10隣人・先輩、そして…… 「――おい、起きてるんだろ?」 「……もちろん」 カレーの匂いが残るアパートの部屋の中、上半身を起こした二体が大きく伸びをした。 「あ~、睦月にこの姿は見せられねぇなぁ。見せた事無ぇし」 「元鬼 創一郎」と呼ばれていた男の額には短い角が一本。口の端には牙が覗いている。 しかも筋肉と言う筋肉が肥大し、身に付けていたカーゴパンツもパーカーも弾け飛んでいる。 「あらためて初めまして~。東洋の魔族くん」 「おい、魔族とか言うな。鬼と言え。淫魔野郎。やっぱりいけすかねぇ奴だな。似たようなニオイがするんで多少気を許しちまったが」 淫魔野郎と言われたのはもちろんダグラスだ。 元鬼と同じく筋肉が倍増してマッチョな肉体と化し全身の肌が真っ赤になっている。 両耳の上からはヤギのように曲がる角が伸び、腰の後ろにはウネウネ動く蛇尻尾。そして臍にもデカいチンポにも妖しい淫紋がくっきりと浮かんでいる。 「じゃぁ、鬼クン。あのさ、さっきも軽く聞いたけどムツキを狙ってるんでしょ?」 「ひと聞き、いや、鬼聞きが悪いな。確かに狙ってはいるが俺の場合は純粋に惚れているだけだ」 「純粋だって? ふぅん? だから他の奴には見向きもしないで、当のムツキにも正体を悟られないよう慎重に接してきた、ってとこか。なるほどねぇ」 「……淫魔ってのは他人の記憶まで覗く恥知らずかよ」 「いんやぁ? 俺にそんな能力は無い。ただの推測さ。でも当たりでしょ?」 元鬼はそれには応えずバスルームの方に視線を送った。 「ムツキってば元気よくオナッてるよね~。どうする? 二人して襲っちゃう?」 「んな事、できるか。アイツが、睦月がビビるような真似は」 「だったら君だけ先に帰っちゃいなよ? 俺一人だったら何とでもできるし」 元鬼から殺気にも似た怒気が立ち昇った。 もしも元鬼が本気でダグラスを握れば腕だろうが脚だろうが簡単に握り潰せるだろう。 「おい、てめぇ……。睦月に妙な真似しやがったらただじゃおかねぇ……」 「ひえ……、そんな目で見ないでよ~。ただでさえ鬼ってのは迫力があるんだから」 「あ? ふざけてんのか?」 「いや! 全然! セックスは得意だけど荒事は苦手だから喧嘩なんてする気は無いって!」 しばしの沈黙、そして再びダグラスが口を開いた。 「ソウイチロウの怒りを買ってまで強引に睦月を手に入れようとはしないから。鬼って種族はここまで気が短いなんて思わなかったよ」 「……なら、いい」 「でもさ、人間としてムツキに近づくのは自由にさせてもらうぜ?」 ダグラスのきっぱりとした表情や語気に元鬼はやや気圧された。喧嘩は苦手と言いながら、元鬼と遜色の無い、底知れない力を感じ取ったからだ。 「さぁて、そろそろ人間の姿に戻ろうか。ムツキはまだまだ佳境っぽいけど」 「……そうだな。だが、約束しろ。睦月に酷い事はしない、と」 「もちろん約束するって。ただし、さっき言った通り人間としてアプローチはさせてもらうから。それに、俺や君の変身を解いたのだってムツキのオナニーが関係してるってのは分かってるでしょ?」 元鬼は深くうなずく。 「何が具体的に作用したのかは分からないけど、俺や君のチンポに対して何かしてたのは間違いない。その影響で俺たちの姿が元に戻っちゃったからねぇ」 「だが、それでも睦月は人間だ。俺やお前みたいに半端なバケモンじゃねぇ。どこにでもいる普通の人間だ」 「ふん。半端だなんて失礼だな。俺の場合はある意味ボランティアってやつなのに。先祖返りなどと一緒にしないでくれよ」 元鬼とダグラスの視線がぶつかった。 が、元鬼の方から視線を外した。 「お前の事情は知らん。だが、気に障ったなら許せ」 ダグラスがにんまりと微笑んだ。 「君は真面目だなぁ。お堅いってよく言われるでしょ? でも、そう言うトコ、俺は嫌いじゃない。なんならセックスする?」 「しねぇよ」 「あらら。即答か。そこまで勃起してるのに。ムツキに悪いから?」 「それもある、が……」 「が?」 「鬼の身で性の快楽を追い求め始めると歯止めが効かなくなる。制御不能になった俺は目の前のお前だけじゃなく勢いにまかせて睦月まで襲いかねない。