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鷹取リュウゴ
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寄生魔竜人の性蝕アドバンテージ 14

 遠い遠い宇宙のかなた、今は「おうし座」と呼ばれる星座の領域でとある恒星が超新星爆発を起こしました。 その輝きは宇宙空間を超え二十日ものあいだ昼でも目視できるほどの明るさを保っていました。 その記録が中国の「宋史」だけでなく歌人として有名な藤原定家の日記「明月記」にも記されています。 西暦では1054年、およそ千年ほど前の出来事でした。 正確に言えば爆発した超新星まで光の速さで6500年かかる距離。 なので、平安時代の歌人が目にした光も6500年もの時間をかけて地球に到達したものとなります。 さて、昔々、氷河期や大陸移動に耐え地中から目を覚まし、人間に寄生した異星の侵略者の行動を阻んだ蜘蛛怪人が現代も生きていて、雑貨屋なんかを営んでいるとしたらどうでしょう? また、未来において人類滅亡を防いだヒーローと蜘蛛怪人が出会ったら? どんな様子になっているかを見てみようじゃありませんか! ********** 14不思議な雑貨屋とアンリミテッドなヒーロー  辰ケ引町から戻って来たレットは同行していた須崎に引っ張られるようにして雑貨店へとやって来た。 そして、ドアを開けた途端に漂う馥郁たる香りに鼻先をヒクヒクさせるのだった。 「おは! すげぇ~! コーヒーの良い香りだな! つうか、中に入るまで少しも匂えなかったってのがもっとヤベェけど」 レットの嗅覚は狼獣人のように鋭い。 なので入った雑貨店はただの店じゃないと直感的に悟っていた。 「いらっしゃいませ、『杉原 列人』さん。本物のヒーローに来て頂けるなんて誠に光栄です」 カウンターの上にはすでに二つのコーヒーカップが並んでいて、白い湯気をふわりと昇らせている。 その奥から声の主である青年はレットたちに「よろしければ、いかがですか? 今回は偶然手に入ったムジカ・ノアールのキルシュトルテもコーヒーとご一緒に」と笑顔でケーキを添えて勧めた。 「ど、ども。俺の仕事まで把握してるっつう事は、こいつ、じゃなくて須崎さんから色々聞いているんですね」 「いえいえ。須崎さんから詳しいお話を聞かせて頂くのは今からになります。杉原さんの事は他からお噂を聞いていましたので」 「噂? マジか、そんなに流れてたのかよ、……ったく、口の軽い奴が漏らしやがったんだな、きっと」 先にカウンター席についた須崎に優しく微笑んだ青年が「お疲れ様でした。ご足労をおかけしましたね」と労うと、 耳にしたレットが「もしかして、饗庭野の様子を代理で見に行ってたのって……」 「ええ、ご明察です。別の仕事のため動けない雲居さんの代わりに俺が饗庭野さんの件を引き受けたんです。まさか饗庭野さんが何者かにさらわれていただなんて思いもしませんでしたが」 顔を曇らせた若い青年が改めて杉原に挨拶した。 「改めまして、この店を営んでいる雲居と言います。饗庭野さんに調査をお願いしていたんですが急に連絡が取れなくなってしまって。 なので、私に代わって須崎さんに様子を窺いに出向いてもらったんですが……。う~ん、そうですか……。正体不明の誰かにあれほど凄腕の饗庭野さんが……」 「うは! うんめぇ! ケーキもだがこのコーヒー! すげぇコクがあるぜ!」 キルシュトルテのチェリーを口に入れてからコーヒーをすすったレットが感嘆の声を上げた。 「っと、いけね。すまん、大声出しちまって」 曇らせた顔を再び元の笑顔に戻した雲居がレットにお替わりがある事を伝えた。 「お口に合って良かった。まだお替わりもありますからゆっくり召し上がって下さい。さて――」 須崎に向き直ったかと思うと雲居はすっと目を閉じた。 心得た須崎はすぐにチンポから糸を出し雲居のチンポに繋げた。 「……ふぅ。状況は分かりました。