9動画 数日後、コンビニバイトを終えての帰り道、晃のスマホに着信が入った。 『急で悪いんだけどこちらまで来てくれるかい? 詳しい事は皆が揃ってから話すよ』 先日知り合いひょんな事から恋愛相談を受けたカフェ『モーニングウッド』のオーナー桐吾からの電話だった。 桐吾の恋人である賢哉との「その後」を気にしていた晃は、即座に「結局ダメだったのか」と悲しい気持ちになった。 もう一度晃のスマホが鳴動した。 発信者は円だ。 『もしもし? 桐吾さんから電話あっただろ? 俺も今桐吾さんの家に向かっているんだ。現地で落ち合おうぜ』 自宅アパートには近道となるいつもの公園を通らず桐吾のマンションに向かうと、一階のエントランスには円が先に到着して待っていた。 「俺も今着いたところだ。晃と二人して呼ばれた、って事は、……きっと上手く行かなかったのだろうな」 「だろうなぁ……」 円も辛そうな表情だ。 重い気持ちのまま5階にある桐吾の部屋のベルを押す。 すぐに応じたインターホン越しの桐吾の声は意外にもそれほど暗くはない。 もしや、すでに大きな嵐は過ぎ、その後の処理にでも入った状態だろうか? と二人が顔を見合わせているとドアが内側から開いた。 「また夜分に来てもらって申し訳ないね」 「いえ、これより前の時間だとバイトで来れないので返って好都合っすよ」 桐吾の背後から違う声が近づいてきた。 「この前来てくれてた寄生体の二人だね! 賢哉でーす! 初めましてー!」 「ブーーーーッ!?」 「うーわ!? いきなりかよ!?」 廊下を小走りで向かってくる人物、いや、黒い外骨格に鎧われた異形の姿。まさしく寄生体・グロセクターではないか。 意表を突かれ「人間ではない姿」を目にした二人は思わず素っ頓狂な声を上げていた。 「おいおい、ダメだろぉ~? 来客が誰か前もって分かっているとは言え、うっかり他のヤツに見られでもしたらどうするんだ?」 「あっ! そ、それもそうだね。ゴメン桐吾~。次からは気を付けるよ~」 「そうそう。分かってくれれば良いんだ。分かってくれれば! このうっかりやさんめ~」 目を細めてにこりと微笑む桐吾。 対する身の丈2m超えの大柄マッチョな昆虫型寄生体は桐吾に叱られても嬉しそうにもじもじ恥じらっている。 「乙女かよ!」 「乙女じゃん!」 ◇ 「――はい、分かりました。もう沢山です。桐吾さんと賢哉さんが前よりラブラブだってのはすっかり全てまるごと嫌って程理解しましたぁっ!」 「俺たち二人とも無駄に心配して損した、……じゃなくて、心配が現実にならなくて本当に良かったです」 ソファに座っても肩を寄せ、手と手を繋いでイチャイチャする人間と寄生体を前に晃と円はすっかり辟易していた。 かれこれ1時間近くも桐吾と賢哉がどれほど互いに愛し合っているか―を、人間ではなく寄生体に変じても賢哉は賢哉のままなのだ―と、 そして、二人の関係はむしろ前よりも気持ちが通じ合い絆が深まり強くなったのだ、と延々聞かされていたからだ。 「それじゃぁ俺たちはそろそろ、あとはお二人だけでぐっちょり愛の営みを――」 「お邪魔な俺たちは退散して腰と腰とで愛をお確かめ――」 晃と円ががそう言いながら腰を上げた。 「おおっと! 待って! 待った待った! 本題はここからさ! 二人にわざわざ来てもらったのは俺たちが破局を免れて互いの気持ちを理解できたと知らせるためだけじゃないんだ! まぁ、少しはそれもあるけど」 「ご、ごめんね~、僕以外の寄生体に初めて会えたものだから、つい僕まで浮かれちゃって」 桐吾の彼氏の賢哉は晃と円の二人も自身と同じ寄生体であると知っており桐吾にも伝えていた。 人間形態に変身した賢哉に「俺たちとタメですよね?」と聞き、「ええ!? 僕は32だよ! 二人と比べたらかなり年上のオッサンなんだけど!」