転輪環 3
Added 2022-03-15 12:39:16 +0000 UTC3向き合う時 鏡に映る姿を見、そして自分の目で見る。 動きに合わせて鏡に映る姿も動く。 どれもおかしくはない。 おかしい所があるとすれば鏡に映る自分自身の姿だ。 「本当に……、夢じゃないのか?」 もう何度目かになる言葉を呟く修三。 驚きの余り呆然としていた時間が去って物事を判断する力が復活してはいるものの、まだ信じられないでいた。 20代前半の顔―― 頭よりも太く発達した首を富士の裾野のように肥大した僧帽筋が肩まで支え、アメフト選手が身に付けるショルダーパッドを内包したかのような両肩の三角筋が続く。 そんないかつい肩からは、力を込めれば何倍にも膨れ上がる上腕筋を乗せる腕が伸び、肘を挟んだ前腕筋もまたパツパツに発達している。 修三は顎を引いて腹部を見ようとした。 だが、視線をまっすぐ下げても高く盛り上がる大胸筋に遮られて見えなくなっていた。 「とんでもない胸になっちまったな」 鏡に目をやれば顔よりもずっと前に出る程肥大した大胸筋の下にボコボコに割れている腹筋のシックスパックが確認できる。 ぐっと引き締まった腰の下には片方だけで腰よりもボリュームがある大腿筋を巻きつける太ももが生え、股間には並みの人間ではあり得ないほど大きくなった超特大ペニスがぶら下がる。 「タマまでなんてデカさになってんだ? に、しても――」 振り返った修三はため息を吐いた。 ボロボロに引き裂かれゴミと化したワイシャツ。 自分が吐き出した体液でドロドロになっているスラックス。 そして、同じように体液を浴びてしまったがため廃棄せざるを得なくなったソファカバーやテーブル下のセンターラグ。 それら全てをゴミ袋に入れて処分しなくてはならなくなっていた。 「とんでも無ぇ量を射精したんだな。これは若返ったどころじゃ済まないぞ」 カラダに起きた異変の最終段階で修三は大量の精液を射精した。 到底一人の人間が放出できる量では無い。バケツでぶちまけられるような「リットル単位」での射精だった。 それほどの大量射精でありながら体内の水分が減った渇きは無く、タマにはまだいくらでもぶっ放せる余裕を感じていた。 3つにまとまったゴミ袋の口を縛り、床に飛び散った精液の痕跡を念入りに拭き取る。 窓を開け、室内の空気を入れ替え消臭剤で精液のニオイを消していく。 それからバスルームに入り、ティッシュ程度では取りきれない白濁液の残滓を股間から丁寧に洗い流す。 しかし、その過程でペニスを弄る事になってしまい再度勃起。 やむなくオナニーにて落ち着くまで再び処理をする事になったのだが、たった一発で洗面器を満たすほどの凄まじい量を目の当たりにして改めて呆れてしまうのだった。 「俺の知るオナニーとは比べ物にならんほど気持ちイイのは良いんだが、元の姿に戻れるのだろうか?」 シャワーを頭から浴びながら壁面の鏡を見る。 若返った修三が自分を見返す。 30年前にはダサいと言われがちなあっさりとした顔立ち。 今ならイケメンの中でも上位に選ばれるほどのカッコ良さだ。 そして、カラダはエロティックに筋肉を発達させ、メリハリがくっきりと浮き出る圧倒的マッチョな肉体美。 男のフェロモンをたっぷり感じさせる圧倒的ドスケベボディ―― そんな肉体の中央に鎮座するのが超の付くほどサイズアップした巨大ペニス……。 男でも惚れ惚れとするようなボディを手に入れた修三。 しかしながら週明けからの仕事を思うと喜べる要素は一つも無い。 「そもそもこんな姿では出勤できないしな。誰も俺だと信じないだろう」 年齢も違う。体格も違う。 顔は30年前のモノと同じだとしても現在の修三と結び付けられる人はいないだろう。 中指の翡翠の指輪を引っ張った。 だが、やはり抜ける気配は無い。 困惑を抱えたままシャワーを止めてバスルームを出る。 「――親父?」 リビングの方から声がした。 息子の良太だ。 シャワーだけで一時間以上費やしていた。 「おう」 「えっ!? 今の声って?」 返事をしてからしまったと口を塞ぐ。 声もそう、同じく若返っていたのだ。 脱衣所には身を隠す場所など無い。バスルームの扉には鍵も無い。逃げ場のない空間で一人焦る修三の前に良太が現われた。 「……うわ、すっげぇ良いカラダ……。で、あんた誰? 親父の知り合い?」 「……あ、えーと……、俺はその、つまり、なんて言うか……」 良太の視線が鋭くなった。 「まさか泥棒? 勝手にひとんちに入ってシャワー使ってんの?」 