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鷹取リュウゴ
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歪性変体 魔羅リーマン 第1部

1部下の悩み  去年入社した土岐のやつがここの所ミスが多い上に、見るからに集中を欠いているので上司として指導、 いや、悩みがあるのなら聞いてやることにした。 ただ、悩みの内容が社内だと話難いかも知れないと思ったので、会社から少し離れた半個室タイプの居酒屋へ土岐を誘った。 「まずはビールでいいか? あと、好きなモノを注文していいぞ」 「ありがとうございます、課長……」 ほどなくビールが運ばれ、いくつかのおつまみや食事メニューがテーブルの上に並べられた。 同じ部署とは言え土岐とこうやって個人的な話を聞こうとするのは初めてのことだ。 履歴書程度で知れる内容は把握していてもそれ以外のプライベートな部分についてはほぼ知らない、と言っていい。 なので、最近の不調の原因が仕事のストレスか恋愛関係か、あるいは金銭トラブルなのか見当もつかないのだが……。 俺の方から話をしやすいように水を向けると、意を決したように顔を上げて土岐は口を開いた。 「……実は、営業先で知り合った人なんですが……」 なるほど。仕事関係の悩みだったか。 「すごく俺とウマが合うって言うか、話のノリが近いって感じで仲良くなって、……で、つき合うことになったんですけど……」 おっと、仕事がらみじゃなくて恋愛関係じゃないか。 「つき合いそのものは順調で、特段の不満もないですし相手も自分を大事にしてくれてるのが分かるのでありがたいな、って思うんですけど……」 と言うことは金のトラブルか? そうなると俺も手助けするのは難しいな。ありきたりなアドバイスしかできないぞ。 「……相手がお金を、ですね……」 「お金を渡すとかえってこじれるだけだからな。無理ならきっぱり無理だと断る勇気を持つんだ」 「あ、いえ……逆なんです。大金を俺に渡してくるんです」 「うん?」 「あいつも俺と同じくらいの収入なはずなのに、どうやって工面してるのか気になっちゃって……」 自分の問題では無く交際相手の行動に悩んでいるのか。 「そいつは、気になるのが当たり前じゃないか?」 「ですよねぇ……。課長もそう思いますよね」 「お金ってどれぐらい渡して来たんだ?」 数千円や数万程度ならあまり気にする必要はないだろう。 「百万です」 「百万円!? それはまた随分と大金じゃないか!」 「ええ。それも、1回だけじゃなくて3回も……」 合計300万円とは予想外に巨額だ。入社して一年過ぎただけのサラリーマンである土岐の年収とほぼほぼ同額と言える。 「そ、そんなにもか? と言うことはお相手の方は相当な資産家だったとか?」 土岐は首を左右に振った。 「いいえ、ごく普通の、と言うかあまり他の人に言うべきことじゃありませんが、実家は裕福ではないようです」 「じゃぁ、副業じゃないか? 今流行りの仮想通貨の取引で上手い事儲けたとか」 「……で、あれば良いんですけど……こうやって相手を疑うのも気が引けるし、かと言って何か法に触れるような 事に手を染めていたら恋人として注意しないといけないな、って思いもしましすし……」  土岐は少しぬるくなったビールを飲み、ふぅ、と息を吐いた。 俺は、そんな土岐を見て相手を思いやれる優しく真面目な青年じゃないか、と好感を強くしていた。 「確かめておかないと余計に疑う気持ちが強まってくるんじゃないか? ここは勇気を出してどうやってお金を得ているのかを聞いてみる以外にないだろうな。万が一、好きな相手が悪事に手を染めているのであれば、そんなことはするな、と止めてやるのも愛情の一つだと思うんだが」 「そう……ですよね。で、それ以上に気になることがあって……」 「大金の出所以上に気になることがあったのか?」 「はい。実は……、なんだか最近、アイツのイチモツがどんどん大きくなっている気がするんです。いえ、気がするって言うか、実際に大きくなってて……」 「…………え? イチモツ?」 「ええ。イチモツです。分かりやすく言うとチンポですね」 「――!?」 危く驚きのまま声を出しそうになったが寸前で口を塞いでなんとか耐え抜いた。土岐、お前の恋人ってのは男、野郎だったのか! 「ここまでお話しちゃった以上、もうお分かりだと思いますが、課長、俺はゲイなんです。同性が恋愛対象です」 「正直言って驚いた。