食堂に現れたリーダー格の男と背後に控えていた少年たちも気になりますが、なぜ饗庭野さんまで一緒に従っているフリをしているのでしょうね?」 「さすがですね。俺から説明する前に饗庭野さんの奇妙な動きを見つけるなんて」 キルシュトルテをパクつきながらレットが須崎の肘を小突いた。 「あれか? 例の糸でか?」 「はい。饗庭野さんの部屋に入ったあたりから辰ケ引町で見えたビジョンまでまとめてお伝えしました」 「マジ便利な力だよなぁ。俺も欲しくなってきたぜ」  「――と言う訳で、私からはH大学近辺からのお問い合わせが気になりまして饗庭野さんに調査を依頼していたんですが、杉原さんの方は擬性獣関係の調査を饗庭野さんに? 「まぁな。辰ケ引町の隣りの山奥に双星村って村があるんだが、そんなトコから獣人の噂が舞い込んだもんで、ひとまず饗庭野の奴に探りを入れてもらってたのさ」 「双星村……、これはまた、懐かしい響きです」 雲居が目を伏せしばし感慨にふけった。 「雲居さん、双星村に行かれたことが?」 杉原の空いたカップに二杯目を注ぎながら須崎の問いにふふ、と微笑む雲居。 「昔のことですけれど、わたしもやんちゃな時期がありまして、双星村と聞いてその頃の事を思い出してしまったんです」 「へぇ~、雲居さんのやんちゃな頃かぁ。じっくり聞いてみたいですね」 「大したものではありませんよ。昔、地球に下りて来た侵略者の生き残りとケンカしただけです」 聞いていたレットが口に含んだコーヒーを危うく噴き出しそうになった。 「グウッ! ゲホッ! ゴホッ! ま、まってくれ! 今、なんつった?」 「二回も言葉にするなんて恥ずかしいですね。ええと、侵略者の生き残りとケンカを――」 「いや、そこじゃなくて地球に下りて来た、だって?」 「ええ。彼らは地球の生命体ではなく別の惑星からお見えになった方たちですから」 「するってぇと、つまり、それって……、宇宙人?」 ビックリしたままレットが雲居を見つめ、固唾を飲んでいる。 雲居は大きくうなずくと「そうです。異星人とも呼びますね」と、レットの問いに答えた。 ◇    「まずは私の事より饗庭野さんについてどう考え、どう対応するか。それを決めるのが先かと」 単なる妄想を口にしたのか、まともなようでまともじゃないのか。 宇宙からの侵略者とケンカした、などと口にする雑貨店の青年オーナーに分かりやすい「不信」を表情に浮かべるレット。 一時的にとは言え行動を共にした須崎は信用できそうだが、この雲居という人物はどうなんだ? と、冷めた目を向けてしまう。 そんな視線を受けてか、雲居もまた話題の矛先を元に戻した。 「レットさんたちから双星村での調査を依頼されていた饗庭野さんが双星村の隣町に居る事はまあ理解、というか想像できます。謎の集団に潜伏して調査を続行しているんじゃないか、と」 「いや、双星村から届いた獣人の噂の真偽を確かめてくれってレベルの調査でそこまでするとは思えねぇ。身を張るのは俺らであってフリーライターにそこまで求めていねぇし」 「それも饗庭野さん本人に聞かないと何とも言えませんね」 「てかさ、あんたらは饗庭野に何を調べさせてたんだ?」 須崎と雲居が一瞬だけ目を合わせ、それから雲居が話し始めた。 「当雑貨店ではさまざまな商品を扱っているのですが、中には取り扱いを誤ると危険なモノもあるのです。杉原さんには信じられない様なモノまで」 一呼吸おいて自身もコーヒーを飲んだ雲居がさらに続けた。 「杉原さんはすでにこの店が他の店とは異質である、とお気づきになっているんじゃないですか? 例えば、店内に入るまでコーヒーの香りが微塵も感じ取れなかった、とか」 「まぁな。俺の鼻で匂えなかったってのは正直やべぇ、って思った」 「その理由は私が特別な能力で結界のようなモノを張ったからではなく、こちらに並んでいる商品たちが望まぬお客様の手元に行かないよう自己防衛を行っている結果、と言ったら信じますか?」 