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鷹取リュウゴ
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俺たちの新しい七不思議 4

4保健室のベッド    「おう! 悪ぃ悪ぃ! あの後トイレでクソしてたから時間取っちまった」 マサヒロが保健室の前に来たのは体育館の地下倉庫で一旦別れてから20分ほど経ってからだった。 「いや、俺らもノドが乾いてたんで、自販機コーナー寄ってジュース飲んだりしてたから全然問題ないぜ」 リョウタと同じようにヒロキも 「そうそう。大して待ってないから。てか、マサヒロもジュース飲む? 買いに行くんなら保健室に突撃すんのはその後でもいいけど」 「あー、そうだなぁ。ノドは乾いてっけど後にしと……んっひ!」 「どうした? マサヒロ。なんか変だぜ?」 リョウタが言うように微妙に腰を屈めて顔を赤らめているのは奇妙だ。 「あっ! い、いや、ちょっとクソする時にきばり過ぎたかも知れないな。腹具合が微妙になってて」 「下痢? もう一回トイレ行っといた方が良くないか?」 ヒロキがマサヒロを心配してそう言うと、 「い、いや、うん! もう、別に、ああ、そんな感じでもないから……んぉっ! い、いいんだ、さっさと保健室の不思議にアタック、し、しよう、じゃん」 「そう? マジで行けるの?」 「お、おう! 行ける行ける! もう、良くなって来てるからさ!」 とは言うもののやっぱり尻の辺りを気にかけているようで、いつものマサヒロよりかは歯切れが悪い。 「んー、なら保健室に突撃してみよっか。ええと、七不思議では――」 リョウタのセリフを途中からヒロキが継いで口にした。 「ベッドが暖かいんだってさ。誰も使っていないのに」 「それってさ、絶対前に寝てたヤツの温もりが残ってたってパターンだよね?」 って言ってみたら 「あんま不思議は無さそうなのに、なんで不思議扱いされてんだろうな?」 マサヒロが俺の発言にかぶせ気味で素直な気持ちを吐いた。 「だよな? ベッドを使ったヤツの体温が長く残ってただけってハナシだしな」 「いや、それ、俺が先に言ったじゃん」リョウタに軽くツッコむ。 「さすがに今日はそんなコトもないんじゃない? 下校の指示が出てからかなり時間が経ってるし」 言いながらヒロキは保健室のドアをゆっくりと開けた。  ほのかに消毒液の匂いが漂っている。 電気を点ける訳にもいかないので暗い室内に目を慣れさせてから部屋の奥に向かう。 廊下にあるのと同じ赤い非常灯が点灯していたので思ったよりも真っ暗闇では無かった。 「……や、やっぱ独特の不気味さがあるよな?」 「なんだ? ビビってんの? マサヒロ」 「ち、ちげーよ! 解剖図とか、脳の模型とか、誰だって気味悪ぃじゃんか!」 慣れた目に見えてきたのは保健医の先生が座る机の前に貼られた人体解剖図や脳の模型だ。 「ヒロキ、あんまマサヒロをからかうなよ。俺だって一人だけであんなのを目にしたら昼でもビビるぞ?」 「ごめん、ごめん。そんなつもりは無かったんだ。俺も内心は気味悪いな、って思ってるからさ」 リョウタとマサヒロに軽く詫びるヒロキは話題の矛先を変えようとしてベッドを指差した。 「あれが七不思議のベッドかぁ。2台あるけどどっちなんだろ?」 ベッドコーナーを仕切るカーテンの中にはベッドが二つ。 どちらもシーツに乱れはなく、きちんと畳まれた毛布が上に乗っかっている。 マサヒロたちは順にシーツに手を当て暖かいかどうかを確かめていたが、三人ともすぐに興ざめした反応を露わにした。 「……別に、暖かくは無いな」 「どっちも普通じゃん」 「むしろ、ひんやりして気持ちイイな……」 生ぬるい空気に比べて少し冷たく感じる。 「てことは、保健室の七不思議については完全にガセだった、と言えるんじゃね?」 リョウタがつまらなさそうに言うとマサヒロやヒロキも同調した。 「だな。次行くか」 「ただの数合わせだったのかぁ」 シラケた雰囲気のまま保健室から出ようとすると、背後から「カタン」と物音が聞こえた。 窓から聞こえる風の音とは明らかに異なる音色。そして、音源は室内。 振り返ると、窓際の低い薬品棚に置かれていた救急箱の蓋が開いていた。 隙間風で揺れたカーテンが箱の蓋に当たったようだ。 放っておくと次にカーテンが触れた時に薬品棚から落ちるかもしれない。 「カーテンが届かないトコに移しておくか」 リョウタはそう言うと救急箱に向かった。 「――おおお!?」 蓋を閉じようと手を伸ばしたリョウタが奇妙な声を発した。 「うん?」 「どうしたの?」 「こ、コレ、マジか? 見てくれよ、ほら……」 リョウタは救急箱を持ってマサヒロとヒロキに中を見せた。 