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鷹取リュウゴ
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末那識の慾尾 2

 図書館で見つけた本の内容から著者にまで興味を引かれた俺は、生まれて初めてファンレターなる物を送っていた。 無論、こっちの感情をぶつけてみただけで反応など微塵も期待していた訳じゃなかった。 なのに、 本の著者から「会ってみたい」との返事が返ってくるなんて。  ここから、だ。 俺の人生はここがターニングポイントに間違いない。 尻尾と快楽と雄への目覚めが漠然とじゃなくリアルになっていったのだ。 *********** 2角有りの男  ファンレター、だなんておこがましい。 しかし、生まれて初めて著者に手紙を書いて送った。 レスポンスなど期待していなかった。 なのに、だ。返事が返って来た。 「作者本人が俺に直接会って話がしたい? 嬉しいし光栄だけど、ただの読者にそこまでするものなのか?」 ぬか喜びはしたくない。 歓喜した事が妙なフラグにならないように自分を戒める。 それでも待ち合わせに指定された喫茶店に一時間も早く着いてしまった。 改めて購入した『東京人外紀行』を読むともなくページをめくる。どのページも最初の単語だけでほぼ全文が思い出せる。 二杯目のコーヒーも飲み終わって三杯目を頼むかどうか迷う。 約束の時間までは20分もある。 「やぁ、初めましてこんにちは。君が五十嵐君、だね?」 現われたのはデニムパンツにジージャンを着こなす逞しい人物だった。首元には目立つチェーンネックレス。指には複数の指輪をはめ、有名ブランドの青いスニーカーはフットワークの軽さを感じさせる。 「ど、ども。初めまして。五十嵐 拓斗(いがらし たくと)です」 意外。思ってたよりもずっと若い。 見た目も、想像してた以上にかっこいいイケメンだ。 「だいぶ待たせたようで済まない」 イケメンで逞しい男は『東京人外紀行』の著者である「坂井 斎(さかい いつき)」先生。 文筆家とは思えないアクティブな衣装や見た目が陽光みたいで眩しい。 坂井先生は俺の手元に重なるコーヒーの明細を見て頭を下げた。 「あ、いえっ! 俺が早く着いてしまっただけなので! 気にしないで下さい!」 席に近づいて来た店員に「アメリカン一つ」と注文する坂井先生が俺のカップが空なのに気付いて「いや、二つ」と言い直した。 「さて、まずは丁寧なお便りをありがとう。担当の編集もすごく喜んでいたよ。発売から3年経っても読者からこうやって熱いメッセージが届くなんて素晴らしい、ってね」 テーブルに置かれたコーヒーをひと口啜った坂井先生は一つ呼吸を挟んでから切り出した。 「五十嵐君からの便りを読んで気になった部分があったもんだからわざわざ呼びつけてしまった。時間を作ってくれて 重ねて感謝するよ」 「いえっ! 俺こそ先生にあんな殴り書きみたいな感想文を送りつけちゃって失礼しました! 気になってしまうほど気分を害されたんですよね?」 「うん? いやいやいや! そうじゃないよ! まったく害してなんかいないから! 逆だから! くれぐれも誤解しないで欲しい。 それと、先生って呼ぶのは止してくれ。俺はそんなご大層な生き物じゃないからさ」 「は、はぁ……」 「前置きは簡潔にすべきだね。さっさと本題に入ろう。探り合いは好きじゃないんだ」 坂井先生、いや、坂井さんは自身の額を指さした。 「ここに在るモノ、君は見えるかい?」 