「ん~、はい、そうですか、とは言えねぇな」 微笑を浮かべた雲居はカウンターを出ると店内の商品棚から一つのアイテムを選びレットの前に置いた。 「この店はこんな玩具まで扱っているのかよ」 レットが呆れ気味に呟いたのも仕方がない。 それは緑色の透明な樹脂かガラスで出来ている人間のペニスを模したモノ。「ディルド」と呼ばれる淫具であったからだ。 「…………コイツ、まさか生きてる?」 レットはディルドをじっと見つめてから眉をひそめた。 「さすがヒーロー。ひと目で看破するなんて素晴らしい。……そうです。コレはただのディルドではなく生きています。 ただ、目覚めていない休眠状態の『種』ではありますが」 「『種』?」 「はい。この『種』は生物に入り込み寄生すると、その生物の生体情報や記憶などを取り込みながら『種』を産み出したモノと共通する姿や能力を付与します。 そして、付与されたモノ同士で交尾し新たな『種』を作って繁殖を繰り返し数を増やそうとします」 「まるで擬性獣じゃねーか」 「ええ。そうです。数を増やそうとする、と言う点においてはとてもよく似ています。明確に一つ違うのは彼らは侵略者で、地球を支配しようと目論んでいる事です」 「侵略者だと? まさかこのディルドが宇宙人だなんて言うんじゃないよな?」 雲居は首を左右に振った。 「いいえ。そのまさかです。このディルドは侵略を企む宇宙人の種子なのです」 「……百歩譲って、そのハナシが本当だとして……、結局何に繋がるんだ?」 レットはディルドを見下ろしたまま雲居に尋ねた。 「ありがとうございます。頭ごなしに否定されるのでは、と案じていましたが聞く耳を持って頂けて誠に嬉しく思います」 「そんなのじゃねぇよ。ただ、おたくが俺に嘘やおとぎ話を話すメリットは微塵も無いってのを踏まえているだけだ」 「構いません。その方がむしろ冷静にお聞きいただけるかと。――で、杉原さんの先ほどの質問にお答えしますが、私が饗庭野さんにH大学周辺から頂いた問い合わせ、と言うのがこの『ディルド』に関して、だったのです」 「そうだったんですね。具体的に商品の名前までは知りませんでしたがH大学のあたりでこの『ディルド』が出回っていたんですか?」 須崎が雲居に目をやると雲居は難しい表情を浮かべた。 「いえ。問い合わせの内容はそれぞれ異なっているので饗庭野さんには『ディルド』に限定せず幅広く調査をお願いしていました。 ただ、問い合わせの特徴が重なる部分を突き詰めていくとどうしても『ディルド』しかないのでは、と後から気付いたのです」 レットは引き続きディルドを見つめてはいるものの耳はしっかりと雲居に向けていた。 須崎はさらにその先を話すよう促した。 「先ほど、少々やんちゃな時期に異星人と喧嘩した、と申しましたよね? そしてその異星人は双星村にいた、と」 レットが少し顔を上げた。 「お気づきになられたようですね。この『ディルド』を産み出した異星人とは双星村の彼らなのです」 今度こそレットは顔をまっすぐ雲居に向けた。 その下で緑色のディルドがビクンと痙攣したように揺れていた。 「――もう少し、私のおとぎ話を聞いて頂けますか? いえ、実際に見て頂く方が早いですね」 スラックスの内側から図太いチンポを引きずり出した雲居はシュルルと糸を伸ばしレットと須崎、二人のチンポに繋げた。 「あ、あんたもコイツと、須崎と同じ糸使いだったのか!」 「どちらかと言うと私が元祖になるんですが、まぁ、それはさておいてこちらの『ディルド』と異星人、そして私が彼らとどう向き合ったのかをお伝えします」 雲居が言い終えるや否や須崎とレットの視界は鬱蒼とした森林に切り替わり、それが昔の雲居の視点であるのだと知らされた。 「うお、すげぇ、巨木だらけじゃねーか」 「まるで私たちが小人になったみたいですが、草花のサイズは変わりがないのでやはり樹木が立派なんですね」 「およそ1000年前になります。当時の私はブラブラと各地を巡ってその日その日を食いつなぐ旅人のまねごとをしていました。 