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裏組織Diver ~緑咲の災難~8

雅 「おはよぉ、捜査員さん❤ご気分はどぉかしらぁ?」 緑咲 「……最悪な気分よ。」  催眠薬によって眠らされた緑咲が目を覚ますと、緑咲の背後から顔を覗かせながら挨拶する雅の言葉で自分の置かれている状況を思い出し、冷静に率直な気持ちを呟いた。 雅 「それは残念だわぁ。今度こそあなたを“笑顔”にしてあげようと工夫を凝らしたんだけどぉ、お気に召さなかったかしらぁ?」 緑咲 「工夫…?一体何を……!?………そういう事ね。」  雅が背後に立っていた事で先程と同じ状態で拘束されていると思っていた緑咲だが、まず最初に足元を見て状況が違う事に気が付いた。足の裏をくすぐる為に裸足にされ持ち上げるように拘束されていた右足は、律義に靴まで履かせられ、両足共に地に着いていたのだ。そしてその両足首にそれぞれ金属の枷が嵌められ、床に埋め込まれたフックと枷を短い鎖で繋ぐ事で拘束していた為、案の定足を動かす事は出来ない。そしてその先程とは違う拘束方法を見て、今度は自身の両腕の状態を確認した所で緑咲は、雅の言う“笑顔”にする工夫を理解した。 雅 「どぉ?これなら笑えるでしょぉ❤」 緑咲 「……随分悪趣味じゃない。」  より“笑顔”になるようにする工夫。それは勿論くすぐって笑わせるという意味であり、それを工夫するという事は、弱点である腋をよりくすぐり易く、またその腋をよりくすぐったいと感じさせるという事である。先程は十字架のような物によって水平に伸ばされていた両腕が、今度は真上に伸ばされて拘束されているのだ。それにより、先程より腋が大きく開かれ無防備に晒されると共に、その美しく滑らかな腋を雅がより堪能できるようになっていた。 緑咲 「卑怯よ。こんな状態で拘束するなんて。」 雅 「こんな状態ってぇ?」 緑咲 「…また今の状況を私に説明させる気?もうそんな事――」 雅 「つん❤」 緑咲 「んひゃぁぁああ!?」  雅に歯向かおうとする緑咲だったが、突然無防備な腋を人差し指で突っつかれ、思わず悲鳴を上げ可愛らしく反応してしまう。 緑咲 「いきなり何する――ひゃん!んひぃいっ!?」 雅 「つんつん❤つんつん❤」 緑咲 「ちょっやめ…!んひぃいい!?ひゃぁあ!?わ、わかった、あひぃぃいい!!わかったからぁ!!」 雅 「じゃあ、よろしくぅ❤」 緑咲 「くっ…!」 (ただ指で突っつかれただけなのに、想像以上にくすぐったかった…。さっきの羽根の効果なのか、この拘束が原因なのか…。どちらにしろ、これはいよいよくすぐった過ぎて耐えられそうにないわ…。)  先程とは比べ物にならないくすぐったさを感じ、弱気になる緑咲。これから先の拷問に不安を覚えながら、雅の望む自分の状況説明を始めた。 緑咲 「…両脚は靴を履いた状態で肩幅に広げられて、動かす事が出来ない。両腕は真上にキツく上げさせられて、天井の鎖と枷が繋がれている。それによって、私の……、わ、わきが露出された状態で晒されてるわ。……これで良い?」  恥ずかしいのを必死に堪え、緑咲は顔を赤くしながら自分の置かれている状況を正確に伝えた。 雅 「ん~、まあ80点って所ね。」 緑咲 「何が不満なのよ。」 雅 「さっきの十字架と拘束状態が変わったことで、あなたにも少し変化があるじゃなぁい?」 緑咲 「私の変化…?だからそれが足を肩幅に開いていたり、腕を上に伸ばしているって事じゃない。」 雅 「そう、それよぉ。腕を上に高ぁく伸ばしていると、それに合わせて服が上に引っ張られるでしょぉ?」  緑咲は今までそんな事考えてもおらず、再び下を向く。今度は足元ではなく服の裾の辺りを見ると、元々丈が短めでチラリと見えていた腹部が、服が上に引っ張られる事で更に露出させられている事に気が付いた。 