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鷹取リュウゴ
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欲膨猥感マッスルグロウ 4

4エレクチオンコントロール  「はぁ~、あんなに精液をぶっ放したってのに、全然疲れてないんだな」 ベッドに腰を下ろし満足げに息を吐く牧野。 「その通り。このカラダになると何時間セックスしても疲れないどころかセックス後はむしろ元気になっちまうんだぜ?」 隣に座る坂井がドヤ顔で牧野を見た。 「凄いな」 「凄いだろ?」 筋肉を勃起させマッスルボディになったままカラダを見せつけ合い事後の余韻を楽しむ牧野と坂井。 時刻はすでに深夜。日を跨いで次の日になっている。 咽喉が渇いたと言う牧野のため坂井はいまだに勃起しているチンポを咥えさせ、乳首や筋肉に刺激を加え、再び大量に射精してゴクゴク飲み込ませた。 「ぶっはぁ、んめぇ……、あれ? この精液の味、どこかで……」 生臭いだけではなくほんのりと塩気や甘味があって美味い。 「お前に渡したエナジードリンクの正体がコイツだ。つっても別のジュースで10倍に薄めてるけどな」 「あのエナジードリンクは坂井の精液入りだったのか」 「ああ。だから牧野も気を付けるんだぞ? お前の精液だってすでに俺のと同じ効果を持っているんだからな? 俺たちみたいな同類同士なら問題ないけど」 「分かった。気を付けるよ」 「それと――」 坂井が女性の裸画像を表示させたスマホを牧野の目の間に出した。 途端、牧野のカラダがギシギシ鳴ってマッチョボディから元の中肉中背に戻る。 「カラダを元に戻したい時はこうすればいい。頭ん中でイメージしても同じ結果になるけどな」 萎えた自分のカラダを見てがっかりする牧野。 しかし、目の前にある坂井のマッチョボディを見るとたちまちボコボコと勃起し復活した。 「こんな風に簡単に勃起しちまうって事は、会社に居る時も、いや通勤の最中だって勃起するって事だよな?」 牧野が不安を口にすると坂井は安心しろ、と答えた。 「うっかり筋肉勃起を起こしちまった時のためにさっき渡したインフィニットスーツがある。あれさえ着ていれば基本は問題無い」 「あれほど伸縮性があったら破れることは無いんだろうけど、いくらなんでも勃起したのが周囲にバレるって。これほどマッチョになっちまうんだから」 「そう思うだろう?」 坂井は不敵に微笑んだ。 「インフィニットスーツの凄い所は伸縮性が高い点じゃない。中身の変化を外に全く出さない、って点だ」 「ん? それってどう言う?」 実演してやるよ、と坂井が体を元の貧弱なモノに戻してから自分用のラバースーツを鞄から取り出し身に付ける。 言うまでも無いがそのスーツもまたインフィニットスーツだ。 背面のスリットから足や腕を通ししっかりとスーツを着終えてから再び牧野の肉体美を見つめる。 顔が紅潮し息が荒くなる。坂井のチンポが元のサイズのまま「小さく」勃起している。確実に興奮しているようだがカラダの「見た目」に変化は起きない。 「どうだ? これで分かっただろ?」 「もしかして、今、筋肉勃起してるのか?」 「その通りだ」 インフィニットスーツから上半身を引っ張りだせば見違えるような大胸筋や僧帽筋がこぼれ出る。 あんな細いスーツの中にどうやって押し込んでいたんだ? と思えるほどのボリュームがスーツの下から現われたのだ。 「インフィニットスーツってのはこうやって中身の状態が変化していても変化がないように擬態してくれんだよ」 「冗談みたいなシロモノだな。だけど、こうやって目にした以上信じるしかない」 「とは言え、常時このインフィニットスーツを着続けるって訳にもいかないだろ?」 インフィニットスーツを脱ぎ牧野と同じ全裸になった坂井。 脱ぎ終えるまで内部に40cmに達する巨大ペニスが内包されているとは到底見えない。