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鷹取リュウゴ
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童貞同盟は如何にして瓦解したか 第八話

8着地 昼過ぎ、ショウが暮らすマンションの前でタケルと落ち合った。 思っていた以上に暗い表情なので「どうしたんだよ?」と聞かずにはいられなかった。 「俺の気のせいだと思いたいんだが……、いや、やっぱりおかしいよな……」 何かから目を逸らしたいような、心ここにあらず、な状態のタケルは曖昧に口ごもったまま俺の問いに答えなかった。 「考え過ぎはカラダに良くないぜ? 若いのに禿げちまったらどうすんだよ?」 「その程度で済むんなら考えてた方がマシだ」 言い方に棘を感じたがショウを救う前にタケルと反発し合っても始まらない。 とにかく早くケリをつけ、三人そろって今回の騒ぎを「過去」のものにしたい。 ◇  「嘘だろ? 童貞膜は? あの巨大チンポやマッチョなカラダはどこに消えた?」 キツネにつままれる、とはまさにこの事だろう。 俺もタケルもショウを見るなり唖然と立ち尽くした。 「わざわざ来てもらって悪ぃ。でも、見ての通り自力で何とかなったぜ」 玄関先に全裸で俺らの前に現れたショウ。照れ臭そうに左耳をポリポリ掻いている。 首から下を覆っていた黒い皮膜は見当たらない。 ボディビルダーを凌駕する程の分厚い筋肉も無い。 そして、股間からそそり立っていた脚並み超巨大チンポが普通のヒト並みになっていて……。 「マジで!? マジで元通りかよ!? いやもう、良かったなぁ! 本当に良かった!」 俺やタケルの右往左往は意味がなくなってしまったけれど、解決したのなら何よりだ! なのにタケルは首を傾げるばかりで問題が無くなったショウを目の当たりにしていても喜ぶ様子が無い。 いやいや、その態度は無いだろう? さすがに親友としてあんまりじゃないだろうか? 「せっかく来てくれたんだしゆっくりしていってくれよ」 玄関からショウの部屋へと移動し、前の時と同じようにペットボトルのミネラルウォーターを――「うん?」 ――ではなく、ジョッキになみなみと注がれている「白濁液」……。これはいったい……? 「俺の精液、ザーメンだ。前も飲んでくれただろ? 美味しい美味しいって」 前に飲んだ精液よりもドロドロ具合が激しい。より一層濃くなっている。もはや粘液と言うよりクラッシュゼリーじゃないか? それでも生臭いニオイはとても美味しそうで俺はジョッキを持ち上げ口の中に流し込もうとした。 「待て、トキオ。まだ飲むな」 「うん?」 険しい表情のタケル。なんだ? 何か問題が? 「ショウ、お前、なんか隠してないか?」 タケルの言葉にはやっぱり棘がある。喧嘩腰と言っても過言じゃない。 「隠す? 何を? 今日のタケルはいやに不機嫌じゃね? オナニーし足りないのか?」 「はぐらかすな。あれほど自分の精液を飲みまくってたのに、何で今、お前はジョッキを取らない? なぜ自分の分の精液を用意しない?」 「何だそんな事か。後でいくらでも飲めるからに決まってんじゃん。まずはお客様優先ってのがマナーだろう?」 「違うな、ショウ。あれほど精液に目が無かったくせに、俺が口にするまでジョッキを一度も見ていなかった。まるで最初から興味なんて無いみたいに」 タケルは元ボクシング部だから相手がどこを見ているのか、どこに注意を払っているのかが俺よりも明確に見えている。 「ショウ。もう一度聞く。お前、何か隠してるだろう? 俺はお前を信じたい。これからも親友であり続けたい。だから、俺に疑念を抱かせないでくれよ」 一旦言葉を区切ったタケルが続けてショウに告げた。 「ショウ、あのな? お前は昔から嘘や隠し事は下手なんだ。自覚していないだろうが昔から嘘を吐く時には左耳を掻く癖がある。 さっき『自力で何とかなった』って言った時にもお前さ、左耳を掻いてただろ? だからあれは嘘だってすぐに分かっちまった」 タケルの指摘を聞き終えたショウが深く、長く、息を吐き出した。 「そうか~。俺らの友達歴も相当長いもんな~。