18馳走 「なぁ、良いだろ? 俺、もう我慢できねぇ」 「待って待って、そのままではダメだって。ゴムしないとヤバイよぉ」 黒い革パンをずらし下げ、ビン勃ち「ピアス付き」チンポを見せつける男が臭い立つ亀頭の先から透明な粘液をトロリと吐き出した。 日付の変わり目、雨上がりの公園の駐車場。 オレンジに靄る街灯の下には彼らが乗って来た車が一台だけ。 他には車も人影も無い。 じめじめとした湿気がまとわりつく中、二人は下半身を剥き出し雄同士の快感を貪ろうとしていた。 車を目隠しの壁にしてベンチの背もたれに両手を置き、ヒクつく尻穴をクンと突き出す男は革パン男よりもさらに若くまだ少年の面影が残っている。 「俺、病気なんか持ってねぇからゴムとか要らねぇだろ? なに、大丈夫だって。やさしくするからよ」 ポケットから取り出した小瓶からローションを手に取りチンポにもまぶす。 グチュゥと塗りつけたその指先を相手の男の尻穴にズニュと突き入れる。 「はうあ゛ぁ!」 「うは、良い締め付け具合でやんの……。エロ過ぎだって」 「ん、ん゛な、事、言ったって……」 「っへへ、俺の指にキュウキュウ吸い付いて、奥へ引きずり込もうとしてやがる。マジ淫乱なケツマンコだぜ」 「いぎぃっ!? んぁっ! あ゛あ゛っ!」 くぐもった呻きはアナルを挿す指の数を増やしたためだ。 二本、三本、咥える指が増えるたびに排泄器官はその役目を脱ぎ捨て淫猥なる肉穴へ、男ながら挿入されれば是非も無い感覚をもたらす妊娠無き生殖器官へとメタモルフォーゼ(変容)した。 指の根元まで挿し込みグジュジュと内部を広げるように攪拌する。 熱い腸壁が指先に絡みつく。優しく舐り、激しく蠢いてはそれぞれの指の太さを味わっている。 それだけで興奮が一段と膨らみピアスチンポの先からまた透明な粘液が垂れ落ちた。 ―ドクン、ドクン、ドクン…… 革パン男の咽喉がゴクリと鳴った。 「もう、いいだろ? 挿れるぞ……んっ」 脈打つチンポがローションで濡らされた肉穴に宛がわれ、ズヌ゛、と頭を滑り込ませた。 「あ゛はう゛っ! ぅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーっ!」 ケツタブをバシッとビンタし力むアナルの締め付けを緩くさせる。 その機を逃さず革パン男のピアスチンポが竿の残りを全て押し込む。 「う゛ぎぃぃぁあああ゛あ゛あ゛あ゛っぅ、ふぅぉおおおお゛お゛っ゛おお゛ーーっ!」 駆け巡るアドレナリン。熱い興奮が全身を滾らせ昂る興奮をさらに激しく燃焼させていく。 「ったぁまんねぇ……。んぅ、マジでコイツのケツマンコ、最高ぉ、ぅ、ふぅぅ」 快感の臭いをめい一杯吸い込みながら腰を前後にピストンする。 結合部からズチュッ! バジュッ! と響く音に痺れて挿し入れる男の亀頭がビククと震え、得も言えない感覚を相手の男にも流し込む。 ―ドクン、ドク、ドクン、ドクン、ドクン…… 「ぅおら! 気持ちいいかぁ? ぬふぅ! キモチ良いんだろぉ? だったら我慢なんかしないで、もっと喘いでくれて構わないんだぜぇ?」 腰のピストンに加えて相手の乳首に手を伸ばしツンと突きたった小さな粒をくりゅりゅと指先で転がす。 「うぁ! はぁんっ! だ、ダメぇっ! それ! ひぁ! ら゛め゛ぇっ! ケツも! しゅごいぃぃーーーっ!」 「ダメじゃねぇだろ? っへへ、ケツがギュウギュウ締め付けて来やがるぜ? 俺のピアスチンポでもっと奥まで犯して欲しいって、すっげぇバキュームしてやがる」 ―ドクッ ドクッ ドクッ ドククッ! ドクドクドクドク――、ドクッ!! 『……メ゛キ゛ィ』 「ん?」 革パン男は耳慣れない音を耳にした。 『ギキ、メギ、メ゛キィ……、グチ、ギチ、ギチュゥ……』 チンポから流れ込む快感をこのまま貪っていたい。そんな一時停止できない淫欲が革パン男の判断を遅らせた。 ―ドックンッ! ドックンッ! ドクドクッ! ドクンッ! ドックンッ! 『ギチ、メギ! ベキベキ! ゴキッ! バキ! グチ! ギチジュチュ! ゴギ、ギリィッ!』 