「はい?」 意識して指先を見つめた。 すると、そこには「つ、ツノ? 角が生えてる!?」 坂井さんの額には太くて立派な、なんだかイチモツに似た形の角がずぶりと生えている。 さっきまで全然気付かなかった。こんなにも目立つ角があったのにどうしてだろう? 「よしよし。五十嵐君もお仲間のようだ。送ってくれた感想文を読ませてもらってそんな気はしてたんだ」 「今さらですけど、あんな文章書いちゃって恥ずかしくなって来ました」 やれ自分だけがこの社会から浮いているだとか、自分には尻尾が生えている「ような気がする」、とか。 「恥ずかしがることは無いよ。書いてた内容は事実、なんだろう?」 確かに。嘘は書いていない。何にも自分にも社会にも馴染めない現状を赤裸々に書いたから。 「そして、君には俺の角が見える。なら、俺たちの仲間に間違いない。だけど、五十嵐君は角じゃないんだ?」 「え、ええ。俺は尻尾です。尻尾が、その……、生えてます」 俺の尻尾は下着を穿こうがズボンを穿こうが布地を越えて表に突き出てしまう。今日は坂井さんと直接会えるので期待で余計に大きく膨らんで外に飛び出していた。 坂井さんがニンマリと微笑んだ。俺はその淫靡な笑みにドキリとしてしまった。 「尻尾もいいよな~。今まで何人か尻尾持ちの人に会ったけど、皆すごく、そう、とても濃厚でエロかったな」 舌をベロリと舐める坂井さん。獲物を前にした肉食獣のようだ。 何を思い出しているのか気になるけど、今は気にしない方が良さそうだ。 「本当に俺の他にも尻尾持ちの奴がいるんですか?」 「ああ。結構いる。五十嵐君はまだそこまでは視えていないんだな? となると、ちゃんとした覚醒には至っていないのか……、ふむ」 「ちゃんとした覚醒って何ですか?」 「覚醒した結果として角や尻尾が生える人もいれば、その順番が逆になるパターンもある。逆だとしても五十嵐君は俺とは似てる。いや、ほぼ同じかな」 「似ているんですか?」 「ちゃんとした覚醒はしていなくて覚醒未満の状態に置かれている、という部分が、ね」 「覚醒未満の状態、ですか……」 「ああ。俺もそんな中途半端な状態になってた頃があったんだ」 坂井さんは自分が覚醒に至った経緯をざっくりと話してくれた。 「――ってな具合で、他人の角が見えるだけだった俺も本当の自分に、無意識に抱いていた欲求に目覚め、そうして生えて来たこの角を受け入れ、真の覚醒に至った訳だ」 「……俺も、俺も尻尾を受け入れて目覚めるべきなんでしょうか?」 「それは自由に、としか言えない。選ぶのは五十嵐君、君次第だ。ただ、俺はさっきも言ったように覚醒したおかげでずっと感じていた息苦しさや不安がかなり軽くなった。一言で言うなら『開き直れた』」 「開き直り、……ですか」 「だな」 俺も本音を言えば尻尾を持たない奴らのように違和感を感じずに気楽に生きて行きたいのだろう。 だけど……。 「俺はまだ、そこまでの勇気は持てそうにないです」 「いきなりは難しいよな。俺の時もそうだった。その点も似てる」 坂井さんは不意に明細を掴むと立ち上がって俺の肩に手を置いた。 「改めて言わせて欲しい。覚醒するもしないも選ぶのは五十嵐君の自由だ。ただ、俺としては早く覚醒して君とキモチイイ事をしたいと思っているんだけど」 耳元で小さく囁く声に俺は思わず絶句。 赤面しているのが自分で分かるほど顔を火照らせていると尻尾を坂井先生に握られた。 「ひゃうっ!?」 「良い尻尾だ。長いし、太いし、なによりエロい。……決めた。