雅 「気付いたようねぇ❤その表現もちゃんと出来て10点。そして残りの10点はあなたの弱点がどういう状況に置かれて、どういう影響がでているのか…。それを言葉に出来たら完璧ね。」 緑咲 「そういう事ね…。」  雅の思考に慣れ始め、雅の求める物が理解出来るようになった緑咲は、持ち前の推理力で正解に気が付いた。服が引っ張られ、お腹、へそは更に露出している状態。そして、腕を上に高く上げる事で、腋が大きく開かれた事でより無防備に、そしてくすぐったさを感じやすくなったと言わせたいのだと。 雅 「それじゃあ、100点目指してもう一度お願い❤」 緑咲 「遠慮させて貰うわ。」  雅の求めている答えは分かった。ここで機嫌を良くしてくれれば、責められるまでの時間を少しでも稼げるかもしれない。苦しい思いをする時間を減らせるかもしれない。だが、そこで素直に雅の求める答えをすぐに言う程、緑咲は屈服していなかった。いや、屈した事を認めたくなくて強がっていたのだ。 雅 「……虐め足りなかったかしらぁ?」  素直に言う事を聞かない緑咲に機嫌を悪くした雅は、人差し指を上下に動かし、くすぐる真似をしながら緑咲の腋にその指を近づけていく。 緑咲 「んひぃい…!?」  その動きを見た瞬間、つっつかれただけで味わった強烈なくすぐったさを思い出し、顔を強張らせる。 緑咲 「……わ、わかったわよ。言えば良いんでしょ言えば。」 (あの指の動きを見せつけられただけで、腋がムズムズする…。)  緑咲は雅の指を見るだけで腋へのくすぐりを意識していまい、それから逃げるように屈し、結局雅の求める展開へと導かれてしまう。 雅 「お利口さんねぇ❤はい、どうぞ❤❤」 緑咲 「腕を真上に上げてるから服が引っ張られて、さっきよりお腹の露出面積が増え、へそがしっかりと見えるようになったわ。そして、腋も大きく開かれてるから、さっきより無防備でよりくすぐったさを感じやすくなった。……どう?これで満足でしょ…?」 雅 「あなたのぉ、一体どんなワキぃ…?」 緑咲 「くっ…!腕を真上に上げる事で大きく開かれて、より無防備に、そしてよりくすぐったさを感じやすくなった、くすぐりにとても弱い敏感な…、わ、わきよ…。」 雅 「うん…❤大正解❤❤」 緑咲 「くぅっ……!」  自ら弱点の腋の細かい状況まで説明させられ、恥ずかしさと屈辱で顔を赤くする緑咲。それを誤魔化す為に、緑咲は雅に違う話をし始めた。 緑咲 「もう一人の…、霞って言ったかしら。あの女はどこへ行ったの?」 雅 「突然どうしたのかしらぁ?もしかして二対一がお好みだったかしらぁ❤」 緑咲 「……そうね。あんただけじゃ私を笑わせられないみたいだし、二人でくすぐってくれなきゃ張り合いが無いわ。」 雅 「あらそう。でも残念ながら霞はまた別のお仕事よぉ?」 緑咲 「別の仕事?さっきの続きかしら?」 (私がくすぐられる前にも何かしていたみたいだけど…。まさか天音の身に何か…?) 雅 「さっき?あぁ、そうね。あなたにとってはついさっきのような感覚かも知れないけど、もう日付が変わって日が昇っているわ。そして霞は昨日と同じ仕事よぉ?だから今日は私が一人であなたを楽しませてあげるわ❤」 「………そう。」 (それなら、確かめられるかも知れない…。)  緑咲はある事を考えながら、雅を言葉巧みに誘導し、自分の求める情報を聞き出そうと動き出した。 緑咲 「出来るのかしら?まだ私の名前も聞き出せていない癖に。」 雅 「そんなのぉ、ちょぉっとくすぐってあげればすぐに答えてくれるでしょぉ❤」 緑咲 (やっぱり、雅はまだ私の名前を知らない。つまりそれは私が行方不明になった事はニュースでも報道されていないという事。朝になっても私の失踪が報道されていないって事は、この件を天音や涼華さんが世間に公表していないから。