てっきりお相手の方は女性だとばかり思って相談に乗ってたからなぁ。不愉快な思いをさせていたならこの通り、謝るよ」 「あ! いえ! 不愉快とかそんなの全然感じていませんから。初めに相手が男だと言って無かった俺も悪いんですし。勘違いするのも当然です。むしろ、俺を同性愛者と知っても嫌悪されていないのでホッとしてるんです。 あからさまに態度を変える人も結構いますから」 「ま、まぁ、人それぞれ、恋愛は自由だからお前が男を好きになろうが女を好きになろうが、どちらでも構わない って程度の認識だがな」 「それって一番じゃないですか? 課長みたいに捉えてくれる人がもっと増えれば嬉しいんですけどね」 所詮は心のどこかで「他人事」と思って聞いているからこその反応だろうな、と。土岐には言わないが。 「で、話は戻るんですが――」 「あ、ああ、ええと、なんだったかな?」 「アイツのチンポが大きくなっている件です」 「お、おう、そうだった、チンポだな。うん」 「具体的に言うとですね、大金を渡す前のアイツのチンポは俺と同じくらいでフル勃起しても15cmくらいだったんです」 「そ、そうか」 「はい。それがですね、つい先日、3回目の百万を俺に渡して来た時にセックスしたら目測ですけど20cmを超えているんです。 この歳でも成長することってあり得なくはないですけど、わずか2か月で5cmもサイズアップするなんて聞いた事がありませんし、それに……」 「それに?」 「明らかに精力が強くなっているんです。以前でしたら一晩で2回もイケたら良い方だったんですけど、この前なんて一晩で6回もイって、それで、精液の量だって半端無く出ていて、もし、次の日も仕事でなければさらにセックスできそうな勢いで勃起し続けていたんです」 「ちなみに、交際相手と付き合い始めたのはいつ頃からなんだい?」 「丁度半年前からですね」 「それが、初めて大金を渡された2か月前からお相手のチン、いや、イチモツも大きくなり出した、と?」 「その通りです。最初は気のせいかな? って思ってたんですけど、その、俺のケツに挿入した時の感じがやっぱり全然違うものですから、サイズの変化に気が付いて……」 さすがに顔を赤くして恥ずかしそうに照れている。不覚にもかわいいじゃないか、なんて思っちまったが言わないでおこう。俺が土岐を意識してどうすんだ、と。 軽く咳払いをして俺はまるでさっきと同じような文言を口にした。 「大金の件も含めて、チ、チンポの事も相手の方に確かめるしかないだろうな。土岐も相手を大事に思っているなら勇気をもって聞いてみるのが最善だと、俺は思うが」 「そうですよね。やっぱり。ハッキリさせておかないと俺も変に疑うばかりですし、仕事中だってアイツのデカいチンポが頭にちらついてケツは疼きまくってしまうし、で集中できませんし」 土岐よ……最近ミスが多いのは、悩みのせいじゃなくてエロい欲求のせいだったのか……。 「ま、まぁ、ともかく、だ。仕事にこれ以上影響が出ないようにはしてくれないとな。今の所は俺や他のメンバーでなんとかフォローできているから良いものの、あまりに酷いミスが出ちまうとさすがに俺でもカバーし切れんからなぁ」 「ご迷惑をおかけして本当にすみません」 すぐに頭を下げる土岐。礼儀正しいやつだよな。 「で、課長」 「うん? なんだ?」 「先ほど課長のおっしゃった通り、アイツにしっかり確認する以外に俺のモヤモヤは晴れないな、と改めて強く思ったんですが」 「だろ? 聞くしかないんじゃないか?」 「ええ。そうなんです。……ですけど、アイツとの関係を壊したくはありませんし、もしも間違ってることをやらかしていた時に、止めさせるよう説得できるかどうかは甚だ不安なんです。 ですから、課長、お願いします! 俺と一緒に!」 土岐が俺の手を両手で握り締めた。 子犬のような潤んだ瞳で俺を見つめる。思わずドキリとしたが、今のは無かった事にしよう。 「…………乗りかかった船、ってやつだろうな。分かった。話し合いの場に俺も行ってやるよ。それぐらいはひと肌脱いでやるさ」 土岐の顔がぱあっと明るく晴れて行く。 「ありがとうございます! 課長! ありがとうございますっ!」 2部下の恋人  土岐の交際相手と会うことになった。 土岐曰く、「次に会う予定は今度の週末なんですけど、アイツに知らせずにサプライズで立ち会ってもらおうかな、って考えてます。 その方が正直に告白してくれる気がしますから」 そうして週末の金曜日はすぐにやって来た。 会う場所は交際相手の部屋だ。 ありふれたマンションの一室。