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鷹取リュウゴ
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末那識の慾尾 6 最終話

尻尾を巡る俺自身の物語はこれで一段落。 きっかけを与えてくれた人、 導きを与えてくれた人、 そして、俺の事を丸ごと受け止めてくれたアイツ……。 そんな人たちが居なかったら俺はいつまでも過去の自分と向き合えず、何が本当に欲しいのかも分からないままだっただろう。 この先、何が有るのか分からない。 だけど、それでも……。 ******** 6終章・『顚倒夢想』  「いきなりご自宅にお邪魔しちゃって良いんですか?」 「ホテルでも良かったんだけどこっちのほうが時間を気にせずセックスできるだろ?」 都心の一等地に忽然と現れた竹林、その緑に囲まれた純和風のお屋敷。 建物まで車の騒音が届かないのは敷地がそれだけ広いからだ。 「凄い……、ですね。こんなに広いご自宅だなんて」 「自宅ではあるけどレンタル。つまり借家だね。ここなら静かで執筆作業も捗るだろうからって、知り合いの『角有り』の社長が住まわせてくれてるんだ」 「へえ~。気前のいい社長さんなんですね」 「なに、体のいいハウスキーパーみたいなもんさ。無人のまま放置できないから借りて管理して欲しい、って」 立派な門を抜けて延々と歩いてようやくたどり着いた屋敷の玄関前には大型バイクが一台。 「坂井先生はバイクに乗られるんですか?」 「あ、そいつは俺のじゃないんだ。まぁ、なんていうか俺の作業仲間というかなんというか」 ニンマリと微笑む表情で察してしまった。 作業仲間と坂井先生は肉体的にも繋がっている関係なのだ、と。 「散らかっているけど気にせず入ってくれ」 「はい。お邪魔します」 通された居間の中は全く散らかっていなくてモノそのものが少ない。 床の間に飾られた白磁の大皿、そして分厚い檜の一枚板で出来ている座卓。室内に在るのはそれぐらい。 ただ、これらの家具や骨とう品は坂井先生の趣味ではなくこの家の本来の持ち主でである社長によるものだろう。 障子を開ければ枯山水の庭の向こうに青々とした竹林が見える。京都の名刹の中のようでとても東京都心だとは思えない光景だ。 「素敵ですね……。静かで、とても爽やかで、気持ちが落ち着きます」 ぼんやりと風にそよぐ竹の葉擦れの音を聞きながら眺めていると、俺の前の座卓に緑が鮮やかなアイスグリーンティが置かれた。 「五十嵐君とのセックスが楽しみだから気合入れて高級な茶葉を買っておいた、……と言いたい所だけど実は市販のお茶なんだよなぁ。 俺、旨い茶の淹れ方なんて分からないからさ。そのあたりは勘弁して欲しい」 「ありがとうございます。だったら今度お邪魔した時には俺が坂井先生に美味しいお茶を淹れて差し上げます。 それまでにしっかりお茶について勉強しておきますから」 言い終えると坂井先生も座卓の向かい側に座った。 「まずは覚醒おめでとう。ひと目でそうだと分かったよ。さて、お祝いには酒で乾杯、と行きたい所だが五十嵐くんは未成年だしな。なので俺もお茶でお相手させてもらおう」 「ありがとうございます。覚醒に至ったのは導師の方のお陰なんですけど、きっかけは坂井先生と会えたからだと思います。 俺以外にも尻尾、ではなく角がある人もいるって知ったからこそ他の尻尾持ちの男も見えるようになったので」 「そっか。きっかけの一助になっていたんだ。そいつは光栄だ。でもまぁ、俺も経験者だから分かるけど色々と理解し納得するのは大変だっただろう?」 「そう、ですね……。覚醒した直後はやけにハイテンションでしたけど、その後の数日は尻尾に振り回されてる感じもあって中々安定しなかったです。 ですが、今はきちんと消化できて尻尾も性欲も自分のモノだと受け入れられるようになりました」 冷えたグリーンティはとても爽やかだった。 