スマホを操作し警察に連絡をしようとする良太。 「ま、待て待て! 俺はえっと、お前の父親の修三だ! 『松宮 修三』なんだ!」 「なんでそんな嘘をつくかな? ま、どっちみち不法侵入って事で通報するから――あ、もしもし?」 「ちょ!? 本当なんだ! 嘘じゃないって! 信じてくれ!」 ◇ 「ふーん? この翡翠の指輪が親父をこんな風にしたって?」 「そ、そうなんだ。そうとしか考えられん。昨夜、怪しいマスクを付けた変な男からもらったんだ」 良太が警察に連絡するのを止めた理由は、修三のカラダにある痕跡を見つけ、本当に父・修三かも知れない、と思ったからだ。 「ここのさ、4針縫った跡が無かったらマジで俺、通報してたね」 修三の右肩にある縫い跡は、良太が11歳になって間もない頃、強い地震によって倒れて来たガラス棚から良太を守るため負った傷の名残だった。 建物自体の損傷は軽微だったものの固定していなかった家具や家電はかなりの被害を受けていた。 「あの時は必死だったからなぁ。考えるよりも先にカラダが動いちまってた」 「それが切っ掛けで俺は親父の事を……、あ、いや、何でもねぇ」 傷跡の件以外の、本人しか知り得ない話を聞くにつけ、姿形は異なるもののこのマッチョ野郎が修三その人かも知れない、と良太は思うようになっていった。 最後の決め手は古いアルバムに残っていた若い頃の修三の写真だった。 「ひとまずお前は親父だと信じる事にする。んで、こうやって改めて見たらさ、すっげぇカラダしてんだな?」 サイズが全く合わないのでバスタオルを腰に巻いただけの恰好になり、警察沙汰にはならないと見て安堵した修三。 若返っただけでなく逞しくなった肉体美に感心する良太の視線がある一点で止まった。 「カラダもでけぇしこっちも――」 バスタオルを巻いて猶、竿をくっきりと浮かべる股間のイチモツ。 「ここまで親父ってデカかったっけ? もっと普通だよな?」 修三と会った時すでに10歳になっていた良太が修三と一緒に風呂に入る機会は無かったものの、風呂上がりに素っ裸でリビングをうろついている時や、酒に酔って裸のまま眠りこけている姿は見ていたため、どの程度のサイズなのかは把握していた。 「萎えていてこれって事は、勃起したらどんだけデカくなんだよ?」 良太はバスタオル越しに修三のペニスをぐっと掴んだ。 「お、おいっ! 触るのはダメだって!」 修三の言葉を聞かず、良太はなおも修三のイチモツを確かめていく。 「あ、堅くなってきた? さすがに親父にも性欲はあるんだな。それにしてもこの太さ、この長さ、半端無いよな? 外国人の巨根なみ? いや、もしかしたらそれ以上じゃない?」 バスタオルが徐々に撥ねあがって行く。その前に巨大な亀頭がぬうっと顔を出し、バスタオルの端からズンズンと伸びて行く。 「すっげ! ちょ、ヤバイって! なにこのデカマラ! めっちゃ、めっちゃ……」 「それ以上触ったらダメだと言ってるだろうっ! もう、いい加減に――」 「……めちゃくちゃ美味そう」 すっかり顔を出した亀頭に良太はベロリと舌を這わせた。 「ふほぉ!?」 「もう我慢汁出してんの? 敏感なんだな親父……いや親父じゃねぇ、修三、シュウ、……そう、シュウってさ」 「りょ、良太! や、止めるんだ! 何でお前、男のチンポなんて舐めて平気なのか!?」 「平気も何も、俺、ゲイだし? デカくてかっけーチンポ見ちまったらしゃぶりたくもなる。それに、チンポだけじゃない。 シュウって俺のタイプなんだ。マッチョなカラダも、その顔も、俺のストライクゾーンど真ん中なんだぜ?」 「は? え? ゲイ? 良太が? 本当なのか?」 「自分から進んでチンポ舐めてるのにゲイじゃないってほうがおかしくね? ま、黙ってたけど俺ってそうなんだ。女には興味無し。 セックスは男じゃないと無理。そして、俺の好きな相手は今の親父、シュウみたいなヤツ」 口を大きく開けシュウの亀頭を頬張れるところまで咥え込む。 全部はとても無理だがかなりの部分を飲みこめた良太は舌で鈴口を丹念に舐り、溢れ出るシュウの先走りを味わった。 シュウはあまりの快感に立っているのがやっとになってしまい、良太にされるがままになってしまう。 「実は俺、昨夜のバイト上がりにセフレんとこ行ってセックスするつもりだったんだ。なのにアイツったら急に『他のヤツとヤるから今日は無理!』 つって出て行きやがってさぁ。 お陰で俺、アイツの部屋でずっと一人で留守番してただけだったんだ。