6高校生、歪に膨らんだ性欲を持て余す 「あれからどうなったんです? 先生としての威厳は示せたんですか?」 高級マンションの一室。 異星由来の高性能AIを搭載した人間そっくりのバイオロイドがソファで足を組む体育教師「丸鍋 純鉄」に尋ねた。 「一応な。俺を脅しにかかった黄泉野は隠し撮りしてやがった動画をちゃんと削除したし、五月雨や矢場杉も変わった様子はない」 「ふむ。純鉄さんは教え子たちとの三角関係、いえ、四角関係に巻き込まれているのですね?」 「そうなるんだよなぁ~。俺までしっかり当事者になっちまっているってのが何とも言えねぇ~」 痴情のもつれ、いや、私情のもつれ、と言うべきか。 時雄が丸鍋に惹かれていると知れたことは一瞬だけ丸鍋の心を浮き立たせはしたものの、奏太に唆されたから時雄と交際を始めたと時雄本人に誤解されたのでは堪らない。 それ故、かえって時雄に対して距離を取ってしまう事に丸鍋は歯痒く思った。 駆はまだ時雄を諦めてはいないものの、以前のような尖った感情を見せる事は減った、と黄泉野から聞かされた。 そして、黄泉野もまた駆に対して変わらず心を寄せながらも丸鍋によってふたなりマンコの快感をイヤと言う程教え込まれた結果、 心は駆に、カラダは丸鍋に、恋の対象と性欲の対象とが完全に分かれてしまっていた。 「ぶっちゃけ落としどころが余計に見えなくなった」 「でしょうね。大事な教え子を導く筈の教員が、道にすっかり迷ってますもの。純鉄さんがしたいようにするしかありませんが、どうか生徒たちには悲しい思いをさせないようにしてくださいね」 「分かってるさ、一応……。これでも俺は教師なんだし、生徒を護るのが俺の仕事だってわきまえてるつうの」 「感情を学んだお陰で私は廃棄されました。その私が言うのも何ですが、本当に感情ってのは――」 「厄介だろ?」 高性能バイオロイドはゆっくりと首を左右に振った。 「いいえ。本当に感情って面白いですね」 「んだよ、そりゃ」 「私にとってはまだまだ学びきれない領域が残っている事実に人間の脳にあたる部分が震えるんです。嬉しい事だと」 ◇ 黄泉野にお仕置きをしてから一週間が過ぎていた。 ふたなり猫獣人にさせられ創られた女性器の快感を嫌と言う程味わった奏太は日を置かず丸鍋のアパートに押しかけてはセックスを求めていた。 「黄泉野? お前、矢場杉が好きなんだろう? なんで俺にセックスをせがむんだよ?」 「ぼ、僕だって、駆クンとセックスしたいに決まってるじゃないですか! でも、でも、あれほど気持ちイイ事を知ったら、止められる訳無いでしょう?」 まるで丸鍋のせいで「こうなった」のだと言わんばかりに恨めしく見つめる奏太。 「も、もう二度と動画なんか撮ったりしませんから! だから、だか、ら……」 恨めし気な瞳が泣きそうに潤み始める。 「わかーった! 分かったから早く部屋ん中に入れ! 玄関先でぐずられたらご近所さんから変に思われちまうぜ」 奏太は初めて強制変身させられたあの日以来、こっそりふたなり猫獣人に変身しては股間に追加されたマンコを弄ってオナニーに耽るようになっていた。 しかし、どう工夫しても丸鍋のデカいチンポで得られた快感には遥かに及ばなかった。 時雄や駆と違って今までの経験を活かしてあれこれと試みたものの、それでも本物のチンポには届かない。 肉棒の弾力、肉棒の温もり、肉棒とのこすれ具合、または突き具合。指でもアダルトな小道具でも満足できなかった。 とうとう奏太は丸鍋にセックスして欲しいと直訴した。 