり、1体討伐する度に1人、その体内から捕食された人間が出てきたそうだ。  私が助け出されるのが思った以上に遅かったのは、セラが複数体を相手にしていたからだと言う。目視で確認できた個体の最後に私が捕食されていたようで、少なくとも外の人形と同じ数の人間を救助した事で、一応調査を打ち切り解決と判断したようだ。  ちなみに、ティックルプラントが1人しか捕食できないという性質。これを踏まえると、この魔物が複製人形を作るのは、仲間にも自分の捕食した餌をくすぐる楽しみを分かち合う、という目的もあるのかも知れない。  今回の調査で分かった事、推測できる事はこれくらいだ。勿論、今後も調査は続けられるだろう。もしまた新たな個体が現れれば、それこそ被害者が出るかも知れないのだから。魔物の調査とは、この果てしない戦いでもあるのだ。 セラ 「レイシアさん、またティックルプラントが確認されたそうっす。早速調査に行きますよ。」 レイシア 「い、嫌よ……!生態調査のための実験台なんてもう御免よ……!」  あれ以来、ティックルプラントが頻繁に出現するようになった。その度に私とセラが現場へ向かい生態調査を行っている。勿論、ただ観察するだけでは調査にならない。その生態を調べるには、実際にティックルプラントに行動させなければならない。だから私がわざとティックルプラントに捕食され、体内で何が行われるのか、そしてその捕食活動中に外ではどのような行動をしているのか調べているのだ。  つまり、私はその都度くすぐりの餌食となっている訳だ……。 セラ 「上からの命令です。レイシアさんの訓練も兼ねているそうですし。」 レイシア 「はぁ……?く、訓練……?」 セラ 「はい。伝言も預かってます。『調査隊のエリートともあろう人間がくすぐりで無様な姿を見せるなんて、嘆かわしい。お仕置きも兼ねて、訓練が必要ね。しばらくくすぐられて反省しなさい。』だそうです。」  こんなのいくら続けたって訓練になる訳がない。寧ろどんどんくすぐりに弱くなっているようにすら感じる。上司も私が笑い悶える姿をただ見たいだけだろう。  と言うのも、ティックルプラントの体内では一切魔力が使えない為、私は小型カメラを所持したまま捕食される。そして外からセラがそれを操作し体内の様子を調査するのだ。勿論その映像も資料として使われ、私の醜態が晒されるという訳だ。とんだ辱めである。 レイシア 「いや、もう私がくすぐりに弱いのは理解してる筈じゃない。こんなの訓練になんかならないわよ……!」 セラ 「まあ、それを決めるのも上ですから。」 レイシア 「はぁ……。たまにはセラにも私の代わりに実験台になって欲しいものだわ。」 セラ 「それじゃあ意味ないっていつも言ってますよね?私はくすぐりなんか全く効きませんし、ティックルプラントもそれを知ったら捕食をやめてそのまま私が吐き出されるだけです。」  どうやら私は極端にくすぐり耐性の低い人間らしい。上司が調査隊のメンバー全員にくすぐり責めを行った所、私より敏感に反応する人間もいなければ、同等の反応を見せた者も数分でその刺激に慣れてしまったのだ。  一方の私はと言うと、どれだけの時間を費やしてもくすぐったさを一切感じなくなるまでには至らなかった。これこそ、私がティックルプラントの実験台として選ばれてしまった理由だ。  セラの言う通り、全く効かない人間、あるいはすぐに慣れてしまう人間は捕食対象に相応しくないため、すぐに吐き出されてしまうのだ。あの時、私以外に捕食されていた女性達は、何度も吐き出されてはまた呑み込まれて、時には魔物の欲求を満たす為の娯楽として、声も出していないのにただくすぐられていた事もあったと被害者自身が証言している。それは、リザレクションという上級魔法を頻繁に発動など出来ないからだ。その点、一向に刺激に慣れない私は、ティックルプラントからすれば理想の捕食対象であり、調査の実験台としても適任という訳だ。 レイシア 「私からしたらあの魔物の体内でくすぐられるのも充分命懸けなんだけど……?」 セラ 「はいはい。分かりましたから、早く行きますよ。」 レイシア 「ま、待って……!もうくすぐられるのは嫌なのよ……!ね、ねぇ……!やめっ──」  今日も私は、調査と称したくすぐり地獄を受ける。それは、必ず助けが保証されているだけの、絶望の責め苦である……。

調査隊レイシア『絶望の責め苦』

Comments

ありがとうございますm(_ _)m 今回のテーマは我慢ですので、我慢〜崩壊までの流れを意識しました。

こーじ

声を出し始めたばかりの時は小さくするよう心がけていたけれども、一線を超えたら一気に決壊している展開、素晴らしかったです。 また毎度ながらくすぐり責めを受けた際の心理描写が個人的に刺さりました。 特にレイシアの独白での"こんな段階で笑ってしまったら、この先は絶対に堪えられない……!"、“でも、くすぐったくて声を抑えられない……!”の表現は差し込まれているシーンも相まってとても期待してしまいました。 今回も私に刺さるくすぐり作品の投稿、ありがとうございました。 今後もこーじさんの私生活を優先し、活動していただけますと幸いです。

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