5搾精奴隷と新たな寄生体 「ううぐぅっ! イク! イクゥゥッ! はぁ、はぁ、ん゛っ! はぁ、あ~、円様のケツマン、マジ最高だぜぇ~」 グロセクター・円のケツ穴を攻めていた伊吹がズルゥと肉棒を引き抜いた。 「お? 伊吹先輩ってばもうイっちゃった? じゃぁしょうがないな、俺も軽くイって……、と思ったけどやーめた」 そんな伊吹をバックから貫いていた晃が腰の動きを止めてしまった。 「はぁ? ちょちょ! 晃様も俺でイッてくださいよぉ! 俺だけなんて、申し訳ないじゃないっすかぁ~」 伊吹を真ん中に挟んで3Pを行っていたのだが、いま一つノリきれない晃が伊吹のケツに射精するのをやめてしまった。 この時晃もまた円と同じ寄生体・グロセクター形態に戻っている。 それなのに伊吹は何の違和感もなく二人と接している。 何故だろうか? それは、晃が再度「力」を使って伊吹の精神を作り変えたからに他ならない。 「伊吹は俺らが寄生体になっても人間のように見える」 「伊吹は俺たちの奴隷になったけれど、接し方は今までと変わりなく振る舞う」 「伊吹は俺らのために他の男から精液を集めてくれるスクイーザー(搾精器)になった」 追加で 「伊吹は超真面目なラグビー部副主将だけど、本当は男好きの超淫乱ドスケベ野郎」 も、脳内に書き加えられていた。 「あ~、疲れた……。やっぱさ、肉体改造と一緒に強い精神干渉なんてするもんじゃないな。伊吹先輩に関しては事故みたいに受け止めておこうぜ? な? 円~、もう切り替えて攻守交替しようぜ~」 「じゃぁ今度は俺が晃様のケツマンを?」 伊吹が下品な笑みを浮かべた。 「いえ。伊吹先輩はそこで俺らを見てオナっていて下さい。イキそうになったら精液はもらいますから」 「……伊吹先輩、性格はアレだけど精液は美味いもんな」 無口になっていた円がようやく晃に合わせて口を開いた。 「また俺だけハブられるのってなんだか納得いかないんだけど、晃様と円様、お二人からの命れ、じゃなくて頼みなら従うしかないもんなぁ」 伊吹は円からだけではなく晃からも精神干渉を受け「今まで通りに接する」よう命令を上書きされたが、二人以外他に誰も居ない場所ではどうしても呼び名の後に敬称を付けてしまう。 円によって消し飛ばされた感情や自律意志を人並みに引きあげるため晃は「力」を使い尽くしていたので細部まで調整しきれていない部分が残るのは仕方がなかったのだ。 「まぁ、これから晃様と円様のために他の男から精液を頑張って集めていかないと! せっかくケツとチンポをスクイーザー(搾精奴隷)用に改造してもらえたんだしな!」 伊吹は名器化改造されたアナルを指でグチュグチュ抜き挿ししながら巨大化した玉袋を鷲掴みにしてグニュグニュと揉み込んだ。 「くっは! 最高だぁ~。最高に気持ちいいぜぇ! にっひひ、まずは主将に俺のアナルの良さを味わってもらうとするかぁ! イマイチ距離が縮まらない他の奴らだって俺のアナルの気持ち良さを知ってくれりゃ、きっと今まで以上に俺を中心にまとまってくれる筈! ふひひ! いつでも俺のケツマンで搾り取ってやれるから、みんな、待ってろよぉ~!」 伊吹の願いはあまり日数を置かず果たされる事となった。 伊吹のケツマンコを一度でも味わってしまえば具合のあまりの良さに終わった後も再び使いたくなり、伊吹の精液を一度でも浴びるとチンポとタマが次第にデカくなり乳牛のように精液の製造量が激増してしまうのだ。 となると、必然的に伊吹のアナルで乳しぼりならぬ「精液搾り」をしたくなって、伊吹から声を掛けなくとも相手の方から「ケツを貸してくれ」と頭を下げに来るようになった。 『オナホや手コキより伊吹に射精(だ)す』 ラグビー部員の男たちは円を除いて全員が、伊吹が手離せなくなった。伊吹が誰か他の男に取られている間は互いに犯し合うようになった。 キツイ練習の後には「伊吹のケツ」がご褒美になった。 