『脱いだら凄いんです』を地でやってのけられる。 「むむ、そいつは確かにな」 「だから、コイツも渡しておく」 坂井は置いていた鞄の中から銀色に光るリングを牧野に渡した。 「これは?」 指輪にしてはサイズが大き過ぎる。ブレスレットにしては随分と小さい。 「コックリングだ。名前くらいは知ってるだろ?」 「これが…、コックリング……」 表裏の無いなめらかな銀色の環を牧野はじっと見つめる。 「このコックリングは微弱な電波を放出している。その電波をチンポが受けると勃起しなくなるんだ。もちろんカラダもな」 「マジか……、それも凄いな」 「勃起しちまってからじゃ効果は無い。つうか、デカくなったチンポにゃ着けられないだろう?」 「はは、確かにな」 「だから、勃起する前にコックリングを着けるんだ」 「分かった」 「もう一つ聞いていいか?」 「何となく予測はつくがな」 牧野は坂井がどうやってこのようなアイテムを手に入れたのか、そして誰の精液を飲んで筋肉勃起する体になったのかを尋ねた。 「『慰昆堂』? 聞いた事がないな」 「雑貨屋だ。俺も偶然見つけたんだ」 ◇    遡る事一か月前、あの『セルフマネジメントセミナー』を受けた帰り、バスに乗って自宅に帰るつもりがうっかり寝過ごし、慌てて降りたバス停の前にあったのが『慰昆堂』の前だった。 「えらく奥まで来ちまったなぁ。帰りのバスまで、んん~? うわ、一時間も待つのか畜生……」 待ち時間の暇つぶしに丁度良いと目に留まった『慰昆堂』に入った坂井。 ローマ時代のコインから土偶、エロDVDや人間国宝の落語CDなど統一感の無い商品の数々を見て回っているとオーナーとおぼしき青年が声を掛けて来た。 「いらっしゃいませ。よろしければ次のバスを待つ間、コーヒーでもお飲みになりませんか?」 どうして自分がバス待ちだと分かったのだろう? ああ、店に入って来るまでの行動を見られてたんだなきっと、と坂井は一人で合点し席に座った。 「おいくらですか?」 置かれた上品なコーヒーカップにとても良い香りをくゆらせるコーヒーが注がれている。 「サービスなので無料ですよ」 「無料……。じゃぁ、遠慮なく」 坂井はコーヒーを口に含んだ。 苦味と酸味のバランスが絶妙で深いコクがあり、スッと軽やかに通る爽やかな香気。今まで味わったコーヒーの中で最上級の味わいだと感じられた。 美味なるコーヒーの感想を伝えとりとめのない時事ネタで会話を楽しむ。 そして、いつの間にか誰にも打ち明けた事の無い悩みまで打ち明けていた。 「……そうですか。仕事が自分に合っていないのでは、と」 「ええ。それほど俺は話が上手じゃありませんし、人を惹きつけるような魅力も無い。それに人気者になりたいって願望もないんです。 そのせいで業績はいつも鳴かず飛ばす。5年も同じ仕事をやっていながら同期の足を引っ張るばかりで……」 「忸怩たる思いをしている、と?」 「そうですね。その通りです」 「同期の男性に好意を寄せていながら伝えられないのも、やはり仕事面でのマイナスが理由なんですね?」 「――え?」 坂井は目を丸くした。 いつ自分はゲイであると話したのか。そして、同期の牧野に劣情を抱いている事まで。 オーナーの青年は坂井の疑問を敢えて無視するかのように続けた。 「貴方のような方にうってつけの商品がございます」 青年が飲み終えた坂井のコーヒーカップの横に小さな箱を置いた。 「こちらは先カンブリア時代に生息していた『モアド』と言う寄生生物です」 箱のふたを開けると直径1cmに満たない半透明なコインのような物があった。 「こちらの『モアド』は寄生した宿主のカラダを自分たちがより繁殖しやすいように、より活動しやすいように作り変えてしまう生き物なのです」 「なんだかおっかない生き物ですね」 「作り変えておきながら巧妙にそれを周囲に悟らせず、必要な時だけ都合の良い形に宿主の形状を変えてしまう。当時は宿主の意識までも操っていたそうです」 「ますます恐ろしい生き物じゃないですか。