だけど、坂井先生がさっきから俺に向け放っているフェロモンが半端無く、股間だけはじわじわと熱気を帯び始めていた。 「う~ん、ダメだ……。もっといい雰囲気を演出したかったんだけど五十嵐君と向き合っているとどうにも抑えが効かなくなっちまうな。 俺の角、かなり勃起してるの見えてるだろう? 実は角だけじゃなくてこっちもなんだ」 坂井先生は座卓の下に隠れた自身の股間を指さした。 「っふふ、そうみたいですね。ちゃんと俺にも伝わっています。先生って本当にエロいんですね」 「言うねぇ。でも事実だから否定はしない。五十嵐君はこんなイヤラシイ年上は嫌いかい?」 「全然。逆です。坂井先生みたいにイケてる人なら年齢なんて関係ないです」 グラスの中身を飲み干したらカランと氷が音を立てた。 その音が合図になったように坂井先生は俺の隣りに回って片膝を突き、俺の肩に腕を回してグッと引き寄せた。 「じゃぁさ、来て早々だけどスタートしちゃおっか?」 耳元で坂井先生が湿った吐息と共に囁いた。それだけで俺は耳が〇〇れたようにゾクゾクしてしまった。 「はい……、ぜひ」 「その前に一つ。俺を先生なんて呼ばないで欲しいんだ。そんな御大層な者じゃないから」 「じゃぁ坂井さん?」 「むぅ、そいつもちょっとよそよそしいな」 「斎さん?」 「呼び捨てでも構わないんだけど」 「それはまだ、俺が気にしてしまいますから」 「慣れるまでは仕方がない、か。なら『斎さん』で手を打とう」 居間を出た俺と斎さんは廊下の先の階段を下り地下室に入った。 その地下室は先ほどまでいた純和風の居間とは打って変わって様々なアダルトグッズがずらりと並んだエロ全開の部屋になっていた。 壁には大きな鏡、天井からぶら下がる頑丈な鎖、大の男が二人で寝転んでも余裕のキングサイズベッド。ガラスのドアの向こうは広いバスルームに繋がっている。 「すげぇ、こんなにディルドやオナホ、アナルプラグにアナルパールまで。あ、これって貞操帯ですよね?」 「驚いた? 実は俺もなんだよな。この家の本来のオーナーが色々と買い漁ってたみたいで、俺が新たに買いこんだものは一つも含まれていない」 「このお屋敷のオーナーって人も随分エロい人なんですね」 「その通り。見た目もすんげぇイヤラシイ人なんだよ。良かったら五十嵐君も会ってみたい?」 「そう、ですね。機会があれば」 「――それはさておき、だ」 前に立った斎さんの両手が俺の顔を包んだ。 「覚醒した五十嵐君の尻尾がどんなモノかを俺に示して欲しい」 「……はい。俺もこの数日でようやく扱い方が身に付いたので、斎さんに見て欲しいです」 服を脱いでマッパになると斎さんも裸になった。 覚醒前の俺なら恥ずかしさに身を縮めているだけだっただろう。しかし、今は恥ずかしさもあるけれどこの先への期待の方が大きい。 チンポはすでにフル勃起している。だが今はチンポよりも尻尾。 ムクリと起き上がっている尻尾に意識を向け、尻尾の先端までしっかりとエネルギーを行き渡らせてやる。 すると、ビキビキといななくように震えた尻尾が勃起してメリメリ太く、そしてグニュグニュ長くなり先端部分の皮がズルンとめくれて亀頭に似たモノが顔を出した。 「俺の角に似てる……。勃起したらこうなるんだ?」 「そう、みたいです……。尻尾の先から漏れちゃってるのは淫液なので、皮膚に付いただけでも発情してしまいますよ」 「おお、そいつも俺の角にそっくり。だが、俺たちみたいな者なら淫液に触れても効果はそれなりにコントロールできる。五十嵐君はそのあたりは?」 「まだあんまりよく分かってないですね」 「じゃぁ、これからおいおい把握していけばいい。だから今は詳しく解説するのは控えておくよ。時間が惜しいからね」 「はい。その方が俺も嬉しいです。早くキモチ良くなりたいですし」 「よし。となると尻尾の感度はどうかな?」 斎さんはゆらめく俺の尻尾をむんずと掴んで口の中に放り込んだ。そうして飴玉を転がすようにグニュグニュ、クチュクチュと舐め扱く。 