次は喫茶店じゃなくてベッドがある場所で待ち合わせようぜ」 「そ、それって……」 「つまり、俺はさ、五十嵐君とセックスしたい、って誘っているんだよ」 今度こそ二の句が継げなくなって固まってしまった。 ◇  『東京人外紀行』の作者である坂井さんと会った次の日、大学内の学食でカレーライスを黙々と食べている男に目が留まった。 何故なら、そいつもまたケツの後ろから尻尾をぶらぶらとぶら下げていたからだ。 この大学にも居たのか、と言う驚きを込めて見つめていると、そいつと目が合ってしまった。 「よ! 五十嵐も昼メシか?」 手招きするのでテーブルの向かい側に座った。 そいつは俺の数少ない友人の一人、「有働 葵」だ。友人と言うか顔見知り程度と言った方が正確だが。 「その前に。お前、尻尾があったのか……」 「お? 俺の尻尾が見えるようになったか。つーことは覚醒したってか?」 坂井さんから聞いたような境地には至っていない。なので覚醒はしていない。 そう有働にも答えた。 「そうかそうか。まぁでも、っへへ、尻尾持ち同士、これからはもっと仲良くしようぜ」 「俺はまだ有働の事、良く知らないんだけど?」 名前と同じ学科、学年くらいしか把握していない。 「おお。なんつう素っ気無さ。雰囲気も堅ぇし。そんな身構えなくたっていいんだぜ?」 「そうは言うが、俺以外の尻尾持ちを見たのは初めてなんだ。昨日は角の有る人と対面したけど実感がまだ伴っていない」 「へぇ? 『角有り』と。じゃあ、そいつが五十嵐の導師に?」 「導師?」 「うん? 違うのか?」 「違う。ってか、導師ってなんだ?」 「そう言う話にはなっていなかったんだな。ふむ。なら俺が立候補してもいいが――」 「待った。前のめりになってる所悪いけど、まだ覚醒するかどうかも決めてない。先走って決めないでくれ」 「……う~ん、まぁそうなるか。俺の時とまったく一緒。五十嵐と同じ事を導師の人に言ってたっけなぁ」 「同じ?」 「ああ。俺もさ、高校に上がった頃に尻尾が生えて来やがって、俺は怪人になっちまったのかと悩んでいたもんだが、 たまたま担任の教師も尻尾持ちでさ、俺の覚醒を促す導師になってくれたのさ。で、その導師に俺も今の五十嵐と同じ事を言ってた訳だ」 「ふぅん……」 「やっぱ素っ気ないねぇ~。だが、それもまた五十嵐っぽくて良き」 「…………じゃぁ、この辺で」 「待った待った。つれねぇなぁ。せっかくだから俺の尻尾をちゃんと見てってくれよ」 「? 見えてるじゃん」 「いや、そう言う意味じゃなくて……」 有働が身を乗り出して俺に囁いた。 「なぁ、時間あるか? 有るんなら6号館のトイレ行こうぜ? そこで尻尾を確かめ合おう」 声と言葉の雰囲気に卑猥なモノを感じ取ってしまった俺は、股間がググッと堅くなるのを禁じ得なかった。 「お? 反応しちゃった? じゃぁ脈ありって事だな? なら早く行こう。んん? お前、他人とこう言うのって初めてなの? へぇぇ~? それはそれは……」 有働がベロリと舌なめずりをした。まるで昨日の坂井先生のように。 断った方が良さそうだ、なんて考えてたのに急かすものだからついトイレにまで一緒に来てしまった。 「ここは学内でも一二を争う人気の無いトイレだ。ありがたいことに監視カメラやセンサーもないから安全だな」 いや、普通に考えたら安全どころかその逆では? 車いすの人も入れる広い個室に有働と俺、二人が入る。 ドアの鍵を後ろ手で掛けた有働が俺の尻尾をふわっと握りしめた。 「んひぅ!」 「おほ、良い尻尾~!しかもそれなりに感じるみたいだな」 「や、やめっ!