表札には『恵那』と書かれている。 土岐が合鍵で部屋に入ると俺を中から手招いた。 「どうぞ、入って下さい」 「お相手の方はまだお帰りじゃないのか?」 リビングに通された俺は、質の良さそうなソファーに腰を下ろした。 「そうですね。さっきラインで連絡が来たんですけど、あと15分ほどで到着できるみたいです。なので、アイツが帰ってくるまでは飲み物でも飲んでくつろいでて下さい」 土岐はそう言うとキッチンからミルクをたっぷり入れたコーヒーを淹れて運んで来た。 「? ちょっと変わった味だな……」 ミルクの成分が濃厚なためだろうか? 若干のとろみと、あと、独特な風味を感じたが、他人様の家の飲み物にケチをつける訳にもいくまい。  「セイター! ただいま!」 少ししてこの部屋の主が戻ってきた。 セイタとは土岐の下の名前「成太」を指すのだろう。彼のフルネームは「土岐成太」であるから。 「シンくん、お帰り!」 玄関からリビングに入った「シンくん」こと、土岐の恋人の恵那氏が俺の存在に気が付いて一瞬ぎょっとした。 「おっと! そちらは確か、セイタと同じ会社の方、ですよね?」 「そう。俺の上司で課長の中津川さん」 「どうも、初めまして。中津川と言います」 「自分は恵那伸太郎です。初めまして、でもないんですがこうやってお話するのは初めてですね」 「? 初めてじゃないんですか?」 「課長、実は……」 土岐が耳打ちするには今年の年始に業界が集まる立食パーティで一度会っている、らしい。 ただ、恵那の勤める会社の部長とは挨拶したものの役職にない恵那は後ろに控えていて、言葉をちゃんと交わしていなかったようだ。 ともあれ、一通り自己紹介が済み、いよいよ本題へと移る。 「土岐から相談を受けて聞いたんですが、恵那さんが土岐へ常識では考えられない大金を最近、何度もお渡しになっていると――」 チンポがデカくなっている? 件については、後回しだ。できれば俺を介さず2人だけで話し合って欲しい。 「ああ、その事ですか」 「あなたを、恵那さんをとても心配しているんですよ。どうやってお金を入手しているのか? と」 「本当は一対一で聞くべきなんだろうけど、ちょっと怖くって……」 土岐は目を伏せテーブルに置かれた空のマグカップを見ている。 対して向かい側に座る恵那はあまり表情を変えてはいない。 「いや、俺もちゃんと話さなかったからセイタを不安にさせたんだね。ゴメン」 「あ、うん……俺も初めに聞いておけば良かったんだけど、きっかけを掴めなくって……」 恵那は一度席を立つと、自分でキッチンから飲み物を用意しソファに座り直した。 はじめに言っておきたいんですが、セイタに渡したお金はちゃんとした仕事の対価として得たもので、犯罪にかかわるようなものでは決してありません」 キッパリと、かつ真剣な眼差しで土岐に宣言し、そして俺の方には軽く笑みを向けた。 「……と、まぁ、これだけで信じろと言うのも無理がありますよね。順を追ってお話しますのでちょっと聞いていて下さい」 「私も伺って良いお話なんですかね?」 「問題ありません。俺の話を聞いてどう判断されるかはお任せします。ただ、俺から聞いた内容は絶対に他では話さないで下さい。」 「分かりました、お約束します。では、お願いします」 「俺の勤める会社のお得意様の中に、名前は伏せさせて頂きたいんですが、製薬会社があるんですよね。仮にA製薬と名付けて話を進めますが、 そのA製薬の中の新薬開発を担当する方がですね、不妊治療に関する薬を手掛けておられて――」  不妊治療薬の開発は不妊の原因が女性に対するモノと男性に対するモノの二通りがある。 恵那の場合は勿論、男性が原因だった場合の新薬である。 勃起不全、無精子症と言った精子の数の減少、あるいは精子の活動量の低下、他にもメンタルに要因を求められるものや分泌されるホルモンのバランスなど原因は様々だろう。 そこでA製薬は事故による欠損や遺伝的な奇形と言った性器の形状などの原因を除く、通常であれば健康と認められる男性に対する性機能障害を解決するための新薬を開発しようとしていた。 「バイアグラみたいな薬なんですかね?」 「いえ、それよりももっと強力で、勃起不全以外にも精子数や精液の量の増加、精子運動の活発化、またメンタルの面でも性欲の亢進などにも強く作用するタイプの新薬です」 「それは凄い薬ですね」 「ええ。画期的な新薬だと思います」 A製薬の研究所では各段階での試験を経て、最終段階、人のカラダで上手く作用するかどうかを見極める試験を残すのみとなった。 