2キャラメイク 一通りの説明や操作手順をレクチャーされ、設定し終えたマイルームの中に俺は立っていた。 鏡になっている壁面に自分を映すと目も鼻も何も無いのっぺらぼうの「マネキン」状態だ。 こっからいよいよ自分のキャラクター、つまりゲームの中で俺の分身となるアバターを作る。 髪の長さ、髪の色、髪型、髪質。 耳の位置、大きさ、カタチ。 眉の太さ、長さ、カタチ。 目の大きさ、位置、瞳の色。 肌の色、質感、皺の有無。 顔の輪郭、大きさ、髭の有無。 「――せ、選択肢が多すぎてすんげぇ時間がかかるよ~! 顔だけでも終わりが見えねぇ~! 超面倒くせぇ~」 ここで手を抜くわけには行かない。とは言え、あまりにも細かい。予想以上に細か過ぎる! NPCだけじゃなく他の色んなプレイヤーともセックスしたいのならモテそうな要素をふんだんに追加せねば後で悔やむことになるのは分かるけど……。 分かるけど、ここまで選択しなきゃいけないとなると膨大な作業になるんじゃないの? どう考えても相当な時間をキャラメイクだけで費やす事になるのだと気付く。 「もう少し簡単にできないもんかな……、うん?」 視界の端に【プリセットを活用してキャラクターを作る】とのボタンを発見。 「これこれ! こう言うのが欲しかった! あらかじめ出来上がってるベースから自分らしいものへ微調整すりゃいいんだよ!」 ボタンを押すと分厚い辞書のようなファイルの束が現れ、種族や年齢ごとに選べるようになっていた。 「ふむふむ、種族は5つの種族から、年齢は10歳から100歳まで、か」 人間(ヒューマン)・獣人・エルフ・オーク・淫魔の5種族。 アンドロイドや異星人と言う種族は無い。なので『MFW』はSFよりではなくファンタジーよりな世界だと言える。 【種族と年齢を選択すると、プレイヤーのパーソナルデータに合わせた最もふさわしいキャラクターを作ることが可能です】 俺の特徴を脳内から直接読み取り「おまかせ」でプリセットキャラと合成してくれる機能もあるようだ。 「じゃぁ、合成までおまかせしちゃおうかな。つうか、その方がサプライズ感があって面白そうだ」 あらためて5種族の中から実際の年齢より上になる20歳くらいのプリセットキャラの画像を引きだして見比べ、この中から一番エロくてカッコ良く見える種族=「淫魔」を選んだ。 「顔といい筋肉の付き具合といい淫魔が一番エロいよな~。チンポのデカさも半端無ぇし」 俺のパーソナルデータを混ぜてみた場合、どんな淫魔の「俺」が誕生するのかとても興味が湧いた。 淫魔以外の種族では少々物足りない印象を受けたのも事実。 「うん。やっぱり淫魔だな。淫魔しかない」 「淫魔」を選択し俺のパーソナルデータをベースとなる淫魔キャラに流し込んでいく。 すると、徐々にカラダがベコベコ、グニグニと蠢き始める。 「っく! いきなり? は、始まった! んぁ! す、すっげ、こ、この段階、でもっ、きもぢ、いいっ!」 目も口も無いマネキンだった俺の顔に穴が生まれ、そこに眼球ギュルンと充填され口の中に歯がブジュブジュと芽吹く。 鼻がククッと起き上がり三角に尖った耳が顔の両サイドにベロンと伸びてきた。 ダークパープルの髪の毛がざわざわと生えアニメヒーローみたいにツンツン立ち上がる。 褐色に染まった肌に太い血管がビキビキ浮き上がると、全身の筋肉と言う筋肉が皮膚を内側から押し上げボコッ! ボコォッ! と筋肉が肥大する。 「っふぉ!? すっげ! ああっ! き、筋肉が、デカくなるのも、キモチィィーーッ!」 