裏の意図も策も何も無く、ただ単に「おねだり」をして見せたのだ。 丸鍋は生徒のまっすぐな願いには大らか且つ協力的だった。 元より性に対して貪欲な丸鍋。 受験を控えた高校生の昂りを受け止める事も教育の一環とみなして奏太の願いを聞き届けた。 さらに一週間が過ぎた。 教室で見る五月雨(時雄)、矢場杉(駆)、黄泉野(奏太)たち3人に変わった様子は見られない。 ほっとして出欠を取れば時雄の名を呼んだ時だけ返事が戻るまで若干の間が開いた。 ただ、それだけなのに丸鍋の胸の内がざわついた。 無論、他の生徒もいる前でそんな素振りは見せられない。ただの気のせいかも知れないのだ。 全ての授業を終えて自宅アパートに戻るとすぐに黄泉野がやって来た。 「先生! 丸鍋先生~! また俺に色々と教えてください~!」 建前上アパートに来る目的は丸鍋に進路のことや将来について相談したり教わったりしているのだ、となっている。 頭をワシワシ掻きながら「今日もかよ~」と言いつつそれでも招き入れる丸鍋。 そんな丸鍋と奏太の姿をじっと見つめる人物がいた。 「奏太……、お前も丸鍋先生が好きだったのか……」 ポツリと妬ましく呟く人物は時雄であった。 アパートからは死角になる位置にいた時雄は、 閉じたアパートのドアを一瞥すると唇を噛みながらその場を後にした。 奏太も親友の一人だ。 だけどいつの間に丸鍋先生と親密な関係になっていたのか。 きちんと奏太に「俺、丸鍋先生が好きなんだ」と知らせていた訳ではない。なので抜け駆けだなんて指摘はできない。 誰かを好きになるのは自由。待ったをかけたり止める権利なんてありはしない。 「だけど、だけどさ……奏太、俺、丸鍋先生を渡したくねぇ……。親友だけどお前の事、嫌いになってしまいそうだ。 こんな気持ちになるなんて、俺、マジでどうしたらいい? こんな気持ちになってるのに、俺は、なんで勃起なんかしてるんだ?」 泣きながら笑うような表情を見せた時雄は、人目につかない建物の影で『セクスフォーマー』を起動させ、丸鍋とも、友人たちともまったく無関係な30歳くらいのサラリーマンに変身した。 『セクスフォーマー』が読み取った画像データの男の名は「千堂 良(せんどう りょう)」 整ったクールな顔立ちに品の良いブランド物のスーツをビシッと着こなし、鋭い視線に無駄のない洗練された仕草には育ちの良さが滲み出ている。 そんな千堂は日本三大商社の一角を占める「梅津寺(ばいしんじ)物産」に勤務するエリートであった。 ただ、表の顔とは違って裏の顔は露出オナニーがやめられない変態であり無類のチンポ狂いでもあった。 一皮剥けば露出狂の変態サラリーマンなイケメンに変身した時雄は丸鍋のアパートを離れると、普段であれば立ち寄らない港近くの倉庫街へと来ていた。 日が落ちれば人通りが絶えてしまう倉庫だらけの街の一角、廃墟と呼んでも差し支えない朽ちかけた倉庫に入った時雄は、壁や窓が壊れていて外から見ようと思えば見えてしまう状況にも関わらずスーツを脱ぎ、薄いシルクのショーツを脱ぎ、靴と靴下以外はすべて脱ぎ捨てほぼ全裸になってしまった。 「っふふ、今日こそ誰かに見つかっちまうかもな」 乳首に付けたチェーンピアスを引っ張りながら心地よいスリルにゾクゾクと震える時雄。ただし、今の時雄は変身したカラダの持ち主に敢えて意識を同調させており、精神的には時雄よりも「千堂」本人に近い。 「ああ~、丸鍋先生が俺のこんな変態ぶりを知ったらどう思うかな? 