自宅のアパートに戻ったら俺の部屋の前で見覚えのある奴が立っていた。 こいつは隣に住んでいる後輩。 まぁ、時たま見かけるけど特に挨拶も交わさないし、俺はいつも通り無言のまま部屋に入ろうとした。 すると、珍しい事に俺に話しかけて来た。 疲れと空腹を急いで処理したいが耳を傾けてみたらどうでもいい俺の性事情なんか聞きやがる。 つうか、大学の俺のダチから噂でも聞きつけたのか? 付き合ってた女と別れて今はセックス相手に飢えているって状態なのを。 さすがにムッとしてさっさと部屋に入ろうとしたらお詫びの品だと言って紙袋を渡して来たんだが……。 「なんでディルドなんだ……」 ********** 10アパートの隣人と奇妙なディルド 「仮島先輩ってば、ガタイ、いいっすよねぇ」 夜、アパートに戻ってきた俺に突然声を掛けて来たのは隣の部屋に住んでいる後輩の、ええと、名前は何つったかな? 「『沢村 亮真』っす。表札出してなくてすんません」 「いや、俺も表札は上げてないから一緒だけど」 「それにしても、ニシシ、仮島先輩ってタッパもあるし肩幅もデケェし、カッコイイ身体っすよね~」 「カラダだけ褒められてもな。て言うか沢村こそ体格すげぇじゃん。前からそんなんだっけか?」 咄嗟に名前は思い出せなかったが時折見かける隣人だから姿かたちくらいは覚えている。 が、記憶の中の沢村はもっと、こう、中途半端な小太りでスポーツとは無縁のダサい奴だった気がするんだが……。 「俺も一念発起して筋トレ頑張りましたー! ってな感じを出した、みたいな?」 「なるほど……、なるほど?」 言い方もだが、これほど短期間で筋肉質なカラダになるだろうか? 俺も筋肉にはそれなりに自信があるけど沢村は服を着ていてもマッチョだと分かるほどにムキムキじゃないか。 ここで会話が途切れたのでドアのカギを開け自分の部屋に入ろうとしたらまた、沢村が話し始めた。 「ところでぇ、仮島先輩ってアッチはどうされてるんです?」 「アッチ? アッチってのは?」 「性欲の処理っすよ。やっぱ彼女と、っすか?」 「いねぇよ。いきなり何を聞いてんだよ」 男同士つっても親しくない相手に性事情を尋ねるなんて、ちょっと失礼過ぎやしないか? 思わずアイツとは先月別れたばっかだ、と言わなくていい事まで言いそうになっただろうが。 「ああ~、失礼したっす。悪気はなかったんで。でもオナニーだけは欠かさず毎日っすよね?」 「もういい、下ネタに付き合う気は無ぇから。部屋に入るぞ? 腹減ってんだよ俺は」 なんで毎日オナってんのを知ってんだ? やべぇ、まさかシコる音が漏れてたって訳? いや、そんなハードにシコっていない筈だが……。 つうか、講義が終わってからバイトで労働に勤しんで、ようやく帰って来れたんだ。さっさとメシを食わせてくれ。 「急に話しかけちゃって申し訳なかったっす。ええと、だったらコレ、お詫びとして受け取っといて下さい!」 沢村は後ろ手に持っていた紙袋を俺に差し出した。 「は? いらねぇよ。別に詫びる程でもないし」 何でもない事で後輩から詫びの品を巻き上げるなんてまるでパワハラか嫌がらせみたいじゃんか。 たまたま少し先に生まれただけで偉そうに先輩風を吹かせるヤツは大嫌いなんだ。 「遠慮しないでもらってやってください。実は、作るのがあまりに気持ち良過ぎていっぱい出来ちゃったんです。なんで、おすそ分けって事で」 「作り過ぎた? 何をだ?」 「部屋に入ってから中身を見て下さい」 玄関の前で脈絡のない話しを続けるのが嫌になって来た俺は、沢村が差し出す紙袋を受け取りドアのカギを開けた。 