21貪る者、貪られるモノ 「やめろぉぉぉぉっ! もう! もうこれ以上っ――」 「おい、うるさい。お前は黙って見ていろ」 沢村を包む球状結界にクロムが黒い指先を向ければさらに結界の壁が厚みを増し、内部からの音声が遮断された。 「ほうらお前ら、俺の中に入って来い。融けていく快感を味わいながら俺と一つになれ」 一体の緑魔竜人が軽く羽ばたいてクロムのアナルに棘のあるチンポをズニュブ、と挿入した。 すると、緑魔竜人は激しく痙攣しながら絶頂を迎えクロムの中にドビュドビュと精液を吐き出した。 ただ、それで終わりではない。 挿入したチンポがさらに強く吸い込まれ次第に緑魔竜人の腰と下半身までもがクロムのアナルにのめり込むと、ムグムグ咀嚼する動きに合わせて上半身、そして頭部までの全てがクロムのアナルに飲み込まれた。 また、スリットマンコでも、チンポでもクロムの命令に従い嬉々としてチンポやマズルを突っ込んではクロムの体内に引き込まれていった。 他の魔竜人を吸収するクロムのカラダが再び成長を重ね巨大になりメキメキ音を立てる。 4mほどだった背丈は5m、6mと上乗せされ、あっという間に8mものサイズへ。 チンポもアナルもスリットマンコも巨大になり、近寄る魔竜人がチンポやマズルを突っ込む前にグイとバキュームされクロムの中に引きずり込まれていく。 「んがぁんっ!」 「ぐふひぃぃっ!」 「ヌ゛ぎゅふぉ!」 引き込まれる魔竜人は最後の瞬間に奇怪な断末魔を短く発したかと思うと次にはもうクロムに「食われて」姿を消してしまうのだ。 「あ、ああ、お前ら! くそぉっ! なんでだ! なんでそんな酷ぇことを! や、やめてくれよぉぉっ!」 沢村の声は結界で漏れなくなっても何を叫んでいるのかは想像でき、横目でそれを見たクロムがにやにやとほくそ笑んでいる。 「んああぁ、力が満ちて、みなぎっていくのが、これほど心地良いとは……。こんなプランを思い付いた自分を褒めてやりたいぞ。そうら……、躊躇わず俺の一部になれ。 俺に融け合う快感は最高に気持ちイイものだと理解できるだろう」 クロムの言葉通り吸収されていく魔竜人は苦痛ではなく快楽しか味わっていない。 射精の何倍もの強い快感が彼らの感覚の全てを埋め尽くし、体を丸ごとドロドロな液体に変えられクロムに浸み込んでいく。 次第に捕食するスピードが速くなるとクロムは近づく魔竜人を手で掴んで胸や腹に押し当てた。 すると、押し当てられた魔竜人はそのままクロムの皮革と癒着し、濡れた角砂糖のようにずぶずぶと融けながらクロムに吸収されてしまう。 視点を移せば別の魔竜人がクロムの尻尾に巻かれながら吸収されていくのを確認できるだろう。 「くっはははは! 素晴らしい! どんどんパワーが満ちて! 満たされていく! 実に気持ちがイイ! これほどとはなぁ!」 200体以上はいた魔竜人が全てクロムに取り込まれてしまった。 静かになった体育館には結界に閉じ込められた沢村と、力の高まりを受け全身が小刻みに痙攣して悦に入るクロムだけ。 東城も仮島先輩もクロムに触れる前から何度も射精を繰り返し、うっとりと目を細めながらドロドロとクロムの一部になっていった。 「ぐふぅぅ」 深く息を吐いて満足げに自身を眺めたクロムが球状結界に囚われている沢村を見つめた。 「……お前も俺の一部になりたいか?」 ぐったりとうつむく沢村は喉が枯れ、精魂尽き果て身じろぎもしない。 「先ほどまで騒いでいた元気はどこへやった? ……ふん、まあぃい」 クロムはマズルの先をべろりと舐め上げた。 「プランの仕上げの前に少し修正を加える事にした。もしもの時にそなえて沢村、お前を取り込むのはいったん保留だ。饗庭野から与えられた状態固定の体液を抜き切れていないからではない。お前を予備、俺のスペアにするためだ」 沢村の肩がぴくっと揺れた。 「寄生しているこのカラダに万が一の危険が迫った場合にはお前に避難させてもらおう。なぁに、俺の『種」と取り込んだエネルギーごと入ってやるから光栄に思うんだな。 当然だが俺が入った時点でお前の自我は消え失せる。いくら饗庭野の体液が抵抗するとしても、だ」 「…………」 沢村は何かを呟いた。しかし、やはり分厚い結界の壁がその声を通さなかった。 「さぁ、ようやく時は来た。