SamSuka
鷹取リュウゴ
鷹取リュウゴ

fanbox


熱体夜1

1ある猛暑の夜  大学生の高田公介は、扇風機などではしのぎ切れない暑さに耐えかね、スマホに登録してある「アテになりそうな」友人たちに「涼みに行かせてくれ」と順に救援を求めた。 「夜だってのに暑過ぎんだよ! 頼む! 誰でもいいから都合つけてくれ~」 2人には断られ、もう2人には「うちもエアコンないからクソ暑いぞ」と返され、そうして5人目。 送ったメッセージに既読がついた後、「今はまだ部屋に戻っていないからすぐには無理だが、1時間ほど待てるんならOKだ」と反応が返ってきたのは勝からであった。 「よっしゃ! 1時間くらいなら待ちますとも! いやぁ~、助かった~」 「勝」とは公介と同じ大学に通う同年の大学生の「石島勝」の事を指す。 学部や学科は異なるものの、この前の春休み中にバイト先で知り合って以来公介の友人となった。 「勝の部屋はエアコン付きで良いよなぁ。気合で乗り切れるだろうって都会の熱帯夜を舐めてたあの頃の俺をぶん殴ってやりたいぜ」 公介の暮らすアパートと勝の住んでいるマンションは双方とも大学に徒歩で通えるエリアではあったが 電車やバスなどの交通機関は無いため徒歩か自転車で向かう他に移動手段はない。 以前、一度だけだったが公介は勝の部屋を訪ねたことがあった。 勝の忘れ物を届けてくれ、と大学教務課の職員から頼まれた時に行ったのだ。 公介はその時の道順や勝のマンションの外観を思い出しつつ汗だくの顔をタオルで拭っていた。  1時間後、相変わらず滝汗を掻かせる熱気を浴びながら勝の暮らすワンルームマンションに到着した。 築年数の浅いおしゃれな外観、ワンルームながら鉄筋コンクリート造りの堅牢さや防音性の高さが売りの かなりハイクラスなマンションだと素人目にも分かる。 エントランスで到着を告げるとドアのロックが解除されマンションの建物の中に入ることができる。 その後、勝の部屋の前でもう一度インターホンを押すと部屋のドアが開き、部屋の主がひょいと顔を出した。 「随分と暑かっただろ? さぁ、入った入った」 「急に悪ぃな、こんな時間に」 笑顔の勝に迎えられ部屋に足を踏み入れる。 入った瞬間、涼しくさらりとした空気が汗だくの皮膚をすすぐように流れ、公介は深い息を吐いた。 「はぁ~~、生き返る~! 涼しい~!」 和室であれば10畳ほどもありそうな広い室内にはソファーベッドと机しかなく、そんな家具の少なさがより一層爽やかさを感じさせた。 「やっぱエアコン最高だなぁ~! あんなに噴き出てた汗がもう引いてきた」 「良かったらシャワーも浴びてくれ」 「いいのか?」 「もちろんだ」 公介は着替えを用意していないためもう一度たっぷり汗を含んだ下着を着る羽目になるのは分かっていたが、勝の申し出を素直に喜び、 渡されたバスタオルを持ってバスルームに入った。  シャンプーのあと清涼感のあるボディソープを使ってカラダを洗えば、自然と鼻歌が漏れるほど上機嫌になる。 バスルームを出て肌に残るミントの爽快感を味わいながら吸水性の良いバスタオルで水滴を拭っていく内に、手にするバスタオルだけではなく先ほど使ったシャンプーやボディソープ、 それに、足元のバスマットに至るまでの全てが質の高い高級品じゃないか? と公介は気付いた。 「勝ってやっぱり金持ちなんだろうな。でなきゃ部屋だけじゃなくこういうトコまで一々金がかかりそうなモノを揃えたりしないだろうし」 『――公介~? シャワー浴び終わったのか?』 脱衣コーナーと居室を隔てる引き戸の向こうから声がかかった。 「あ、ああ! 今終わった! すんげぇサッパリできたぜ~!」 