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鷹取リュウゴ
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パラドキシカル・パラサイト 10

10後輩  二体のグロセクターが大学内の倉庫の影に立っていた。 それぞれの前には一人ずつ、合わせて二人の男子学生が膝をついてグロセクターの巨大異形チンポを美味しそうにベロベロと舐め回している。 舐めしゃぶる男子学生の顔は自身の吐き出した唾液とグロセクターの先走りで濡れまくっていた。 「ふひぃ、チンポ、大きい、チンポしゅきぃ、マジ美味ぇ、チンポぉ……」 「ああ、もっと精液飲みてぇ……、ケツが、熱い……、すんげぇ疼くよぉ」 男子学生を見下ろしてから寄生体はニヤリと微笑み合った。 「晃が『ランチの後はデザートでもどう?』って言うから、てっきり俺は――」 「っへへ~、人間向きの飯はもう食ったんだから、次は寄生体向けのデザートだろ?」 「ま、俺も欲しいと思ってたから丁度良いんだけどな」 円が呆れ気味に、しかし、嬉しそうに呟く。 すでに男子学生からはたっぷりと精液を取り込んでいた。 若く瑞々しい性的エネルギーの味わいが二体を喜ばせた。 今は「デザート」、いやデザート後の記憶処理&サービスタイムであった。 「まぁ、聞きたい事は聞き終わってるし、デザートくらいペロッといきたいじゃん」 晃が言う「聞きたい事」とは、投稿動画で見たグロセクターについて、だった。 精神干渉によって「消されて」いた記憶をもう一度思い出させ、そして晃と円に報告させた。 その流れで動画を投稿したグロセクターも男子学生の二人も特撮同好会と言うサークルのメンバーである事を知った。 ◇    動画投稿サイトに存在する【レンの特撮チャンネル】の投稿主、寄生体、グロセクター・レンとはいったい何者なのか。   「俺も協力しよう」と言う桐吾の申し出に賢哉は触角の生えた頭を左右に振った。 「気持ちは嬉しいけど、この件は僕たちに任せて? もし桐吾が動画の寄生体に会ってしまって記憶や人格を消されたら、僕、ソイツを殺しちゃうかも知れないし」 「俺たち寄生体同士なら耐性があるので出会ってすぐ洗脳されたりしませんから」 晃も黒い外殻越しに分厚い胸もドンと叩く。 「それよりも、桐吾さん、お仕事の方は大丈夫なんすか? カフェの方、もうオープンの時間が近いんじゃ……」 桐吾は弾かれたように席を立った。 「いけねぇ! 今日は生豆の焙煎をしなくちゃいけないんだった! ネット販売用の在庫が尽きかけてたんだよ!」 「ネット販売?」 円の問いかけに反応できないまま桐吾は素早く身支度を整え自宅を飛び出て行った。 去ってしまった桐吾の代わりに賢哉が答えた。 「桐吾のカフェは焙煎した煎り立てコーヒー豆を店舗とネットで販売しているんだ。これがその通販サイト。 会員登録したら君たちも割引で買えるよ~」 賢哉はカフェのイメージに寄せてすっきりと整っている『モーニングウッド』の通販用ウェブサイトを二人に見せた。 寄生体同士なのでタダ、と言わない程度にはちゃっかり、いや、しっかり公私混同を避けている。 「へぇ~、こんな立派なサイトも持ってたんすね。桐吾さん」 「決済システムの組み上げやサイト作り、それから公開にまで持って行ったのは僕、なんだけどね。ついでに通販売り上げの管理も僕がやっているんだ。中々有能でしょ? 僕って」 「賢哉さん、すっかり亭主の仕事を裏で支える素敵なお嫁さんじゃないすか」 晃が感心して褒めたたえる。 「えへへ。情報系は僕の得意分野だからね~。これくらいの貢献はして当たり前だよ!」 「ん? だったらあの動画を投稿した寄生体がどこの誰かもすぐに分かるんじゃないすか?」 晃が期待を込めて賢哉を見た。 「そうは行かないんだよ~。投稿者の情報開示なんて明確な被害を受けた場合とかでないと請求できないし、『グロセクト』や『グロセクター』って単語で検索を掛けてみたけど、あの動画以外はヒットしなかったんだよね~」 「むむむ? それじゃどっから手を付ければさっぱり分からないっすね」 「せめて手掛かりっていうか範囲を狭められれば、あとは俺と晃で寄生体のフェロモンを頼りに捜索もできそうなんすけど」 円の発言に何か閃いた賢哉は、「ちょっと待ってて」と背を向け、【レンの特撮チャンネル】の投稿動画をつぶさにチェックし始めた。 そして、動画の中の寄生体が翅を操って飛び回っている時にチラリと一瞬だけカーテンが開いた場面で動画を停止させた。 