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鷹取リュウゴ
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冒涜巨根アウェイクニング4 (新・背徳巨根テイスティング)

4誤解と誤認  「思ったほど片付いちゃいないんすね」 俺の部屋を一瞥するなり那岐が言った。 「来客があるって分かってたら前もって片付けているさ」 「けなしたつもりじゃないっす。俺の部屋よりはずっとキレイですし」 俺は那岐の前にアイスコーヒーを入れたグラスを置いた。ペットボトルから移すだけなので手間も何も無い。 視線を合わせようとしないのはバツの悪さを引きずっているからだろう。 「……さっきもちょっと言ったっすけど、俺はああ言う動画をオナニーのオカズにしてるホモ野郎っす」 俺の超巨根について聞くのかと思いきや那岐は自分自身の事から切り出した。 「そうなんだな」 「あんまり驚かないんすね? もしかして前から知ってたんすか?」 「いや? 知ったのはついさっきだけど」 ここで那岐が顔を上げ俺をじっと見た。俺の方が恥ずかしさを覚えコーヒーをぐびリと口にした。 「俺が初めて店長と会った日の事、覚えてるっすか?」 いきなり何の話しだ? 半年前、那岐の初出勤日がどうしたと言うのか。 「まぁ、ある程度はな」 「採用祝いっつって店長は、俺にスーツを贈るから採寸させろって、でもってお客様を採寸する時もこんな風にするんだぞ、ってやった時の事っす」 「そうだったな。マナーや言葉遣いは一朝一夕には身に付かないだろうが、採寸の手順くらいは目で見て覚えて欲しかったしな」 「その時の店長の視線も手つきも凄く、その、濃いっつぅか、マジでエロいっつうか、こいつは俺、店長に誘われてるのかなって」 「誘う? 那岐を? 何に?」 ここで那岐が顔を伏せた。 「……セ……」 「ん?」 「セックスっすよ!」 顔を赤くして怒っているような顔を俺に向けた。 「は? セックス? 俺が、か?」 うなずく那岐は再びアイスコーヒーをグイッと飲んだ。 「店長の手が、股間を、俺のチンポを何回もしつこいくらいにタッチしてたし、バストやウエストを測る時だって店長の股間が俺の腰に当たってたし、勃起しちまった俺のチンポを見た時だって『いいモノもってるな! 生で欲しいって言いそうだ』って」 「そんな事言ってたか?」 「はい。だから俺は店長も俺と同じゲイなんだと思って、採寸が終わった時に意を決して店長をホテルに誘ったのに店長は――」 「俺を誘った? ホテルへ? 待て待て、なんかその辺の記憶はちっとも思い出せないんだが」 「忘れてるんすね。でも、俺は覚えてるっすよ。『店長、営業時間が終わったら一緒にホテル行きませんか?』って。 そしたら店長は『今日? なんで那岐と一緒に? ダメダメ、今夜は本社に送る月締め報告書を仕上げるから時間なんて無い』 って、即拒否されて……」 「その辺は記憶にあるな。次の日が提出期限の報告書を仕上げなくてはいけないから持ち帰りの仕事になるな、と」 「俺をあんなに誘って、煽っておきながら、なんでこんな酷い手のひら返しをするんだろうって恨みました。採用一日目の新入りをからかうなんてあんまりじゃないか。もう二度とこんな人の言う事を聞いてやるものか、と思いました」 「待て。待ってくれ。すると何か? 俺はこの半年、那岐の心を弄んだクズ野郎扱いだったのか?」 「実際そうだったじゃないすか? 結局それからも俺の事は腫れ物にでも触るみたいに遠ざけていたし」 ……ん? 何だかおかしい。 前提や順序がまるで逆じゃないか? 那岐が俺の事を嫌っているから波風を立てないよう気を付けていただけ。言わばマジな喧嘩を避けるための大人の対応をしていたんじゃないか。 