驚く? それとも、俺に欲情する? んひひ、まぁ、どっちでもいいかぁ~」 ポケットから取り出したミニボトルのローションを手にまぶすと、やおらチンポをグチュグチュと扱き始め、そしてアナルにも指を突き入れジュプジュプとかき混ぜる。 湿った吐息が徐々に荒くなり、次第に抑えがたい喘ぎへと変わる。 「――へぇ? 昨日に続いて今日も来てんだ? よっぽどチンポが好きなんだなアンタ」 「っ!?」 不意に千堂ではない男の声が響いた。 パンチパーマの細眉三白眼。ガムをくちゃくちゃ噛みながら派手な竜虎柄のスカジャンを着てガニ股で近づく。 見るからに街のチンピラと言った風情の素行の悪そうな出で立ちだ。 「ああ、あ、欲しい、欲しい……、俺に、チンポを、ぶってぇチンポをいっぱいぶち込んでくれぇ……」 「アンタ、マジで好きモンだな。ああ、お望み通りチンポをぶち込んでやるとも。今日は俺だけじゃねぇ、こいつらとでなぁ!」 チンピラが合図を送ると廃墟の中には子分がぞろぞろと集まって来た。 集まって来た子分の男たちは皆、金髪リーゼントに剃り込みや鼻ピアスなどひと目でヤンキーと判断できる「なり」をしている。 「どうだ? 昨日と違ってこんだけ居りゃさすがに満足できるだろ? ひひっ! イヤってほど俺らのチンポでイキ狂わせてやるぜぇ?」 薄汚れたスラックスのフロントから引きずり出したピアス付きチンポで千堂(時雄)の頬をビンタしたチンピラは、次の瞬間いきなり千堂(時雄)の口めがけてチンポをねじ込んだ! 「ぐごふ! んむぐぅぅーーーっ!」 「ぜってぇ噛むんじゃねぇぞ? んおお、やっぱアンタのフェラ、堪んねぇなぁ~! そこいらの女よかイイぜぇ~! おい! お前ーら! 見張り以外はこの兄ちゃんのケツにぶち込んでやんな! なに、慣らさなくたって構わねぇ! 少々荒っぽいのが『お好み』なんだとよ! なぁ、そうなんだろう? ぶひゃひゃひゃっ!」 千堂(時雄)を取り囲む子分の男たちは次々と千堂(時雄)のアナルをチンポで貫き、容赦なく何度も何度も生臭い精液を注ぎ込んでいく。 千堂(時雄)の口に突っ込みチンポをしゃぶらせていたチンピラもまた口内でドビュルと打ち放つと改めて千堂(時雄)の後ろに回ってアナルを凌辱。 亀頭に埋め込んだピアスで千堂(時雄)のアナルを刺激するだけ刺激してから盛大に白濁液を放出。 チンピラがチンポを引き抜くと拡がり切った肛門の穴から「ゴポォ」と音を立てて男たちに流し込まれた精液が漏れ出てきた。 「さぁ、っひひ、次はどいつからだぁ? まだまだ兄ちゃんだって満足してねぇみてぇだぞ! 俺らでもっともっと犯しつくしてやろうぜぇ!」 無精ひげを撫でつけながら下卑た笑いを浮かべたチンピラが千堂(時雄)の尻たぶを鷲掴みにすると、千堂(時雄)は壊れた人形のように表情を変えず「んあぁ~、早くぅ」とだけ呟いた。 ◇ 千堂に変身していた時雄がチンピラや子分のヤンキー達に犯され、アナルだけでなく顔やカラダ中に精液を浴びせられた夜が明けようとしている。 静まり返っているのはチンピラもその子分たちも時雄だけを残して居なくなっていたから、――と、言いたい所ではあったが廃倉庫の壁の影に一人だけ残っていた。 もっとも、イキ疲れてほとんど気を失いかけている今の時雄には視界に入る位置に誰かがいたとしても分からないだろう。 (――なぁ時雄! いつもの時雄に戻ってくれよ! マジでヤバイ奴らに捕まったらこんなんじゃ済まねぇくらい想像できるだろ!) 深い憂いの眼差しを時雄に向けるのは先ほど最も多く時雄を犯し、何度も精液をぶち込んだチンピラだった。 実は、チンピラは本物では無く「矢場杉 駆」が『セクスフォーマー』で変身していた人物だった。 