「分かった。じゃぁありがたく受け取ってやるよ」 「サンキューっす。先輩、きっと気に入ってくれると思うっす!」 ニンマリと、いや、よだれを垂らしそうなほど口元を緩めて不気味にニタニタ笑う沢村。思わずゾッとしちまったが平静を装い部屋に入った。 「んだよ、気味が悪いな」 バッグと一緒に紙袋を置き、まずは晩飯。その前に手洗いとうがい、洗顔も。 冷凍パスタをレンジに入れ温め開始。その間にお湯を沸かしてカップスープを作っておく。 それでもまだ時間が2分以上あるので沢村から受け取った紙袋の中身を確かめてみよう。 紙袋の中にはもう一つ紙袋があった。 外から触れた感触で中身は棒状の物体だと知れた。 面倒臭さを感じながら内側の紙袋を拡げてやると、中からチンポに似せた大人のおもちゃ、透明な緑色のディルドが現れた。 「うわ……」 カタチがカタチでなければメロンゼリーのように鮮やかなグリーンがしっかりとした軸のある弾力を持つ手に感じさせてくれる。 ここでレンジがチーンと鳴った。 「沢村のヤツ、いっぱい出来ちゃったって……、自力でディルドを作ってたのか?」 腹が鳴ったので考えるのはひとまず横に置き、解凍したパスタを食べる事にした。しかし、中心部分がまだ生ぬるい。 今の俺の気持ちを示しているかのようで、モヤモヤしたまま追加でさらに2分、レンジに戻して加熱する事にした。 ◇ 晩飯を食べ終え改めてテーブルに置きっぱなしのディルドを掴む。 蛇行する血管の浮き具合までリアルな緑色の肉棒の根元にはちゃんと二つのタマも備わっていて、そこだけは緑が濃くなっている。 「……新しい女ができれば使い道もあるんだろうけど、今のところは意味のない代物だよな」 見ていると勃起した時の俺のブツよりも大きくて「ご立派」なのが微妙に腹立たしくなった。 同時に今日はまだヌいてない事を思い出し、ムラムラとしたものが込み上がって来た。 「やべ……、ちゃんとヌいてやらないと」 最近どうもバイト疲れで食べた後は即寝落ちのパターンになっちまってないか? 彼女がいた時だってセックスした後でもオナれるくらいみなぎっていたのに。 このまま社会人になる前に枯れてしまうとかお話になんねぇよな。もっともっとオナニーもセックスもヤりまくりたいんだよ俺は。 そんな気持ちを込めて掴んでいたディルドの先端を指で弾いたら、ビクッと震えて少し硬くなった……、ような気がした。 「は?……」 まさか、気のせいだよな? と、もう一度ディルドの亀頭をつついてみれば、じわじわ透明な汁を滲ませやがった! 「な、なんだこのディルドは……」 刺激を与えると汁を出す構造だったのか? 仮性包茎な亀頭をもっとよく見るため被った皮をカリの下まで引き下げる。 「へぇ、ちゃんと剥けるとはな。意外、でも面白ぇ……」 生々しく捲れた包皮の中からズルンと頭を出す鎌首。その先端の穴からジワリ、ト〇〇と粘る液がこぼれている。 鼻を近づけたら臭いもちゃんと我慢汁っぽいじゃないか。 「沢村ってばここまで精巧に作り込んでやがったのか? だとしたら相当手間ひまかけたんだな」 沢村の情熱に感心しているとまたビクビクと震え、ディルドがムクムク膨張、つまり勃起しやがった。 「凄ぇ……、リアル過ぎる……、どういう構造してんだ?」 勃起したディルドを扱けば亀頭から垂れた粘液のせいでグチュグチュと音が鳴った。 すると竿の弾力がさらにグググと堅さを帯び、ドクドクと脈打つ感触まで手に伝わり始めた。 どんな仕掛けは分からないもののますます面白くなって来た俺はさらに激しくディルドを扱き、根元のタマの部分をグニュグニュ揉んでやった。 