逆に言えば、それが私の身元を犯人に教えないようにしているという事でもあり、天音や涼華さんが今も秘密裏に私を探しているという事に他ならない。私の身元がこの女にバレたら、警察と裏で繋がってる天音は勿論、涼華さんもただでは済まなくなるからだ。) 「あんた、勘違いしていないかしら。さっきは腋が弱点だと認めたけど、まだ私は笑わされていないわ。まだあんたの責めに屈した訳じゃ無い。」 雅 「言ってくれるじゃなぁい❤まぁ、これでもまだ強がってくれるのは私としても嬉しいけどねぇ❤」 緑咲 (霞が行っている仕事って言うのはおそらく天音という私の協力者を見つける事、つまりは拉致行動。あるいは事件の証拠隠滅。こいつらが狙っている女性の特徴を同じく知っている天音は当然そういう服装で犯人と接触を図ろうとする。それを理解している霞もまた、そういう服装で歩く私の協力者を捕まえようとするために拉致する為の事前行動を続ける。これまでの被害女性が今どうしているかは分からないけど、私じゃないと興奮出来ないこいつらは、今更すでに捕らえている女性を責めたりはしない。だからこそ天音を捕らえようと動いているのは間違いない。ニュースになっていない事で尚更私が特殊捜査員である事に気付いているからこその行動だ。ただ分からないのは、更なるリスクを犯してまで、天音を捕らえようとしている事。拷問という理由で私を責める“シチュエーション”を楽しむだけなら、天音を捕らえる必要は無い。つまり、こいつらには警察組織そのものに何か別の目的がある…?) 「別に、事実を言ったまでよ。」 雅 「まあ確かに笑わせるには至って無いわね。だったら、その身体に地獄のようなくすぐったさを刻みこんであげるわ。無防備に晒された、あなたの弱点であるそのワキにね❤」 緑咲 「……好きにしなさい。」 (天音が私の救出と、こいつらの逮捕に動いてくれているなら、私も尚更負ける訳にはいかない。天音や組織の事、涼華さんの事、これらに繋がる事を絶対に吐かずに、拷問に耐え抜くしかない。)  自らが助かる唯一の道。それは天音による救出以外に無い。それを実行される前に仲間の情報を相手に渡す訳にはいかなかった。緑咲は最後の望みに掛けて、拷問に屈しないと強く決意した。  数時間前…。時刻は緑咲が雅と霞に捕らえられてしまった時に遡る。 天音 「もしもし涼華!?まずいよ!つーちゃんが誘拐されちゃったよぉ!!」  天音は緑咲との通信が切れると同時に、慌てて涼華に連絡を取っていた。 涼華 『落ち着きなさい。まず、今からこの電話も含め、全ての通信機の電源を切りなさい。そして十分に警戒しながら“こっち”まで来て。』 天音 「わ、わかった…!」  元々緑咲に着けさせた機器は壊されたため、このアジトと外部を繋ぐものは無かったが、このアジトのシステムを全てシャットダウンし、天音は涼華の元へと向かった。涼華の言う“こっち”というのは、実は警察署内では無く、涼華が天音と直接コンタクトを取れるもう一つのDiverのアジトである。警察署内にいた涼華も、天音からの連絡を受けてすぐにもう一つのアジトへと向かうのだった。  先にアジトに着いた天音は涼華の到着を今か今かと待ちわびていた。するとアジトの地下から機械音が聞こえ、しばらくすると本棚が横にスライドし、そこから涼華が現れた。涼華は、ある別の所から地下を通り、このアジトに向かっていたのである。この扉だけは緑咲は勿論、天音も開ける事が出来ず、涼華がどこから来ているのか分からないようになっている。 天音 「遅いよ涼華!!」 涼華 「あなたが慌てすぎなのよ。」 天音 「だって、つーちゃんが捕まっちゃったんだよ!?もしもつーちゃんの身に何か起きたら…。」  天音は緑咲が捕まる瞬間の出来事、経緯を全て涼華に話した。 涼華 「なら少なくとも殺されているって事は絶対に無いわ。」  涼華は犯人の行動を推理し、今緑咲に起こっているであろう状況を推理し、それを天音に伝えた。