そ、んなイヤラシイ、触り方、すん、なよっ!」 尻尾からの気持ち良さで俺のチンポがガチガチに勃起してしまった。 「悪ぃ悪ぃ。お詫びと言っちゃなんだが、俺の尻尾を触ってみてくれ」 有働が尻尾を前に回し俺に握らせた。 俺の尻尾が細長い紐のようなモノだとすると、宇堂の尻尾は荒縄のように太い。極太の蛇尻尾だった。 しかも、握ってグニグニ揉んでいるとますます太くなるし、ドクドクと脈打つ血流まで感じ取れる。 「凄い……。こんなにも、太くて、熱い……」 「はは、俺も尻尾持ちの奴に触ってもらうのは久しぶりだから、余計に感じちまうぜ」 言いながら有働はハーパンをずり下げ股間を露わにしてしまう。 尻尾よりも太い雄のシンボルが血管をゴリゴリ浮かべながらビンビンに勃起し、剥けた亀頭の先には透明な雫がこぼれんばかりに大きく溢れている。 「な!? なんで脱ぐんだよ!」 「うん? 脱がなきゃ汚れちまうじゃん。ほら、お前も脱げ脱げ。帰るに帰れなくなっちまうぞ?」 穿いてたチノパンとトランクスをサッと下げられ俺の興奮までもが有働に見られてしまう。 「尻尾を刺激すりゃ、こうなんのは当たり前。両方を刺激すればもっと気持ちイイ。こんなの基本中の基本だ」 有働は俺のチンポを撫でさすりながらチンポを扱き始めた。 「うぁ! んぐ、んん゛っ! あぁ、ああ゛、ああああっ!」 「こ、こらこら。声はちょっとマズいって。もうちっと抑え目に頼む」 「き、キモチイイ、から、出ちまうん、だ、ああ、いいっ!」 オナニーとは次元の違う気持ち良さに俺はすっかり色気づいていた。 「ま、しゃーねぇな。んじゃぁ先にイカせてやるとすっかねぇ」 有働は不意に膝立ちになったかと思うと俺の尻尾を口に含んだ。 「そ、それ、も゛! イイッ! ギモチイイィィ!」 ジュッブ、ジュップとしゃぶる音。有働の口が俺の尻尾をしっかりと咥えて舌でもって味わい舐る。 そして、手では俺のチンポを握りしめたまま前後にピストン。 グチュグチュと扱き上げれば俺はあっけなく絶頂に達し、チンポから精液をぶっ放した。 「イグゥ! イクイクイクッ! んあ゛、もっ、もうっ! イクゥゥゥーーーーッ!」 ブビュ! ビュル! ドビュゥゥゥ! と便座に白い体液をぶちまけた。 そうしてイったのに有働はまだ俺の尻尾をしゃぶり続けている。 「ん゛ん゛っ! も、もうイったからっ! は、離して、くれっ!」 「ん~? もうちょい、もう少し、いいらろぉ~?」 ヤバイんだ。これ以上刺激されれば尻尾が勝手に何か吐き出しそうなんだ。ダメだ、ダメだって! はぁんっ! も、もうっ! もうダメだぁっ! 「んああああーーーーーーっ! 出るっ! でるぅぅぅーーーーーっ!」 腰の奥、尻尾の付け根がビクビク震えてキュンキュン感じたら、尻尾の先がズルゥとめくれ、熱い飛沫がブシュ! ブシュゥッ! と飛び出した! 「んんっ! 初汁ゲット~! あ~、うんめぇ~」 イった? 俺、チンポじゃなくて尻尾でイった? 快感と戸惑い、疑問と興奮が一度に押し寄せて来た! 「んふぅ……。ごっそーさんっ! いやぁ~、濃いな! 五十嵐の雄汁、すげぇ濃厚だ」 肩で息をしている俺は言葉を返せなかった。 「んじゃ、次は俺の番、よろしく~」 何を求めているのかは聞かなくとも分かる。 有働も俺のようにイカせろと言っているのだ。 俺に向けられた尻尾とチンポ。 ふてぶてしくビクビク揺れ動く二つの長モノに俺は……、俺は……。

末那識の慾尾 2

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