髪をドライヤーで乾かし、さて気持ち悪いがもう一度汗まみれになった下着を穿こうとしたが、置いた場所に見当たらない。 下着どころか着てきたハーフパンツやTシャツも無い。 「あれ? 俺の服、どこ行った?」 バスタオルを腰に巻いて引き戸を開ける。 「なぁ? 俺の服知らないか?」 「ああ、悪いけど洗濯してるから乾燥が終わるまでしばらく待っててくれ」 そう答える勝の姿に公介は目を見張った。 「ぬお!? お……、お前、何でお前……、全裸になってんだよ……」 「うん? ああ、実は俺さ、部屋の中じゃ基本、裸族なんだ。服を着ると落ち着かなくってさ」 「え? そ、そうなんだ……へぇ~」 「男同士だし、別に気にならないだろ?」 「いや~、ま、まぁ、そうかも、な、はは……」 公介も自分の部屋であれば夏はパンイチで過ごすことが多い。 ただ、他の人が居る時までパンイチでいるか? と問われれば「否」だ、と公介は思った。 なのに公介とは違って勝は少しも恥ずかしそうではなく堂々とペニスまで公介に晒していた。 (……全裸ってこと以上に勝の奴、なんて筋肉してんだコイツは! 着やせにしても程があるってもんだ。 まるでボディビルダーじゃないか! それに、筋肉以上にあのチンポのデカさはヤバイだろ!) 公介が驚くのも無理はない。 大きく張り出した大胸筋。8つに割れているバキバキの腹筋。腰ほどもありそうな太い太もも。 マッチョと言う言葉がそのまま当てはまる均整とバルクを持ったマッスルボディの勝。 そんな肉体美の持ち主に、公介が思わずゴクリと唾を飲み込んでしまうほど立派なペニスが股間からぶら下がっている。 (勃起してなくてあのデカさかよ!? 俺がフル勃起した時よりも大きいじゃん! て事は、もし勃ったら余裕で30cmに達するんじゃないか? 凄ぇ……凄すぎる……) 「何か飲むか? と言ってもウーロン茶か牛乳程度しかないけどな」 「…………マジでデカ過ぎだろ、あのサイズ……」 「公介? なぁ? 聞こえてなかったのか?」 「へっ? う、うん? あ! ああ、じゃ、じゃぁ、ウーロン茶で……」 「もしかして暑さのせいで熱中症になりかけてんじゃないか?」 「は、はは、そ、そうかな……」 本当は勝のカラダやペニスに見惚れていたのだが、公介は正直にそれを口に出すことは出来なかった。 冷蔵庫からウーロン茶のペットボトルを取りグラスに注ぐ勝。 ボトルを持ち上げた瞬間ググッと膨張する上腕の筋肉。腋から腰にかけての逆三角のボディラインと引き締まった尻。 もう一度視線を上げ分厚い広背筋からボコッと盛り上がる僧帽筋。いかつい三角筋……。 勝の逞しい背中から目が離せなくなっている自覚も無いまま、公介は勝の肉体美を舐めるように見つめていた。 (……そういや勝って彼女とかいるのかな? 顔面偏差値も高ぇし、あんな凄ぇカラダだし、いない訳ないよな。 きっと俺に気を遣って女の話をしないだけで、ヤることはヤってんだろうな。あのデカいチンポで……羨ましいな、……って、オイ!?) 公介はこれまで男性に性的興味を持った事は無い。 無論、男性との性的経験も無く、ついでに言うと女性とも無い。性的な行為はオナニーだけ、いわゆる『童貞』のまま二十歳を迎えていた。 また、夜毎のオナニーに使うオカズも男性ではなく女性ばかりであるため、どうして勝の肉体に時めいているのかを公介は理解できないでいた。 「さぁ、どうぞ。――って、突っ立ってないで座ろうぜ? ほら」 「あ、ああ、……ありがとう。……そう、だな……」 きっと猛暑のせいで妙な気分になってるだけだ、と手頃な「理由」を見つけた公介は勝からウーロン茶の入ったグラスを受け取り、ソファーにゆっくりと腰を下ろした。


More Creators