そうして、双星村の手前、今は辰ケ引町と呼ばれている辺りで悪しき龍神が集落を襲っている場面に遭遇しました」 大樹の森を抜ければ粗末な板ぶき屋根の家が集まっている小さな集落が現れた。 が、麻布をまとう村人は人形のように固まって動いていない。 しかも、老人や〇〇、女たちだけで若い男の姿が一人もいなかった。 「歴史の教科書のイラストで見たな。これ」 「時代でいえば平安時代ですね。でも、この集落の人達はもっと昔の、まるで稲作が始まったころのようだ」 「ええ。都やその周辺であればまだしも、遠く離れた僻地で暮らす人々のありようは弥生時代から数百年たとうがあまり変わりないんです」 視界が動いた。 先に見えた小屋の戸を蹴り破ってヌウ、と現れたのはドラゴンと人間とを混ぜたような姿を持った存在。 筋肉がバキバキに肥大したカラダに龍の頭や翼、そして尻尾を携えた緑色の龍神だった。 龍神は雲居を見つけると一気に距離を詰め襲い掛かった。 が、雲居の吐き出した糸によって絡め捕られ、その爪も尻尾も雲居には届かなかった。 「……思い出した。あなた、色は違いますけど世界の全てが凍った時代に地下深くで眠ってた方ですよね? ええと『ヴィスカム星人』でしたか?  ここの村人たちをこのようにしたのもあなたでしょう? さしずめ〇〇して彼らの感覚を奪い人形に変えたんですね」 両目は赤く光りマズルの端から涎をだらだらこぼし、雲居の糸を引き千切ろうともがく緑の龍神。 頑丈に張られている蜘蛛糸だったが龍神の力も凄まじくブチブチと徐々に切り裂かれていく。 そんな龍神の背後を見れば、先ほどまで隠れていた小屋の中から裸の男たちが欲情しきった表情のままふらふらと、チンポを勃起させ精液の汁を垂らしながら龍神を求めて近づいてきた。 「さだめし、あの男たちもあなたが操ってるんですね? まぐわい戯れるのは構いませんが相手を意のままに操るやりかたは好きではありませんねぇ」 『ぐ、ぐぅお、俺、も、イやだ……、里の、みんな、を、こんな、酷い、こと、し、たくは、でも、た、食べたい、タベタイィィ、 男たちの快楽、オマエの快楽っ、快楽をぉ、を゛を゛ヲ゛! タベダイ゛イ゛ィ゛ィ゛ーーーーーーー!』 ブチブチブチィッ! 雲居が掛けた糸が一気に引き千切られた! またもや暴れ出し襲い掛かろうとする龍神。 すぐ後ろには夢遊病のように龍神へ近寄ろうとする男たち。周囲には固まったまま動かない女、〇〇、老人―― 「ふむ。これらは本意ではない、と? 場所をかえましょう。ここは他の方々にご迷惑でしょうから」 間合いを取りながら雲居はメキメキと姿を変えた。 ヒトの顔、ヒトの肉体が一気に膨らみ破れると巨大な黒蜘蛛へ。 そして、再び龍神に糸を吐きかけ捕縛すると龍神を引きずりながら凄まじい速さで森を駆け、大樹を飛び移り、先ほどの集落から遠ざかる。 やがて広々とした無人の草原に到着した雲居は大蜘蛛の姿から頭だけ蜘蛛にしたままカラダはヒトの「蜘蛛男」に再度姿になり、引きずって来た龍神と対峙した。 「あなた、少しは人の自我が残っているようですね? なら、特別に事情とやらを聞いて差し上げます。ですが、暴れられては聞くに聞けません。なので、大人しくなるまで少々荒っぽいですが、すこし痛い目に遭っていただきます」 雲居が龍神に巻き付く糸を「クイ」と引くと、龍神の四肢がズパッ! と〇〇された。 だが、龍神の断面から血しぶきは噴き出ず、すぐさま新たな腕と脚がズブズブ生え再生した。 「素晴らしい。再生能力の高さは想像以上です。ですが――」 雲居は草原に一本だけ聳えていた巨大な樹の枝に糸を掛け、龍神を逆さ吊りにしてしまった。 「いくら狂暴になっていてもカラダが重力と逆になると結構キツいんですよね。なので、早めに降参して頂けますか?」 理性を失ったまま暴れもがく龍神。しかし、逆さ吊りにされては思うように力を込められず尻尾は空しく宙を打つばかりだった。 そして、龍神を吊るした樹の前で七日七晩が過ぎ、八日目の朝、ようやく龍神にヒトの意識が戻った。 