ほんの少しだけだったがカーテンの隙間から窓の外がぼんやりとカメラに収まっている。 明るいから時刻は昼間に撮影したモノだと知れる。 「こっから僕の腕の見せ所、ってね~」 動画に小さく見える窓の外の風景をだけをトリミング(抜き出し)して何倍にも拡大、ノイズの除去やピンボケでも明瞭にできる編集ソフトで画像を加工していく。 すると、樹木の向こうに見覚えのある屋根が映り込んでいる事が判明した。 「どう? 撮影された位置はこれでもう一目瞭然でしょ?」 オレンジ色の屋根には看板代わりに掲げられている鉄製の屋根飾り「樹の枝にとまる小鳥」と【MORNING WOOD】の文字がハッキリと読める。 「てことは俺らの大学じゃん!」 「範囲がぐっと狭められたな。しかも、カフェがこの角度で窓から見える建物って言うと、一つしかない」 「文化部が集まっている精臨会館!?」 晃と円がハイタッチして意気投合。 二人に求められた賢哉も手を挙げて「パンッ」とハイタッチを交わした。 ◇  翌日、寄生体にしか分からないフェロモンを漂わせている男子学生の二人、精臨会館から出て来たところを捕まえた。 最初にアタックしたのは晃だ。 「ども! ちょーっとだけ時間、いいすか? 今、文化部や文系サークルで活動しているみんなの意見を聞きたくてアンケートをお願いしてんすよ~。 お兄さんたち何年生? ん? 1年? だったらちょーっぴり先輩に協力してくんない? いいよな?」 話ながら晃は後輩二人の目を覗き込みじわじわと催眠状態へ落とし込んでいく。 寄生体の姿でなくても精神干渉できるのはありがたいな、と思いながら人目につかない場所へと二人を誘導していく。 「……そう、俺も、コイツも、特撮同好会のメンバーで先ほどまで、七五三器鬼(しめき)様に、精液を……」 「七五三鬼様は、グロセクター、で、俺も、コイツも七五三鬼様に、精液を捧げる精液奴隷、です……」 晃と円は倉庫の影の、周囲に誰もいない場所で人間形態から寄生体に戻り催眠状態にした後輩二人からグロセクターのフェロモンをまとっている理由を聞いた。 ところが、晃の命令をすんなり受け付けない。 異常に気付いた円が「なぁ、晃。こいつらすでに例のグロセクターから精神干渉を受けて喋れなくなってるんじゃないか?」 「お、そうかも。だったら解除しちまうだけだ」 晃によって洗脳を解除された後輩たちはようやく晃の質問に対して素直に白状するようになった。 「……それはもう、七五三鬼様は、本モノのヴィランになれたと大喜びで……」 「……七五三鬼様以外の寄生体は、いない……、動画を撮ったのは、確かに、サークルの部室で……」 特撮同好会のメンバーは総勢8人在籍しているものの、活動そのものは盛んではなく月に一度程度しか顔を出さない者がほとんど、との事。 七五三鬼(しめき)だけがほぼ毎日サークルに顔を出し、サークルが収集した特撮DVDをヒマさえあればずっと見ているらしい。 聞き出せる情報を全て聞き出した晃と円は後輩学生の精液を「デザート」としてしっかり取り込み、後輩の記憶から 「晃が話しかけた時点から姿が見えなくなる」までの記憶を曖昧なモノに変え、さらには七五三鬼から受けていた洗脳を復活させてから解放した。 「わざわざ解除したのにまた七五三鬼の奴隷に戻したのか?」 円の疑問に晃は返した。 「俺たちだって伊吹先輩に同じことやってんだし、七五三鬼のこの件については非難できないだろ? 動画を上げた事に関しては一言注意してやりたいけど」 「なるほど。晃の言う事ももっともだな。七五三鬼ってやつが何人奴隷を作ろうが俺らに迷惑がかからなきゃそれでいい、だよな?」 「そうそう。エサが欲しくて精液奴隷を増やしたいのは俺たちも同じ。今は伊吹先輩のお陰でラグビー部員全員分の精液を回収できるから円も俺もいちいち動かなくて済んでるだけだし」 「伊吹先輩で思い出したが、そろそろストップをかけた方が良い感じになっちまってるぞ。ラグビー部だけじゃなくて サッカー部とか野球部にまで手を出し始めているんだ」 「おお、そいつはちょっとヤリ過ぎだぜ。俺らの搾精奴隷じゃなくて只の肉便器になろうとしてんじゃん」 「寄生体ならまだしもチンポとケツ以外は人間のままの伊吹先輩には負担がデカ過ぎだよな。そろそろ別の部員にバトンタッチしてもらうとしよう」 一区切りついたところでまた人間形態に変身した晃と円は、いよいよ七五三鬼と会うため「特撮同好会」の部室へと足を向けたのだった。

パラドキシカル・パラサイト 10

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