首の背後の僧帽筋がメリメリ音を立てて発達し、顔が小さく見える程分厚く太くなっていく。 僧帽筋を受け止める両肩の三角筋がズブンッ! グブンッ! と盛り上がり、肩にヘルメットでも装着したかのようなゴツさになった。 続く上腕三頭筋や上腕二頭筋が何倍にも膨らみ、前腕も上腕に負けない逞しいマッスルアームに仕上がった。 大胸筋がギチギチせり上がり顔を傾けてもすぐに腹部が見えないほど高く突き出すと、大きな段差の陰になった腹筋が光に向かってムクムクと成長し、六つに割れた筋肉パックの溝を深く刻みながらパンパンに膨らませて行く。 「んがぁ! ん゛ん゛ん゛っ! ちょ! あ、脚まで? ひぶ! ごあっっはぁぁああーーーーー!」 引き絞られて細くなる腰、背筋が大きく広がりながら分厚くなると、上げた腋の裏側を塞ぐまでに発達して背中に大きな肉の盾を背負った。 太ももが異様に太い血管を浮かべながらバキバキ太くなって、膝下カーフ(ふくらはぎ)にあるヒラメ筋と下腿三頭筋がボコリ、ボコリと急激に体積を増す。 俺のカラダが猛烈な速度でマッチョになっていく。 卑猥な快感を感じながらカラダ中の筋肉があり得ない速度で成長していく。 いつの間にか身長まで大きくなってマネキン状態の時と比べても20cm以上は伸びている。 最後に、額のこめかみの上からL字に角がずぶずぶ生え、腰と尻の間から亀頭みたいな先っちょを持つ黒尻尾がビュルンと伸びた。 「は、はぁっ、はぁっ、こ、これで、終わり……、なのかな?」 じんわりと気持ち良い温もりが体内を駆け巡っている。 ひと目で分かるほどのとんでもない筋肉の持ち主になった。すばらしいと言う以外に言葉が見つからないほど突き抜けたエロい肉体美。 ナルシストじゃなくとも魅了されてしまう。 得も言えない自信が、パワーが、沸々とみなぎり毛穴中から立ち昇ってくる。 「すげぇ~! すんげぇなこのカラダ! 感触も動きも、まるで本物! ヴァーチャルだなんてとても思えない!」 スーパースペシャルメガマッチョだが、「鍛え過ぎてて気持ち悪い」と言う印象は微塵も感じさせない。 ひたすらカッコよく、雄臭く、ひたすらエロい。 「これが、これが俺のパーソナルデータを組み込んだ淫魔かぁ……。想像以上じゃないか? 期待を遥かに超えて来たよ!」 これからが本番だってのに変身した自分の姿に嬉しさが込み上げ、ひとしきりガッツポーズと称賛を繰り返す。 そんな中、カラダの中を巡っていた暖かいエネルギーがドクドクとカラダの一部分に集まって来た。 「うん? まさか、まだ終わりじゃ、なかったの、か? ――っ!? ぐぉぉっ! ち、チンポがぁぁああああ!」 集まったエネルギーがチンポを熱く昂らせ、下を向いていた陰茎をググッと上に勃たせた。 勃起したチンポは血流をみなぎらせ荒々しく鎌首を振りながらサイズをいっぺんに大きくしていく! 「ほがはぁぁぁあっ! ち、チンポがぁっ! チンポが熱いっ! お、大きくなるっ! で、デカくなっていくぅぅーーーっ!」 メリメリ、ギチギチ、メキメキ、と、およそチンポにあり得ない音色を耳に飛び込ませて俺のチンポはぐんぐん育ち、異常な急成長の雄叫びを上げる。 俺の股間で「並み」から大へ、大から巨大へ、巨大から超巨大へ、と爆発的にサイズアップしてしまった。 「――んぐ、ふぅぅ……。こ、今度こそマジで変身完了、なのか? ……に、してもこのチンポ、ヤベェだろ? どんだけデカくなってんだよ」 15cm程だったチンポが驚異的なビッグサイズのチンポへ、亀頭が顎に届きそうな長さ、両手で握ろうにも指が届かないほどの太さに。 