犯人が緑咲を誘導し、危険を犯してまで捕らえた事。そこから自分達の情報を探ろうとしている事。その涼華の推理は正に答えそのものであった。尤も、今の二人にはこれが正解であると知る術は無いのだが。 天音 「だから殺されることはない…か。」 涼華 「勿論あくまで仮説だけど。まあ、この仮説が当たってるんだとしたら、緑咲ちゃんが拷問を受けている可能性はあるわね…。」 天音 「ご…、拷問…!?やっぱつーちゃんが心配だよぉ!!」 涼華 「彼女はそんな簡単に敵に屈するような娘じゃ無いわ。それより、これでこの一連の行方不明事件が“連続拉致事件”として確実なものになったじゃない。」 天音 「全然良くないよ!結局犯人に逃げられてるんだから、つーちゃんを探す手段が…。」 涼華 「いいえ、可能よ。犯人が緑咲ちゃんの協力者である私達を捕らえようとしているなら尚更ね。」 天音 「本当!?」 涼華 「えぇ、単純な発想よ。あなたが緑咲ちゃんと同じように犯人を捜せば良い。犯人があなたを捕らえるために、のこのこ現れてくれるじゃない。」 天音 「そこを迎え撃つって事?護身術も使えないあたしが…?」 涼華 「勿論対策は万全にするつもりよ?武器も持たせるし、GPS、発信機も着けるわ。“万が一”捕まってもこっちが追跡出来るようにね。」 天音 「それも壊されたら…?」 涼華 「そうなったら諦めなさい。」 天音 「えぇぇぇぇええええええええ!?」 涼華 「だから武器も持たせるし、こっちだってすぐに犯人確保出来るように潜んでおくわ。最悪あなたが捕まったとしても、犯人がいると分かれば敵のアジトや地下室を捜せば良い。いるかどうかも分からない犯人を捜すのは無理だけど、どこかに必ず潜んでいるなら、絶対に見つけ出すわ。」 天音 「……わかった。あんたを信じるよ!」 涼華 「えぇ。それじゃあ早速準備するわよ。」 天音 「オッケー!」  緑咲の推理通り、緑咲の救出の為に動いていた天音と涼華。それを信じ続けている緑咲に、いよいよ拷問が開始されるのだった。 雅 「弱点の次はぁ、やっぱりあなたの名前よねぇ❤」 緑咲 「私の名前なんて聞いてどうするつもり?名前を知った所で私の正体が分かるとでも?」 雅 「良いのよぉ別に。私好みのターゲットをくすぐり拷問にかけて、屈服させるというシチュエーションを楽しみたいだけなんだものぉ❤」 緑咲 「あっそ。」 雅 「……っふふ、それじゃあそろそろ、くすぐり拷問を始めるわぁ❤」  拘束され身体を動かす事すら叶わない緑咲の背後に立つ雅は、自らの両腕を前に出すと、ワキワキと指を動かしくすぐる真似をして緑咲にそれを見せつける。 緑咲 「っ…!……好きにしなさい。」  その動きを見ただけで腋が疼き、嫌でもくすぐったさを連想させられる。おまけに、今の緑咲は腋を大きく晒す様なバンザイの姿勢で拘束されてしまっている。先程人差し指でつっつかれただけで耐えがたいくすぐったさを味わっている為、その指の動きはより緑咲に恐怖を植え付けた。その動きを見ているだけで緑咲は笑い出しそうになってしまい、強がるような態度で誤魔化しながら目を瞑ってしまう。 雅 「うふふ❤じゃあ早速…❤」 緑咲 「きひぃっ!?」  真上に高く伸ばされ、無防備な緑咲の弱点である腋。そこに雅の両手の人差し指がちょんっと触れた瞬間、緑咲は反応を抑えきれず、可愛らしい声を上げてしまう。 雅 「名前、教えてくれる気になったぁ?❤」 緑咲 「んっく…!い、言う訳…、無いじゃない…。」  両腋に背後から指を1本ずつ触れられているだけの状態にも関わらず、片目を閉じながら必死に歯を食いしばり我慢する緑咲。それほどまでに緑咲の腋が敏感になっており、更に今の拘束状態がそれを何倍にも引き上げているのだ。 雅 「これでもぉ?」 緑咲 「んいぃぃぃいいいいいいいいい!?」  腋に触れさせていただけの人差し指。