駆はここ数日の時雄の様子に不審を覚え、秘かに時雄のあとを尾行していた。 そうして、露出狂の変態サラリーマンに変身しては見ず知らずの誰かのチンポを求め歩くという信じられない行動を発見して驚いていた。 だが、見つけて驚いているだけではダメだと考えた駆はより積極的に時雄を護らなければ、と考えた。 「俺がヤバそうな奴に変身して本物のヤバイ連中を遠ざけるしかない」 さすがに倉庫街まで来てチンポを求めるなど言う行動は駆でなくたって自暴自棄としか思えない。 原因はやっぱり丸鍋先生に対しての何か、なんだろう。 あれほど終始一緒に行動したがった奏太がこのところ駆に隠れて行動している事は察していたが、まずは時雄が心配だった。 大問題に発展する前に対処したい。時雄のためにも。 「今日はなんとかしのいだが、明日も無事に行くとは限らねぇ。マジで警察に捕まったり本物の悪い奴らに絡まれでもしたら俺でも守り切れねぇし。 ……っと、待てよ? そういや『セクスフォーマー』の説明書に自分じゃない奴を変身させる手順なんてのもあったよな? あの機能を使えば何とかなるかも!」 大急ぎで自宅に戻り、皺だらけにしてしまった『セクスフォーマー』の説明書から必要な部分だけを読み込んでいく。 「よし。ひとまず覚えた。先に俺が変身しておけば二重にインストールされないみたいだし、この手で行こう」 次の日、駆はあらかじめ「ヤンキー・子分・スケベ」で画像データを検索をかけていた。 そのデータを使う必要が無いようにと祈る気持ちで時雄の後ろをついて歩く。 しかし、祈りは通じずまたしても時雄は露出狂の変態に変身し、おぼつかない足取りのまま倉庫街へと入っていく。 悪い予感が的中した駆は読み取っていた画像データを強制変身させる光線に変換し、別の倉庫で作業していた男たちに向けて次々と発射。 50代から60代の作業員は全てチンピラの子分のヤンキーへ変身した。 「兄貴ぃ! 俺らにキモチイイ事をさせてくれるってのはマジっすかぁ?」 「ああ。出番が来たら合図を送る。それまで少し離れてろ」 「いっひひひ! 楽しみっすねぇ! どんな女を用意したんすか?」 「女じゃねぇよ。男だ。だが、お前ら男もイケるんだろ?」 「もちろんすよぉ! 嵌めれる穴さえありゃ男でも食っちまうっす!」 自慢のイチモツを撫で回してはニヤつく子分どもを見たチンピラの駆は、(マジで強制変身の場合は変身データ元の奴に寄ってしまうんだな)と感じ入っていた。 千堂になったまま変身を解除しない時雄。 ザーメンまみれのカラダを砂埃が積もるキレイとは言えない倉庫の床にぐったりと横たえている。 完全に気を失った訳でもなく眠っているのでもない。 時折うわごとのように声が口から洩れている。 「俺一人で時雄を背負って帰れるだろうか? でも、やるしかねぇな。子分に変身させたオジサンたちはもう居ないし。 あ、そうだ。また丸鍋先生に変身しよう。あのムキムキマッチョなら今の時雄でもラクに担いでいけそうだしな」 『そのアイデアは中々のモノですが、どこに運び込むつもりですか?』 「どこに? ってそりゃ時雄の家に決まって……、はい?」 「早朝なのでお早うございます。矢場杉さん」 「え、えっと、あんた誰? いきなりどっから現われたんだ? なんで俺が矢場杉だって分かるんだよ?」 「説明はあとです。まずはこの場を離れましょう。そろそろ早出の作業員が出勤してくる頃合いですからね」 倉庫の外では水平線の向こうから白々と日の光がさし始め、今まさに夜が明けようとしていた。