「俺はやっぱ諦めきれなくて、でも、初日に店長に受けた仕打ちを思い出したら素直になれなくて、本音と真逆の言葉ばっか出てしまって……」 「……要するに那岐は俺の事が……」 「好きっす。店長はそうじゃないって知ってますけど」 危く俺は持っていたアイスコーヒーのグラスを落としそうになった。 那岐が? 俺を? 好き? 何秒、いや、何十秒も思考停止のまま俺は固まってしまった。 嘘だろ? あれほど俺を嫌っていた那岐だぞ? 意趣返しのつもりで俺を欺こうとしている? 「……はぁ、よっぽど俺の事、無理なんすね。もういいです。巻き返すチャンスの一つでもあればと思ってこっちに引っ越してきたっすけど、それも無駄になってしまったのは残念っす。いい加減俺も諦めるべきなんすね」 「引越し? こっちに?」 「知らなかったんすか? 俺のアパートはここから5分ほどっす。引っ越した時にお話ししたと思うんすけど?」 「いつ?」 「GWのセール期間に」 俺は額に手を当てた。GWのセール前に社長から呼び出されてキツイお叱りを受け思いっきり凹んでいた時期だ。 それこそ真木さんから食事のお誘いを受ける程に。 ただ、那岐の話を聞いている内に俺もいくつか思い出した事があった。 「那岐の引っ越しの件についてちゃんと聞いていなかったことは謝る。申し訳ない。だが、お前を採寸した時に誘ったり煽ったりしたと言うが、それはお前の誤解だ」 「誤解?」 「ああ。誤解もいい所だ。例えば、『生で欲しいって言いそうだ』ってのは『お前のイチモツを見た女の子は』、って意味だしな」 「へ?」 「それと、俺の手がお前の股間に当たったとか腰に俺の股間がぶつかっていた、ってのも俺の手の動きやメジャーを添える時の感覚を那岐が把握しやすくするため敢えて同じ動きを繰り返したり、那岐がぐらつかないように支える為だったしな」 「俺が把握? 支える?」 「最後にもう一つ。ホテルへの誘いだってつまりその、そう言う意味だって思わなかったし、単に歓迎の宴を開いて欲しいって意味、つまり、純粋に飲食を主とするモノだと捉えて、だからそう言うのは後日みんなと一緒にやるべきだろうと思ったし、報告書類の期限もあるし、――で断ったんだ」 那岐が深いため息を吐いた。 「俺の誤解? いや、店長も誤解してたって事っすか?」 「そう、なるな……」 「改めて言いますけど俺は店長が好きっす。ずっと店長に対して反抗的だったのは素直になれない部分もあったっすけど、店長が俺の気持ちをずっと無視するせいだ、って意味合いもあったっす」 「とは言え、前に『スーツが似合わないのに店長をさせているなんて社長もどうかしている』みたいな陰口を言ってるのを聞いた事がある」 「聞かれてたんすね。でも、スーツじゃ無くて他の服は似合うのだからスーツメインの店舗じゃ無くカジュアル衣料がメインの店舗の店長ならふさわしいのに、って意味でしたけど」 は?  今度は俺が誤解していた、ってか? 「ともかく、店長を誤解させてしまったのなら謝ります。ごめんなさい」 那岐がしおらしく頭を下げた。 「いや、俺もお前を誤解させていたんだろう? だったら俺もだ。俺もお前に謝る。この通りだ」 顔を上げたら照れ臭そうではあったが今まで見た事の無いような笑顔を俺の前にあった。 「あ~あ、この半年、意地張って損したっす。もっと早く俺も店長も誤解し合ってるって気付いてたらどんなに――」 「どんなに?」 「どんなに俺が店長を好きで、でもって早々にあきらめがついただろうに、って……」 那岐の視線が俺のカラダや股間へ飛んだ。 さっきの公園での出来事に話題が切り替わったようだ。 「ところで店長。そのカッケー筋肉は何なんすか? しかも俺、店長の超でっけぇチンポに丸飲みされたような気がするんすけど? あれって夢や幻じゃなくてマジであった出来事なんすか?」 