そりゃ嘘を吐く時の癖も見抜かれ済みでもおかしくないか~」 ショウが真顔で俺をじっと見つめた。次にタケルに視線を移して緩やかに笑った。 「トキオだけだったら上手く騙せたんだろうけどなぁ。タケルまでは無理かぁ。う~ん、どうせなら三人仲良く、童貞同盟を誓い合った仲のまま最終段階を見届けたかったんだけどな~」 「騙す? 俺は騙せてタケルは騙せない? ショウ、何言ってんだよ?」 逆じゃないか? 調子の良いタケルの方こそショウの意見に真っ先に同調していたのに。 むしろ俺は冷静なツッコミ役ばっかで――。 悶々と考えているとタケルが俺だけに話しだした。 「昨日、家に帰ってからも気になってたのは、ナルセさんとあんなにセックスしてからも性欲は落ちなかったし、精液だって射精し続けられた部分についてなんだ。 トキオ、俺はさ、家に帰ってから何回オナッて射精したと思う? はっきり数えられた分だけでも15回。15回目でもさ、量も濃さも落ちることなく射精できちまったんだ」 俺も思い出していた。弟とセックスした昨夜の事を。 ミナトのチンポとの相性や腰づかいが良かったからとは言え、ナルセさんにアナルを責められ散々搾り取られたあとだってのに、10回以上はイっていた事を。 「……多すぎる……」 「そう。いくらなんでも多すぎる。それで、思い当たる理由は一つしかない」 「『童貞膜』? ナルセさんの唾液や精液で消え去った筈じゃ……」 「消えてなんかいないんだよ。消えたように見えるだけで」 俺はハッとした。 『消えたように見えるだけ』 なら、今のショウもそうなのか? 「は? 今のお前らの会話から察するに、トキオ、タケル、二人だけ先に誰かとセックスヤっちまってんの? はぁぁ!? 童貞同盟は抜け駆け禁止だ、って約束してたのに、そいつをあっさり破ってたのか?」 俺は説明した。 なぜタケルと二人、先に男が相手とは言えセックスに至ったのかを。 「――と言う訳でさ、俺らが先に童貞膜を消滅させていれば俺らの体液を使ってショウを救えるだろ? 元のカラダに 戻ったら学校にも通えるし、前みたく買い物にも遊びにも出かけられるし不自由のない元の生活に戻れるじゃん。 なぁ、そうだろ?」 「んなもんどうでもいい。俺は今のこのカラダも、ここまで素晴らしいカラダに変えてくれた童貞膜にも感謝しかない。 そんな俺を童貞膜から救う? バカかよ? 余計なお世話なんだよ!」 今までに無い怒りを露わにしたショウが立ち上がった。 そして、全身に力を込めてみなぎらせると、骨の軋む音と筋肉が歪む音が聞こえたちまちメガマッチョボディに。 股間のチンポは人の頭ほどの亀頭を持つ超巨大「脚なみ」チンポと化した! そして首から下の皮膚はゴムのような真っ黒な皮膜に変化し、前回と同様の『童貞膜』が浮かび上がっていた。 「はぁ、はぁ、んふぅぅぅ、あぁ、んく、はぁ、はぁ……、最高だ。マジ、このカラダ最高~。ほら見ろよ?  ちょっと性欲を解放しただけでこんなにパワーみなぎるスーパーボディに変身できるんだぜ? しかも――」 ぐっと拳を固めて目を閉じた。するとショウの『童貞膜』は皮膚の中に融けて消え去り、しかもメガマッチョな肉体が 少し細身の、それでいて男の色気をムンムン匂わせるしなやかな筋肉を見せつけるエロマッチョへと変化した。 「こうやって力の入れ具合を変えるだけで別のタイプへと変身できちまう。チンポだってほら、勃起させたままサイズを変えられる」 脚並み超巨大チンポがギュムギュム小さくなって13cm程の「元の」ショウのサイズへ。かと思うと再び巨大化。 膝に亀頭がくっつく40cmチンポ。 そこからまた大きく超巨大化して脚並みサイズに至る。 ドヤ顔に歪な笑顔を混ぜたショウが再び怒りの目を俺たちに向けた。 「酷ぇよお前ら! 何で俺を置き去りにして二人だけ先にセックスする夢を叶えてんだよ! 会員制だかなんだか知らないけど、何で俺も誘ってくれなかったんだよ! 俺だけ除け者にするとかあんまりだ!」 「いや、だから、さっき言った通り、お前のカラダから童貞膜を除去しようと思って――」 「そもそも除去なんかいらねぇ! 