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鷹取リュウゴ
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チェンジオーバー・セクスフォーマー 7

7・高校生、異星からのバイオロイドに説教される  「純鉄さん! いつまで寝てるんですか! もうすっかり朝ですよ! 起きて! 起きて下さい!」 「んぁあ~? 朝ぁ? ってまだ6時じゃねーか……まだ、寝かせてくれよぉ~。今日はせっかくの休日なんだからよぉ~」 「そんな事言ってる場合じゃないでしょ! 寝ぼけてる暇があるなら顔を洗ってらっしゃい!」 「…………え? ご、五蘊? どうしてお前が俺のアパートに?」 「いいから! でもって純鉄さんの横で寝ている君も! そろそろ起きなさい!」 丸鍋先生と奏太を叩き起こす五蘊さん。 名前だけは前に聞いたけど丸鍋先生とどういう関係があるのかはまだよく分かっていない。 変身してそこそこ大きな体格の大人になっていた俺を軽々と担ぎ上げて車に乗せ、ほんの数分で丸鍋先生が住んでいるアパートに到着。 何故か俺を犯しまくっていたチンピラの男も一緒に乗り込んで心配そうに俺を見つめる。 ◇  「で? この二人は何なんだ?」 パンイチでベッドに腰を下ろしたまま不機嫌そうに俺たちを見る丸鍋先生。 その横には同じくパンイチでまだ眠たそうにカラダを揺らす奏太。 やっぱり奏太。丸鍋先生とセックスしてたんだな。二人がヤっている光景を想像したら俺は胸が苦しくなった。 「このお二人は純鉄さんの教え子の五月雨さんと矢場杉さんです」 「は?」丸鍋先生が俺とチンピラを凝視した。 俺もびっくりしてチンピラの男を見た。 丸鍋先生と俺の視線に照れたチンピラは目の前で変身を解除し「矢場杉 駆」になった。 「五月雨さんもそろそろ元の姿に戻りましょうか。変身したままじゃ対話しづらいでしょう?」 五蘊さんに勧められるまま俺も変身を解除。レイプでボロボロになっていたブランドスーツは消え元の制服に戻った。 「それで? どうして五蘊が矢場杉や五月雨を連れて俺の部屋へ押しかけて来たんだ?」 「どうしてじゃありません! 『生徒を護るのが俺の仕事とわきまえてる』と、言っていたのを忘れているんですか!」 穏やかながらもきっぱりとした口調に叱る五蘊さんに丸鍋先生だけではなく俺まで背筋が伸びてしまう。 「そんくらい覚えてるっつうの」 大あくびを放つ丸鍋先生の頭にげんこつを落とす五蘊さん。見た目よりも短気な人なのかな? 「痛ぇっ! おま! 何すんだよ!」 「これは私からの愛の鞭。教育的指導です。もっとシャキっとしてください純鉄さん。マシンの私なんかに叱られて情けないとは思いませんか? 教師として生徒を導く役割のあなたがちゃんと見ていなくてどうするんですか」 「は? え? ……どう言う意味だ?」 ここで五蘊さんが俺や駆の目を見て自己紹介を行った。 「私は皆さんが持っている『セクスフォーマー』を開発した者です。訳あってそれ以上の情報はお教えできませんが、純鉄さんには多大な恩を受けた者でもあります。 なのでこうやって、時折ではありますが純鉄さんに相談に乗ってもらったり、逆に話を聞いたりもしています」 「五蘊さんて丸鍋先生の恋人ですか?」 昨夜の俺を引きずっているみたいで、俺は明け透けに聞いてしまった。 「いいえ。私は人と感情で繋がる者ではありません。今はまだそれらを学習している途中です。五月雨さんが気にしてしまうような存在ではないのです」 よく分からなかったけどそう聞いてホッとする自分がいる。 年齢的に丸鍋先生にお似合いだな、なんて考えてもいたから。 「私は『セクスフォーマー』を通して皆さんの行動を把握していました。監視とは違いますので念のため。つまり、よほどの事が起きない限り皆さんと接触するつもりなど毛頭ありませんでした。 どちらかと言うと『セクスフォーマー』そのものが正しく機能しているかなどをチェックしていたのです」 「五蘊……、よほどの事が起きていたのか? 俺の知らないところで」 顔を上げた丸鍋先生が五蘊さんをじっと見た。 「ええ。あなたの大事な教え子が、最悪な事態を迎える寸前だったのです」 五蘊さんの言葉を聞いた丸鍋先生が頭を抱えてしまった。 「くそうっ! やっぱりあの違和感を確かめておくべきだったのか! 情けねぇっ!」 苦悩する丸鍋先生もかっこいいなぁ、なんて思ってる場合じゃない。 五蘊さんに「最悪の事態」について聞いておかないと。 「最悪の事態の内容を知りたいですか? ではお答えしましょう。五月雨さんや矢場杉さんがさきほどまで居た倉庫は、 治安がよろしくない事に加えて倉庫そのものが崩壊寸前の状態だったのです」 「崩壊?」