「ん゛あ゛あ゛! も、もう、ら゛め゛ぇ゛! 俺っ! 抑え切れないよぉ! もう俺ぇ! んぐぅぁぁっ! 変わっ! ん゛! 変゛わる゛ぅっ! へ、変異しちゃううっ! おれ゛! も゛ぉお゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛あ゛あ゛ーーーーーっ」 「っへ?」 ぎちゅぐちゅ! ぐじゅるる! メキメキッ! ギチィッ! じゅぶぐぐ! ブジュルルルッ! 気付けば相手の男は上半身のシャツを引き裂きながら体を肥大させ、赤黒い血管を全身に浮かべたマッチョボディに。 元のスリムで中性的なカラダとは真逆の、胸や腹に濃い体毛を繁らせ筋肉と言う筋肉が膨張し、ゴリゴリにパンプアップし、肉汁のような汗を垂らしながら自身のカラダを別のモノへと作り変えて行く。 「ちょ!? ど、どうなってんだよ! っく、くっそ! チンポが! 抜け、ねぇっ!」 メキメキと変わる相手の男のケツ穴からチンポを引き抜こうとしたものの、締め付けが強すぎて一向に抜けない。 両手で相手をどれほど押しても、足を後ろに送ってどれほどカラダを引こうともチンポはアナルに食い込んだまま外れようとはしない。 チンポが抜けずに焦る男をよそに相手の男は首を、肩を、何倍ものボリュームに仕立て上げ、両の腕を丸太の如き太さに、大胸筋から腹筋にかけてもボコボコ軋ませながら筋肉を再度高く盛り上げ、背面の筋肉を腰のくびれに向け逆三に拡げながらゴリゴリ厚みを増し甲羅の如き逞しい背中へと変えてしまった。 「抜けっ! こんのぉっ! 俺の、チンポぉ! 抜けろって! くっそぉぉぉっ!」 「ふぅぅ、だ~か~ら~、ゴム付けないとヤバイって言ったでしょう? 俺はこの人間に感染し支配した『ミュータントバクテリア(変異細菌)』様さぁ! ある程度興奮が高まっちゃうとぉ、抑え切れなくなって人間のカタチを俺好みに変えちゃうんだよぉ! ぐひーっひっひぃ! どぉ? どぉ~? どぉよこのカラダぁ!! 雄臭いっしょ? 男臭いっしょ? 超エロいっしょ? 淫獣そのものっしょ? クソ堪んねぇよなぁ?」 瞳を紅く光らせベロリと長い舌で口周りを舐めた『ミュータントバクテリア』に感染している男は、巨大な腕を後ろに回して 革パン男を掴むと、ピアスチンポをより一層アナルで味わうためグチュグチュと動かし、革パン男をディルドのようにもてあそんだ。 「ぅあ! うあ! や、やめ、ろっ! こ、んの! 野郎っ! くそっ! 俺を! は、離せっ! 離しやがれっ!」 力任せに抜き挿ししては男のチンポを味わっていたが、不意に革パン男がぐったりと項垂れたためケツ穴弄りをストップさせた。 「あ~れぇ~? もうイっちゃったのぉ~? 俺さぁ、まだまだこれからって感じで全然犯され足りないんだけどなぁ~? もう一回くらいイけるよねぇ? イ~け~る~よ~ねぇぇぇぇ~?」 首を巡らせ振り向いた『感染者』の紅い目とズブリと伸びる二本の角を見て革パン男は震え上がった。 「ひぃぃっ! 鬼ぃ!? 魔人!? も、むりぃっ! 許して! お願いだ! この通りだ! ご、ゴムも付けるから! お前の、いや、あんたの言う通りにするからっ! 殺さないで! た、助けて! た゛す゛け゛て゛く゛れ゛ぇ゛っ!」 「ん~、情けなく懇願する表情、ゾクゾクしちゃう~! きんもちぃぃ~!」 『感染者』の巨大チンポがビュルと体液を吐き出した。 「でもぉ~、俺が満足しない限りは無理~! もう一回、俺に精液を頂戴っ! いいでしょ? あと一回! もう一度イクだけで 良いんだよぉ~?」 涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔のまま革パン男は『感染者』の中でピアスチンポを勃起させようとした。しかし、恐怖に縮こまったイチモツは、中々海綿体に充血が起こらず勃起してくれそうになかった。 「ん? イく以前の問題か? 早く勃起させろよ。できなきゃお前のチンポをケツ穴で引きちぎるぞ?」 