それをゆっくりと、やさしくなぞるように上下運動させ刺激を与える雅。緑咲は強烈なくすぐったさに身体を仰け反るように大きく反応するが、拘束状態はかなりキツく、僅かにビクっと身体を跳ねさせる事しか出来なかった。その為、全くと言っていい程雅の指から逃れる事が出来ず、そのくすぐったさを紛らわす事すら出来なかった。 緑咲 「ひひひひひひひひひ、んぎぃぃぃぃいいいいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ…!!」 雅 「随分くすぐったそうねぇ?❤」 緑咲 「きっひっひっひっひっひっひっひっひ、この程度…っふひひひひひひひひひ、くすぐったくも…、いひひひひひ無いわよぉ…!」  自身を無防備に拘束する枷をガンガン鳴らせながら必死に身体を捩ろうとするが、緑咲の弱点であるその腋はまるで「好きなだけくすぐれば良いわ」と挑発するかのように、緑咲の意思に反し大きく開き晒され続けていた。その無様な状況を少しでも隠したい一心で、くすぐったくないと見え透いた嘘で強がりを見せる。 雅 「そうかしらぁ?くすぐったくもない人の反応には見えないわよぉ?❤」  しかし、バレバレな嘘は雅の感情を更に高ぶらせるだけだった。緑咲が強がれば強がるほど、雅は興奮し緑咲により苦痛を与えるのである。当然今までの雅の言動で緑咲もそれに気が付いているのだが、そんな事を気にしている余裕は無かった。どんなに無意味でも強がっていなければ、この責めにあっさりと屈してしまいそうになるからだ。 緑咲 「んぎぃぃぃいいいいいいっひひひひひひひひひひひひひ…!くすぐったくぅぅうっふふふふふふ、なんかっひひひ、ないぃぃいいいいいいひっひっひっひっひっひっひ!!」 (や、やばい…!くすぐったいっ!このポーズ、腋が無防備すぎてくすぐったいぃぃいい!!)  どれだけ「くすぐったくない」と言葉を紡いでも、腋を閉じて防御する事も、身体を動かして避ける事も、くすぐったさが緩和する事も無く、溢れ出そうになる笑いを堪え続ける。そんな緑咲に雅は腋をくすぐる手を緩めずに、耳元でそっと囁いた。 雅 「名前を教えてくれるだけで良いのよぉ?捜査員さぁん❤」  悪魔の囁きとはこの事であろう。腋が弱点であると認めてしまった時と同じだ。名前を知られたぐらいで自分の素性が明かされる訳でも、そこから天音や涼華に繋がる訳でもない。緑咲は、雅の作戦で言うところの“負け癖”に陥り、そういう言い訳のような逃げの発想をさせられてしまう。それでも葛藤し、何とか耐えようと首を左右に振り抵抗を見せる。 雅 「それじゃあ、もう少しイジワルしちゃおうかしらぁ❤」 緑咲 「ひぎぃぃぃぃぃぃいいいいいいいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ…!!」  負け癖がついている筈の緑咲が思わぬ抵抗を見せるが、雅はそれに対しても冷静に次の手段に出た。と言っても、優しくなぞる様にゆっくりと動かしていた人差し指の動きを少し早めただけである。まるで腋に出来た蚊に刺されをコソコソと掻くような動きに変えただけだったが、緑咲には今までより何倍ものくすぐったさが襲い掛かり、更に大きな反応をする。 緑咲 「いぃぃぃいいいいっひっひっひっひっひっひっひっひ、それ、ダメぇぇええ!!んぎぃぃぃぃいいいひひひひひひひひひひひひひ、や、やめっ、っひっひっひっひっひっひっひっひっひ…!」  先程までのバレバレの強がりすらする余裕がなくなった緑咲は、ついに「ダメ」だと弱音を吐いてしまった。それで勝利を確信した雅は、再び悪魔の囁きを緑咲の脳裏に響かせる。 雅 「もう一度言うわ。名前を教えてくれる“だけ”で良いのよぉ?❤❤」 緑咲 「ひぃぃぃいいいっひひひひひひひひひひひひひ、んぁああっは、はうぅぅううっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふ、あひひひひひひひひひひ!!」 (名前を教えるだけで…。)  必死に首を振り抵抗を見せる緑咲だが、雅はそんな緑咲の反応に確かな手応えを感じ同じ方法で責め続ける。 雅 「ほぉら、腋がとぉってもくすぐったそうよぉ?名前を教えてくれるだけで、楽になれるのよぉ❤」 緑咲 「いぎぃぃぃいいいいっひっひっひっひっひっひっひっひ、こんなのっひひひひひひ、くすぐったいだけよぉぉぉぉおおお!!」 (名前さえ言ってしまえば…。) 雅 「あらそう❤ならずぅっとこのままでも良いわね❤❤」 緑咲 「ひぃぃいっひひひひひひひひひひひひひ、ふひひひひひひひひひひひひひひ…!」 (名前を教えるだけで解放される…!)  悪魔の囁きに洗脳されつつも、必死に笑い声を抑え耐える緑咲。ただ人差し指で腋を撫でられているだけ。たったそれだけだと心の中で自分に言い聞かせるが、その刺激は慣れるどころか、どんどん強く感じていた。 緑咲 (腋がちょっとくすぐったいだけ…!腋がくすぐったいだけ…、腋が……くすぐったい…!腋くすぐったい!!くすぐったいくすぐったい!!くすぐったいくすぐったいくすぐったいぃぃぃいいいいい!!!)  その耐えがたい刺激によって徐々に、拷問に屈しないという感情が“くすぐったい”という感覚に支配されていき…… 雅 「笑いたくないなら…、この苦しみから解放されたいなら…、名前を言えば良いのよぉ?❤」 緑咲 「いぎぃぃぃぃいいいいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ!!わかった、ぷぐぅううっふふふふふふふふ、言うからぁぁああ!!」  限界を感じてしまった緑咲は、三度目の悪魔の囁きに乗せられてしまった。くすぐりという子供の遊びをバカにしていたにも関わらず、笑わされそうになるのが悔しく、その我慢も限界を迎え、苦しみから解放されたい一心で、緑咲はくすぐり拷問に敗北し屈してしまったのだ。 雅 「やっとその気になってくれたのねぇ❤あなたの名前はぁ?」 緑咲 「んぐぅぅぅううっふっふっふっふっふっふっふ、つ…、つかさぁぁああああ!!かがりっつかさぁぁぁああ!!」 雅 「つかさちゃんって言うのねぇ❤カッコいい名前じゃなぁい❤❤」 緑咲 「言った、ふひひひひひひひひひひ、言ったからぁぁああああっはひぃぃい!!んんひっひっひっひっひっひっひっひっひもうやめなさいよぉぉぉおおお!!」  拷問に屈してもその強気な態度は変わらず、緑咲は今にも吹き出しそうな笑い声を必死に抑え懇願する。今の緑咲は、拷問に屈し自分の名前を白状した事に対しての敗北感よりも、10年前から心の奥深くに閉ざしていた“笑う”という行為を敵である雅に、それもくすぐりというじゃれ合いのような行為に、自分の意思とは別に強制的に曝け出されてしまう羞恥心のようなものの方が強く、ただ笑いたくない一心で歯を食いしばっていた。 雅 「つかさちゃんはいくつぅ?私よりは年下かしらねぇ?」 緑咲 「何でっひひひひひ、あはっ…!んぎぃぃぃいいいいっひっひっひっひっひっひ年齢まで、んふふふふ、言わなきゃいけないのよぉぉぉおおお!!」 雅 「腋、くすぐったいでしょぉ?❤そうよねぇ、くすぐったがりなつかさちゃんの腋は特に敏感だもの。このままくすぐられ続けたら、どうなっちゃうのかしらねぇ?❤❤」 緑咲 「いぃぃぃいいっひっひっひっひっひっひっひ、23んんん!!」 雅 「やっぱり私よりは下だったわねぇ❤」 緑咲 「だったら何よぉぉぉおおお!!んぎぃぃいいいいっひひひひひひひひひひひひ…!!」 雅 「言葉遣いがなってないつかさちゃんに…、これからたっぷりと教育して…、あ・げ・る❤❤」

裏組織Diver ~緑咲の災難~8

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