生皮鬼 8
Added 2021-05-01 13:50:42 +0000 UTC8求性鬼のミッション カギロイの『皮』を脱いで元の姿に戻った俺は、戦闘になる前に「説明は後で!」と言っていた説明を生駒先生から聞いた。 「――つまり、カギロイの精液によって浜沖が浄化され、不要になった力が『皮』になった、と言う訳なんですね?」 「そうだ。分離した『皮』には邪気がこもっていないからな」 生駒先生は驚きの様子を隠さず手にした「カイナギ」の皮をじっくりと確かめていた。 「大丈夫なんすか? 先生。俺らの時みたく皮が勝手にまとわりついて来ないんですか?」 「う~ん……なるほど。大丈夫――だな。俺には反応無しだ。恐らくお前たちが触れても覆ってこようとはしないだろう。生み出した浜沖にしか扱えない『皮』だ」 生駒先生は改めて、邪気や邪気を取り込んで「邪鬼」にまで至ってしまった人を「浄化」する方法を俺たちに説明した。 「修哉たちが求性鬼の『皮』を着て、精液を与えないと邪鬼にまでなってしまったヤツは浄化できないのさ。俺ができるのは人に憑りつけるほど強くない邪気を祓う事、までだ」 俺の鼻にまで先生の青臭い匂いが漂って来るんだけど、仕方がないよな? 替えのスラックスなんか用意していないんだろうし。 「先生がさっき話していた『三匹の鬼』ってのが『求性鬼』、なんすね?」 壮平が聞くと「その通りだ」と生駒先生がうなずいた。 「それにしても、浜沖はどうして邪鬼なんかになっちゃったんでしょうか?」 龍騎は眠ったまま目覚めない浜沖を見やった。 邪気に中てられて倒れただけの先輩たちと浜沖との間の違いはなんだったんだろうか? 「そいつは俺にも分からんな。本人に聞いてみるしか……」 生駒先生につられて俺たちも床に横たわっている浜沖を見下ろす。制服は粉々に千切れてしまったので全裸だった。 何気に良いカラダしてんだよなぁ。伊達に水泳部員をやってないって感じだ。 顔も悪くねぇしチンポもデカいし。ケツも引き締まってて揉み心地も良さそうだ。 ま、裸の浜沖についての批評はともかく、いつまでもここにこうして置いておくわけにもいかないだろう。 この時、図書室のドアが荒く開いた。 「ユッキー! おい! 無事か!?」 入って来たのは体育の御隠(みかくれ)先生だった。 「おう、無事だ! 邪鬼を一体、こいつらのお陰で浄化し終えたところだ」 「そりゃ良かった、……じゃねぇよ! こうなると分かってたんだろう! ほんっと、相変わらず無茶するよな~?」 怒ってはいるけど心底ほっとしたような優しい表情を浮かべる御隠先生。 体育の授業ではあまり見ない顔だ。いつもはもっとぶっきらぼうでガサツな態度なのに。 「先生? ユッキーってのは?」 龍騎が生駒先生に聞くと、何故か御隠先生が「あっ」と小さく叫んでじたばたと変な動きを見せた。 「ああ、もういいよアッキー。俺が男ながら子を孕めるって話もコイツらには話してあるんだしな」 「と言う事は、もしかして?」 俺は生駒先生と御隠先生とを交互に見た。 「そう。御隠先生が三勇士の中で隠れ人になった一族の子孫なのさ」 「おお~!」 「それに、俺の彼氏兼伴侶でもある」 「生駒先生の伴侶!?」 「御隠先生が生駒先生と!?」 壮平も龍騎も目を丸くしている。 「もうやめろよユッキー。恥ずかしいじゃないか。生徒にそこまで打ち明けなくたってよかったんじゃないか?」 「アッキー、こいつら、いや、松塚たちはもうただの生徒じゃない。封印を破る力を持ち、鬼の皮を身に付ける資格のある人間なんだ。そんな彼らに状況を理解してもらって協力を願うのだから俺の秘密になんて構ってられないだろう?」 「う~ん、それもそうか……」 ここで生駒先生が姿勢をピンと正した。 「求性鬼に認められ、鬼の『皮』の主となったお前たちに頼みたい。浜沖のような邪鬼が現われたら今後も力を貸して欲しい。 少し前から学園内では前兆とも言うべき問題が起きていたんだ。邪気の影響で授業中、部活中に限らず突然気分を悪くしてしまう生徒が出てきたり、真面目だった生徒がいきなり不登校になったり、仲の良いグループが喧嘩し始めたり――」 「動揺が広がらない様、俺たちが頑張って抑え込んでいたんだが、それでも昨日は三人も生徒に被害がでちまったんだ。畜生っ!」 御隠先生が拳を壁に叩きつけた。 