7相談 公園から一番近い晃の部屋で話しを聞かせて欲しいと言うと、オーナーはむしろ俺の部屋に来てくれないか、と逆に招いてきた。 「きっとその方が俺の話を理解しやすいと思うんだ」 深夜なので時間を改めましょうかと円が気遣う。 「いや、明日はカフェの定休日なので俺は問題無いんだ。君たちこそ夜遅くに大丈夫かい?」 「大丈夫です。俺も円もオーナーより若いので」 てへ、と舌を出す晃。 「ちぇ~、俺だってまだ若いんだぞ~! ぴっちぴちの35歳!」 「そういうノリが年齢差を感じさせますよ。俺は嫌いじゃないですけど」 円が微妙なフォローを入れた。 「わ、わ、若いったら若いんだもんっ!」と、明後日の方向を向いてオーナーは拗ねて見せた。 「あははは、オーナーって面白いんですね。カッコいいし声も渋いし、お茶目なところも有るし。俺が彼氏だったらきっとメロメロになっちゃうだろうな~」 「マジで彼氏さんが羨ましいっすよ。俺も晃の事はカッケーと思ってますけど大人の魅力ってのはそう簡単に出せないっすからね~」 「俺を褒めてるようでそっちこそ彼氏自慢かい? ごちそうさま。いいなぁ、俺たちも君たちと同じように仲良しだったんだけどなぁ……」 またもや声のトーンが落ちて口数が減った頃、オーナーの自宅マンションに到着した。 中古物件ながら内装と設備を最新のモノへ取り替え、間取りも現代的にリノベーションされている。 「うわ! 良い部屋ですね! オシャレで住みやすそうだ!」 「凄くお金が掛かっていそうな感じがする! オーナーってもしかしてお金持ちだったんですか?」 「いやいや。自分たちでできる所は自分たちで工事したからね。業者さんにお任せしないといけない部分もあったけど 費用的には三割も下げられたんだ」 総額いくらかかったのかまでは言わないのが大人のたしなみだ。 広いリビングに通されソファをすすめられた二人の前に温かいコーヒーが出された。 「豆の量を多くしてあるから苦みが強めだと思う。ミルクで調節して好みの味にして飲んでくれるかい」 睡魔が来ないようにカフェインを求めた結果、コーヒー豆を多くしたんだな、と晃も円もオーナーの気遣いを察した。 ひと息入ったあたりで晃と円、それぞれの前に名刺が置かれた。 【カフェ・モーニングウッド オーナー兼店長・聖 桐吾(ひじり とうご)】 「オーナーは聖(ひじり)さんと言うお名前なんですね」 「堅苦しいのは苦手なんだ。桐吾で構わないよ」 「じゃぁ俺は晃(あきら)、こっちは――」 「俺は円(まどか)です。よろしくお願いします桐吾さん」 「呼び捨てる程には親しくない、ってね。うん、さん付けでも構わないから、よろしく」 桐吾は二口目のコーヒーに目を細めた。 「さて、早速なんですが、桐吾さんがストーカー? っぽい行為をしてた原因と思われる変わった出来事を聞かせてもらえませんか?」 晃が先導して場の空気を換えた。 「……俺の思い違い、勘違い、或いは絵空事だと思うかも知れないけど、聞いて欲しい」 晃も円も少しカラダを前に乗り出し耳を桐吾に向けた。 ◇ 初めて気付いたのは3か月前。 午前3時。まだしっかりとベッドに横たわって眠りに就いている時間だった。 尿意をもよおした桐吾はうつらうつらと目をこすりながらトイレに入って用を足し、再びベッドに戻った。 が、隣で寝ている筈の彼氏、『愛染 賢哉(あいぜん けんや)』が居なかった。 リビングで水でも飲んでいるのだろう、と桐吾は思ってそのまま布団の中に潜りこんだ。 翌朝、目が覚めると普段通りに賢哉は隣で寝息を立てていた。 「なんだ。