「……も、申し訳ありません……、蜘蛛神様、どうか、このまま貴方様に食われても……、このカラダを捧げますから、私の願いを聞いてもらえませんか……」 「や、おはよう。私にカラダを? その前に願いとはなんでしょう?」 巨樹から降ろされた龍神は、肩を大きく上下させながらやっとのことで自らの事と願いを話し始めた。 「私は、向うの峠の先に見える、あの山の麓の村の者なのですが、お山の頂に昔からいらっしゃる龍神様によって新しい龍神を宿され、正気を失ったまま麓の村や里の男たちを襲い、精気を貪るようになってしまったのです」 「なるほど……(ヴィスカム星人の核に寄生されて自我を削られながら行動してたって事ですね)」 「きっと、お山の龍神様はご乱心なさったんです。今まで村人にこんな仕打ちをした事などなかった。我々の願いを聞き、村の田畑に恵みをお与え下さる優しくて正しき龍神様だったのに……」 「心変わりするなんて、困った神様だなぁ(元々ヴィスカム星人はこの星を支配しにやって来たのだし、おかしくなった訳では無いんだけどねぇ)」 「俺だけではなく村の男たちみんな龍神様にされちまいそうなんです! まずは俺で試して、その後はみんなを、って」 「――なので、ご自身を捧げる代わりにお山の龍神様を鎮めて欲しい、そう私に願うんですね?」 首を上げるのもやっとの龍神、いや、緑色の魔竜人は小さくうなずいた。 当時の雲居の思考がレットや須崎に流れ込む。 (消滅させるのは簡単ですけれど、ヴィスカム星人の繁殖行動さえ止めてしまえば問題無いんですよねぇ。 と言うことはですよ、彼らは確か人間と同じく2体以上の番い(つがい)でなければ『種』は産めなくなるはずなので、どちらかを交尾不能にして封じてしまえば解決、って事でしょうか) 「あなたの願い、引き受けて差し上げます。ただ――」 「た、ただ、なんでしょう? 蜘蛛神様の言う通りにいたします」 「私、元人間の異星人を食べる趣味はないんです。それと、弱っている所申し訳ないんですが、ヴィスカム星人の弱点を知りたいのであなたのカラダでちょっと確かめさせて下さい」 「ヴィスカム? 星人? と申しますのは……」 「おっと、言い間違えました。お山の龍神様の弱点、です。核の寄生に至るまでの精神操作や寄生後の精神統合、肉体改変能力など目を見張るものがありますけれど、さて、実際にはどの程度なのか前もって知っておきたいんですよねぇ……、んふふ、私、気になっちゃったら相手が何であれとことん知りたいんですよ。 最近はもっぱら人間に夢中になっていますけれど、人間以外の生き物も色々と見ておきたいなー、って」 蜘蛛男の頭がヒトの姿に戻った。 なのに、雲居の目つきは妖しく光り、興奮しているためなのか紫色に輝いている。 「く、蜘蛛神様? あ、あの、ちょっと、どこを? そ、そこは俺の女陰(ほと)、なのですが……、あっ! 尻の穴も!? ま、待ってくだ、さ、んうっ! そんな風に触られちまうと、ま、マラが! 俺のマラが女陰から出て、きちまう、うう゛! んぐぅぅーーーーーっ!」 龍神のスリットの端から巨大かつ肉棘のある異形チンポが飛び出した! ――ズビュルル! ヅシュゥッ!  「――おっと、いけません。ここからの行為についてはとっても長いので省略させて頂きますね」  視界の外から聞こえた声は現在の雲居のもの。 ほどなくレットと須崎のチンポに繋がっていた糸は引き戻され、二人の眼前には雑貨店の風景と雲居の上半身が映るようになった。 「と、こうして彼の願いを聞き入れ双星山の龍神、つまりは魔竜人とも呼ばれているヴィスカム星人の繁殖を封じたのです。で、その時の戦利品として彼らの核、『種』と呼んでいるディルドを入手したんです」 「このディルドが魔竜人たちの核、そして、人間に寄生して新たな魔竜人を生み出すんですね?」 須崎が緑色に光を撥ね返す『ディルド』を見た。 「ええ。こちらのディルドは私の糸によって人間への精神干渉をほとんど消し去っていますが、そうでないディルドだと人間は抗えなくなり喜んでその身に宿してしまうでしょうね」 「う~ん、またヤベェもんを見せられたぜ」 レットが重く唸ったかと思うと雲居をじっと睨んだ。 