「丁度その時、臨床試験を受けられる男性を募集していると聞いたんです。高い報酬も魅力でしたし。応募した者は他にもいたようなんですが、最終的には俺一人に決まりました」 一人に絞ったのは新薬の情報を守るためだったのだろう。 或いは失敗した時のリスクを一人に抑えるため、と言う意味もあったかも知れない。まぁ、これは邪推かもしれないが。  ともかく恵那のカラダを使った新薬の治験がスタートした。 白衣を身に着けた研究員によってペニスと睾丸に注射の針が刺し込まれ、薬剤の液体がドロリと注入される。 「効果が出るまでタイムラグがあると見込まれます。3日後かならずお越しください」 そう告げられた恵那は3日後にA製薬の研究室に再びやって来た。 尿や血液の検査から骨密度や脳波など様々な検査を受け、それらすべてに異常は見られなかった。 「最後に、勃起状態及び精子を確認させて頂きます」 裸にさせられた恵那はベッドに横になり、研究者の手淫によって精液を発射。 「お疲れさまでした。今回の報酬です。次は3週間後に来てください」 研究者の手から渡された報酬は200万円。 「200万!?」 「シンくん、俺に半分も渡してくれたんだ……」 恵那はうなずいて話を続けた。 「口止め料って意味もあるんでしょう。2回目の投与の時にさりげなく聞いたんですよね。秘密を保持したいのならどうしてここの研究員さんでテストしなかったんですか、って。 そうしたら――」 これまでの薬品開発の折りにすでに色々な薬品を自分たちで試していたらしい。 そのため、新薬の効果が正しく発現しない可能性が高くなっていて、一言で言うと「使い物にならない」人物ばかりだったそうだ。 2回目の薬品投与、そして3日後の精液採取。 1回目の時と同様に様々な検査を経た後、勃起時のペニスや精液を採取を済ませると再び200万円を渡された。 この頃から恵那自身も自分のペニスに違和感を覚え始めた。 以前よりも精力が増した。 オナニーで一発抜いても二発目三発目と抜きたくなってしまう。 性欲そのものも大きくなっているようだ。 土岐とセックスした直後からムラムラした気分が頭を持ち上げてくる。 微妙にペニスのサイズも大きくなっているのではないか? フル勃起した際の「張り」具合が前よりもパンパンにいきり勃っているように見える。 3回目の投与の時、研究者からこれが最後です、と告げられた。 「必要なデータはこれで揃う筈です。故に四回目以降の投与はありません。何かあった場合、あなたのカラダに責任が持てませんから」 これ以上新薬を投与すると何が起きるか想像できない、と研究者は言いたいのだ。 そうして3日後の精液採取時、精子の数、活動量の著しい増大だけではなく陰茎及び睾丸の肥大、性ホルモンの増加、 勃起状態の継続可能時間など全ての面において飛躍的に数値が上昇しているのを確認した。 恵那自身もチンポが以前とは別物のように大きくなっている事に気づいていた。 サイズだけではなくますます性欲が高まり精力も強くなった。土岐と夜通しセックスしてもまだし足りないほどに。 すると、当然だが自慰行為の回数、オナニーの頻度も増えた。 1回で射精される精液の量も以前の数倍になっている。 手で受けると溢れてボタボタ落ちて行くのだ。 話がここまでであれば恵那のカラダは新薬の効果でチンポがサイズアップし精力性欲が増大した「絶倫野郎」になっただけ、と言えるだろう。 しかし、ここで終わりでは無かった。 ある時、恵那はチンポから噴き出した精液が口の中に飛び込んできた事があった。 塩気と苦みのある精液の味。奇妙なほどに美味しく感じられ、それ以来オナニーで出した精液は飲み込んで味わうのがクセになった。 元々飲精する習慣など無かったにも関わらず。 「ザーメンを飲めば飲むほど力がみなぎっていくのを感じました。A製薬の研究者さんたちもまさか自分の精液を自分で飲むなんて考えてなかったんでしょうね。 毎日夜明けまでオナッて、何十発も射精して、マグカップに溜めて何杯もごくごく飲むんです。俺の精液って凄く美味しくって。 そうやって新薬成分の混ざった男性ホルモンの塊みたいな精液を飲み続けていましたら、『新しい力』を身に着けたんです」 「『新しい力』……ですか?」 ふと気が付くと隣に座っている土岐はテーブルに向かって上半身を折り曲げ、顔を俯けたまま見動きしていない。 「セイタ、もういいぞ。『解放しろ』」 「っ!!」 土岐の背がビクッと撥ねた。 第二部へ続く

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