「うお!?」 「わ、スゴイじゃん!」 救急箱の中身は『コンドーム』だった。 ぎっしりと『コンドーム』が詰まっていたのだ。 「なんでこんなにゴムが入ってんの?」 「100個以上はあるんじゃね?」 一つずつバラバラに切り離された避妊具が大量に収まっている救急箱を前に皆は唖然としたけど、マサヒロは唇をニィっと歪めてリョウタやヒロキに一つの「思いつき」話した。 「お前らさ、自分のコンドームって持ってるか?」 ヒロキもリョウタも首を横に振った。 「なら、ここからちょいと貰っておこうぜ? これだけ大量にあるんだから少しくらい減ってても分らないだろうし」 一瞬顔を見合わせたリョウタとヒロキだったが、すぐにマサヒロの案に同意した。 救急箱から数個ずつコンドームを抜きポケットにしまった三人。 それで今度こそ保健室から去るのかと思いきや、立ち止まったまま三人同時に声を上げた。 「あのな?」 「なぁ?」 「ちょっといい?」 タイミングが合い過ぎて全員次の言葉が引っ込んでしまった。 「…………え、えっと、思い出したんだが――」 マサヒロが先に口を開いた。 「サ、サイズってのがあるらしいよな? だから、その、自分のチンポに合うかどうか確かめてみねぇ?」 ポケットにしまったコンドームをもう一度取り出したマサヒロ。 「そう。俺もそれを思い出して言おうとしてたんだ」 「俺も」 リョウタとヒロキが「へへっ」と笑う。 今、この場でコンドームのサイズが自身のチンポに丁度良いかどうかを確かめるなんて、少し変じゃないか? と指摘する者は居ない。 俺だって変だとは感じていなくてこの状況を「普通に」見ているだけだった。 三人はスラックスのチャックを下ろし、中からチンポを取り出した。 コンドームを着ける事を意識してなのか、すでに大きく勃起している。 そんな互いの勃起チンポをちらちら見ながらコンドームの封を切って中身を引っ張り出し、亀頭にあてがって ゆっくりと竿の根元へと薄い膜を下げ伸ばす。 「……キツクもなくゆるくも無い。ジャストフィットしてるぜ」 「凄い……。まるで何も着けてないみたいだ」 「サイズも丁度だし着け心地も最高だ。どこのメーカーのものなんだろう?」 コンドームが入っていた小袋に名前は書かれていなかった。 ただ、コンドームを着けた三人のチンポはますます激しく勃起し、興奮の熱気が股間からムラムラと立ち昇って行くのが目に見えるようでもあった。 「コレ、このままにしておけねぇよな?」 リョウタが股間を少し突き出しながらヒロキとマサヒロに言う。 「そうだよなぁ。さすがにこんななっちまったら出すしかないよな」 「うんうん。幸い俺ら三人だけだし、サクッと抜いておかない?」 「いやいや。三人じゃないだろ? 俺も居るじゃん。そりゃぁ、コンドーム着けてんのは3人だけどさ」と、言ってみた。 こうまで「蚊帳の外」感を出されたら俺だって少し傷つく。 「っ!?」 いきなりマサヒロがギョッとした顔で俺の方を見つめた。 「な、何? どうかしたの?」 マジな顔でじーっとこっちを見つめているから俺まで不安な気持ちになってしまう。 「……な、なぁ、あれ、見ろよ……」 マサヒロは視線だけで方向を示した。 どうも俺を見てギョッとしたんじゃなく、俺の背後にあるモノに驚いていたようだ。 「嘘? いったい誰?」 「……いつの間に?」 ヒロキもリョウタもマサヒロと同じように驚いて目を見開いている。 皆の視線を辿って俺も振り向いて見た。すると――。 「ええっ? さっきまで確かに誰も居なかったのに!?」 間仕切りのカーテンの奥にあるベッドで誰かが毛布を被って横になっているのだ。 そして、毛布の一部ががモゾモゾとリズムを刻むように動いている。 頭までスッポリと毛布を被っているのでどんな奴なのかはまるで分らないのだが、救急箱のコンドームでテンションが上がっていたとは言え、 どうやって俺たちに気付かれること無く保健室に入って来たんだろう? ドアが開けばさすがに誰かは気付きそうなものなのに。 「……あれってさ、やっぱ、シコってる?」 「……だよね。そうとしか見えない」 「て、ことは男か。俺らが居んのに大胆だな」 自分たちが今からナニをしようとしてたのかは綺麗さっぱり横において、ベッド上で自慰に耽る人物を皮肉る。 「居残ってた奴がいるなんて、想定外じゃん。ここはお互いに見て見ぬふり、がいいんじゃないか?」 マサヒロがそう言うと、 「いつから保健室に入っていたのか、が問題じゃね? 俺らが救急箱からゴムをパクってるとこを見てたのなら念のため口止めしといた方が良さそうだけどな」 「……つうかさ、オナニーに夢中で俺らの存在に気付いていないかも知れないよ?」 