アイツを連れてこの星を出る時が」 クロムは見えない力で体育館の天井をメキメキ引き裂き、沢村を結界ごと掴むと裂け目から空へ飛び立った。 向かうは双星村の双星山。 その山頂にある『二体の龍神』を祀る双成神社。 辰ケ引高校を覆う結界を解いてグン! とスピードを上げた。 ◇ 「一足遅かったか」 レットの声は冷静だった。 天井の破れた無人の体育館を空から目にして瞬時に状況を理解したからだ。 「ともかく追いかけましょう。饗庭野さん、行き先は分りますか?」 レットの後ろに須崎を背中に乗せ羽ばたいている饗庭野がうなずいた。 「『双成神社』だろう。雲居さんとやらの思い出話と俺の調査から判断するとソコしかない」 「協力者の彼は無事ですかね」 「…………」 無言の饗庭野の代わりにレットが答えた。 「無事に決まってるさ。最悪の事態なんて想定すんな。不安や弱気は行動を鈍らせるからな」 強気な言葉に励まされたのか饗庭野は遠くに聳える双星山を見据えて力強く翼をはためかせた。 「結局、ここまで潜入し続けたがヤツの最終目的だけは掴めていない。同族を食らった上何をしでかそうと考えているのか」 「つうか、俺たち二人も乗っけて重くないか?」 「最速でこっちに引き返すためだから我慢してんだよ! 重いに決まってんだろ!」 ◇ 双星山へ到着したクロムは沢村を社殿近くに置くと自らのサイズを小さく縮めた。 ただならぬ音と気配で建物の中から飛び出した双成神社の巫人である与義は漆黒の魔竜人の到来に驚きはしたものの複雑な笑みを湛えていた。 「また、前触れもなくやってきて、僕をレイプするつもりかい?」 「人間のお前に興味は無い。早速だがアイツと替わってもらおう」 面倒臭そうに命じるクロムに対し与義は残念だけど、と前置きをしてから告げた。 「祭りの日でもないのに龍神を下ろすなんて何度もできない。前回は君の力で埋め込まれて変身して交尾までしたけど、今度はそうはいかないから」 「……それはシロが『そうしろ』と?」 「そうだ。白龍様は次もまた無理矢理『種』を埋め込まれて僕がひどい目に遭わないように、と知恵を授けてくださったから」 「なるほどな。俺でも探知できない場所に『種』を隠したのか。だが、それで俺は諦めたりはしない。そもそもだが今回は交尾目的で来たわけじゃない。ようやくプランが最終段階に入ったからここへ来たのだ」 「最終段階?」 「ただの人間であるお前に言うつもりはない。早くシロを宿しアイツと入れ替われ。さもなくば――」 繁みに置いていた沢村を結界ごと与義に見せつけた。 「この赤魔竜人も俺が吸収してしまうぞ? ちなみにだが、コイツ以外に増やした魔竜人はすでに俺の一部にしてある」 ニヤリと牙をのぞかせたクロムは縮めていたチンポをズビュル! と巨大化させ根元をぬるりと愛撫した。 「同族を人質にするなんて……。そこまで堕ちたのか黒龍様は……」 「俺はもう神様ごっこはとっくに辞めている。黒龍様なんて呼びかたすんじゃねぇ」 クロムはサッと間合いを詰め与義の首を逞しい手で掴んだ。 「ぐふうっ!」 「グズグズしているヒマは無い。お前がダメなら別の野郎を器にしてシロの『種』を植え付けてやるまでだ」 球状結界の中から沢村が何かを叫んでいる。聞こえては来ないがクロムへの罵倒なのは一目で分かる。 そんな沢村を息苦しい視界の端に捉えた与義はがくりと力を抜いて抵抗の意志が消えたことを示した。 「ふん、やっと理解できたか」 「人質まで連れて来るなんて想定外だった。白龍様には申し訳ないけど君の言う通りにするよ。だから、先に彼を開放してやって欲しい」 うずくまって咽ながら答えた与義を見下ろすクロムはその申し入れを拒否した。 「ダメだな。コイツを自由にさせたいのなら先にお前が『種』を宿せ。シロになれば開放してやってもいい」 ふらりと立ち上がった与義は『種』を納めている祭壇の宝物庫ではなく普段の生活を行う社務所兼住居に入り、寝室に隠していた瓶を手にしてクロムの前に戻ってきた。 「ほぉ? シロの精液に漬け込んで隠していたのか」 密閉できる瓶の中は白濁した精液で満たされている。クロムの発言から精液には『種』の気配を消す効果が有るのだと知れた。 「だが、そのような真似をしようとも蜘蛛の呪いは消えはしないのだろう? 忌々しい糸が巻き付いているせいで遠くへ持っいくのも不可能だしな」 「…………」 残念そうに歯を食いしばる与義にクロムは「急げ」と迫った。 