高いネコナデ声ではなく地の底から響くような重い声が革パン男をさらに縮こませた。 「ひいぃっ! で、でも、そんな、事、言われてもっ! こ、怖くて、勃起、しないんだよぉぉーーーっ!」 泣き叫ぶ革パン男にやれやれとため息を吐いた『感染者』は、イチモツから垂れている先走りを指で掬うと革パン男の口に有無を言わせず押し込んだ! 「ふぐぅっ!? むぐぐぐ! んぐぅ!」 「僕の先走りを特別に味わわせてあげるっ! これで君もド淫乱野郎に早変わりっ!」 言うや否や革パン男のピアスチンポは息を吹き返してムクムクと膨張。たちまちフル勃起時と同じ大きさに復活した。 「ううっ! ぅあ、あああ、あ、俺、俺、なん、で……」 「どう? 凄いでしょう~? チンポがパンパンになって嬉しいよねぇ~?」 『感染者』は再び革パン男を掴んでセルフアナニーよろしく自身のケツマンコをジュブジュブとかき混ぜ始めた。 「ほあぁん! 気持ちイイ! しゅごいぃぃ! 感じる! 感じちゃうよぉぉ!」 恐怖は一ミリも減っていないのに再度勃起したピアスチンポは容赦なく革パン男に快楽の信号を送り込む。 「あひ! へぁっ!? んぎぃ! や、止めっ! でも、でもっ! きもち、イイッ!」 「俺もぉ! 俺も気持ちいっ! ん゛ぎぼぢぃぃーーーっ!」 扱かれれば次第にせり上がる射精欲。心が怯えて擦りきれていようとも本能が革パン男を突き動かした。 最後のフィニッシュに向け革パン男自身も腰を動かし、死中の活を見出すかのように、せめてもの救いを求めるかのように、 一本だけ残された命綱をたぐるように、『感染者』のお望み通り二回目の射精を苦痛ではなく快楽の証として放出すべく、 一心に、不乱に、トップギアの速度で腰をピストンさせ、これが「最後」となるよう望みを賭けて精液を、男の種汁を 貪欲な雄穴に注ぎ込んだ! 「イグイグイグ! イッグゥゥゥーーーーーッ!」 「あはぁぁぁぁ~~~~~ん! き、来たぁ~~! 二発目キたぁ~~~~~!」 ビクビクと蠕動する精管を駆け上り、白いマグマが噴き上がる。 収縮と弛緩を繰り返すケツ穴の快感を感じ取りながら、革パン男は持てる全ての精力を込めて腰を押し込み精液を漏らすまいと出し尽す。 「も、もう、イイ、だろ? 約束、通り、二発目、射精、したぞ……」 革パン男がふらりと尻もちをついてへたり込んだ。 ようやく抜けた革パン男のピアスチンポは、搾りカスのように萎え切って幼児サイズにまで小さくなっていた。 「まぁねぇ~、二発目、もらえたんだけどぉ~、やっぱりだめぇ! まだ満足できない~!」 「っ!? ちょ!」 「でも、休憩無しで3発目ってのも厳しいよね?」 革パンは大きく首を縦に振った。こんなやり取りなど無視してすぐにでも逃げたいのだが、高速ピストンと精魂込めた二発目のせいで足が言う事を聞いてくれそうになかった。 「よし! じゃぁこうしよ? 今度は俺がキミのケツを犯すよ! その間キミは休憩できるでしょ? ん! 名案だ~!」 「はぁ!? いや! ダメだって! 約束通り二発、射精しただろ! あ! ヤメ! 止めろ止めろ止めろぉ! も、もう俺、何も、なんもしたくねぇって!」 「ダ~メ~! 俺ちゃんもうキミのアナルを犯すって決めたの~! 決めたら超ムラムラしてきて、チンチンがこんなにおっきくなってんだよぉ~!」 くるりと体の向きを変えた『感染者』の、その股間に聳える肉棒は、もはやペニスという概念を超える巨大さになっていた。 「ひいぃぃ!」 目を見はりながら手を送って後ずさる革パン男。 ゆらりと近づく『感染者』 動きは決して早くはない。だけど、一歩一歩着実に距離を縮め、悪鬼の如き笑みを湛えながら巨大マラの持ち主は、革パン男のカラダに触れた。 「た、すけて、俺、もう、嫌、……だ、こ、んなの、もう、俺……」 「泣かないでよ~。せっかくの興奮が萎えちゃうじゃない~。もしかして、僕のチンチンが大き過ぎるって思ってる?」 革パン男は必死に首を縦に振った。 「そっかそっかぁ~。