極上の快感を味わえると思うと俄然、股間もやる気もみなぎり目前の6大学リーグへ向けチームの結束が強くなった。 「この前とは見違える程動きにキレが出て来ましたね、監督」 グラウンドの端から部員たちを見守っていたコーチが隣に座る監督に喜色を隠さず声を掛けた。 「ううむ……、それは良い、良いんだが、どうして全員、ラグパンがあんなにも盛り上がっとるんだ? ファウルカップでも仕込んでおるのかね?」 「い、いやぁ~……それは私にもちょっと……」 コーチは理由を知っているのだが自分も伊吹のアナルの世話になっている身として事実を口にする事はできない。 せめて自分までもがチンポが巨大になった事を悟られぬようにとジャージ前のパーカーの裾をクイッと引き下げて隠すのであった。 ところ変わってここは公園。時刻は深夜の午前1時。 公衆トイレの影に一人の男が「何か」を持って入っていった。 そして、少し間を置いてから男は再びトイレの照明が漏れている場所まで戻って来た。 手には何も持っておらず指先が土で汚れていた。 周囲に誰もいない事を確認すると、男は速やかにその場を去っていく。 しかし、この夜は無人では無かった。 男の行動を見ていた人物が居た。 薄紫の花を満開にしているライラックの影に潜んでいた人物がトイレの影から去っていった男の方角をじっと見つめて呟いた。 「……賢哉。お前、またこんな場所で?」 答える人はおらず、ただライラックの花房から甘い芳香だけが漂うばかりであった。 ◇ 大学近くに昨年オープンしたカフェはイケメンオーナーが美味いコーヒーを提供してくれると評判が高い。 「イケメン」と「美味いコーヒー」、どちらに重きを置くかは人によって微妙に異なるものの、それら両方と居心地の良い空間との組み合わせはすぐに口コミで拡散されバズら無い訳がなかった。 「ようやく空いて来たらしいから帰りに寄ってかないか? 今日は俺、バイト休みだし」 大教室の席から腰を上げた晃が同じ講義を受けていた円を誘った。 「丁度良かった。今日からグラウンドの整備ってんで工事が始まるから部の練習は自主トレだけに切り替わったんだ。 でも、珍しいな? 時間があればあるだけヤリてぇ、って言うのに」 「寄り道が終わったらもちろんヤるけど、精液だけじゃなくって普通の大学生っぽい事も時には味わいたいじゃん?」 「OK。たまにはいつもと違う事、ヤりたくなるもんな」 ニヒヒと円が晃に笑いかけた。 晃が昨夜のセックス中に試してみたもののイマイチだった行為をイメージして言っているのだ。 その行為がなにかは晃の名誉のために伏せておくとする。 「あ~? 酷ぇ~。そんな事言うんだったら今夜お前に渡す量、半分にしてやろうかな~」 「ごめん、ごめん。マジでそれだけは勘弁してくれ、晃~」 他の者が見れば仲の良い普通の学生。しかし、実態は人間ではなく昆虫型寄生体・グロセクターが人間に擬態して会話しているのだ。 大学構内を出た晃と円の二人は歩いて噂のカフェにやって来た。 明るいオレンジ色の屋根の天辺には切り絵風に仕立てられた鉄製の「樹の枝に小鳥」と【MORNING WOOD】の文字が掲げられている。 「お! 良い感じじゃん! 席もそこそこ空いてるし、ラッキー」 開放的なテラス席もある北欧家具でまとめられた店内の席は7割ほど埋まってはいたが、落ち付けそうなソファの席に運良く二人向き合う形で座る事が出来た。 お客はほとんどが学生か大学関係者のようだ。 スマホで忙しく誰かとメッセージのやり取りをしている者。 ノートPCを開きワイヤレスイヤホンで音楽を聞きながらコーヒーを味わう者。 レポート用紙に何かを書きこみながら時折ふと何かを思い出したかのようにアイスコーヒーのストローを口に咥える者。 ネクタイを緩め新聞を広げながら胸ポケットから煙草を取り出し、しかし卓上の『禁煙にご協力ください』の文字を目にして再び胸ポケットに戻す者。 