SamSuka
鷹取リュウゴ
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ペニス スレイブ 1

1イケメン童貞の悩み  自分で言うのもナンだが、容姿はそんなに悪くないと思う。 カラダだってそこそこイケてるはず。 だが、もっとかっこいい「一つ上の」男を目指すなら残るは男性器、チンポだ。 いい感じに持ち込んで、よっしゃセックスできるぞと、いざ裸になった時チンポで幻滅されちまったら相当凹むのは確実だ。 だが、まだそういう経験は一度もない。 無いからこそ「初めて」そういう状況になれた時を失敗に終わらせたくは無い。 大きさは、そりゃぁでかい方がいい。 カタチもエロかっこいい「らしい」形状がありがたい。 そして、挿入中に中折れなんて無様なことにならないよう精力もたっぷりタフなレベルになれれば言うコト無しだ。 ところで、こういうシモの事についてだけは特に詳しい男がいる。 俺と同期で入社した「菊川 恵(きくかわ めぐみ)」だ。 見た目はスマートで脂ぎった所が全然無く、エロい事なんて考えてなさそうな爽やか真面目系なのに、変態マニアックプレイが好きで、そういう風俗店やアダルトショップに通っては俺が求めている以上のセックス情報をもたらしてくれる。  「いやぁ~、昨日のプレイは凄く良かった! 真空パックにされて身動き取れない俺を何人もが寄ってたかって嬲ってくれるんだぜ? 最高に気持ちよかった! お前も試してみないか?」 こんな変態趣味を他のヤツじゃなくて俺にだけ言ってくるのはどうしてなのか? 妙に懐かれている気がするのだが。 「それより今日は大丈夫なのか? また縛られたまま会社に来てんじゃねぇだろうな?」 この前なんか屈んだらスラックス越しに荒縄が浮かんでいたんで人前で絶対に屈むなよ、と注意してやったばかりだ。 もちろんジャケットも脱ぐなとも言っておいた。 「ああ、大丈夫だ。縛りプレイは明日の予定になっている。今はケツん中にローター仕込んでいるだけだ、ぐふんっ」 「ちょ!? 変な声出すな! ローターの電源もオフにしとけ! てかお前、とうとうケツまで弄りだしてたのか!」 「とうとう、って? 俺は中坊の頃からケツで遊んでたぜ? お前は違うのか?」 顔がうっすら紅いのはそういう理由だったのか。まさかまぁ、ケツにまで「手」を伸ばしていたとは。 そんな変態野郎だが、常識が無いわけではなくむしろ上司からの覚えは俺よりも上だ。 「そんなのどうだって良いだろ? 明日のプレゼン資料作り、ちゃんとできてんのかよ?」 「とっくに仕上がってるけど。つうかさ、お前もたまにはキモチ良いコト、しておかないと息が詰まるだろう?」 「相手が居ないんだから仕方ないだろう? 言われなくたって分かってるさ」 「こんなイケメンが25にもなって童貞こじらせてるなんて勿体無ぇなぁ。あ! なんか悩みでもあんの?」 「な、悩みなんか……」 「あるんだろ? 一歩踏み出せない何かが」 真面目な顔で俺をじっと見た。 ケツん中にローター仕込んでいるくせに。 「……少し自信が無いんだよ。イザ本番って時にチンポが小さいとか言われないか、途中で萎えたりしないか、相手を満足させられるのか……」 なぁんだ、そんなツマラナイ事で悩んでんのかよ、とバカにされるだろうと思っていた。 「深刻だな。顔や体よりもまずはチンポに自信が無きゃ何も始まらないからな」 「バカにされるかと思った」 「しねぇよ。何に悩んでるのかは人それぞれだし、それを聞き出しといてバカにするとか人として最低じゃんか」 変態のクセに性格は良いんだよな、コイツ。 だから懐かれていても悪い気はしないのだが。 「よし。じゃぁ、仕事が終わったら買いに行こう」 ポンと手を打った菊川がそんな事を言う。 「買いに? 何をだ?」 「何を?って、お前の悩みを解決してくれるモノだよ。世の中お前と同じような悩みを抱えてるヤツって多いんだぜ? ショップの中でも特にそんな悩みに対応した専門のショップがあるんだよ」 ショップとはアダルトショップに違いない。 「そこって違法なヤツとか脱法系のやばいクスリを扱ってるんじゃないだろうな?」 「それは問題ない。店は中央通り3丁目交番の隣のビルだけど、一度も指導を受けた事などないそうだ」 場所はすぐにイメージができた。 中央通り3丁目交番とはこの前落とし物の財布を届けた交番だったからだ。とても対応が丁寧で好感の持てる若いお巡りさんだったので、以来、通りかかった時には軽く会釈を交わすようになっていた。 「菊ちゃーん! 満丸商事さんからご指名の電話だよ~! 2番で回してるから~!」 課長からの声で隣の自席に戻った菊川は、すぐに声のトーンを仕事モードに戻して受話器を取った。 「――はい、お待たせしました。菊川でございます。いつもお世話になっております。先日はどうもありがとうございました! はい、追加のご注文、ですね? 恐れ入ります。ただちに在庫の確認をしてまいりますので折り返しご連絡を差し上げると言う事でよろしいでしょうか?」 静かになった俺は、まだ仕上がっていなかったプレゼン資料作りの続きをしようとPCに向かった。 「……チンポに自信が無きゃ、何も始まらない、か」 ◇  店に入るなり男の店員と思いっきり目が合った。 だけど「いらっしゃいませ」などの挨拶は無くすぐに目をそらされた。 不愛想と言うよりかはアダルトショップならではの素っ気なさ、と言う奴だ。 定番のコンドームやローション、エロDVDが所狭しと並んでいる中、菊川に引っ張られて立ったのはドラッグコーナー。 ドリンク剤にせよ錠剤にせよ精力増強、勃起力アップと言った謳い文句が目立つ。 「ああ、そんなのはただの気休めさ。本当にマジで効果があるのはこれだ」 菊川が棚から取ったのは『ペニスレイブ』と言うクスリだ。 「夢想製薬?」 聞いた事のないメーカーなんだが。 「知らないのか? シモの世界じゃけっこう有名だぞ? お世話になってるヤツなら何人も知っている」と菊川は言う。 お前もか? と聞くと「野暮な事を聞くなよ」と返って来た。使った事、あるんだな。 「あと、そうだなぁ、ついでにコイツとこれも買っておいた方が良いな」と、特大コンドームとかディルドまで選んでいる。 そっちはてっきり菊川自身が使うために買ったんだと思っていたのだが、清算を済ませると全部俺に渡して来た。 「ええ!? 俺はディルドなんて使う気無いんだけど?」 「絶対持っておくべきだ。その内必要になるから」 特大コンドームだって俺のイチモツにはぶかぶかで余り過ぎるんだがなぁ。 菊川が善意で選んでくれたアイテムをすぐに返品するのも忍びない。 困惑しているとすぐ後ろに次の客が立ったのでレジの前をさっと譲った。 ふと客の顔を見たら男には見覚えがあった。 誰だったっけ? と。 なんとか思い出してみたら隣にある3丁目交番ののお巡りさんだ。 勤務時間が終わって私服に着替えてからショップへ来たんだろう。 レジカウンターに置いた商品の名前が「デカマラX」と「マッスルZ」。 おまわりさんもシモで悩んでいたんだな、と思うと妙な親近感を持ってしまった。


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