4健一と俺 「マジでどうなっちまってんだ? 俺のカラダは……」 シャワーを浴びつつ連続で3発ぶっ放した。あの不思議な手袋は着けていないのに。 それでもまだ抜き足りない感覚がチンポにふつふつと残っている。 2週間のオナ禁明けよりもムラムラしっぱなしとは。 バスルームから出て半勃ちチンポの水滴をタオルで拭いながらさらにオナるかどうか思案してたら例の手袋が、そう、魔法みたいな効果を持つ『コピーブローブ』が俺の視界に入った。 この手袋を使えばコピペして創った「口」でセルフフェラしまくれるし、チンポも超デカくできるのだ。 昨日味わったあの快感を、精液の味を、俺はまたたっぷりと――。 「……決めた。汚れたらもう一回シャワー浴びりゃいいだけだしな。っへへ、今日もコピーした口でデカくしたチンポをたっぷりじっくり味わっちまおう」 そう決意しコピーグローブを右手に嵌め終えた時だった。 無情なインターホンの音が玄関から俺の耳に届いた。 『お~い! 睦月~? 俺だ~! 親友の健一さまだぞ~! 早よ開けろ~!』 これから心ゆくまでシコろうって時になんてタイミングで来るんだよ! 空気読め空気を! 勃起しちまったチンポをなるべく目立たないよう大人しくさせ、急いでいつもの部屋着を着直し玄関を開けた。 桜の花を背に能天気な笑顔を俺に向けて立っていたのは高1の時からのダチ、「横山 健一」だ。 卒業式以来なので顔を合わせるのは3週間ぶりになる。同じ大学に受かって俺同様に一人暮らしをスタートさせた一人だ。 「ぃよぉ~! 荷物の片付けは終わったか~? って、あ、あれ? なんかご機嫌斜め? もしかしてオナってる最中だったりした?」 「ち、ちげーよ! こんな時間にオナニーなんかするかよ!」 真っ赤な嘘です。ズバリ、あなたのご指摘通りです。 昨日と同じく今日も明るい内から特殊なオナニーってか、セルフフェラしまくって精液を飲みまくろうとしてましたぁ! 「まぁ、どっちでもいいけど。ところでさ、面白そうなゲームをゲットしたんでお前もどうかなと勧めに来たんだ」 「ゲーム?」 ニンマリと笑む表情でおおよその察しはついた。 「そそ。非モテで彼女ナシな俺らの救い――」 「エロゲ?」 「エロゲ!」 俺と健一の声がハモった。野太くて汚いハーモニーだな。 「そういやお前、大学入ったら周りを気にせずエロゲをやりてぇって言ってたもんな」 「ようやく時が来たね! 俺らの時代が!」 「んな大袈裟な。てか、俺まで含めんな」 ◇ 大袈裟な、と言ったけど健一の事情を鑑みればあながち大袈裟でもない。 二人の妹を持つ健一の両親は健一が中学に上がった頃に離婚して、それ以来母親一人で家族を養っていた。 食べ盛り、育ち盛りの子供が3人となると養育費が家計に大きくのしかかる。 となると削れる部分は削らざるを得ず必然的に健一の住まいは狭小になってしまう。 「自分の部屋が欲しい」 「一人になれる時間が欲しい」 健一の口から何度も出ていた言葉だ。 自宅じゃオナニーする場が無いと嘆いていた。 風呂場でこっそりヌこうにも足音が近づくたびに息を潜めて気配を窺い、なんとかヌけても後から入った妹たちに「変なニオイがする~」と怪しまれる始末。 健一が高校に入っても状況は変わらず、しかも妹たちが兄を異性として警戒し始める年頃になったためより一層自宅でオナニーするチャンスは少なくなった。 家族の中で男が健一だけなのも肩身を狭くさせていた。 中学に引き続き悶々とした高校生活が始まってしばらく経った頃に健一と俺は出会った。 同じクラスでも接点が無く、会話らしい会話なんてした事の無い「顔見知り」レベルだった健一と仲良くなったきっかけがあったのだ。 それは健一がオナってるのを俺が見てしまったからだ。 『一か月だぜ? 一か月! そんなに我慢できっか~!』 