すると―― ドビュゥッ! ビュルルッ! 「うわっぷ! ちょ!」 ディルドのくせに射精しやがった! しかも俺の顔に! 思わず手でぬぐおうとしたが、緑色の粘液は俺の手を避けて耳や鼻に入り込んで来やがった! 「な? んぐぅっ! ぶっは!」 掴んでいたディルドを手離し両手で粘液を穴から掻き出そうとすると、落下することなく空中に浮かんだディルドから第二、第三の粘液がドビュドビュ発射され、一発目と同じように俺の中に入り込む! 「や、ヤメろ! 入ってくんなぁ!」 粘液はまだこれから、と言わんばかりに追加分を俺に浴びせ、鼻や耳だけじゃなく俺の口からも入り込む。 焦る俺を嘲笑うかのように生臭い粘液を俺に向けて射精するディルド。 不意に頭の中が痺れてドロリと溶け、異様な性欲が、熱い興奮が俺を包み込んだ! 「あひ!? クッソ! やべぇっ! なんっで、こんな! 急に!」 どうしてそんな事をしようと思ったのか。俺は宙に浮かぶディルドを掴み、その亀頭部分を口で咥えた。 舌先で鈴口をつつき、傘の部分からカリの段差をえぐるように舐め回す。 しゃぶればもっと粘液が、ディルドの精液が出ることを疑わず、慣れない舌使いで亀頭周りをジュブジュブしゃぶる。 ドビュ! グビュ! と噴き出る粘液を飲み込み、もっともっとこの粘液を体内に取り込みたくなってしまう。 もっと他の部分でもこのディルドを味わいたくなって来る――「口の他、……ケツ? 俺のケツで?」 そうだ。ケツの穴もあるじゃん。 咥えたままジーンズを脱ぎトランクスを外す。 ビィン! と勃起した俺のチンポが目に入った。が、それはひとまず後回しだ。 ディルドの亀頭部分を尻の谷間に向け、根元を支えながら排泄の穴にズップと突き刺す! 「おがぁ! がはぁあああああーーーーーーっ!」 俺の穴は受け入れがたいサイズに悲鳴を上げた。 この器官をこんな風に使った事は無かった。知識としてこの穴でもオナニーやセックスができる、とは知っていたものの俺はまだ試した事は無く、試そうと思った事も無かった。 だが―― 「ん゛ぐ! んぐぉ! お゛あ゛あ゛あ゛っ! っあ゛、が! がが! がひぃぃぃぃっ!」 強い、強烈な圧迫痛、未使用なそこから流れくる衝撃。押し込む動きを逆に引き抜こうとしたが、ディルドは俺の意に反してさらに俺の中へ、奥へ入ろうとしやがる。 「ぐぎぃぃっ! も! 無理! だ、ダメだって! は、入って、来るんじゃ、ねぇぇーーーっ!」 もう限界だ! もう無理だ! どうして俺は、ケツを使ってみようなんて思ったんだ? 「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーっ!! ――ッ!?」 不意に、唐突に、ケツ穴が、俺のアナルの切り裂くような激痛が、スッと霧散した。かと思うと、グロイほど巨大な快感がカラダを貫いた! 「ごはぁぁあ! はぎぃっ! きもぢぃぃっ! んひぃぃぃ! マジぎぼぢぃぃぃーーーーーーっ!」 間を置かずズブンッ、ドプンッと二度響く感触。それはディルドの根元にぶら下がる二つのタマまでもが俺のケツの中に入り込んだ瞬間。 と、同時に快感の渦に飲まれながらチクリと刺さった不安と疑問。 『寄生及び定着完了。続いてこの肉体の最適化に移行』 頭の中で声がした。 声が何を意味しているのか。 考えるよりも先に俺のカラダがメキメキと鳴り、骨も、筋肉も異常な発達を開始した。 「うぐ……、ぐぉ、お、俺の、カラダ、どう、なっちま、う、うぅ……」 不安と等倍サイズの快感が、焦りよりも大きい欲望が、ググッ、ググッと競り上がる。 