「邪気が集まりそうな場所にはあらかじめ清めの塩を撒いたり邪気祓いの札をこっそり貼りつけたりして対策は取っていたんだが、 それでもこの頃の邪気の濃さは異常だった。 それと、校内の全ての場所となると俺と御隠先生だけじゃ中々回りきれなくてな」 龍騎が生駒先生、御隠先生のどちらともなく尋ねた。 「病院に運ばれた三人の先輩はどうなったんですか? 先輩たちも浜沖みたく邪鬼になって暴れたんでしょうか?」 「いや、あの三人は邪鬼になってない。邪気に憑かれそうになったが眠りに落ちる事で無意識に外界との強制シャットダウンを行った、と見ていい。 なので、2、3日中には回復して元気になるだろう」 御隠先生は「今日の朝一番に病院まで様子を見に行ったら3人ともピンピンしていたぞ。なので、もう退院しても良いんだろうが色々と検査してからでないとダメらしくてな」 「浜沖はどうですか?」 「こいつはもっと大丈夫だ。なにせ求性鬼の精液を取り込んで、きれいさっぱり浄化されたんだからな」 生駒先生がニヤッと俺を見た。さっきのエロい「浄化」を思い出しているんだろう。 「もうじき目が覚める頃合いか? なら、いつまでも裸じゃ可哀相だ」 御隠先生が着ていたジャージジャケットとジャージパンツを浜沖に穿かせた。 下着を着けていなくてもこれなら外を歩けるだろう。 ジャージの上下を浜沖に与えた御隠先生は、タンクトップにランパンと言ういで立ちになった。 筋肉質なカッコいいガタイがすごくエッチだ。 「さて、随分と遅くなっちまった。修哉、ぶっつけ本番で浄化をやったから疲れただろう? でも、上手くいって良かった。 本当にありがとうな。カギロイにもとても感謝していると伝えておいてくれ。俺と御隠先生はしばらく残ってこの辺りの邪気対策をやってから帰るつもりだ」 「分かりました……、と、それはそうと」 「うん? なんだ?」 「あの鬼の『皮』は先生がここに一時保管していたものなんですよね? だったらすぐに返却した方がいいんじゃないんですか?」 生駒先生と御隠先生とが互いをじっと見てからこう俺たちに告げた。 「さっきは『覆水盆に返らず』なんて言い方をしちまったが、俺が聞いた言い伝えではこんなのも伝わっていてな――」 一呼吸置いた生駒先生が再び口から言葉を吐き出した。 「『皮』に認められ『鬼』と和して力を使い得る者が現われたならば、躊躇う事無く授け与えるべし。その『皮』の『鬼』は必ずや生ある者の守り手とならん――、てな」 御隠先生が俺や龍騎や壮平の背中をバンバン叩いた。 「ま、要するにだ! お前ら3人は正義の味方! 悪ぃ鬼じゃなくて『良い鬼』として活躍してくれってことだ! これからも『皮』で鬼になって学園の仲間たちを護って欲しいっつーこった!」 「は、はぁ……」 ガハハと豪快に笑う御隠先生。いつもムスッとしてないでこう言うソフトで明るい表情を普段からもっと見せるようにしていれば生徒からの人気が上昇するのは間違いないのに。 賀名生学園に6人居る体育教師ランキングで5位、などと陰で言われてるなんてきっと知らないんだろうなぁ。 「それに、だ。求性鬼は3匹とも強いから、これからもちょちょいと邪鬼を退治できるだろ?」 それはちょーっと能天気過ぎじゃね? 今回はたまたま上手く行っただけじゃん。 御隠先生のあっけらかんとした態度に俺だけじゃなく壮平も龍騎も不安な顔つきを見せていた。 ◇ 次の日の放課後、俺は浜沖に体育館裏へと呼び出された。 「こんな場所で何の用? てか、体はもう大丈夫なのか?」 「大丈夫、な訳無ぇよ……」 「だよなぁ? あんな不気味な邪鬼になっちまうとかやっぱショックだよな?」 「うん? あ~、そっちは大した事じゃない。カイナギはもう一人の俺、みたいなモノだから」 「じゃぁ、何が大丈夫じゃないんだ?」 浜沖は顔をさっと紅潮させた。 「忘れられないんだよ……、お前の、と言うかカギロイさんのチンポが。昨日、先生に家まで送ってもらってからもずっとケツが疼いちまってて、 何度も何度もカギロイさんのあのチンポが、カギロイさんのデカいチンポでケツの奥までゴリゴリされてたのが頭に浮かんじまってさ、今日だって全然集中できねぇ。頭の中がカギロイさんのチンポ一色だ」 潤んだ眼と切ない表情を湛えて浜沖は俺の手をしっかりと握り締めた。 「頼む! もう一度カギロイさんのチンポを味わいてぇ! カイナギになった俺のケツをカギロイさんのチンポでたっぷり犯して欲しいんだ!」 「は? いやいやいや、何言ってんだよ浜沖。