「くそっ! 白龍様、申し訳ありません!」 瓶の蓋を開けると精液の生臭い匂いが漂う。と、同時に「視える者には見える」銀色の糸が中身と神社とを結びつけている様子も現れた。 「いつ見ても腹立たしい糸だ。こんなものに縛られてしまったせいでシロは人間に完全寄生すらできず……。おい、もたもたするな。早くしろ」 与義は瓶の中から無色透明なディルド、つまり「魔竜人シロの『種』」を引っ張り出した。 巻き付いている糸によって封じられた『種』は、他の『種』とは異なり手にしても意識を操られることは無い。ただ単なる透明でチンポのような硬さのディルドと変わりない性玩具だ。 「ん゛ぅ゛っ!」 下半身を露わにして一般的なものより倍近い大きさを持つ透明なディルドを与義は自身のアナルへと押し込んだ。 すると、ディルドはビクンビクンと揺れながら与義の中へと潜り込み始めていく。 「ぐ! くぁぁあっ!」 サイズのデカさに肛門が痛むからではなく、びりびりと脳髄にまで響く快感によって与義は声を上げる。 次第にその声色が甘く蕩けて来るころにはディルドは全て与義の体内に入り込み、ドロドロと融けながら与義に浸透していく。 「んぶ! はひぃっ! きもぢぃぃっ! んぎぃ! 力がぁっ! カラダがっ! 漲るぅっ! 変わって、いぐぅぅーーーーーーっ!」 メキメキ、ゴキゴキ、与義の筋肉が一気に肥大した。顔からは長いマズルが突き出し、額の左右には角、そして腰からはズビュゥ! と太い尻尾、足先の爪は数を減らし、鋭く長くなっていく。 程なく、白い皮に覆われた竜と人間とが混ざり合ったような生き物が深い息を吐き出してクロムを睨んだ。 「……クロ、いや、クロム。与義の記憶によって状況は理解しているが、本当に我が子らを、種を与えた者たちを喰らったのか?」 クロムもまた白い魔竜人をじっと見つめた。 「エネルギーとして必要だったからな。お前がどう思おうが俺は母星に、俺とお前を置き去りにしたヴィスカムの者たちに問わねばならん。『いつまでこの作戦を続行するのか?』と」 「それが私と交尾した真の目的だったのか……。だけど、命令に疑問を持つなんて、やはり君は……」 「異論は認めない。お前に掛けられた呪いの糸を引き千切るに足る力もようやく満たされた――ぬぅんっ!!」 クロムは白魔竜人へ手を向けた。 すると、高密度のエネルギーが光の刃となって白魔竜人の周囲を切り刻んだ。 音もなく切り刻まれ空気に融ける銀色の糸。そして神社の社殿にも絡みついていた糸までもが蒸発してしまった。 「……これでお前も自由になった。千年ぶりだな、シロ」 手や腕を確認していたシロが複雑な笑顔をクロムに向けた。 「私を自由にしてどうする? 私はもう――」 「お前も俺と共に母星に戻るのだ。この星で繁殖し、侵略していくにはこちらの数が足りない。しかも、我らに対抗しうる存在が居る以上戦力の底上げが必要だ」 「……数も、力も足りないなんて、はるか昔に分かっていた事……。違うだろ? それは建て前で、君の真の理由はそれじゃない。私がそれを見抜けないと思った?」 クロムはバツの悪そうな顔になった。 「君の気持は痛いほど理解している。私を自由にするため、だろう? あの時、蜘蛛の妖異から自分だけ逃がされた事を悔やんでいる……、違うかい?」 「…………ははっ、何を言い出すかと思えば」 「凍った大地の中で私たちはずっと一緒だった。他の兵たちが次々と活動停止し崩壊していく中でも、目覚めてから人間に寄生する時も……」 「はっ! だが、その後はどうだ? 力を取り戻せていない俺たちを龍神だと崇め都合よく利用し、麓の村人に奉仕させられるなど悪夢以外の何物でもない!」 「違うよ。私たちだって彼らを利用したじゃないか。彼らから精液を、エネルギーを喰らい、少しずつではあったけれど力を取り戻していった……。だけど――」 「その話はもういい。結局は蜘蛛の妖異のせいで振り出しに、いや、もっと手前のレベルにまで引き戻されたからな。だが、今は違う。蜘蛛の妖異に気付かれないようプランを練り、そして、呪いの糸をも断ち切れる力を得た。 次は、お前を伴って母星に還るだけだ」 聞いていたシロの双眸に涙がじわりと浮かんだ。 「バカだな、君は……。どうして、どうして素直に、『僕を救いたいから』って言わないんだ?」 「…………」