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鷹取リュウゴ
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続・尻尾の玩具 1

お待たせしました! 『続編&スピンオフ祭り』第5弾! Pixivに投稿させて頂いた「尻尾の玩具」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6919036 の続編となっております! 登場人物や世界観などは前作を引き継いでおりますので、より一層お楽しみ頂くためにも是非上記「尻尾の玩具」もご一読下さい! 1 【S-テイル】  ……なぁ、時間ある? 一つ、たとえ話をさせて欲しいんだ。 ある所に世間知らずな男がいた。 見た目が良く女にモテるので調子に乗って色んな女とヤりまくり、遊びまくって自分は勝ち組なのだと自惚れていた。 しかし、そんな男が大学を卒業してさぁ就職だ、新社会人だとなった時、内定していた会社の重役令嬢がかつて捨てた一夜だけの女だったらどうなる? しかも、その事実が親である重役にバレて「大事な娘を傷モノにされた」って、慰謝料まで請求されたら? 答えは明白。 内定は取り消され尚且つ多額の慰謝料が借金として男にのし掛かったんだ。 男は後悔する。どうして見境なく女に手を出したのか、と。 同時に自身が背負った借財の大きさに呆然とした。いかにして返済すべきか見当が付かない。 せめて親や身近な友人たちに醜聞が知られないようにしよう。 小さなプライドが男を闇金なる悪質な高利貸しに走らせた。 それが更なる事態の悪化をもたらしたのは言うまでも無い。 大学新卒という貴重なカードを失った者など、スキルも経験も無いだけに人材としての価値はうんと低くなってしまう。 男はつまり、いくら頑張っても「働き口」が見つからなかった。 借金は膨らむばかりなのに返済の術が無い。自己破産しようにも闇金相手にそんな「合法的手段」なんか通用しない。 もはや残された武器は並みの男よりも良い顔とカラダだけ。その二つが欲しい奴からすれば「まだ贅沢だ!」なんて言われるだろうけど、 催促のノックの音にビビって眠れない生活から逃れるため、男は残された武器を活かせる業界で稼ぐことを選んだ。  それから2年が経った。 現在24歳になっている男が逃れて飛び込んだ業界とはAV業界だった。 甘いマスクと引き締まった肉体。そしてカタチもサイズも「上物」のチンポを持っていたお陰で男はAV男優として成功していた。 多額だった借金を全て返済し、爪に火を灯すような生活から脱する事ができたのだ。 心機一転、男は6畳一間のボロアパートを出て新たな住まいへと引っ越した。 引っ越した先で男は2年ぶりに大学時代に親しかった友人と再会した。 「よおユウゴ! 久しぶりだなぁ~! 元気そうで何よりだ! で?今、何やってんだ?」 「リク!? マジで久しぶりだな! 俺か? 俺はAV男……、じゃなくて、あのー、あれだ、えっと、そう! 記者! 記者をやってるんだ」 「記者!? すげぇな! ユウゴって出版社に就職してたのかよ! メディア業界か~! 超かっこ良いじゃん! 羨ましいぜ!」 「そ、そうかぁ? 弱小出版社でほとんど知名度無いから忙しいだけだけどな。時間だって不規則だし」 男は咄嗟に嘘をついた。 リクと言う友人にAV男優である事や、そんな仕事をしている理由を聞かれたくなかったからだ。 「しっかし、お前が記者とはなぁ~。てっきり内定先だって聞いてた三ツ丸商事に行くのかと思ってたけど、意外と冒険野郎だったんだな~!」 