やっぱり水でも飲みにリビングに行ってたんだな」 心配してしまった自分を恥じ、賢哉を揺らして起床を促した。 「ほら、賢哉。次の仕事に向けて頑張るんだろう? 今は難しくても巡って来たチャンスをつかめるよう自分を磨くって言ったんだから、朝寝坊は良くないと思うぞ~」 「う、ううん、もう少し~」 眠たげに顔をぐしぐし手で擦る賢哉を微笑ましく見ていた桐吾。しかし、賢哉がこする手の指先に土が付いている事に気付いた。 「なぁ、賢哉。お前、指先に土が付いてるんじゃないか? もしかして寝ぼけて鉢植えの中をほじくったりしてたのか?」 観葉植物の鉢植えには土が使われている。 なので賢哉は鉢植えに手を突っ込んだのではないか、と桐吾は思ったのだ。 「うわわっ!? ちゃんと落としたと思ってたのに! ま、まだ残ってたんだ!」 「うん?」 「いやぁ~、へへ、洗い落とし切れてなかったんだーって」 「そんなにガッツリ鉢植えの土をいじってたのか? じゃぁシーツも洗った方が良さそうだな。ほら、洗濯するから賢哉も起きた起きた! んで、まずは手を洗って来~い!」 ◇ 「こう言う事がこの後2、3回あったもんで俺は観葉植物の鉢の上に防寒対策も兼ねて発泡スチロールを土の上に敷いたんだ。 寝ぼけて賢哉が鉢植えの土を触れないように。土を触ってからその指を舐めたりしたらマズいだろう?」 こうして土いじり対策を取ったものの、またシーツに土が付いて汚れていたのだ。 正確にいつ土が付いたのかは分からない。週に一度の洗濯をしようとシーツを剥がした時に気付いたからだ。 しかし、発泡スチロールを敷き詰めた後には間違いない。 (なんだ? もしかしたら今度は俺が持ち込んでたのか?) 桐吾は自身を疑った。 カフェを開業してからと言うもの連日大盛況で、それは本当にありがたい事なのだが、毎日体力を使い果たしてゼロになってしまうほどの忙しさは想定外だったのだ。 臨時でスタッフを多めに雇ってしのいでいるものの、帰宅はいつも12時近くになってしまい賢哉とのセックスもこのところ出来ていない。 そして、桐吾の彼氏である賢哉は、と言うと、10年も勤務していたIT関係の会社が急に倒産してしまい、不意打ちの無職生活を強いられている最中だった。 職を失ってしばらくは呆然としていたものの、ステップアップする機会だと思って頑張って次進もうぜ、と桐吾が励まし続けた結果、 『ありがとう。貯金もあるしすぐにお金に困る事はないだろうけど、再就職できるよう頑張るよ!』と明るさを取り戻していった。 「次に気付いたのは、窓、だ」 また夜中に目が覚めてトイレに行った時の事、リビングの辺りから音が聞こえて不審に思った桐吾はリビングを確かめに行った。 「そしたら窓が開いてたんだ。開いてたせいで風が入って来てカーテンがバタついてた音だった」 開けっ放しで眠ってたのかと桐吾は舌打ちした。5階だからって気を抜いて泥棒でも入ってきたらどうすんだ? 「でさ、窓を締め直してベッドに戻ったら賢哉がいなかったんだ。俺が起きたからつられて目が覚めちまったのかも知れないと、その時は思った。 少なくともトイレからベッドルームまでの間に賢哉の姿は無かったからどこに居るんだろうって心配になったんだ。賢哉のプライベートルームにも居なかったし」 桐吾の住むマンションは3LDKなので共有のリビングやベッドルーム以外にそれぞれの個室を持っていた。 2時間ほど経ってから賢哉は帰ってきた。 「俺はその時ベッドの上で目を閉じていたからてっきり眠っていると、賢哉は思ったんだろうな」 何も言わずに桐吾の隣で毛布をかぶって賢哉は横になった。 