「いひぃぃぃぃーーーっ! すっげぇ! それ凄すぎぃっ! うぁあぁあっ! んぎひぃぃぃっ!」 チンポ並み、いやそれ以上に敏感な尻尾の先端を舐められたら自分でもびっくりするような声が出てしまった。 「んふふ、良い声だなぁ。五十嵐君の喘ぎ声を聞いたら俺もますますムラついちまうな」 そう言った斎さんは俺の手を取りチンポを握らせた。 ビクビク脈打つ斎さんの極太肉棒の熱さを直に感じたら興奮もするけどそれ以上に安心感を覚えていた。 ああ、俺にとっては男のチンポこそが精神安定の源なんだな、って。 気付いたら自然と斎さんのチンポを撫で扱いていてヌルつく先走りを亀頭全体に塗り拡げて責めていた。 「んを゛ぅ! ん゛っ! ん、ぐぅぅっ! すっげぇ、五十嵐君の、その手つき! すげぇ感じるっ! 気持ちイイっ!」 お返しとばかりに斎さんが俺の尻尾をジュプジュプしゃぶる。 気持ち良くて腰から力が抜けてしまいそうになる。 「んああっ! ヤバぃぃっ! いいよぉっ! 尻尾が蕩けそう! 超イイよぉぉっ!」 「んぐ、じゅふ、なら、お互いに、このまま、っむぐ、一回イっておこう、じゅぶふぐ、か?」 「イクゥ! イキそうっ! もうっ! イ゛ッ゛グゥゥーーーーーッ!」 ドビュルッ! ビュグルルルーーッ! ドブシューーーッ! ビュクク! ドッッビュゥゥーーーーッ! 尻尾が爆発した。 チンポが融けて噴火した。。 そう感じる程の大発射。猛烈な射精と快感を味わった。 斎さんもほぼ同時に達していて、お互いザーメンまみれでグッチョグチョ。どこを触れてもヌトーと糸を引いてしまう。 でも、ここまで爽快で、気持ちよくて、イク解放感を味わえた射精は経験した事が無い。 俺の中の何かがまた一つ弾けて、目覚めたような感覚を味わう。 「最高です……。斎さんともっと気持ち良くなりたい。もっともっとセックスしたいです」 「もちろんさ。一回で終わるつもりはないから。五十嵐君のチンポも尻尾もまだ元気いっぱいだし、それにここも――」 斎さんが俺の尻をグッと掴んだ。 「んん゛っ!」 「こっちも試しておきたいしな」 直後、斎さんの太い指がヌプリとアナルに食い込んだ。 ◇  「わりぃ、待たせた」 「いや、俺も今来たところだ」 「そっか。なら良かったぜ。んじゃあ行きますか、っと」 待ち合わせた駅にて買って置いた切符を有働に渡し特急電車に乗り込む。 行き先は、親父が葬られている墓ではなく命を落とした交通事故の現場だ。 車窓の風景が建物だらけの街から田畑ばかりの田舎へ切り替わっていく。 そんな電車の乗客にも途中で停まる駅にも俺と同じ尻尾持ちや斎さんみたいな角有りの男を見掛ける。 しかし、彼らのほとんどは自分に付属している「それ」に気付いていない。 稀に覚醒済みの奴と目が合う。 席に座っているから俺の尻尾は見えない筈なのにじっと見つめられるのはなんとなく俺が同族だと察しているからだろう。 「しかしさぁ、マジで親父さんのお墓じゃなくていいのか?」 「良いんだ。『お別れ』はもう済んでいるから」 「じゃぁ何で事故現場に?」 「葵を紹介するためだよ。俺、こんな素敵な人と付き合う事になりました、って報告を兼ねてさ」 「……そっか。なるほど……。っへへ、素敵な人かぁ。っへへへ」 どこまで俺の答えを理解したのかは分からない。根掘り葉掘り聞いてこないのは有働なりの思いやりなんだろう」 やがて、寂れて久しい小さな駅にて下車した俺たちは、一時間に一本しかないバスに乗って目的の峠へと移動した。 バスに乗ったのは俺たちだけだったので、峠で降りるとバスは空気だけを運ぶために峠から去って行った。 「うーん、まさに山の中! ってな感じだな! 緑オブ緑だ」 「何だよそれ。緑の緑って意味分かんねぇ」 「っへへ、ニュアンスだけ察してくれればいいんだよ」 バス停から歩く事15分ほど。 トラックが一台だけすれ違ったくらいで他には全く誰とも出会わなないまま事故現場へと到着した。 「……ここか?」 ガードレールの一部が白く真新しい。