2ボディエレクチオン 少し白く半透明なドリンクがペットボトルに入っている。 キャップを開け匂いを嗅いでみると甘いサイダーのような香りがした。 「開封したら時間を置かずに一気に飲みきってくれ、と言っていたな」 根が真面目な牧野は坂井に言われた通り彼女を呼ぶ事も無く部屋の中で一人、坂井からもらったドリンクをゴクゴク飲み干した。 「……っふぅ。炭酸飲料みたいな匂いだけど炭酸は入ってなかったな。とろみのあるスポーツドリンクみたいで飲みやすいじゃん」 エナジードリンクにしてはさほど甘くなく、拍子抜けするくらいであった。 「マジで効果なんてあんのか? 坂井はむちゃくちゃ効果があると言ってはいたが、ドリンク一本飲んだだけで業績が上がる、って、そんなの有り得ないよなぁ? やっぱり一杯食わされたのか? 俺」 空になったペットボトルを手荒にゴミ袋に放り込んだ牧野は苦々しい思いのままベッドに寝転がった。 「やっぱり業績アップの秘密を俺なんかには教えられない、ってことかよ。クソッ」 むしゃくしゃする気持ちを何かで解消しようと時計を見れば22時を過ぎている。 牧野の彼女は看護師として夜勤や泊まり勤務もある仕事をしている。声だけでも聴ければ、とスマホに手を伸ばしたがすぐにまたスマホを手放した。 この夜は泊まり勤務だったからだ。 「……そう言えばエッチもここんとこやれてないな」 牧野自身もそうだが牧野の彼女もそれほど性欲は強くないタイプだった。 そのため交際開始の当初からデートのたびにセックスをしていた訳ではなく、月に数度、と言う頻度であった。 「前にヤったのって、うーん? かれこれ三か月も前!?」 そんなにもブランクが開いてしまったのか、との驚きを感じると同時に股間が沸々と熱気を帯び始めている事に気付く。 「そんだけ間が空いてりゃ、そりゃぁムラつくのもしゃーねぇよな? よし、サクッとシコってヌいちまおう」 再びスマホを持ち上げオカズ画像や動画をまとめているフォルダーを開く。 胸の大きな女性が淫らに股間の裂け目に指を挿し込み見ている者の熱い昂りを求めている。 牧野はその裂け目に自身のイチモツがズブズブとのめり込む様をイメージし、ヌメリながら扱かれていく心地よさをリアルに思い出していく。 「……ん? どうした? いやに勃ちが悪いな……。この画像に飽きたのか?」 握った牧野のチンポは手の中で反応せず萎えたまま。ムラムラとする性の欲求は後退してなどいない。むしろヌキたい気持ちは 高まる一方だ。 牧野は他の画像に切り替えた。 だが、またもやチンポに力がみなぎる気配がない。 「くっそ、オナるだけなのに焦らされてどうすんだ?」 さらに他の画像、さらには動画、「これなら」と思うものを選び表示させていったが牧野のチンポは全くそれらに興味を示さなかった。 「勃起しないなんておかしい……。俺、この歳でED(勃起不全)になっちまったのか?」 牧野は頭の中でEDを引き起こしそうな原因を探る。しかし、仕事でも人間関係でも特に気になる点は無く、思い当たる物は何も見出せない。 かと言って性欲が減退した訳ではない。 少しも勃起しないチンポに焦るもののヌキたい、オナって気持ち良くなりたい、と言う性欲はますます胸の内で膨らんでいるからだ。 「どうして? 俺のチンポはどうしちまったんだ? この前は普通にシコってイけてたのに……」 数日前の自分自身を思い出す。 たびたび覗くエロ画像サイトで好みの女性の痴態を見つけ、それをオカズに気持ち良くぶっ放せていた事を。 チンポは元気に勃起し射精と、射精に至るまでの快感をきちんと牧野に送り続けていた事を。 その時のチンポの状態をありありと思い出して―― 「ふおお!? ぼ、勃起したぁ!?」 いきなりムクムクと膨張した牧野のチンポがようやく準備完了と言わんばかりに硬く勃ち上がった。 ならばこれで良し、と牧野は改めてスマホのオカズ画像を仰ぎ見ながら勃起したチンポを握りしめた。 ところが、だ。 何故かチンポは勢いを失い急速に萎えてしまう。 「やっぱり、おかしい……。マジで俺、病気になっちまった?」 