と答えられ、 「マジすか?」「嘘でしょ!?」晃と円からツッコまれつつも賢哉は自身のプライベートルームへ招いた。 少し後ろに居た桐吾がクスッと笑いながら驚く二人に共感した。 「な? 賢哉って見た目が詐欺か? ってな程、若いだろ? 俺も初めて会った時、てっきり10歳は下だと思ったんだよな」 27インチのモニターと、個人用にしてはいかつい筐体のデスクトップパソコン以外は何も無い殺風景な部屋。 「服も本もクローゼットに全部収納しているんだ。モノを出して置くのはあまり好きじゃなくって」 言いながらデスクトップパソコンの電源を入れ起動させた賢哉は、モニター画面にウェブサイト上の動画を表示させた。 晃たちが来たらすぐにそのサイトに移動できるようあらかじめ用意していたようだ。 「こ、これって……?」 「えっ!? 何すか? この動画は?」 寄生体、グロセクターの動画だった。 画面の中でグロセクターが背の翅を巧みに操って空中に浮かんだり、浮かんだまま胡坐を組んで逆さまになってみたり。 かと思えば分厚い漫画雑誌をまるでティッシュのように安々と引き千切ってみたり。 着ぐるみかコスプレかと一瞬思うものの、そんな「まがい物」では出来ない芸当を披露しているため動画に映っている人物はやはりグロセクターなのだろう。 背景的にどこかの施設内かと思われる。画面の端に垣間見えるホワイトボードや照明が、大学の教室のものに似ていた。 10分ほどの動画はグロセクターの能力の一部を誇示するような内容だった。 「もしかして君たちのどっちか、かな?」 二人は手を振って「いえいえ、違います!」「俺じゃないです」と否定した。 「そかそかーそうだよね~! いやぁ、僕も見つけた時は驚いたな~。となると、グロセクターが僕と君たち以外にも居たってコトになるよね! まさかのまさか、だよ~!」 賢哉に続いて桐吾が疑問を述べた。 「賢哉から君たちもその、グロセクターと言う寄生体だと聞いていたけど、俺が知らないだけで意外と身近な存在だったのかい?」 「いや、そんな事はない、と……思いますけど」 「俺も自分がそうなるまでは知りませんでしたが……、他には居ないと思いますが……」 晃も円も最後の場面で制止した画像を映すモニターを見つめながら答えた。 グッジョブ! とばかりにカメラに向かって親指を立ててサムズアップしているグロセクターがドヤって見つめ返している。 そして、画像の下に書かれている動画のタイトルと説明文に目を留めた。 【『グロセクター参上だっ!!』 初めまして! ヴィランのグロセクター・レン、です!】 特撮好きなレンがついに! ついに! 本物のヴィランになっちゃいました! なので、これから色んな動画を撮っていこうと考えてますっ! 俺に襲って欲しい人! 襲われてみたい人募集中! さらに、俺をやっつけてくれるヒーローも大大大募集! 感想コメントやチャンネル登録・高評価もお願いします!―――[レンの特撮チャンネル] 投稿の日付けを見ると一週間ほど前になっている。 「こんな風に動画で正体晒しちゃって大丈夫かコイツ……」 投稿者の無鉄砲さに呆れてしまう晃。 「動画の主も気になりますけど、賢哉さん、一体どうやってこんな動画を見つけたんです?」 正体もさることながら辿り着いた経緯を知りたいと円は賢哉に尋ねた。 「俺はすでに一通り聞いているから。賢哉、アタマから二人に教えてやってくれ」 コーヒーを淹れて持って来るよ、と言い置いた桐吾が賢哉のプライベートルームから離れ、3人、いや三体のグロセクターだけが残った。 「どうして僕がこの動画を見つけたのか? って部分を話す前の段階として、どうして僕がグロセクターになったのか、って所から順を追って話すね。 そうじゃないと逆に分かりにくいと思うから」 長くなりそうだ、と覚悟した晃と円は用意されたクッションにもたれて賢哉に耳を傾けた。 ◇ およそ3か月前の事だった。 賢哉は次の会社に就職するため自身の「強み」をさらに高めようと、情報処理技術者向けの勉強に励んでいた。 前職においてもシステムエンジニア兼プログラマー的な業務を行っていて大学生時代には情報処理技術者としての国家資格も取っていたITの専門家でもあった。 そしてその日の夜も、賢哉は自分の知識を最新のモノへアップデートしておこうと技術者向けのサイトを熱心に探しては 読み耽っていた。 「――桐吾はコーヒー豆の買い付けにハワイに行っちゃって明後日まで帰って来ないから寂しいよう~」 勉強に飽き、桐吾のいない寂しさに口を尖らせた賢哉はじわりと首を持ち上げた股間の肉棒を軽くいじりながら別のサイトにウィンドウを切り替えた。 「今日はもう、出すモノ出して寝ちゃおう。集中も切れたし」 ゲイ向けのエロ動画サイトにずらりと並んだサムネイルを注視し始める賢哉。 「……桐吾に似た人、いないかな……」 イケメン俳優以上にイケメンな桐吾と同じレベルの人物、となるとそう簡単には見つからない。 適当なオカズで手を打つか、いいやダメだ、あきらめずにこだわるべきだ、と迷いを覚えた頃だった。 「ああっ!」 キーボードの近くに置いてあったマグカップに手が触れ中身のお茶がこぼれてしまったのだ。 「やばい! 早く! 早く拭かないと!」 慌ててティッシュを掴んでキーボードに掛かった水気を拭き取り、デスク上に拡がらない様何枚もティッシュを引き抜いては水の流れを食い止める。 幸い処置が早かったったお陰でキーボード以外は濡れずに済んだ。 キーボードだけなら壊れてしまってもさほどの損害では無いな、と安堵して賢哉は再び席に座ってモニターを見た。 「うん? 何コレ?」 一面真っ黒な画面にダウンロードアイコンが一つ。 「ぐろ? せく、と?」 白地に黒いカブトムシのアイコンにカーソルを乗せる。乗せると説明文が表示されるかも知れないからだ。 しかし賢哉は慌てていた名残からかそのまま「カチッ」とクリックしてしまった。 普段なら不用意に未知のデータをダウンロードなど絶対にしないのだが、時すでに遅し。 超高速光回線の速さとマシンのスペックの高さが「災い」して、圧縮データは速やかに賢哉のPCにダウンロードされ、 秒もかからず解凍→展開までされてしまった。 アイコンは消えモニター画面は今度こそ真に黒一色になった。 カーソル表示も無い。シャットダウンができない。 どんなウイルスを取り込んでしまったのか? と賢哉がビクビクしていると、黒いモニター画面が「プルン」と揺れた。 「は?」 見間違いかと目をこすりもう一度画面を凝視。 またもやプルルンと揺れた画面の中央が、グニュゥゥとこちら側へ迫り出して来るではないか! 「ひえええ!?」 驚愕する賢哉の前で黒い画面が腕のように突き出し、くびれた先端がプツンと切れて宙に浮かんだ。 そして、浮かんだ球体の膜がパンッ! と弾けると中からやはり黒みを帯び黒褐色に光を照り返す10cmほどのカブトムシのような球状の「モノ」が現われた。 生物的な筋や角を持つ「モノ」は、ドンッ! ズドンッ! と脈打つように空気を打ち数次の段階を経て拡大・巨大になって行く。 「うわわわ、ど、どうなっちゃってるの!?」 高さ1m幅70cmほどに巨大化した楕円のカブトムシのような「モノ」は床にへたり込んでいた賢哉の背後に取り付き、骨のような細い骨でがっちりと賢哉を拘束した! 「うわぁ! と、桐吾ぉ! たす、助けてぇ!」 必死に振りほどこうとしてもビクともしない。 背にある「モノ」に鋭い突きを繰り出してもまったく外れない。 「くっそぉ! 離れろぉっ! このやろうっ!」 黒い「モノ」の外殻がベリィと剥がれ、滑って移動して賢哉に次々と張りついていく。 