駆が首を斜めにした。 「その通りです矢場杉さん。私の予測計算では今ごろ壁や天井が崩落して跡形もなくなっているでしょう」 「オンボロだったけどまだまだ大丈夫そうに見えたのに」 「実は壁の心材である鉄骨は海からの塩分によってボロボロになっていたのです。そこに五月雨さんや矢場杉さんたちが大勢集まって激しく動きまわっていたためついに限界を迎えた、と言う訳です。もう少しあの場に残っていたらお二人とも大怪我、いえ瓦礫に押しつぶされ命を落とすところでしたよ?」 丸鍋先生がうつむいたまま五蘊さんに「二人を救い出してくれてありがとうな、五蘊」と頭を下げた。 「それよりも。問題はどうしてそのような危険な場所に五月雨さんや矢場杉さんが入ったのか、なんですが、純鉄さん、あなたの迂闊な行動にも原因があると自覚されてますか?」 うつむいていた顔を上げた丸鍋先生。五蘊さんを見つめてから俺や駆を見渡し、最後にまだうとうとしている奏太を見た。 「ま、まさか……、五月雨、俺と黄泉野の事を誤解したのか?」 俺は答えられなかった。 誤解じゃなくて丸鍋先生は奏太とセックスしていたに違いないのだから。 でも、俺は丸鍋先生に気持ちを伝えた訳じゃない。だから、奏太に対する嫉妬も一方的なものでしかない。 それも分かっているから余計にやりきれなくなって、奏太と丸鍋先生の行為を思えばとても耐え難いのに興奮して悶々として、 駆のお陰ですっかり開発された俺のアナルはチンポを求めてしまって……。 「誤解はするほうもさせる方も悪いんです。でも、大人であり教師でもある純鉄さんの方により大きな非があるのも明白です。 さて、そろそろ寝たふりじゃなくて起きましょうか? 黄泉野さん」 「あ、バレてました? おはようございます」 シレっと顔を上げて笑顔を向ける奏太。なんだか前よりも堂々、いや図々しさが垣間見えるんだが。 「さて、私が介入するのは本意ではありませんが、こじれにこじれてしまったようなので少しだけお手伝いさせてもらいます。 まずは黄泉野さん。あなたはこのところ純鉄とセックスしていたんですよね?」 「言っていいのかな? まぁ、シてると言えばシてるけど、カラダだけの関係ですよ。それに、丸鍋先生にはずっと心に決めた人が居ますし、俺だって本当に好きな人は丸鍋先生じゃありません」 奏太がチラッと俺、では無く横に座っている駆を見た。 「では次に、純鉄さん。今の黄泉野さんの発言に対して訂正すべき点や補う部分は?」 「無いな。俺は俺の性欲を黄泉野で解消していた。他に好きな奴がいるなら、俺はそいつに対して酷い事をしている最低の男だ」 ここで奏太が手を挙げた。 「はい、先生。質問です。好きな人がいながら他の人とセックスしてはダメなんでしょうか?」 「そりゃぁダメに決まっている。例えば結婚していた夫婦なら浮気とか不倫なんて呼ばれる不道徳の極みだ」 「ねぇ駆くん、時雄くん、二人はどう? 好きな人がいるのに他の人とセックスしちゃだめかな?」 駆はすぐには答えなかったが「ダメだろうな」と答え、俺も同じように「ダメだと思う」と答えた。 俺たち二人の答えを聞いた奏太は丸鍋先生に向かってこう言った。 「良かったですね先生。五蘊さんを除いて僕も先生も時雄くんも駆くんも、ここにいる4人全員が最低の男です。だって皆、本命じゃない奴と――」 五蘊さんが奏太の言葉を遮った。 「ストップです黄泉野さん。自分一人を悪く見せてこの場を収めようとするなんて良くありません。それは貴方の悪い所です」 五蘊さんにじっと射抜かれたように見つめられた奏太はふっと表情をやわらげた。 「どこまで五蘊さんは俺の事を知ってるんですか? 今日会ったばかりなのに」 「会ったばかりでも黄泉野さんの言葉の続きを計算すればおのずと見えてきます。貴方は本気で五月雨さんと矢場杉さんの幸せを願って行動しているのに、何故自己評価を下げようとするのです」 「奏太が俺と駆の幸せを願って? そう、なのか?」 「おい、奏太、どういう意味なんだ?」 俺と駆の視線を浴びた奏太が「あ~あ」と天を仰いだ。 「事ここに至って僕の作戦はパー、ですよ。全部パー」 なんて言う割にはそれほど悔しそうでもない。 「いい加減回りくどい話はおしまいにしましょう。黄泉野さんだけじゃありません。五月雨さんも、矢場杉さんも、そして純鉄さんも、 ちゃんと伝えたい相手に伝えるべき言葉を言ってあげてください。でないと私が洗いざらいぶちまけちゃいますよ?」 五蘊さん、マジでただの『セクスフォーマー』開発者なの? まるで俺含めて全員の気持ちまで把握済み、みたいなんですが。

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