俺はこのカラダのままが良いんだよ! こんな気持ちいいカラダを何で捨てなくちゃなんねぇんだよ! それこそどうかしてるって!」 怒るショウに怖気ずく俺に代わってタケルが前に出た。 「どんな理由であれ、お前のためであれ先にセックスを味わっちまった事についてはこの通り謝る。マジで悪かった。 だけどな、ショウ、お前また左耳を掻いてたろ?  と言う事はその怒りも嘘だな? わざと怒っているフリしてんだな?」 しばらく無言になったショウが怒りではなく、かといって笑顔ではなく「素」の顔つきになった。 「……はぁ~、もうマジでさぁ、タケルのそう言うトコやりづれぇわ。いつも俺のノリに合わせてお調子モノぶってっけど、 実は俺の事もトキオの事もすんげぇ観察しててさ、何気に自分の意見に入れ替えちまうよな?  気付いたら俺じゃなくてお前の主張のが通ってんだもん」 そうだったのか? タケルってばそんな策士だったのか? 「ただ、そんなタケルのさ、頭のいい所って嫌いじゃない。たとえ俺のアイデアが陳腐でもタケルの意見を折り込んだらめっちゃ面白いモノになるしさ。 『童貞膜』についてもそう。 顔で勝負できなきゃカラダをアピールするしかないよな、ってお前が前に言ってたのを思い出してさ、だもんで俺はカラダを劇的に改造させられる、モテボディになれる方法を探して、その結果、『チェリーエイド』に出会ったんだ。 『童貞膜』なんてのはただのオマケでしかない」 「じゃ、じゃぁ、マジでショウはマッチョになりたかった、と?」 俺の疑問にショウは迷わずうなずいた。 「ああ。そうだ」 じゃぁ、前に「助けてくれ」と懇願したのはなんだったんだ? あの時のショウは別人格だったとか? 「さすがに筋肉もチンポも『盛り過ぎだ!』と思ったんだよ。あの時点ではどこまで発達するかの見当も付いて無かったしな。 マッチョになれた喜びより不安が勝ったからお前らに助けてくれと言っちまった。ただ、今みたくコントロールできると分かれば、なんでそんな事を言ってしまったんだろうと後悔してる」 張り出す雄っぱいを両手で持ち上げ、愛おしそうに見つめるショウ。まるで自分のカラダに欲情しているようだ。 俺の視線に気付いたショウがクスッと笑った。 「羨ましいか? エロくて思わずチンポが反応しちまうだろ? 俺もそう。自分で自分を犯したくなる。マッチョになったお前らとセックスしたくて堪らなくなる」 「やっぱりな。お前さ、もうとっくに女よりも男の方が良くなってるんだろ?」 「タケルは誤魔化せないな。その通りだ。精液の量が増え始めたって気付いた辺りから俺のオカズは女じゃなくて男に置き換わってた。 でもって、男とのセックスをイメージしながらオナったらますます精液の量が増えていった」 ショウがねっとりと俺たちを見た。明らかにエロい目で。 「俺もトキオもお前の親友には変わりない。ショウ、お前がどんな風になるのか心配はするが、カラダや心をどんな風に持って行こうがお前が望んでそうなるのなら俺は友人として見守るだけだ。 だが、俺や、トキオを巻き込むんだったらちゃんと話してくれ。いまだにお前は隠してる。耳は掻いていないけど、俺の直感がさ、ショウにはまだ俺たちに伝えていない秘密がある、と訴えてんだよ」 ショウがむすっと口を曲げた。 怒ってキレるというより拗ねたようだ。 「まだ喋らないとダメなのかよ~。もう、ホントマジで勘弁して欲しいんだけどなぁ~」 「ショウ、俺もトキオも親友だよな? 覚悟なら決めてるから、ちゃんと伝えてくれ。俺もトキオもやっぱり『童貞膜』は消えてなくて、遅かれ早かれお前と同じ様なカラダに変わるんだろう?」 「はぁ~~」 ショウが深いため息を吐いた。 「……トキオはさ、まっすぐで純粋で、それでいて繊細だろ? でもって優しいから可能性があるなら全部試しちゃうタイプでもある。 そんな誠実な奴をさぁ、怖がらせたり絶望を味わわせたりするのって俺の本意じゃないんだよ。タケルだってそうだろ?」 同意を求められたタケルは即うなずいている。 「それでも、タケルだけじゃなくてトキオも聞きたいっていうなら教えてやるよ。タケルの言う通り『童貞膜』は除去できていない。見えない状態になってるだけ。 俺がさっき見せたのを無意識に行ってるだけだ。 