浴衣を羽織っただけだからマッチョに変身したってのはすぐにバレる。チンポはさらに縮んで30cm程になったけど、それでも元のサイズの倍はある。 真木さんからもらった「肉体強化剤」のせいでカラダやチンポが異常発達した、と言えば那岐は信じるだろうか? いや、真木さんは秘密組織のヒトだから全てを正直に言う事はできない。 話せる部分と話せない部分がある。 「ある薬を飲んだらこんなカラダになったんだ。チンポが巨大になって那岐を飲み込んだってのも事実だ。しばらくすればカラダは元に戻ると思うがどれくらい待てば戻れるのかは俺も分からん」 「マジでそんな薬があるんすか?」 俺のマッチョなカラダを目にしていてもにわかには信じがたい、と那岐の顔には書いてある。 「俺だってまだ信じられないさ。あんなグミキャンディみたいな薬でこうも変わっちまうなんて」 「グミキャンディってこれっすか? ああ、ちゃんと『肉体強化剤~シャイングレープ味~』って書いてるっすね」 「え?」 那岐の手にあのグミが、「肉体強化剤」があった。 考えるまでも無い。俺は「肉体強化剤」をテーブルのそばに出しっぱなしにしていたのだ。 「俺も一つ貰っていいすか? 店長みたいなマッチョに俺もなってみたいっす」 「お、おい! 待て!」 俺が止めるよりも早く那岐はジッパーを開け「T」字にも見える紫のチンポグミを口に放り込んだ。 「おお~、フルーティで美味ぇ~」 「早く吐き出せ! たった一錠でこんなカラダになっちまうなんてやっぱ異常なんだよ! どんな害があるか分かったもんじゃないぞ!」 「あ、しまった。飲み込んじまった」 ゴクンと那岐の咽喉が上下していた。 グミが膨張する前に那岐が口に入れたものは嚥下され胃の腑へと流れ落ちたらしい。 こんな場合どうするんだ? 俺の手に負えない状態になったら誰に助けてもらえばいい? 病院に行って診てもらうべきなのか? いや、そもそも病院が診てくれるのか? 『もし問題があるようでしたらいつでも遠慮なく連絡して下さい。いつでも構いませんからね』 真木さんの顔が唐突に浮かんだ。 そうだ、まずはこの「肉体強化剤」をくれた真木さんに相談しなければ。 秘密組織云々はこの際後まわしだ。万が一那岐に何かあってからでは遅い。巨大チンポが那岐を飲み込んだ時と違って今の俺は理性も判断力もある。 手遅れになる前に対処方法を確認せねば! ◇ 『――なりたいカラダのイメージどころか噛まずに飲み込んだんですか? だとすると効果は半減してペニスの巨大化だけになるでしょうねぇ。命に別状? そんなもの全くありません。むしろ超健康になって色んなものがみなぎってきますよ。その辺りは山西さんも身に覚えがあるでしょう?』 電話越しなのにまるで俺の状況を見ていたかのような口ぶりだ。 午前2時なのに真木さんへ電話を掛けたら3コールも待たずに出てもらえた。 それは実にありがたいコトなのだが、返ってくる答えはいたってのん気で俺の危機感などまったく伝わってないみたいだ。 「……と言う事は?」 『特に何もしなくて大丈夫ですよ。あぁ、初回の性欲の制御はなかなか難しいでしょうから山西さんがお相手なさって下さい』 それでは、と真木さんとの電話が切れた。 そっけないのは真木さんに断りもなく那岐に与えてしまったからだろう。 振り向けば那岐が腹を抱えて悶絶している。 「う゛あ゛! は、腹が! 苦しいっ! 腹が裂けるっ! 破裂しちまう! ごほおああああああーーーーっ!」 エイリアンの幼生体でも寄生したみたいに那岐の腹部がグニュ! ドズ! と蠢いている。 俺の時と違ってグミキャンディが胃の中で急激に膨張したからに違いない。 本当にこのまま放置していて大丈夫なのか? 大丈夫なんですか? 真木さーーん!


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