だが、そんな真似は決してやりたくねぇ」 「本当に真面目だねぇ。ムツキも君も本気で手に入れたくなってきた」 「……冗談でもやめておけ。お前が、淫魔が思っているよりも俺は強欲だ。お前はまだしも宿っているカラダが持たないだろう」 「……そっか。こっちの事情、なんとなく察しちゃったかな? だったら誘うのは控えておくよ。だけど、見くびらないで欲しいな。俺、そこまでヤワじゃないからさ? ちゃーんと人間の肉体も強化してあるし」 そう言うとダグラスは淫魔から人間の姿へ戻った。 「抜け目ない奴だ。だから気を許す訳にはいかない」 元鬼も鬼の姿から人間に戻った。 人間に戻った元鬼はダグラスにもう一つ言葉を加えた。 「ひとまずお前が淫魔だってのは忘れてやる。なので、睦月の前では俺の事も秘密だからな」 「OK~。それでいいよ」 時刻は午前2時を過ぎている。 睦月はまだバスルームから出て来る気配が無い。 抑えようとしても出てしまう喘ぎ声がドア越しに伝わって来ては元鬼にもダグラスにも淫らな欲の炎を膨らませた。 「ぅあ゛~、睦月の声、ヤらし過ぎだってば! もう我慢できない! 俺、部屋に戻るから」 ダグラスはただ戻るのではなく、手頃なセックス相手の男を捕まえてから、と言う意味だ。 「好きにしろ。俺も寮に帰ろう」 元鬼は、学生寮の門限をとっくに超えているので誰にも見つからないようこっそり寮に戻ってオナニーをするつもりだ。 ただ、元鬼のオナニーは超濃厚精液が湯船を満たすほどの精液を放出し終えるまで、と言う意味だ。 「じゃぁ、またね」 「……ああ。またな」 音も無く二人の姿が睦月の部屋から消えた。 千切れた服の欠片と共に。 あるのはただカレーのニオイを打ち消すほど濃厚な我慢汁の臭いだった。 ◇ バスルームで3本オナニーに耽っていた睦月。 何度イったか分からなくなるほど精液を噴き上げ、そのすべてを手の口で味わい続けていた。 しかし、さすがにそろそろ止めなければマズいと思い、手の口から元鬼やダグラスのチンポを吐き出した睦月は脳髄まで快感に痺れてはいたものの驚きのあまり息を飲んでいた。 「ぅおおっ!? ま、待て待て……。何だこのチンポは……」 手の口が吐き出した元鬼とダグラスの巨根。 それが「ただの」巨根ではない。 ひと目で普通のヒトのモノとは異なる見た目、異様な男性器だと。 「竿も亀頭も真っ黒……、しかも金色のリングまで……。これ、元鬼先輩のチンポ、だよな?」 ツヤのある黒いゴムのような巨根の根元には金のコックリングが3連で嵌っている。 コピーする時にはコックリングなど無かった。もちろん色だって黒ずんではいるものの人肌の色だった。 一方、ダグラスのチンポは髪色と同じ真っ赤。 しかも竿にはワンポイントのタトゥーではなくさらに複雑な紋章が浮かび脈打つようにピンクに輝いていて、さらなる快感を浴びようと鎌首を巡らせている。 「ダグラスのチンポもさっきまでこんなじゃなかったのに……。なんか、鈴口がクパクパって開いたり閉じたりしてるし……」 異様な姿になった二つのチンポを見ていると、不気味さよりもさらに激しい欲望の熱が睦月の体内で膨らんでしまった。 「ダメだ……。超エロく見えて来た……」 黒いチンポがビキビキと節くれだった血管を包皮にいかつく浮かび上がらせながら長く伸び、睦月が動かす前にグニュンと首を反転させ股間の真ん中にある睦月のチンポを咥えた! 「ううぐぅふぅぅうううっ!」 赤いチンポもまたさらにサイズアップすると亀頭を大きく広げ、先に黒チンポが飲み込んだ睦月のチンポを奪い取る。 「ん゛ん゛ん゛ん゛ぉぅぅーーーーーーーーっ!」 勝手に動きだした二つの異色チンポが互いに対抗するかのように睦月のチンポを奪い合ってはジュブジュブ、グチュグチュと責め立てる。 「イ、イグイグイグ! イグゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」 イク瞬間、精液のように真っ白になりゆく睦月の頭の中には元鬼とダグラスが人間ではなく「別の姿」になってありありと浮かんでいた。