他人の体液を浴びれば『童貞膜』が消えると信じているからそんな風にカラダが勝手に見せているだけ」 「……やっぱり、そうか」 タケルの表情が重い。 「それと、精液を飲むだけじゃなく皮膚から吸収したりなんかすると『童貞膜』による肉体改造はより早く進む。 これは自分の精液でも他人の精液でもどっちでもいいみたいだ」 「じゃぁ、この前ショウの精液を飲んだ俺らって……」 「そう。味覚の変化も改造が一段階進んだ証拠。精液の美味さに気付いたんじゃなくて精液が美味いと感じるように俺らのカラダが変わったんだ」 前に置かれたジョッキを見つめた。 美味そうな匂いが立ち昇っている。だが、そう匂う事さえ後付けのモノなのか。 「あと残り何日で俺らは完成するんだ?」 タケルの問いにショウは満面の笑みで答えた。 「あと二日かな? 三日後、タケルもトキオも完全に俺と同じようになる。素晴らしい筋肉と、無尽蔵に精液を製造する睾丸が体内に創出され、チンポだって快感の大きさに比例して成長してくれる」 ショウがチンポを巨大化させた。 先走りの雨が頭上から落ちて来た。 「ショウ、頼む。俺とトキオを助けてくれ」 今までの俺なら「もう一度誰かの体液を浴びて『童貞膜』を今度こそ消滅させよう!」なんて、言うのだろう。 けれど、タケルがショウに頼んだのはそう言う意味じゃない。 『肉体が完全に変化する瞬間を他の者に悟られないよう保護して欲しい』、と言う意味だ。 俺もタケルと一緒に頭を下げた。 ミナト、ごめんな。 兄ちゃんしばらく家に帰れなくなった。 また心配かけちまって本当にごめんな。 余計な宿題を押し付けちまって、本当にごめん。 「もちろんだ。俺はその言葉を待っていた。親友が助けて欲しいと頼むなら助けるに決まってるだろ? もし、一日も早く完全体になりたいんなら俺の精液をたっぷり味わって取り込んでくれ。 タケルやトキオの精液より成分が濃いから確実に変化は早まるだろう」 俺はジョッキを持ち上げ今度こそショウの精液をゴクゴクと飲んだ。ドロッとした粘り気も、鼻を抜ける生臭さも味も、全てが美味しいと感じられた。 そして、飲み終えると全身に行き渡って全ての細胞が悲鳴を上げるように快感に震えた。そんな気がしたんだ。 「その調子。在庫はたっぷりあるけどやっぱり新鮮なものの方が美味いんだ。お代わりは?」 「もらってもいいか? もちろん俺の前で搾り出して欲しい。ショウのイクとこさ、俺、好きなんだよ。超スケベな顔が気に入ってんだ」 タケルも飲み終えたジョッキをショウに渡した。 「お代わりはいっそ、ジョッキじゃなくて俺の中に直接出してもらおうか。鮮度って点ではそれに勝るものは無いだろ?」 ニンマリと微笑んだショウが呟いた。 「タケルのそういう察しがイイ所、大好きだけど大嫌いだ。今から俺が提案しようとしてたのにさ。美味しい所を横取りするなんてずるいんだよ」 「俺もショウのそう言う所は嫌いだ。もったいつけるとか俺たちの間には不要だろ? 良い恰好しようとせずシンプルに俺たちとセックスしてぇと言えば良いだけなのにさ」 「ショウもタケルも嫌いな部分を言い合えるほどお互いが好きなんだな。そこまで理解し合ってるのは親友である証拠だよ。 俺は二人に比べたらまだまだダメだけど、それでも友達として、童貞同盟の一人として仲良くして欲しい」 ショウがタケルを、タケルがショウを見つめ合ってから二人して俺に顔を向けた。 「……あ~、トキオさぁ、今の発言の破壊力、自覚してるのか?」 タケルが照れながら笑った。 「ホント、それな! 何だかんだ言ってもさ、裏の無い100%の善意にゃ勝てる訳ないんだよ」 ショウも込み上がる笑いを押さえている。 「俺、トキオをめちゃくちゃに犯してやりてぇ、ていうか犯す! 犯し尽くす!」 タケルが俺の股間をグッと掴んだ。 「だよな。俺もトキオをぐっちゃぐちゃにしてやりてぇ。もう完全体とか関係なく感じさせて抱き潰したい」 ショウは俺の尻タブをグニュッと揉みしだいた。

童貞同盟は如何にして瓦解したか 第八話

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