「は、ははは、そうだなぁ」 「んでさ、こっちに越して来たんならメシでも一緒に食おうぜ? あ、急に誘ったら彼女に悪いか……」 「いや、今のトコ特定の女はいないから問題無いけど」 「なんだよ! 俺と一緒だったのか! なら早速今夜はどう? 安くて旨い居酒屋があってさ――」 ◇  もう分かってると思うけど「たとえ話」に出てくる「男」とは俺のこと。 かなり端折っているけど概ね事実だ。 2年ぶりに会った大学時代の友人にAV男優をやっているってのを隠して咄嗟に記者だなんて言ったのも本当。 本業を伏せたのは女関係で痛い目に遭っていた、ってのを知られたくは無かったしそんな経験をしてるってのに 結局また女を相手にする仕事をして糊口をしのいでいるのか、と後ろ指を指されたく無かったからだ。 待ち合わせ場所の駅前で落ち合ったリクと一緒に居酒屋へ行くともう一人、大学時代にリクや俺とも親しかったケンジが待っていた。 「おお~! マジでユウゴだ! 相変わらずのイケメンだな! ったく羨ましいぜ! とりま元気してたか~?」 「ああ、元気は元気だ。ケンジも変わりないな! いや、ちょっと太ったか?」 「うははは。ケンジ、太ったのバレてやんの。コイツってば就職して仕事し始めてから酒や間食が増えてさぁ。学生ん時ゃ空手で鍛えた良いガタイだったのに、たった2年でもう崩れてきてんだぜ?」 ケンジは空手の有段者でタッパもあるから向かい合うと威圧感を感じる程だった、が、今はその威圧が和らぎ「ふっくら」して見える。 「仕事上がりに飲む一杯がやめらんねぇんだからしょうがないだろ? 彼女でもいりゃぁ直帰するけど待ち人も無い寂しく暗い部屋にまっすぐ戻ったってつまんねぇじゃん」 「と言う事は、ケンジも独り身のまま?」 「なぁんだ、ユウゴも居ねぇのか。居たらそのツレの一人くらい紹介しろって言いたい所だったんだがな」 「俺も俺も! 俺ら同類! 今夜はケンジもユウゴも右手が恋人な寂しい男の男子会になっちまったな!」 頼んだ生ビールがテーブルに来る前に互いの女っ気の無さを先に確かめようとするあたり、当時と変わってないな、と思った。 話題はすぐにそれぞれの近況、主に仕事について、に移った。 が、俺はリクに嘘をついた手前、多くは語らなかった。いや、語れなかったと言うべきか。 「――まぁ、記者ってんなら追っかけてるネタをペラペラしゃべったりはできないよな。けどさ、どんな分野を担当してるのか、くらいは良いんじゃね? もしかしたら俺らも協力できるかも知れないしさ」 「そうそう。人の縁、リアルな口コミって大事なんだぜ? いくらネットが当たり前になったっつってもよ」 リクからもケンジからもそう言われたら仕方ない。嘘に嘘を重ねるのは本意じゃないが適当に合わせておこう。 「いや、スキャンダルやスクープとかを追ってる感じじゃ無くて、そうだな、スポーツ選手に話を聞いたり未来のスターになりそうな人物にインタビューしたり、って感じだから。あくまで俺は縁の下から支える役割だよ」 実際はカメラの前でAV女優の腰を下から突き上げヒイヒイ言わせる役割、なんだけどな。 俺と違って屈託のないリクとケンジは酒を飲むペースも早く、日頃溜まってた仕事の愚痴を惜しみなく俺に聞かせてくれた。 「まぁ、ほんとヤな上司がいてさぁ。念のため聞きに行ったら自分で考えろっつったり、やればやったで何で相談しなかった? っつったり。毎度毎度言う事がちぐはぐ過ぎんだよ~」 「上司あるあるだな。俺のトコも変に気位の高いお局がいてよ。お気に入りの奴には猫かぶって色目使うくせに 俺にはなんか、汚物でも見るかのような目つきで対応してくるんだぜ? マジで気味が悪ぃんだよ」 「やっぱそう言うのってあるんだな。ストレス溜めないように吐き出していかないとカラダが持たないよな」 ひとしきり仕事がらみの愚痴タイムが過ぎたら再びプライベートの話題に戻った。 