「……なぁ、窓を開けっ放しにしたのは賢哉なのか? それに、今までどこにいたんだ?」 「うわぁっ!? と、桐吾!? お、起きてたんだ? 驚いたぁ~」 「心配したんだぞ? こんな時間にコンビニにでも行ってたのか?」 「そ、そうそう! コンビニだよコンビニ! ちょっと目が冴えちゃって、気分転換に行ってたんだ」 「そうか。でも戸締りはちゃんと確認してから行ってくれよ? いくらここが5階でも泥棒ってのは入ろうと思えば入ってくるだろうからさ」 「う、うん、分かった」 ◇ 「と、こんな事がこの後も何度かあって、さすがに俺は思ったね。ああ、賢哉はどこかの誰かと浮気してんじゃないか、って」 しばらく経ってからカフェの営業時間中なのに敢えて他のスタッフに任せて不意打ちで自宅の様子を見に帰った桐吾。 「な、何だコレ……」 ディルドにバイブ、中身の無いコンドームの小さな袋。袋。袋。ぶちまけられた精液で濡れたフローリングの床。 一人でオナニーをするにしてはあまりにも大量だった性の残滓。 「何人か集めて乱交パーティでもやったのか、と思う程の惨状だったな。極めつけはゴミ箱の中にあった精液でパンパンに膨らんだコンドームだ。一個や二個じゃない、10個以上も捨てられていたのを見つけてしまったんだ」 絶対に一人じゃ出せない、膨大な量の精液だ。 「俺の居ない間に何人も連れ込んでセックスしまくってたのか? と俺は怒りに震えた。けれど、それでも俺はまだ信じられなかった。 賢哉は俺にゾッコンの筈だから。なので、もしかしたら乱交したいと言ってた奴らに場所を提供しただけなんじゃないか? って」 よく見ればコンドームは水風船のようにパンパンになった状態で漏れないよう縛られている。こんな精液の量なんて有り得ない。 きっと精液じゃなくてニオイも色も精液に似せて作られた「擬似精液」ローションなのだろう。 「――それに、俺もカフェの忙しさにかまけて賢哉の相手をずっとしていなかった、放ったらかしにしていた負い目があった。 だから、ちょっとくらい遊びで誰かと会ってたとしても、それでも俺を一番大切に思ってくれているに違いない、って」 だから許そう。 風俗に行くのと違いは無いじゃないか。 だから嘘を、見え透いた嘘を俺に吐かなければ全て許して水に流そう。そう思った桐吾は賢哉にそれとなく聞いてみた。 聞かないと桐吾の心が限界だったのかも知れない。賢哉の本心を試してみたくなったのかも知れない。 「賢哉さ、最近誰と遊んでるの? 俺の居ない間ずっと部屋に閉じこもってる訳じゃないだろう?」 「えっ!? 誰と、って……いやぁ~、っちょっと何言ってるのか良く分からないなぁ~。時々はコンビニとかスーパーに買い出しに行くけど大抵は部屋の中で次の就職に向けて勉強してるからさ、はは、は」 ……嘘だ。 とうとう賢哉は嘘を吐いたのだ。 全て許そうと思っていた俺の前で堂々と嘘を吐きやがった、と、桐吾は内心嘆き、そして怒りを覚えた。 「だから俺は、賢哉の浮気をふわっとした状況証拠なんかじゃなく現場をがっちり押さえて追及してやろうと決意した」 ここで飲み干したコーヒーカップを桐吾はソーサーの上に置いた。 カチャリと立った音が悲し気に響いた。 「それで彼氏である賢哉さんの行動を見張るようなストーカー行為を始めた、と言う訳なんですね? で、あの公園の公衆トイレがその浮気現場なんですか?」 晃の問いに桐吾は首を左右に振った。 「分からない。ただ、あの公衆トイレに賢哉はしばしば行っているみたいでさ、買い出しに行くって出ていった賢哉の後をこっそり追いかけたら、何故かいつもあのトイレの辺りで見失うんだ。 