だから、超欲求不満なんだよね」 「んふ! りょ、良太、そんないかがわしい遊びを、お前っ んぁ、ぁっ」 「そう。俺って結構遊び人なの。知らなかったでしょ? もう何人もの男とセックスして、色んな気持ちイイ事やってんだよ?」 良太の舌がシュウの裏筋をチロチロと辿る。それだけでシュウは肩をビクビクと震わせ「その先」のより強い快感を求めてしまう。 「だけど、ここまで俺の好みにぴったりはまる奴は居なかった。これほど美味いデカマラの持ち主も居なかった。 親父の面影があるイケメンってだけで俺はもう――」 「?」 良太が上気した顔をシュウに向けた。 「――我慢できる訳がねぇ。シュウとセックスしたくて堪んねぇ。ここまでがっついた気分になったのは初めてだ。 もう正直に言うけど俺、ずっと親父に惚れてんだよ。でも、そんな気持ちを伝えたって無駄。ノンケの親父に惚れても報われる事は100%無いって諦めてた。 でも、こんなエロかっけぇカラダを見ちまったらもうダメだ。抑えらんねぇ。無理矢理でもいいから俺、シュウとセックスしてぇ!」 「良太が俺に? 惚れている? だが、俺とお前は親子なんだぞ? こんな、っ事、ぅああ、ダメだ、って! マズい、って!」 シュウのチンポを舐めながら鼠蹊部や脇腹をフェザータッチで愛撫する。ゾクゾクとした快感が駆け抜け本気の抵抗が出来なくなってしまう。 「あは、良い顔してるぅ……。快感に蕩けそうで、それでいてちょっぴり残っている羞恥心がギリ踏み留まろうとしてるの。あ~、すっげぇそそる、マジ最っ高だわ」 右手でシュウのペニスをグチュグチュ扱きながら口を胸元に寄せ乳首の突起をチュチュと舐める。 「はううっ!? そ、それ、気持ちイッ!」 「おほ? 乳首もきっちり性感帯~? じゃぁ、もっと気持ち良くなろうか? 俺の前戯でシュウの理性、吹き飛ばしてやるぜ!」 ニヤリと笑う良太の顔は修三が今まで見た事の無いなまめかしい「雄」の顔だった。 そして、そんな生き生きとした良太を見た瞬間胸の奥がドキンと疼き、甘酸っぱい物が全身に拡がっていくのを感じたのだった。 (お、俺が良太に? 血の繋がっていない義理とは言え息子に対してイヤラシイ欲望を持っている?) 修三は頭を振って否定しようとした。 ダメだ、ダメだ! 人として、親として、それは越えてはいけない一線だ! ――と、脳裏に浮かんだ妄想を打ち消そうとした。 だが、むしろ否定すればする程思い浮かんだヴィジョンはハッキリと良太を性的存在として意識させ、「良太の親」と言うポジションを修三から猛スピードで奪い去ってしまう。 「な? 良いだろ? 俺ともっと気持ち良くなろうぜ? この姿の時はさ、アンタは修三じゃなくてシュウって男だ。 元の姿に戻るまでは俺とあんたは親子じゃねぇ。お互いチンポをおっ勃てて雄同士の快感を味わい尽くす淫乱野郎だ」 圧し掛かる良太の股間がシュウののペニスにゴリゴリと擦りつけられる。 乳首から鎖骨、うなじ、そしてまた乳首へと良太の舌が唾液の筋を残しながら動き回る。触れられる部分が、舐められる部分が 悉く卑猥な快感を感じる性感帯になって目覚めて行く。 腕力、であれば良太を押し戻す事も抵抗する事も容易くできる筈だ。今の修三の体格と筋量ならばかなり筋肉質な良太の体重であっても軽々と持ち上げられる。 なのに、どうしてそうしないのか? どちらか腕の一本を振るうだけで良太を撥ね除けられる筈。 なのに、どうして良太のされるがままを甘んじて受け入れているのか? してはいけない妄想と現実の狭間で修三は「シュウ」の言葉を、本心からの声をハッキリと聞いた。 『俺も良太を抱きたい。同じ男だけどセックスをしたい。息子とか親とか関係なく良太と性欲をぶつけ合いたい』 良太の唇がシュウの唇と重なった。 こじ開けられる口の中に良太の舌がズルルと潜りこみシュウの舌ともつれ合う。 シュウの頭の奥が痺れた。 もっともっと深い所で繋がってみたいと、良太に肯いた。 シュウのペニスに熱いモノがドロリと流れ込み「解放してくれ! 解き放ってくれ!」と震えた。 シュウの腕がリョウタをぐっと抱きしめた。肌を通して火照る体温が互いに混ざり合うのも心地よかった。 「っへへ、やっと俺と同じ気持ちになってくれた? じゃぁ、もっと気持ちイイ事シたいだろう?」 妄想に、ではなくリアルな声で良太に告げた。 「ああ、シたい……。今の俺は『松宮 修三』と言う父親じゃぁ無い。俺は、ただの男、ただの『シュウ』……だ。俺は、『リョウタ』と、お前とセックスがしたい!」