まさか、生きてませんよね?」 先カンブリア時代と言うのがどれほど昔なのかは坂井は分からないながら、恐竜が地上に君臨していた頃をイメージしていた。 「ふふっ、生きているのか死んでいるのか、はたまた眠った状態なのか。それは今の科学では解明できないんです。 この生物は地球外からやって来たモノで、寄生能力も地球上で生き延びるために獲得した能力だからです」 「宇宙からってことですか!? だとすると、え? ちょっと待って下さい! それってとんでもなく貴重なサンプルになりませんか? そんなモノがどうしてこんな店に? ……って、いや、失礼しました」 オーナーの青年が自分をからかっているのか。はたまた過剰とも言える能書きをくっつけ高く売りつけようとしているのか。 いずれにせよ長居は無用、早々に引き上げた方がいい、と考えた坂井が席を立とうとすると青年は改めて「お待ちください」と 止めに入った。 「確かにとても貴重で値段を付けるとすれば途方もない金額にはなるんでしょうけど、せっかくのご縁ですしお金は頂きません。 代わりに使用後の体験談をお聞かせください。 私はそう言う話を聞くのがなによりのご馳走なのです」 ベロリと舌なめずりをした青年の顎に大きな切り傷のような裂け目があるのをここで坂井は気付いた。 そして、裂け目の内側でヒトとは思えない生物の表皮がもぞもぞと蠢いているようにも見え背筋をゾッとさせた。 「そうは言いますけど、後から代金を請求されても困りますので俺はこれで失礼します」 「まぁまぁ、そう怖がらずとも。貴方を取って喰らう気などありませんし。そのつもりなら最初から頂いてますから」 「冗談にしてはタチが悪い。俺は貴方のエサみたいじゃないですか」 「ある意味そのご指摘は間違いではないんですが、今は『ただの』雑貨店のオーナーを楽しんでおります。さぁ、こちらをお受け取り下さい」 「いや、いりませんよ。宇宙から来た古代の寄生生物なんて。本当にそれが事実だとしたら余計に気味が悪い」 「ご安心を。こちらを取り込んだところで生物に意識を乗っ取られたり強制的に繁殖を手伝わされる心配はありません。 都合の良い形に変える、と言う能力だけ手に入ります。さぁ、どうぞ、お口を開けて、ほら――」 『モアド』を摘まんで持ち上げる青年。摘ままれた『モアド』はピクピク蠢き円盤状からズルズルと細長く膜を拡げて小さなコンドームのようになっていった。 坂井は尻ごみしてその場を離れようとした。しかし、カラダが言う事を聞かない。 「ど、どうして足が動かない? くっそ、マジで、ヤバいって!」 見えない糸でがんじがらめにされたかのように手も足も動かせない。 青年の手が坂井の顎をぐっと掴んだ。その力は青年の優し気な風貌からは想像もつかないほど強い。 「う、ぐぐ、うあ、止めて、お願い、俺はそ、んなものは……」 「きっと貴方の、坂井さんの役に立ちます。さ、一思いに飲み込んでください。ほうら、そんな怖がらないで大丈夫ですから」 「やめっ! やめろぉぉーーーーっ!」 くいしばっていた口がこじ開けられ、とうとう『モアド』が放り込まれた。  「うわぁああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」  ふと気が付くとバス停に坂井は居た。   時刻はバスが来る5分前。 「……『慰昆堂』か。良い店だったな。俺にタダでコーヒーを飲ませてくれたり■■■を飲ませてくれたり。 ちゃんとお礼も兼ねて俺が体験した事を報告しに来ないとな」 程なくバスが来た。 乗車して振り返ると灯りの消えた『慰昆堂』が窓から見える。 その窓の内側の暗闇から複数の光る瞳がこちらをじっと見つめているような気がしたものの、バスが発進した途端に坂井の意識は 『慰昆堂』から剥ぎ取られ、次は目的地まで寝過ごさずにちゃんと起きていようと戒めるのだった。

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