午後の日差しが差し込む明るい店内の穏やかな雰囲気と漂う琥珀のアロマに気持ちを寛がせていると、メニューやお冷を持った 人物が晃と円の席の前までやってきた。 「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか? ただ今、ハワイから取り寄せたコナコーヒーをオススメしております。 よろしければこの機会に味わってみて下さい」 凛々しい眉に切れ長の瞳。通る鼻筋、セクシーな唇。無造作ワイルドベリーショートヘアに対してコンパクトに整えられた顎の髭。 耳を奥を舐めるような落ち着いた渋い声と広い肩幅に分厚く逞しい胸。 そして着ている白いワイシャツには蝶ネクタイ&サスペンダー。高い腰からの長い脚にはギャルソンエプロンが良く似合う。 そんなスーパーイケオジ、いや、おじさんと呼ぶには早すぎるスーパーイケメン兄貴からの接客を受けた。 「すげぇ、こりゃぁバズる筈だぜ……」 見惚れていた晃が呟く。 「そうだな。コーヒーよりもあの人を目当てに来るって噂も納得が行く」 同じように見惚れていた円も晃のコメントに完全同意した。 再び呼び寄せオススメされたコナコーヒーを二つ注文する。 「はい。コナコーヒーをお二つ、ですね? ご注文ありがとうございます。それでは少々お待ちください」 「すみません、質問いいすか?」 晃が呼び止めた。 「はい、何でしょうか?」 「お兄さんはこのショップの従業員の方、なんですか?」 「いえ、私はここのオーナー兼店長と言った所です。他のスタッフは休憩に入っておりますのでたまたま私だけが店頭に出ております」 次の質問が無いと見てオーナーはカウンターの奥へと戻っていった。 「あの若さでオーナーさんか……。独立して起業されたんだろうな」 円が横目でちらりとカウンターを見ながら感心した。 「だな。あの見た目だと30代だと思うけど、ショップの規模からして相当な開業資金を集めたんだろうなぁ」 ゆったりとした空間を保ちながら座席数を入れるには建物の規模と敷地面積がそれなりに必要だ。 このカフェはそのいずれをも満たして人気を博している。 天井も高く青々とした観葉植物のタイワンモミジやアレカヤシが時折ふわりと風を受けて揺れる。 「結婚は……、してなさそうだな。指輪、付けてなかったし」 「まぁ、その辺りの詮索は止めておこうぜ。晃も俺もツッコまれりゃ困る存在な訳だしな」 「そうだな。誰でも人にゃ言えない事情ってのがあるもんな」 ほどなくコーヒーが運ばれて来た。 テーブルの上に薫り高いコーヒーが二つ。 その横に手頃なサイズのバームクーヘンが緩めに泡立てられた生クリームを添えて提供された。 「? すみません、俺もコイツもスイーツは注文してないんですが」 晃が異を唱えた。 「恐れ入ります。こちらは私からお客様へのサービスです。よろしければお召し上がりください」 「ありがとうございます。でも、サービスにしては豪華過ぎじゃないっすか?」 円が謝意を伝えるとともに経営の足を引っ張っているのでは? と心配した。 「いえ。大丈夫ですよ。気になったお客様にリピートして欲しい、定期的にご来店頂きたいと言う下心からのサービスですし」 オーナーがニィッと微笑んだ。 上品さにワイルドな風味が混ざった至高の笑顔だった。 「えーと? もしかしてバレてます?」 「はい。手を繋いでご来店されてらっしゃるのを見ておりましたから」 オーナーのスマートな答えを聞いた晃が円と見つめ合ってプフッと笑った。 「――浮かれてたんだな」 「ああ、本当にな」 「お二人とも仲が良くて羨ましいです。俺たちは、いえ、私たちの方はただ今、少し微妙な隙間風が吹いておりまして……。その前まではお二人と同じような良い雰囲気だったのですが……」 オーナーに向けていた視線を再び互いの顔に戻した。 みなまで聞かずともオーナーには彼氏がいる事、そして、二人の関係があまり上手く行っていない事を理解した。 