よく見れば毛布の動きはさっきよりも激しく、そして小さいながら喘ぐ声まで漏れ聞こえていた。 「……この声、やっぱ男じゃん。だいぶ溜まってたんだな」 ベッドでオナる男子の興奮が伝染したのか、マサヒロもリョウタもヒロキもやや萎えてしまっていたチンポに 再びエネルギーが充填されていた。 「……やっぱ誰なのか確認しておこうぜ。気になって仕方がねぇ」 ヒロキもマサヒロもリョウタの意見に肯いた。 俺たちに背を向けベッドの上で毛布を被ってオナってる奴の姿を見てやろうと、足音を立てない様そうっとベッドに近づく。 2m、1m、50cm……。 ハァハァ、と荒い息遣いと共に「んうっ! あっ!」と快感に悶える声が聞こえる。 リョウタが手を伸ばし毛布の端を掴んで、バッと持ち上げた! 「な!?」 「え!? ま、マジ?」 「う、嘘?」 持ち上げた毛布の中には『誰も居なかった』 どこに消えたのだろう? 確かにこのベッドの上で誰かがオナっていた筈だ。 毛布を端までずらしてみたものの誰も居ない。 俺もリョウタもマサヒロもヒロキも、何が何だか理解できず互いに顔を見合わせて、次にもう一度「もぬけの空」のベッドを見た。 すると、乱れたシーツの上に使用済みのコンドームを見つけた。 さっき毛布を引き上げた時に、こんなモノがあっただろうか? ヒロキがコンドームを摘まみ上げると、精液だまりには絶頂に達した証である性の吐瀉物がたっぷりと溜まっていた。 「凄い量だ。ずっしり大量じゃん……」 薄いコンドーム越しに大量の白濁液に触れたヒロキは「あったかい……ついさっき射精したばっかみたいだ」 と言う。 ますます意味が分からない。 誰がいつ、この場でオナニーをし、そして使用したコンドームを置いて行ったのか? 不可解なモノがもう一つ見つかった。 使用済みコンドームのあったベッドの周りを注意深く調べていたリョウタがベッドの下から一枚のメモ用紙を見つけたのだ。 「何か書いてある」 『月曜×黒岩 火曜×増田 水曜×山崎 木曜×春日 金曜×元田 一人2発まで』 「どう言う意味だろう?」 意味が分からず首をかしげていると、リョウタとマサヒロとヒロキは小さく「あっ」と息を飲んだ。 「え? 何々? なんか意味があるの?」 「これ、まさか……」 「レスリング部の?」 「で、でもさ、もう卒業して2年も経ってるじゃん」 「ど、どう言う事?」 俺の声が聞こえていないのか、三人は黙っていた。 「……けど、噂はやっぱりマジのハナシだった、って事じゃないか?」 「保健室でサカってたって噂、だよね?」 「レスリング部で主力の5人全員が、後輩の一人をオナホ代わりにして抜きまくってた、ってヤツだろ? 俺もちょっと聞いた事はあったけど、 部室じゃなくて保健室でヤッてたのかよ?」 俺もここまで聞いて思い出した。 レスリング部の先輩がエロい事を後輩相手にしているようだ、って噂。それも女子じゃなくて同じ男同士で、って。 噂はすぐに単なる下らないネタ話だったんだろうってことで流れ去り、先輩たち何事も無く卒業して行ったので、噂があった事すら忘れていた。 メモ用紙に書かれている名前は全員、当時噂に上がってたレスリング部の先輩たちの名前だ。 「実際にここでヤってたかどうかは置いといてさ、噂の件は2年も前のコトだぜ? なんでメモなんかが出てくるんだよ?」 少し冷静になったマサヒロがリョウタやヒロキに質した。 「うーん…………」 「そ、それは、ええと……」 『先輩たちとのセックスが忘れられなくて、卒業してしまった後は一人で思い出しながらオナニーで慰めていたからだよ』 不意にベッドの方からそんな声が聞こえてきた。 もちろん誰もいない。 しかし、何となく気配がある。ほんのりと温かな体温のようなものがヒト型の輪郭として感じられた。 そんな、ヒト型の輪郭が俺たちのそばにやって来ると、すっぽりと俺たちを包み込んだ。 「う、わ――」 「あっ、んっっ」 「お、……ん゛ん゛っ!」 コンドームを着けたままになっていたチンポにヌメヌメとした感触が伝わり、そしてそれは快感を帯びてカラダをゾクリと震わせた。 徐々に激しくなるチンポへの刺激。 明らかな意図を持って何者かに「弄ばれて」いるのだと理解した時にはすでに遅かった。 抵抗するよりも与えられる快楽に従い、呆然と立ち尽くしたまま凌辱を許すばかりであった。 ヌチュ、ズチュ、と粘つく音がしばらく鳴り響いた後、三人の男子たちは一斉に「うっ!」と呻いた。 腰をビクビクとさせコンドームの先端に白い粘液をビュルルと注ぎこむ。 ヒト型の輪郭はその様子に満足したのか、ふわりと温もりを解いてどこかへと消え去ってしまった。


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