最近になって補修されたようだ。 「そう。ここから親父の車は崖下へと落ちたんだ」 峠の頂上にある展望台の少し手前。 最後に現れる急なカーブのその突端を突き抜けダイブした。 「綺麗な風景だな。見晴らしも抜群だ」 見上げれば一面の青い空。視線を下げれば波のように彼方まで山々が連なっている。 「……父さん、俺、葵と付き合う事になったんだ。ちょっと天然でバカな所もあるけど凄く良い奴でさ、覚醒後の俺に寄り添っててくれたんだ。 マジでいい奴だから、安心してよ、父さん……」 有動は何も言わずに俺の肩を抱いた。 そうしてしばらく黙ったまま遠くで鳴く鳥の声に耳を傾けるかのように目を閉じていた。 俺も有働に倣って目を閉じ風の匂いを感じていた。 (……良かったな) 「っ!?」 親父の声だろうか、それとも有働がつぶやいた声がそう聞こえただけだろうか? 懐かしい声が耳元を通り過ぎたかと思うとふわりとほどけて消えてしまった。 俺はその声を聞いても悲しいとは思わなかった。 持っていた花束を峠から高く放り投げた。 落ち行く花束は樹林の中に吸い込まれすぐに見えなくなった。 「……もういいのか?」 俺は無言でうなずいた。 「我慢しないで泣けばいいのに。少し離れていようか?」 「いや、悲しい訳じゃないんだ。どちらかと言うと報告が済んでホッとしてるから」 「そうなのか? でもまぁ、俺をちゃんと紹介してくれてありがとうな。天然でバカってのは少々引っかかったけど」 「事実だからしょうがないだろ? 嘘はダメだ」 「だったらもっと、ちゃーんと事実を伝えたらどうだ?」 「もっと?」 「そう。こんな風になっ!」 有働が俺を引き寄せ唇同士を重ねた。 「んむ゛っ!」 割り込んで入ってくる有働の舌がヌメヌメと口内をまさぐる。それだけで感じてしまって俺のチンポも尻尾もビィン! って反応を示す。 その時、高校生を乗せたバスが通りかかりキスを交わす俺たちを見て奇声を上げていた。 「ば、バカッ! なんでこんなトコで急にっ!」 「っへへ、でも悪くは無かっただろ?」 「そ、そりゃぁ、まぁ……」 すでにエンジン音も聞こえなくなったバスの影を目で追った有働がつぶやいた。 「二人か? 一人は角でもう一人は尻尾持ちだった」 「俺にキスしながら他の男をチェックしてやがったのかよ?」 「違う。拓斗は俺のもんだ、って牽制してたのさ。絶対に手を出すなよ、ってな」 「もしかして、さっき黙っていた時もおんなじ事を考えてたのか?」 「バレたか」 有動は照れて少し動揺していた。 「拓斗の事は俺に任せてくれ。親父さんは手だし無用だぜ、ってな」 「葵ってばそんなに独占欲が強かったのか?」 「ん~? どうだろう? 拓斗が他の奴とセックスするのは許せるが心まで持って行かれるのはマジ許せねぇって感じ?」 「なんだか変な理屈だ」 「そうか?」 「でも、それで良い。そんな葵だから好きになれた」 「っへへ、拓斗ってば煽るのも上手くなったな。あぁ、早くセックスしてぇ」 ヒクついてる有働の尻尾を見れば一目瞭然。まぁ、そんな尻尾を見た俺も興奮してしまって同じようになっているんだけど。 「……さてと、挨拶は済んだしサクッとどっかでヤろう。何なら向うの木の陰で、どう? 今すぐヤりてぇ」 「意外と大胆だな、拓斗ってば」 「勃起したままじゃ帰りのバスに乗れないだろ? それにさ――」 「それに?」 「葵のチンポと尻尾が欲しくて我慢できなくなっちまったんだよ。お前とのセックスは最高だからさ」 いきなり有働が俺の手を掴んでズンズン歩き出した。 驚いたけど分厚い有働の手を俺も握り返した。 左右に揺れる有働の尻尾からはヨダレのように透明な粘液が溢れて地面にボタボタ垂れ落ちている。 間違いなく卑猥なんだけど、滴るその雫は温かい日の光に照らされて融けていく雪解け水みたいにキラキラ輝いて見えたんだ。 終

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