だからきっと浮気相手が車かバイクで賢哉をあそこから乗せて運んでいるんじゃないのか、あのトイレが待ち合わせ場所なんじゃないか? と俺は睨んでいるんだ」 「それならやっぱり賢哉さんに直接浮気しているのかどうか、確認した方が手っ取り早くないですか?」 桐吾は円に強い視線と言葉を返す。 「できるものならそうしてるさ! でも、でもな、アイツが本当に俺を裏切ってたと思うと、正直言って俺は何をしでかすか分からない。 それだけ俺もアイツに、賢哉に惚れているからさ……。このまま俺が、アイツに捨てられちまうんじゃないかって、 不安と恐怖で頭がこんがらがって、そんなだから俺はストーカーだとうそぶいてまでつまらない事をやっているんだ」 「お話を聞く限りでは彼氏の賢哉さんと現在も同棲されてるんですよね? じゃぁ、今はどこにいらっしゃるんですか?」 「分からない……」 「スマホくらいはお持ちですよね?」 桐吾はリビングの端に立ってからまた二人の前に戻って来た。 そして、一台のスマホを二人の前に置いた。 「これは?」 「これが賢哉のスマホだ。ハッキリ言って一番不思議なのは、アイツがどうやって浮気相手と落ち合っているか、なんだ。 本当はダメだと理解しているけど、俺は賢哉の、アイツのスマホをチェックしてしまった。 だけど、何か月も前から俺以外の奴とやり取りしている痕跡が全然出てこない。本当に。微塵もそれらしいメッセージも疑わしい送信履歴も、何も一切見つけられなかった。 今夜もどこに行ったのかは分からない。どんな相手なのかも分からないが、どう言う方法で連絡を取り合っているのか、 そもそも今どき、スマホを置きっぱなしのまま何時間も出ちまえるなんて不思議だと思わないか? 俺は、俺は、ああ、なにもかも分からないんだ……、信じたいのに、……本当はアイツを疑いたくはないのに……」 桐吾はついに頭を抱え込んだ。 こんなにもイケメンで、若くして独立起業してしまえるような有能な才人でも悩みを抱えているものなのだな、と二人は目と目で肯き合った。 「すみませんが、賢哉さんのプライベートルームを見てもいいすか?」 「――? え? あ、ああ、構わないけど……」 パソコンしかない殺風景な部屋なんだが、と前置きしつつドアを開けた桐吾に続いて賢哉のプライベートルームに入った。 晃も円も同時に「うおお、これほどとはなぁ」と感嘆した。 もちろん桐吾には何が「これほど」なのかさっぱり分からなかった。 「桐吾さん、この部屋の中ももちろん徹底的にチェックしたんでしょ?」 晃に指摘され声を詰まらせながらも桐吾は肯定した。 「あ、ああ、そりゃぁ、色々見てみたが……。でも、メモも何も出てこなかった」 晃は円と目配せをしてから「分かりました。ありがとうございます」と言ってリビングに戻った。 「俺の話をここまでちゃんと聞いてくれてありがとう。問題は何も解決していないけれど、少し気持ちが軽くなった。 こんな夜中まで付き合ってくれて、本当にありがとうな」 疲労の色を深くした桐吾が頭を深々と下げた。 「いえ。俺も晃も桐吾さんの謎が解けて助かりました」 「? 俺の?」 「確かな証拠も無く大事な人を疑うのは良くないです。なのでやっぱりストーカーっぽい行為についてはお勧めできないですね。 桐吾さんが賢哉さんの『ありもしない影』に傷ついてしまうだけですし」 「『影?』」 「はい。見えている賢哉さんそのものを実体とすると、そのものではないので『影』です。