ん~、でも、大丈夫! きっとキミも気持ち良く感じるから! ――だって」 この瞬間、革パン男は目の前が真っ白な闇に染まった。 「だって、もうすぐキミも俺と同じになるんだよ? キミのチンチンを遡った僕の体液にはたーっぷり『ミュータントバクテリア』が含まれているからね! えへへぇ、つまり~、キミは俺のケツにチンポを挿入した瞬間からこうなる運命だったんだ! キミの意識も、カラダも、何もかもが俺と同じ! 『ミュータントバクテリア』に支配され、人間の意識なんて全部捨ててさ、新しいキミになるんだ! ねぇ~? 凄いよねぇ~! 俺も最初はすんごく怖かった! だって自分が自分じゃなくなっちゃうんだもの! でもね、そんなの変わってしまえばどうでも良くなる! 新しい自分の、このイヤラシイ体が、心が、『ミュータントバクテリア』に冒されてさ、全部全部好きになるよぉ!」 呼吸をしているのかすら分からない。革パンの絶望の底が抜け、ガラガラと崩れ落ちて行く。 「……俺は……、俺はどうなっちまう?」 「大丈夫! 『ミュータントバクテリア』に身も心も支配されるだけ! 本能に従って『感染者』を増やして拡げて、もっともっと人間たちを『感染者』にしていきたくなるだけ! ね? 何にも心配いらないでしょ? でもって、エロい快感をもっともっと楽しんでいっちゃおう!」 『感染者』の巨腕に持ち上げられた革パンの男の股下に、ヒトの頭ほどもある亀頭が押し当てられた。 「い、嫌、だ……そ、んなデカいの、入る訳、が……」 「そう? でも、もうキミの目、すっかり俺とおんなじだよぉ?」 「っ!?」 ――時、至れり。 革パン男のカラダが変異を開始した。 殻を破って変態する蛹(さなぎ)のように、異様な音を響かせ「ゴキ、メキ」と肉と骨を歪ませながら革パン男は姿を変えて行く。 「う゛っ! がはぁっ! あ゛っ! ごほぉっ! ぐ、ぐぁ、あ゛が、がひ、ひぎぃっ!」 「変異が終わってカラダが馴染んだら俺みたいに元の姿にも戻れるからねぇ~。つか、新しい獲物を捕まえる為、元の姿に擬態できる、って言うべきなのかな? だからさ、この前キミとセックスした時より好みのカラダになってたでしょぉ~? 気付いてたかな?」 そう言えば前回よりも一段とスリムに、華奢になって自分の嗜虐心(Sっ気)を煽る体形になっていたな、と革パン男は思い出した。 ただ、そう思い出した直後、革パン男は意識を『ミュータントバクテリア』に乗っ取られ、記憶は「他者」の記憶と化した。 「おお~めでとぉ~! これでキミも『感染者』仲間! マスターである俺に従い、細菌の支配を受けてどんどんばりばり仲間を増やしていこうね!」 革パン男はすっかり見違えた。 熊やサイを思わせる筋肉巨体。股間にみなぎり聳えるペニスは太ももと同じくらいに肥大しており、亀頭には「牛の鼻輪」サイズに巨大化したピアス(プリンスアルバート)が装着されている。 剥き身のカラダには濃い体毛が生え、特に胸毛から股間までが一繋がりの密林と化している。 「あ゛……あ、あ゛……」 「このまま俺のチンポを味わってもらいたい所ではあるけど、気が変わった! 今夜は気分が良いからさ、先に人間たちをどんどん『感染者』仲間にしちゃおうよ! ね!」 「……かし、こ、まり、まし、た……」 乗って来た車を置き去りにして、メガマッチョ巨根の『感染者』二体が駐車場を出ようとした。 『――ちょっと待てよ。俺の『食事』に付き合ってくれないか?』 音も無く地上に降り立ったのは昆虫と人間が混ざり合ったような生き物だった。 「なんだい? キミは。俺たちは人間を犯しに行きたいんだ。すでに人間じゃない奴なんか興味ないよ」 「ま、そうツレナイ事言うなよ? 俺はお前らの精液が欲しくて堪んねぇんだからよぉ」 「精液? んふ、ぐふふふ! ぐははははは! バッカじゃねぇ? 俺たちの精液が何なのか分かってるのか? 受け入れた が最後、お前も俺と同じ『感染者』に! 『ミュータントバクテリア』の奴隷になっちまうんだよ! ぎゃーっはっはっはっは! 