メガマッチョになった今の俺の腕と同レベルのジャイアントコックが股間から聳え勃っているのだ。 【ゲーム内であなたの分身となるキャラクターの作成が完了しました。こちらでよろしければ《はい》を、もう一度作り直す場合は《いいえ》を押してください】 「作り直す必要なんかないって。このバカでかいチンポも淫魔っぽくて有りだ」 それに、この驚きの超巨大チンポを嵌められ喘ぐ女の子をイメージするだけで俺は興奮がMAXになって、あっという間にイってしまいそうにな――――? 俺は今何を? 何をイメージするんだって……? 『――構成――、組み換え――――へ強制転換――。不要領域――廃棄――――。終了――』 頭の中が一瞬、暗黒のノイズに覆われた。 思考が、意識が、俺と言う存在が、「雄々原 陽一」と言う名前の一体の人間が、人間だったものの記憶が、自我のどこかがトロリと融けて流れ去り、入り込んだ別の「何か(データ)」が流れ去った跡の穴を埋めてしまった。 「待て……。待て待て。俺はなんで女なんかに嵌めようと思った? 違う……、違うだろ? ヤるなら男。俺は男好きの淫魔、雄でなきゃ勃たねぇインキュバスじゃないか。 雌相手に発情なんてする訳ないじゃんか」 視線を上げて鏡を見た。 その中に居るのは紫色の髪を逆立てた超がつくほどカッコ良くて、雄のエロい魅力が溢れまくっている俺。 触れずにはいられないほどなめらかな褐色の肌、見ればしゃぶりつきたくなる巨大チンポを股間に携えた褐色の淫魔がそこに立っている。 「むっひひひ! これだよこれ! 俺ぁこのスペシャルなカラダとチンポで男の精を貪り、快楽の限りを尽くしてやる! そして男たちに淫魔とのセックスがどれほどすごいのか、淫魔が与える快感がいかに超絶なのかを知らしめ、悉く俺の虜にしてやるのだ!」 瞳がキュゥッと縦に細くなり黒かった瞳が紅く色を変えた。 俺の中で男への卑猥な欲望がムクムク膨らんでいく。 息を吐くたびに男を欲してチンポが震えた。 「ハハハハッ! ハーッハッハッハ! 良いッ! 良いぜぇっ! 俺は淫魔! 淫魔オーファル! 貪欲なるインキュバス! オーファル様だぁぁぁーーーーっ!」 マイルームが俺の雄叫びでビリビリと振動した。 「おーい、返事が無いけど入るぞ~? 丁度キャラメイクが終わったようだな? ――へぇ、……これはこれは、なんともエロい淫魔に変身したもんだ。 奈義先輩にはあまり簡単にここの事を教えたらダメだと抗議したけど、陽一についてはむしろ誘いこんでみて正解だったようだなぁ」 黒髪の淫魔がいきなり俺の部屋に入って来た。 「む? だ、誰だ? 貴様は。何故、俺の許しもなくこの部屋へ?」 「許すも何も、俺が陽一にパスワードを取ってやったから陽一はこうして『MFW』で淫魔に……、っと、そう言えば、 今の陽一はかなり淫魔寄りに意識を持って行かれてる状態なんだっけ? だからこうやってパスワードを渡した者が『引き戻して』導くために時間を合わせてログインするようになっているんだったな」 「何をブツブツ言っている? 貴様も淫魔のようだが、まさか、我がアジトたるこの部屋を奪いに来たとでも言うのか?」 侵入者であるなら排除するまで。 見た目から入って来た者も俺と同じ淫魔のようではあるが、俺はこいつを知らない。 訳知り顔で肩に置いたそいつの手を、俺は勢いよく払い除けた。