「あ゛あ゛あ゛ーーーっ! 超! 超゛っ! んむ゛ぅふ! ぎも゛ぢぃぃーーーーーっ!」 ――こうして賢哉はグロセクトに寄生され、昆虫型寄生体・グロセクターに新生した。 グロセクターとしての生物的な知識や情報が賢哉の記憶と経験に混ざり合い、意識は賢哉をベースとしながら肉体的にも精神的にも一つになった。 生まれ変わった興奮と酷い飢餓感を満たすべく、賢哉は夜道を歩く男を見つけては次々と襲い掛かり彼らの精液を貪り吸い取った。 襲った相手の記憶をその都度あやふやに処理しながらジョギング中の高校生から酩酊する中年の男にまでおよそ10人あまり。 合計20発以上もの精液を口やアナルや外骨格から吸収した賢哉はようやく満足して自宅に戻って来た。 落ち着きを取り戻し我に返った賢哉は、グロセクターに成れた嬉しさを感じながらも桐吾にだけは知られないようにしようと決意し、桐吾が戻る前には人間形態へと変身した。 「……そうして僕をグロセクターにしたグロセクトを、現実に物質化可能な圧縮データにしてダウンロードできるよう配布していた あのサイトの画面をもう一度見てみたんだ。そうしたら、アイコンの下の数字が[1]って表示されてて、その数字がこれまでのダウンロード数だった、と知ったんだよ」 賢哉は動画サイトを閉じ黒い画面に切り替えた。 「これが、そのダウンロードサイトになるんですね?」 円がしげしげと見つめた。 「うん。ブックマークに入れておいたんだ。念のためいつでも見られるように、って」 しかし、賢哉がこのダウンロードサイトを再び見たのは晃や円に呼び出しをかける直前まで無かった。 桐吾に正体がバレてしまった流れで晃と円と言う他の寄生体の存在を知り、このサイトを思い出すまでは。 「それで、思い出してサイトを覗いてみたらダウンロード数が[2]になっててさ、君たち二人がダウンロードしたから 数字が増えたんだろうな、って考えたけど、もしそうじゃなくて誰か別の寄生体の産んだ卵から寄生体になっちゃうパターンもあるよね、って気付いて……」 念のためそのものズバリな単語、「グロセクター」で検索をしてみたらあの動画――寄生体、グロセクター・レンによる【レンの特撮チャンネル】――がヒットしたのだ、と賢哉は告げた。 「俺はたまたま公園に居た卵に目をつけられて寄生体になったんです。円は俺の産んだ卵で寄生体になりました」 「ちょ、ちょっと待って? 公園、ってあの近くの公園? もしかして公衆トイレの側?」 コーヒーを淹れて戻って来た桐吾が三人にカップを渡し、自分も空いているスペースに腰を下ろした。 「公園ってのは賢哉が浮気してんじゃないかって疑って、俺が後を付けてた公園だろ?」 晃は「そうです」と肯いた。 「そ、そうなんだ、けど……あは、あははは……」 何故か額に冷や汗を浮かべる賢哉。 しかしすぐに晃へ頭を下げた。 「ご、ごめんねっ! 晃くんを寄生体にした卵は僕の! 僕の卵だ、と思う!」 「ええっ!?」 円が「晃のパパ、こんな所にいたんだな」とニヤついた。 「とすると、円にとってはお爺ちゃんになるじゃん」と返す。 桐吾は「どういう事だ?」と言わんばかりに賢哉を見つめている。 「いやぁ、あはは……、まさか、生き残っちゃってるなんて、思いもよらなかったなぁ……」 寄生体・グロセクターになった賢哉は精液からのエネルギーを求め、桐吾に隠れて(実際には隠しきれていなかったが)数日おきに他の男の精液を取り込んでいた。 その中で、つい勢いあまってチンポから男の精液を取り込んでしまう場合もあった。 チンポから取り込まれた精液は賢哉の産卵器官に到達し30分後には新たな受精卵、グロセクトの卵を一つこの世に産み出す。 「卵に精液を与えなければ寄生できる蛹(さなぎ)にまで成熟できない。