今の時点では俺もまだ実際の賢哉さんに会った訳じゃなく、あくまで桐吾さんのお話に出てくる人物に対しての間接的なコメントになるので曖昧になってしまうんですが、 賢哉さんは浮気じゃありません」 きっぱりと断言する晃に疑問と不信を湛えた目で見る桐吾。 「浮気じゃない?」 「浮気じゃなくて『食事』じゃないかな、と」 「へ? 食事?」 晃と円は桐吾に優しく笑いかけた。 「桐吾さん、賢哉さんの行動を追跡するのは今夜限りでストップしてもらえませんか? その代わり、賢哉さんにこう言ってみて下さい。 『そんなに食事が必要になっていたのか?』――と」 「は? それだけ?」 「はい。それでも賢哉さんの態度が変わり無いようでしたら、また俺たちを呼んで下さい」 円は桐吾からもらった名刺の裏に晃と自分の電話番号を記して桐吾に返した。 「桐吾さんからのは晃がもらった名刺だけあれば十分ですから」と言う言葉を添えて。 マンションのフロントまで降りて来た晃と円。 エントランスを出て地上から5階の桐吾の部屋を見上げた。 「リビングでも匂ってたけど、賢哉さんの部屋、凄く濃厚だったな」 円に小さく肯いた晃。 「自分一人で何とかしようと頑張ったんだろう。けれど、俺ら寄生体の欲望は生半可な事じゃ抑えられねぇ。 むしろ今までよく正体を隠し続けられたもんだよな? 何か月も桐吾さんにバレずに同棲できてたなんて凄いよ」 「まさにソレ、な。少なくとも3か月前に賢哉さんはグロセクトに寄生されグロセクターに成ってた訳だろ? となると、 賢哉さんって寄生体になってもどんだけ桐吾さんを好きなのかがよく分かるじゃん」 もう一度見上げると5階の桐吾の部屋からは灯りが消えていた。 賢哉が戻って来たのだろうか、あるいは……。 「なぁ晃。賢哉さんが桐吾さんに精神干渉をしなかった理由って――」 「そりゃぁ、やりたくなかったからだろう? ……桐吾さんを愛しているから」 「……愛か」 「愛ゆえに、だな」 円はふと遠い目をして自分が寄生体になった時の記憶を思い出していた。 少なくとも晃は最初、それほど自分へ愛情を抱いてはいなかったのではないだろうか? 初めて男同士でセックスをした快感と興奮、その勢いのまま自分も寄生体になりたいと晃に申し出ていたが、その前後で晃から精神干渉を受けていたのではなかったか? となると、愛していないから晃は精神干渉を行ったのか? 今は一緒に居たいと言ってくれてはいるが、始めは決してそうじゃなかったよな、と円は胸の奥がチクリとした。 「……なぁ円、一応言っておくけど愛のカタチは一つじゃないと俺は思う。俺は円が寄生体になってくれて嬉しい。 親友以上の関係になれて心から嬉しい。状況もスタート地点も桐吾さんや賢哉さん達とは違うけど、今も、これからもずっとそばにいて欲しい」 円はふっ、と笑ってから心の中で晃に詫びた。 変えようのない過去を気にしてどうする? 晃の言う通り「今」と「これから」こそ大事なんじゃないか。 そして晃は「ずっとそばに居たい」と思っていてくれる。その気持ちは「愛」以外の何物でもないではないか、と。 「ああ。分かってるって。晃ってたまに察しが良くなるよな。――さぁ、遅くなっちまったけど、早く晃の精液とチンポを味わわせてくれ」 晃の手をとって円は人間形態から寄生体に戻った。複眼なのに晴れ晴れとした顔つきに晃もつられて笑顔になった。 「ようし! 腹ボテしちまうほどたっぷり精液を射精し合おうぜ~」 晃も円の手を強く握り返して寄生体に戻った。 二体の寄生体・グロセクターは、背中に伸ばした翅をブゥンと翻して弾丸のように夜空を飛び越えた。