つうかさ、あの邪鬼の皮、まだお前が持ってんのかよ?」 「そうだが? なんかさ、生駒先生が言うには『その皮からは全く邪気を感じない。浄化された後に出来た副産物だから処分は作り出した本人に任せる』って言ってさ、没収されなかったんだ」 「へぇ~。そうなのか。邪気は無くなったのに着れば邪鬼のカイナギになんのか」 「邪鬼じゃなくてカギロイさんと松塚のお陰で浄化されたから、ただの『鬼』のカイナギ、としてだがな」 そういや、なんで浜沖は邪気に憑かれてから邪鬼にまで堕ちていたんだろう? 「なんで? って、それ聞くのかよ? ……ハズイけど、命の恩人のお前には言う。他のヤツには言うなよ?」 浜沖は水泳部では主にバタフライを専門に泳いでいた。そして、順調にタイムを更新し夏の大会でも大いに活躍できていた。 ところが、夏の終わりごろの事だった。 「付き合っていた部の先輩にこっぴどく振られてさ、俺との関係はただの性欲処理で本命はずっと前から別の部員ってのを聞かされたんだ。二股かけられていたんだよ」 意気消沈した浜沖はいつも通りの力を発揮できなくなり後輩にもタイムを抜かれるようになってしまった。 だけど、このままじゃあまりに惨めだ。せめて得意のバタフライくらい水泳部で一番になって先輩を見返してやろうと頑張った。 特に、肩や腕を中心にハードな筋トレを行い肉体改造に連日励んでいた。 「焦っていたんだ。俺にはもうバタフライしか無い、って」 急ピッチで行っていた肉体改造は、しかしながら浜沖の肩から上腕にかけて炎症を起こし筋肉を傷めつけただけだった。 きちんと治療すれば完全に治ると保健室の先生は言うものの、しばらくは安静にせよ、部活は当分控えろ、とも告げられた。 「それからだ。部活を休みだしたのは。休む理由をちゃんと言えば良かったんだけど俺のプライドが邪魔して、言えなかった。 なんでそんな無茶な肉体改造をしたのか? って聞かれるのも怖かった」 まぁ、自分を振った先輩を見返すためです、なんて言いづらいよな。 「親にも部活の事をあれこれ聞かれんのがうざいから一応学校へは登校して部活に励んでいるフリをしてた。本当は部をサボって放課後には図書室(新校舎の)にこもってたり保健室のベッドで寝てたりして時間を潰してた」 そうやって一昨日も浜沖は保健室で2時間ほどふて寝してから帰るつもりだった。 「寝てたら声が耳元で聞こえたんだ。嫌なら何もかもぶっ壊してしまえよ。そうすればスッキリするんじゃないか? って。 ハッと目を覚まして起きてみたら黒い影が目の前に居てさ、慌てて逃げようとした俺をベッドに押し倒してどんどん俺の中に入って来やがるんだ」 そうして気付いたら旧校舎の図書室に居たんだ、と浜沖は言う。 黒い影ってのは邪気に間違いない。 「俺もさ、自分も含めて何もかもぶち壊してやりてぇ、って思っていたんだよな。だから、あんな声が聞こえたんだと思う」 邪気が浜沖に語りかけたのだろうか? それとも浜沖の心の声をおうむ返しに反射しただけなのか? 浜沖が邪気に憑りつかれそうになっている時、保健室の先生は不在だったんだろうな。居ればもっと大騒ぎになっていたかも。 「しかし、浜沖も色々と大変だったんだな……」 それにしても浜沖を玩んでいた先輩ってのが許せないよな? 個人的にお仕置きしてやりたいくらいだ。 その先輩が浜沖に酷い事をやらかしたせいで浜沖は邪鬼になっちまったも同然じゃないか。 「今はもう、そんな風に思っちゃいないぞ! 先輩より好きな人もできたし!」 浜沖は周囲を見渡し誰もいないことを確認すると、ポケットから取り出した「カイナギ」の『皮』をサッと拡げた。 『皮』はするすると浜沖のカラダを覆っていく。 「おい! 制服がまた破れちまうだろ!」 昨日みたくジャージを貸してくれる人は居ないのに、なんでせめて先に脱いでおかないんだよ! 「まぁ、見てろって。問題無いから」 余裕の笑顔を俺に向けた直後、浜沖の制服がひとりでに脱げて行った。『皮』が浜沖の衣服を中から丁寧に脱がし、一つ一つ外してくれているのだ。 間もなく浜沖は『皮』に覆われた全身タイツ男となった。 こうなりゃ完全に巨腕の鬼・「カイナギ(腕戯)」となるまであとわずか。腕なんか早くも風船が膨らむみたいにボコボコ巨大化していっている。 「しょうがないな。じゃぁちょっとだけ相手してやるよ。けど、あんま大声は出さないでくれよ?」 俺も鬼になるためカギロイの『皮』を拡げた。