次の日に提出しないといけない宿題のプリントを机に入れっぱなしのまま下校した事に気付いた俺は、急いで高校へ引き返した。 急いだとは言え一度下校してから2時間以上過ぎていて、野球部やサッカー部あたりの生徒しか残っていない。 誰もいない教室に入り無事に宿題のプリントを確保した俺はほっと気が緩んだせいか小便がしたくなった。 が、部活でもない俺が校内に居る所を教師に見つかって叱られるのは極力避けたい。 教室までは幸いにも出会わなかったからトイレでも、そこまでの往復でも鉢合わせなんてしたくない。 なので職員室から遠く、人の出入りが無さそうなトイレに忍び込んだ。 「――ぅえええっ!? ちょ! おま! ダメだ! もぅ゛っ! イクゥーーーっ!」 ビュルッと噴き上がった健一の白い体液が糸を引きながら俺に向かって飛んで来た。 「うわ! おいおいおいぃぃっ!」 変な物音がする個室のドアは鍵が壊れていた。 押すと簡単に開いて中には一心不乱にシコっていた健一がいた。誰も居ないと思ったらこんな所に。 ランニング用のトランクスを膝まで下ろして便座に座り、勃起チンポを握りしめ上下に激しくグチュグチュ扱いていた。 行為の意味は瞬時に理解した。したと同時に息を飲んだ。 どう対応すべきかが咄嗟に出てこなかった。目をそらす事もできずドアを掴んだまま固まってしまった。 学校名の入ったゼッケンとウェアの胸元に刺繍された名前が目に入った。思えば、健一が陸上部だと知ったのはこの時だった。 俺と、わずかに反応が遅れた健一。驚く顔と驚いた顔。 ノックもせず開けた事を謝ろうとしたけど、それより先に達した健一のチンポからほとばしる精液が俺の制服に飛び付いて白くした。 「……ご、ごめん……」 「……いや、俺こそいきなり開けて悪かった。けど、イクならせめてチンコの角度を下げて欲しかった……」 制服に付着するゼリーのようにブヨつく健一の精液に顔をしかめた。このまま帰るのは難しい。 手繰ったトイレットペーパーで主な精液は拭い取れたもののちゃんと洗わないとニオイでバレる。 「俺、ジャージで帰るからさ、中原は俺の制服を着てくれ」 中原ってのは俺の事。 幸いこの頃は体格がほとんど同じだったので借りた健一の制服は問題無く着る事が出来た。 「中原の制服はクリーニングに出してから返すよ」 「そこまでしなくたっていいよ」 「いや、させてくれ。んでもって、ここでオナってた事は内緒にしてくれ」 次の日の昼休み、健一が俺を屋上へ連れ出した。 昨日の事でやっぱり文句を言いたくなったのか? と思ったがそうじゃなかった。 健一は自宅でオナニーがなかなか出来ない事情を切々と俺に語った。 「――って訳でさ、マジで昨日が一か月ぶりだったんだぜ? 睦月はそんなに間が空いた事ある?」 中原呼びだったのがもう睦月に切り替わっていた。なので俺も横山とは呼ばず健一と呼ぶ事にした。 「それはさすがに無いな。今の所5日が最長」 「だろ~? 健康な男子が一か月もヌけないなんて、その辛さ、睦月は分かってくれるよな? な?」 「そりゃぁ、な」 「だからさ、あそこのトイレ、俺のオナニートイレとして使うことにしたんだ。家がダメなんだから仕方ないだろ?」 「先生に見つかったらどうすんだよ? 停学食らっちまうんじゃね?」 「まぁ、そん時はそん時だ。とりま、俺と睦月だけの内緒にしててくれ」 「言わねーよ」 この日から俺と健一は急速に親しくなった。 他にも何人か仲の良い友達はできたものの、際どい下ネタとなるともっぱら健一が相手になっていた。 くだらないエッチな話しから始まってオナニーのオカズ、そして寸止めやら逆手オナニーやらの体験報告まで。 時には「もう無理。もう我慢の限界。今日はあのトイレ使うから、睦月、悪いけど見張り頼める?」 と、頼まれれば共犯者にもなったりして。 