立っていられなくなって床に両手と膝をつく。 全身から汗が噴き出る。口からはヨダレをダラダラ吐くが、そんなのもう、どうだっていい。 肥大する腕の筋肉がシャツの袖を裂き、モコモコ盛り上がる大胸筋が前ボタンを引きちぎりパンッと弾き飛ばした。 両肩の三角筋や首周りの僧帽筋が互いを牽制しながらバキバキ巨大にさせ、うねる背筋が厚みを何倍にも増していけば羽織っていたシャツが千切れてバラバラのゴミと化した。 「お゛あ゛あああんっ! んう゛ぅっ! も、もうっ! いい加減に! して――ぐ、グゥゥゥッ!?」 瞬間、頭の中が大きく揺さぶられた。 抑えきれなくなった。 ボコボコ成長するカラダの中のモノを出したい、出したい、解放してやりたい 思い切り放ってやりたい! ――ズズ、ズヌンッ! グチュ! ジュプ! ズビュルルッ! 「ぎぼぢぃぃぃーーーっ!」 俺の鼻が、床に近づいた。 いや、違う。近づいたんじゃなくて顔が、前に伸びた? それに頭から何かが突き出した? しかも何だこの快感は!? 泡立ち蕩ける快感が、俺の芯までドロドロに融かしてしまう! ――ズブ、グチグチ、ズブブ、ズニュ! グチュッ、ブチブチ……ギュルゥゥンッ! 「んぎぃぃっ! あふ! ん゛をぁ! がは! はぐぅぅぅっ!」 背中の皮膚を破り対になって生えたモノは何だ? 腰からズルン長く伸びたモノは? これは、これは何が起きている? 俺の顔はどうなった? 何で手が、腕が緑色に? 何で口がこんなに大きい? どうして牙なんか生えてやがる? 何で? 何でだ? どうなってんだ? どうして皮膚が緑に? どうして腕や手の甲に黒い鱗が? どうしてチンポの奥が熱いんだ? どうしてこれほどキモチイイ? 「ぐううっ! だ、ダメ、だ……、こ、これ以上っ、俺が、俺で、な、くな、る……」 『――あれあれ? まだ途中だったか~。でも、9割がた完成してるっすね! 早く先輩も俺たちの仲間に、同じ魔竜人になっちまいましょ! みんな先輩を待ってるんすよ! このアパートじゃ先輩が最後なんで! くぅぅ~っ! マジ楽しみだぁ~!』 四つん這いの俺の前に誰かが立っていた。 降ってきた声はどうやら沢村のようだった。 「さ、沢……村ぁ……」 どうにか顔を上げた俺の視界に飛び込んで来たのは、赤い……竜? 二足で立つドラゴン……? ニンゲン? 「仮島先輩の緑魔竜人、すげえカッケーっす! マジそそるっす! かーーっ! たまんねぇ~! やっぱ寄生させるんなら素材も吟味すべき、なんすねぇ!」 「う……、な、なにを? ……言って……、いる……」 「大丈夫! 安心してください! もうじき頭ん中も調整が入るんで。そうなったら先輩も完全に魔竜人っす。あと少しっすよ! 頑張って下さい!」 赤い竜のマズルがニタァと歪む。背後の尻尾がブンブン上下に揺れている。 コイツは本当に沢村なのか? まさか、俺もコイツみたいになっているのか? それを問うよりも先に俺のチンポがメリメリと股間の皮膜の内部に引きずり込まれた。 ある筈のモノが無くなりのっぺり平らになっかたと思うと、脳内にドッと何かが流れ込んで来た! 「ごア゛ッ! い゛ひぎぃぃぃーーーーーーっ! っも! ヤメ! やめろぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!」
鷹取リュウゴ
2024-10-02 03:43:34 +0000 UTC思兼
2024-09-27 15:04:42 +0000 UTC