「あんた、只者じゃねぇとは思っていたが蜘蛛の怪物だったのか」 腰を浮かして気色ばんだ須崎がレットをたしなめようとすると雲居が手でそれを制した。 「ええ。私の正体は先ほどのビジョンで見た通りです。人間でも無く獣人でも無い、まして神様などでも無い。太古から存在する蜘蛛の妖異です」 一瞬レットから殺気のように威圧的な気迫が溢れたがすぐに小さく元に戻った。 「俺は、擬性獣やバカな獣人は倒す責任があると思っちゃいるけど、蜘蛛の妖異だぁ? そんなのは対象外だ。つか、俺だけじゃねぇ、バレットでも『浄化適用外の無害な存在に対しては放置です』って言うに決まってるぜ。 だもんで俺も、あんたが悪い奴じゃないんなら敵対はしねぇよ」 須崎は再び腰を下ろし、雲居は満足そうに微笑んだ。 「さすがヒーロー、懐が広いですね。おまけに精神もお強くいらっしゃる。ナマの『ディルド』を手にしても誘惑に負けないで撥ね退けてしまうに違いありません。でしたら――」 「饗庭野さんをさらった正体不明の方たちは、きっと『ディルド』に寄生された魔竜人たちだと思います。私がお二人に見せたビジョンの時代にかけた封印が解けてしまったか、或いは別の要素によって『ディルド』が流出したのかは明確には言えませんが、ともかく、それなりの個体数に増殖した彼らは地球を、つまりは人間を支配すべく動き出したんでしょう」 「食堂にやってきたアイツらも魔竜人だったと?」 須崎の問いに雲居はうなずいた。 「恐らくは。食堂の店主は単に〇〇されているだけ、のように見えましたが、リーダー格の男の背後にいた少年たちはきっと 寄生されているでしょうね」 「んじゃぁ、饗庭野も、か?」 「いえ、饗庭野さんは寄生されたとしても別に……。あ、もしかしたら……」 「何ですか? 雲居さん」 「……私の考えすぎかも知れません。饗庭野さんについてはひとまず彼らと同じく魔竜人化していると考えておきましょう。 それでですね、杉原さん」 柔和だった雲居の目が怜悧な刃物のように鋭くレットを射抜いた。 「あとで事務所にはきちんと話を通しますので依頼をさせて欲しいんです。 饗庭野さんを救出する事に加えて魔竜人たちの目論見を叩き潰して欲しい、と」 「待ってくれ。獣人、特に擬性獣であれば役に立つだろうが、異星人に寄生された人間に対してはどうだかな……」 「確かに魔竜人は獣人とは異なりますが、人間をベースにしている部分において杉原さんの力は有効に働くと私は見ています」 渋るレット。しかし、雲居の次の言葉を聞くとレットだけではなく須崎も驚いて立ち上がった。 「大丈夫です。須崎さんとお二人でしたら」 「――は?」 「はぁ?」 席を立った二人の目がこれでもか! と大きく見開き雲居に集まった。 「きっと大丈夫。そんなに驚かないで自信を持ってください。すでにお二人は立派なバディなんですから」 唖然とするレットと須崎を見渡した雲居はすっと目つきを和らげ面白そうにクスクス笑い出した。 「いや、あのねぇ……、コイツと俺は会ってまだ2~3日の関係で――」 「そうですよ雲居さん! たまたま饗庭野さんを探すため辰ケ引まで一緒に行動しただけなんですよ!」 「え? でもカラダの相性はバッチリだったんでしょう? 私もお二人に混ざりたかったんですが、ねぇ?」 レットは瞬時に顔を赤くし、須崎は額に手を当て気まずい顔になっている。 雲居はそんな二人を見ると、ついに腹を抱えて大きく笑い始めたのだった。 「あはは、ごめんなさい! イジワルする気は無かったんですがつい本音が出てしまいました。 ただ、先ほど私が言った通りお二人であれば饗庭野さんの救出と魔竜人の悪だくみを打ち破る、その両方をやり遂げられると信じています」

寄生魔竜人の性蝕アドバンテージ 14

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