下ネタ以外にも波長が合っていたからクラス替えで組がばらけても健一とは切れることなくしょっちゅうつるんでいた。 そして、学部は違うものの同じ大学に合格し、俺以上に切望していた一人暮らしを健一は手に入れる事となった。 「言っちゃ悪いけど健一の家ってあんまり余裕が無いんだろ? よく進学だけじゃなくて一人暮らしまで許してもらえたな」 「へっへへ……。そこがまた、天は俺を見捨てていなかったって言うかなんて言うかぁ~、うっふふふふ……」 「きめぇ……」 にやける健一にツッコミを入れる。 「いやだってさ、お袋の再婚相手がかなりのお金持ちでさ、しかも結婚と同時に妹たち連れて引っ越す事になったんだぜ? こんなラッキーあり得なくね? これで俺だけこっちに残る大義名分はクリア」 「そう言えば、健一のお袋さん、もうじき再婚するって言ってたな。そうか、お前以外は新しい旦那にくっついて新居に引越しちまうんだ」 「お袋はお袋で幸せになって欲しいから再婚には異論も何も無い。妹たちなんかは新しいパパの財力に目がくらんで俺のなんかどうでもいいみたいだ。超前のめりになってお袋を煽ってた」 「相変わらずパワフルな妹だな」 「ま、お袋にラクをさせてやりたいって願ってるのは妹たちも一緒だからな」 「それで? 健一も新しいお義父さんに新生活への援助をしてもらえる事になって資金面もクリア、と?」 「正解。そう言う事。俺が希望を伝えたら即OKだった。仕送りもしてくれるってんでバイト漬けにならずに済みそうだ」 「良かったな。晴れてオナニーし放題じゃん」 「オナニーも良いけどセックスもしたいんですが?」 「相手は?」 「いないって知ってるくせに」 「俺もセックスしてぇ……」 「睦月もいないじゃん」 「言うな。寒さが余計に染み込んで来る」 大学の合格発表から高校卒業までの間に健一と俺はこんなやりとりをしていた。 ◇ 「で? エロゲのヴァーチャル彼女もいいけどさ。リアル彼女はできたのか?」 「何言ってんすかぁ? 睦月くぅん。まだ入学式前っすよぉ? 出会いなんかあると思う?」 「まぁ、無いな」 出会いあればあったで妬ましく思っただろう。ただし、一昨日までの俺なら、だが。 今の俺は女との出会いよりも男がいい。チンポと精液を味わえセックスできる男と出会いたい。 「良い出会いをするためにもエロゲできちんと練習しておこうぜ~。な? どうせヒマなんだろ?」 「……っ!」 二カッと微笑む健一に俺はドキッとしてしまった。そうだ、こいつだってしっかり「男」なんだ。 だけど、俺が実は女よりも男の方が好きな男だったと教えるなんてとてもできねぇ。せめて健一も男好きであれば良いのだけど。 いや、男好きとまではいかなくても男とのエッチに抵抗が無くなればワンチャン……。 「……そうだ。あの手袋の効果を使えばなんとかなるんじゃないか?」 キタ! 天啓が! ピッカン閃いちまった! 俺はコピーグローブの3番目の効果を思い出していた。 あの効果が本当にホンモノであればワンチャンどころかずっと……、いや、実験しないとまだ分からないけど、それでも、んふふ、結構イイ線いくんじゃねぇ? 「おい? どうした? いやに顔が緩んでるぞ? お前もそんなにエロゲやりたかったのか?」 「そ、そうか? はは、は……。よく分かったな~。どれぐらいエッチなのか気になって来たな~」 「う~ん、な~んか今日の睦月ってば変じゃねぇ? やっぱオナニーしようとしてたんじゃねぇの?」 その問いに俺は答えず、どうやって健一から男への抵抗感を奪うかを考え込んでいた。 『コピーグローブ』の説明サイトにあった3番目の効果は、 ――3・カラダの任意の部位を性感帯にすることができます―― 手袋をしていても素手のように見える右手を握りしめ、ドクドクと脈打つ期待とエネルギーとを流し込んだ。