「そういやユウゴはこの街、初めてだろ? 俺とケンジは学生の時からずっとここで生活してるんで結構詳しいんだ。 使い勝手の良いスーパーやコンビニ、激安ショップなんかも知ってるから遠慮なく聞いてくれ」 「ありがとうなリク。是非教えてくれ」 「スーパーやコンビニだけじゃないだろぉ? リクはアダルトショップも詳しいじゃん」 「へぇ~? そうなんだ?」 ニヤッと笑いながら顔をリクに向けると慌てて手を振って否定した。 「逆だよ! 逆! ケンジの方が詳しいくせに! この前も新規開拓したっつってショップまで引っ張ったのはどこのどいつだ!」 まぁ、男なら通販にせよ実店舗にせよアダルトショップの世話になるなんて珍しい事じゃない。 女を取っ換え引っ換えしていた学生時代の俺でも何度かは世話になった覚えがある。 「なぁ、聞いてくれよユウゴ。リクの奴、『玉山 マヤ』ってAV女優が推しでさぁ、その女優の出るDVDばっか買い集めてやがるんだぜ?」 「別にイイだろ~? マヤたんのあのたわわな胸とかわいいヒップには俺の、いや、全男のロマンが詰まってんの!」 ちょ、ちょっと待て。『玉山 マヤ』だって? その女の出ているAVには俺も出た事がある……。 AV業界に足を踏み入れた頃にメインではなく覆面モブの汁男優として急きょ呼ばれて参加した程度だったが、 もしかしてこいつら、俺の本業、俺がAV男優をやってるのって知ってんじゃないか? 俺の本当の顔(仕事)を知っていて話を合わせているのだとしたら、とんだ恥さらしの大嘘つきじゃないか! せめて俺が顔出ししている出演作を持っていないかくらいは確認したいものだが……。 「なぁユウゴ、ケンジ、明日休みならさ、この後オレんちに寄ってかね? もっと話したいんだけど」 「わりぃ。俺は明日仕事が入ってるから大人しく帰るわ」 「そっか。だったらケンジはまた今度な。ユウゴは?」 チャンスだ。 部屋の中に入れたらリクが俺のAV作品を持っているかどうか確かめられる。 もしも持ってたら、その時こそ本当の事を明かして素直に謝ろう。 「寄らせてもらうよ。俺もまだまだ飲み足りないし話し足りないからさ」 「ついでに俺がよく行くアダルトショップも教えてやるよ。俺らにとっちゃコンビニよりも切実だろうしさ」 「よせよリク。ユウゴはイケメンなんだからそこまで切実じゃないだろう? 毎日オナニーで『しか』性欲を解消できない俺らと一緒にするのは失礼だぞ?」 「 『しか』、とか言うなよ『しか』、とか。いずれは俺だってマヤたんみたいなエッチで可愛い女の子をゲットしてなぁ――」 「はいはい。マヤたんの尻と胸しか眼中にない豊満フェチにツッコまれたって痛くも痒くも無いんだよ」 「ぐぬぬ! ケンジ! お前だって変態チックなフェチ持ちのくせに!」 「声が大きいよ二人とも。それと、下ネタは自重しような? まだお店の中、なんだしさ」 「おっと――」 「いっけね……」 秘密にしなくちゃいけない事がまた一つ増えてしまった。 リクが気に入っている『玉山 マヤ』がかなりの厚化粧で実体はそれほど可愛くない事と、すでに3回離婚して 3人の子持ちである事。 ついでに言うと現場での評判はあまり良くない事も。なにせ育児放棄して撮影現場に来てるっぽいんだもんなぁ。 「俺だったらあんな女、願い下げなんだけどな。ま、リクの夢を壊したくはないから黙っているけどさ」 満席の居酒屋ならではの賑やかさに俺の独り言はかき消され、「マヤたん」のどこが推しポイントなのかをリクは延々とケンジに語っていた。


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