牧野は耐えきれずエロフォルダを閉じ「ED チンポ」などの単語を入力してググッてみた。 そんな中、うっかり指が滑ってフル勃起したペニスの画像を大きく表示させてしまった。 すぐに閉じて目的のサイトに移動しようとしたものの、何故か牧野の目は誰とも知らぬ赤の他人の勃起した「チンポのみ」の画像に釘付けとなった。 直後、股間に血液が大量に流れ込み海綿体が充血、陰茎が硬化、性交に備えて肥大する、いわゆる「勃起」を引き起こした。 「マジで? ま、まさか、俺……」 論より証拠。 頭で否定しようがカラダは正直。 恐る恐る別のチンポ画像を選んで見てみるとチンポはますますいきり勃つ。胸の奥がドキドキと高鳴る。 次に女性の裸画像を目に入れればチンポがどんどん力を失っていくのをハッキリと感じ取れる。 改めて男の裸画像、筋肉質な男性がチンポを誇示する全身像を覗く。 「うわ、エッロ! やっべぇ!」 興奮を覚えた牧野のチンポはまた勃起し、先端から透明な粘液をこぼした。 こうして目の当たりにした事実を「ひとまず」棚上げ、後まわしにして生殺しだった自身の性欲を満足させるべく牧野は己がチンポを握り直す。 「男性」のチンポやヌード画像をオカズにして興奮を高い状態に保ち、いやらしく濡れた自身のチンポをグチュグチュと扱くと脳髄を融かすような電流と、甘酸っぱい果汁のような心地よさが駆け巡る。 「はぁ、やべぇ、すげけ、キモチ、良い、超気持ちイイ……」 このままフィニッシュまで一気に扱き上げようと右手を上下に動かしていた時だった。 ―ドックンッ! 「っを!?」 全身が撥ねるほど大きな拍動が牧野を襲った。 ―ドクンッ! ドクンッ! 「なな、なんだ? どうしたんだ!?」 心臓が高く鳴り響く。耳朶の奥がバクン、バクンと鳴り響く。激しい運動を行った後のような強い心拍だ。 急速に全身が熱くなりじわじわと汗が滲みだす。 ――ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ! 「お、俺、どうしちまったんだ? カラダが、熱い……、マジで熱ぃぃ!」 横になっていたベッドから起き上がり着ていた部屋着を脱いでいく。 全裸になった牧野は腹部や腕がビクビク痙攣している事に気付いた。 「何が起きてるんだ? 俺のカラダ、どうなって……」 痙攣を鎮めようと腹部を撫でてみた。 「んをっ!? はぁあんっ!」 まるで勃起して敏感になった亀頭を触れたかのような快感が走り抜けた。 思わず触れた手を引き離し腹をじっと見つめた。見たところ異常はない。ピクピクと小刻みに震えているだけだ。 今度は腹部と同じように痙攣している二の腕、つまり上腕をそっと触れてみた。 「んをふ!? ふぁ! キモチイイ!」 腹部と同じくチンポを舐められたような気持ち良さが駆け抜けて行く。 性感帯でも無いのにこれほど敏感に感じたりはしない。 彼女とのセックスの時に前戯で肌同志を擦りつけ合った時でもここまで感じる事はない。 牧野はゴクリと唾を飲み込み、意を決して両手で全身を撫でてみた。 「んぁあああっ! スゲェッ! こ、こんな!? あふ! んうぅぅぅっ!」 敏感になっているのは腹部や二の腕だけではなかった。 まるで全身が一つの性器、一本のチンポになってしまったかのような感覚を覚える。 素っ裸のまま、勃起したチンポを晒したまま、牧野は全身をまさぐった。 「はぁ、はぁ、マジ気持ちイイ、 こ、こんな、俺、やべぇ、やめらんねぇ……」 我慢汁の粘液を漏らしながら全身を手で愛撫していると、カラダの奥からドクンドクンと熱いエネルギーが湧き起こり、たちまちカラダ中に運ばれ滾っていく感覚を覚えた。 「あっ! んあっ!? こ、これって、まるで! お、俺が! 俺のカラダが! 勃起している!? んがぁぁあ゛ーーーっ!」 カラダの内部だけではなく全身の表皮にまで有り得ないほど血管が太く浮き上がり、血流に乗せてエネルギーをドクドク運んで行くのが外からでも見られた。 頭や顔にまで触手や蜘蛛の巣のように血管を這わせた牧野の腹部や腕が、いや、それだけではなく胸や背中、太もも、つまりは全身がグググと膨張し始めた。