初対面の相手に込み入った事を聞くこともできず反応に困っていると、他の客に呼ばれたオーナーが二人の席から離れて行った。 「――近寄ろうとした女は全員撃沈だな」 「だったら俺らも、だろ? 微妙とは言え彼氏がいる人に手は出したくないしな」 晃と円はコーヒーをひと口すすって、もう一度オーナーの居るカウンターに顔を向けた。 すると、コーヒーケトルの細い注ぎ口からドリッパーに湯を注いでいるオーナーが二人の視線に気付いた。 ニヤッと少年みたいに微笑むオーナー。 ハッと顔を戻す二人。顔が赤く、熱くなっている。 もう一度コーヒーを口に含んだものの味があまり感じられない。 「……俺、もしもあのオーナーに誘われたら拒否る自信無ぇ」 晃が申し訳なさそうに円に告白した。 「ああ、俺も無理だ。触角を出さなくても極上の味がするに違いないってのが一目瞭然だもんな」 円も内心の欲望を隠さず晃に知らせた。 かくして、妄想と欲望が拡がり過ぎない内にコーヒーとサービスのバームクーヘンを平らげ、二人はイケメンオーナーの居るカフェを後にしたのだった。 同時刻。 傾き始めた日差しがカーテンの隙間から差し込むマンションの一室で、前頭部から触角を伸ばした黒くマッチョな寄生体・グロセクターが、アナルに腕ほどもある巨大ディルドを挿入して一心にオナニーに耽っていた。 だが―― 「ああああ! やっぱりダメだ! こんな紛い物じゃなくて本物のチンポじゃないと満足できない! 美味しくないしイクにイケないよぉ!」 尻の穴から「内圧」だけでズビュブ! と巨大ディルドを吐き出した寄生体は、イラつきを抑え切れず室内をぐるぐると歩き回る。 「くそぉ~、せっかく桐吾にバレずに買えたのに全然ダメだぁ~。一番大きいサイズでもやっぱり本物には敵わないのか……。 それに、どうしよう。ディルドで誤魔化そうとしたら返ってチンポが欲しくなってきちゃうなんて! また誰かを襲わないと……。ううん、誰かを襲う事は全然嫌じゃないんだけど、桐吾に知られたらどうしよう……」 グロセクターは室内を見渡した。 部屋のリノベーション作業のため一緒に汗を流した事。 二人で時計を選び、ソファの色でちょっとだけ口論になって仲直りし、イニシャル入りのペアマグカップを二人照れながら会計をしてもらった事。 どこを見てもキラキラと輝きを放つ思い出の品々がいっぱいの部屋。そして、ソファテーブルのデジタルフォトフレームには大好きな彼氏に並んで満面に笑う人間の時の自分の顔。 「ダメだよね。桐吾にだけは知られちゃダメ。絶対秘密にしないと……。僕の正体が人間じゃなくて寄生体だって知ったらどう思うかなんて、そんなの分かってるもの。 怖がられて気味悪がられて、そして嫌われて、僕たち一緒に居られなくなる。 ……けれど、いつまでも隠し通せるなんて思ってない。最近の桐吾、僕を怪しんでるし」 グロセクターはじっと自分の手を見た。 人間形態の時とは別モノの、肉厚でごつい手の甲は黒い外殻で覆われている。手のひらの内側だけはやや柔らかく色が浅くなっているものの、指の先、爪に力を込めると長く鋭利に伸び、力を抜くと短く引き戻ってゆく。 モンスターらしい異形の手だ。 「……いやだよ、別れたくないよ。僕を嫌いにならないでよ桐吾……。ああ、それでも、なんで? 何でこんなにチンポが、精液が欲しくなっちゃうんだよ? どうして僕の精液ではダメなんだよ……。どうして、どうして、一日すら我慢できないんだよ……」 手を下ろしがっくりと肩を下げた寄生体が背中からズビュゥと翅を出した。 「桐吾、ゴメン! 僕、やっぱり我慢できない! 桐吾が仕事から帰って来る前に済ませて戻るから!」 卓上のデジタルフォトフレームに向かって寄生体は深く頭を下げた。 そうして寄生体は窓を開け、薄くしなやかな翅を羽ばたかせて街の空に飛びこんだ。 吹きこむ風で微かに揺れるフォトフレーム。 寄生体が「桐吾」と呼んだもう一人は、大学近くにできたカフェのイケメンオーナー、その人であった。