そして、蛹になれないままさらに一日、二十四時間が 過ぎちゃうと卵はドロドロに融けて死んでしまうんだ。 それで、他の誰かを寄生体にしようと思ってなかった僕は産んだ卵に精液を与えない事にしたんだ。でもね、ニオイがね――」 グロセクターにだけ嗅ぎ取れるフェロモンではなくグツグツ煮詰めた上に発酵させた精液のような、『機内への持ち込みはお断りいたします』と、確実にCAから伝えられるレベルの強烈なニオイが融けた卵から発生するのだ。 そうなるとは知らずに処分しようとした初回の賢哉は、事後、こもったニオイを消すため全ての窓を何時間も開け放ち、 必死で消臭剤を振りまき、結局追加、追加で3本もの消臭剤を空になるまで噴霧し続ける羽目になってしまった。 「なので、部屋には置いておけない。かと言って人目につく場所も困る……」 「ああ、それで、公園の公衆トイレの裏、なんだな」 桐吾がハッと顔を上げた。 「そう。トイレの裏に埋めてしまったら人目につかないし臭いニオイが出てきても違和感が無いでしょ? 僕はたびたび卵を捨てにあの場所に向かった。 途中から指先の土なんかで桐吾に怪しまれていたけど、部屋に持って帰る訳にもいかなかったしまずは卵の処分を優先しなきゃ、って……」 「賢哉さんが捨てて行った卵が何故か成熟して、蛹になっていて俺に、って訳だったんですね?」 晃の言葉に賢哉が深くうなずいた。 「その通り。僕と晃君と円君に共通するニオイがちょっぴり感じられるのは、ある意味『身内』だからだろうね」 「お話を聞いても賢哉さんをパパとか感じないっすけどね」 「俺も賢哉さんをお爺ちゃん認定できそうにないですが」 「僕もだよ。『身内』と言うのはあくまで人間的な例え、だから。成体になっている寄生体同士は完全に他人だし、 なんなら交――あ……」 桐吾の顔を見た賢哉が咄嗟に口をつぐむ。 「賢哉は晃や円と交尾がしたい、だろ?」 「ご、ごめん……、桐吾の前で……」 うなだれる賢哉の頭を桐吾はポンポンと優しくタッチした。 「俺も混ぜろよ賢哉。寄生体になっていた時のお前とのセックスは最高、……なんて言葉すら陳腐になっちまうほど本当に最高だった。 だから俺も晃や円ともセックスしてみたいんだ。だけどこれはお前を裏切った訳じゃない。 俺の気持ちは常にお前がど真ん中。賢哉、お前だってそうだろう?」 パッと頭を上げた賢哉がふふ、と笑った。 「そうだったね。僕も桐吾が心の中の一番の中心に居るよ。それでも精液は欲しいし性欲も溢れる程パンパンになってる」 桐吾が晃と円に向き直った。 「と、言う事でな、お二人さん、俺たちと気持ち良くなって行かないか? 俺の特製ミルクに興味はないかな?」 晃と円は人間の姿を手離し寄生体に戻った。 賢哉もまた寄生体・グロセクターの正体を顕わし股間を覆う外殻を「そのまま」ズブブとペニスへ変形、巨大に勃起させた。 「賢哉のチンポは凄いぞ。亀頭や竿にところどころ残ってるこの黒い殻がさ、アナルの中をズリズリって刺激して、もう、それはもう、堪らなくさせてくれるんだ」 桐吾がうっとりと賢哉のチンポを見つめた。 「賢哉さん、もしかして桐吾さんの――?」 晃が桐吾の尻をチラリと見てから賢哉に聞いた。 「うん。桐吾のアナルだけは少し改造させてもらったんだ。元のままじゃ絶対に僕のサイズは挿入出来ないから」 それならいっそ桐吾も寄生体にしてしまえばいいのに、との言葉が晃と円の頭を過った。 しかし、いずれそうなるとしても自分たちが口を挟むべきではない、とすぐにその言葉を打ち消した。 二人の優しい思いに気付いた賢哉が自身より少しだけ背の低い二体の寄生体の頭を撫でた。 「……ありがとうね」 三体の寄生体と一人の人間によるセックスが始まった。 そのため、動画を投稿していた未知のグロセクターについて再び話し合えたのは、日付がすっかり変わった頃になっていた。