丁度良い! お前も俺の奴隷に作り変えてやる!」 ◇ 「――と言う感じでお前らは俺に襲い掛かったもののあっさりと返り討ちになって、根こそぎ『ミュータントバクテリア』を俺に吸い取られてさ、変異したカラダも元に戻って平たく言やぁ完治したって訳。 意志を持った細菌にしてみりゃ残念だろうがな。まぁ、あのまま感染し続けていたらお前らだって死んでただろうし悪く思わないでくれ。 で? どうする? 記憶は消しておこうか? まぁ、こいつは俺からのサービスだ。遠慮せず受け取っときな」 カブトムシを思わせる昆虫型怪人が複眼から朦朧としている男たちに「力」を送りこんだ。 「よし、こんなもんか。じゃぁな。美味い精液をごちそうさん。バイト帰りで俺も丁度腹が減ってたんだ。悪く思わないでくれよ、っと!」 低い翅音がブゥンと鳴ったかと思うと昆虫型怪人は空の彼方へと飛び去った。 ◇ 再び雨が降り始めた夜更けの公園の駐車場。 気が付くと全裸で車に乗っている男が二人。 「うう~ん、よく寝たなぁ。つうか、俺、何しにこんなトコに来たんだっけ? 素っ裸でさ」 運転席の男に続いて助手席の男も目を覚ました。 「ふえっくしょい! うぅ~、ね、ねぇ? 何で僕たち全裸なのぉ? 冷えてきちゃったし取り合えず家まで送ってもらいたいんだけど~!」 「雨合羽の一枚くらい車に積んでおけば良かったぜ」 「うん?」 「いや、さすがに車を降りてから部屋に入るまでの間に誰かに見られたらヤバいな、って思ってさ」 「じゃぁ、僕の服を貸してあげるから早く送って欲しいな。何だったら泊まってっても良いよ?」 「お、いいのか? つか、泊まるだけ? セックスは?」 「いいよぉ! やろやろ! じゃ、今夜は僕がタチらせてもらうね!」 「う……、あんま気乗りしねぇけどお前がケツ掘りたいってんなら仕方ねぇな」 「ぃよっしゃ~! 前は僕が掘られてばっかだったけど、こう見えて僕ってタチるの意外に上手いんだよ? きっちりキミのアナルもトロトロのケツマンコにしてあげるから任せて!」 ―ズプチュゥ ―ズルブニュ 「んひ!?」 「ふぉ!?」 「あ、アナルとかケツマンコを意識したら、なんか、僕のお尻が疼くんだけどぉ~? なんでぇ~?」 「お、俺もだ、今まで一度もこんな感覚になった事は無ぇのに、ケツにチンポが欲しくなるなんて、どうしちまったんだ?」 互いの目と目を見つめ合った二人は、静かに車を移動させた。 「そう言えば、本当の名前は何て言うんだ?」 「僕はアキヒロ。君は?」 「俺はヨウスケだ。……アキヒロ、これからもよろしくな。アキヒロのチンポがやけに欲しくなっちまって早く掘ってもらいたくなってきた」 「僕も~! 僕もヨウスケのチンポが欲しくなっちゃった! やっぱタチるの無しで掘ってもらっちゃおうかな~?」 「えっ! そんな! 男に二言は無しで行こうぜ」 「最初は嫌がってたのに? だったらさ、交替して掘り合おうよ! それで良いでしょ? ヨウスケ~」 「うわっとぉ!」 蛇行した車が元の車線に戻った。 車の中ではヨウスケの腕にしがみついたアキヒロが頭を下げていた。 「あっぶねぇ~! この時間だから良かったけど、マジ危なかったぞ! 罰として俺が7割、アキヒロが3割な!」 「タチる割合?」 「逆だよ逆。話の前後の文脈で分かるだろ?」 「へへ、まぁ、分かるけど、敢えて、ね」 赤信号で停車した。 二人はそっと口付けを交わした。 「俺、アキヒロの事好きになったかも」 「そんな素っ裸で言うかな?」 「ダメか?」 「良いよ。僕もヨウスケと付き合いたい。カラダの関係だけじゃなくて」 「ぃよっしゃぁ! 初彼氏ゲット~!」 「なんか子供みたい」 「まぁ、子供っつうか赤ちゃんみたいな恰好してるし? 素直に喜びを表現したっていいかな、と」 「だったら僕も! ヨウスケゲット~! これからもっと好きになっちゃうぞ~!」 青に変わって車が走り出す。 雨に濡れたアスファルトは、二人を祝福するかのようにキラキラと街灯を反射して鮮やかに進路を彩った。