俺たちの新しい七不思議 3
Added 2019-04-08 14:11:04 +0000 UTC3体育館の地下倉庫 第三の不思議が起きる場所。 それは体育館の地下にある体育倉庫だ。 西校舎を降り生ぬるい風を受けながら渡り廊下を抜けると体育館に到着する。 「今度は血の跡、だそうだけど、今日もそんなのが残ってんのかな?」 マサヒロが誰に言うともなく呟いた。 「まぁ、今度もおおかた誰かが体育用具を運ぼうとした時に怪我して血が出ちまった、程度のオチなんじゃね?」 「有り得るね。どうせそんなもんだよ」 リョウタとヒロキがへへっ、と笑いながら答えた。 だけど、マサヒロからは2、3歩下がった後ろに居て互いのモッコリとした股間を軽く撫でたり弾いたりしている。 マサヒロが振り向いたらその手をパッと戻して何もやっていないみたいな素振りを見せる。 体育館のドアは鍵が掛かっていなかった。 中はもっと暗かったけど微かに灯る非常灯の赤い光を頼りに壁伝いに進んで舞台に向かう。 すえた汗の臭い、なつかしい匂いが体を包む。 「おっ、ここも開きっぱなしだ」 先頭を進むマサヒロが舞台の脇にある地下倉庫の入り口に手を伸ばしていた。 引き戸になっている扉をスライドさせれば地下へ降りるスロープが伸びている。 更に暗いので足元をスマホで照らして降りてゆく。 すると、マットや跳び箱、ボールの入ったかごや卓球の台が所狭しと並んでいる体育倉庫へと到達した。 「でさ、どこに血の跡があったんだろうな」 第三の不思議は体育館の地下倉庫にはたびたび血の跡がある、だったもんね。 ヒロキもリョウタもマサヒロの問いかけには首を左右に振っている。 俺も詳しくは知らないのでこの倉庫のどこか、なんて答えられない。 「あるとしたら床に、だろうけど……」 みんなが下を見た。けど、こうも暗くちゃどれだけ凝視したって血どころか床の色さえ分からない。 「電気、点けてみようぜ。これじゃ見えねぇ」 リョウタの提案にヒロキも賛成した。 「地下だからさすがにバレないよ」 通風孔はあるけど窓の無い地下室だから、明るくしたって外からは見えないし大丈夫でしょ。 「だよな。ええと、電源のスイッチは、と――」 パチン、と音がして天井の蛍光灯が明るい光を放つ……かと思いきや、蛍光灯は点灯しない。 補助的な裸電球だけが点いてうっすらと周囲を明るくしただけだった。 「て言うか、明るくないな」 ヒロキも俺と同じ感想を口にした。 「無いよりはマシってレベルだな」 「別のトコにスイッチがあんのかな?」 そう呟きながら壁に沿って体育道具の山を掻き分けて足を運んでいたマサヒロが急に動きをピタリと止めた。 「…………嘘だろ、……どうしてこんなに……」 跳び箱の踏み台の先に行こうとしたまま固まってしまったマサヒロの異変に気づいたリョウタとヒロキがすぐにマサヒロの元へと駆け寄った。 「何かあったのか?」 「もしかして血の跡?」 「……いや、血じゃなくて、それ……」 「うお!?」 「ええっ!?」 見えたのは放置されたディルド――チンポを模倣した性玩具、いわゆるアダルトグッズだ。 そんなものが十本以上も転がっていた。 「誰がこんなもん持ち込んだんだ?」 「俺が知るかよ。つうかさ、どれも凄いデカくね?」 「そこ? 指摘すべき点はソコですか? リョウタ」 ヒロキがしゃがんで一本持ち上げた。 「なんかさぁ、ほんのり暖かいんですけどぉ?」 「マジで!?」 「マジかよ!?」 ヒロキが手にした20cm以上はある黒いディルドから水滴がポタッと落ちた。 ――? いや、水滴じゃなくて、これは……。 「おい! ヒロキ! それ、血だよ! 血! ディルドから血が落ちてる!」 「えっ? ――ひゃぁっ!」 ディルドの基底部から床に落ちたのは赤い鮮血。 そして、散乱しているディルドの下にも血が点々と窺える。 「き、気持ち悪ぃ~!」 ヒロキはすぐに手放し床に巨根ディルドがバウンドする。 だけど、ディルドから血が出ている訳では無いとすぐに分かった。 「考えたくはないけど、誰かがコイツを使った時に血が付いたんだ」 「一体誰なんだよ? こんなデカイのをケツん中に入れてたのは」 「え? マンコじゃなくてケツにか?」 リョウタが「あ……」と小さく叫んだ。 「もしかして、リョウタ、お前もこんなもんをケツに突っ込んで気持ち良くなったりしてんのか?」 マサヒロがリョウタをじろりと睨む。 「い、嫌だなぁ、たとえば、の話に決まってんじゃん。なぁ?」 リョウタから話を振られたヒロキもリョウタに同調した。 「そ、そうだよ~。さっきの、ほら、トイレで見た動画が頭に残ってるからそんなイメージで言っただけだって」 あからさまに調子を合わせているのが見え見えなものだから、マサヒロはリョウタだけじゃなくヒロキまで 訝しい目つきで見つめた。 「……まぁケツでもマンコでもこの際どっちだっていい。問題は、ついさっきまで誰かがここでエロい事して た、って事だ。もしかしたらその辺に隠れているんじゃね?」 言いながらマサヒロの目が体育道具の物陰や、棚の死角に向かう。 「だったらヤバイじゃん。新しい不思議を創る以前のハナシだよ」 ヒロキも疑心暗鬼の眼差しを薄暗い室内に飛ばした。 「でもさ、もし居たとしたらソイツだってココでナニしてたんだ、って事になっちまうから、お互い様じゃん?」 リョウタの言う通りで、アダルトグッズを学校に持ち込んで血が付着するほど使いまくってたとしたら、相当な変態だ。 俺たち全員、言いたいことがまとまらずしばらく無言になった。 その沈黙を破ったのはディルドの第一発見者だったマサヒロだ。 「…………第三の不思議ってのはコレなんだろ? 誰かが血が出るまでディルドとかでエロい事をしまくった後、片付けるまでの間に他のヤツに見られちまってた、みたいな」 「あ~、そうかもな~。て事は、今回だけじゃなく過去にもここでディルド遊びをしたヤツがいたんだろう」 リョウタがニヒヒと下卑た笑い声を立てた。 「――あれ? このジャージ……」 積まれた体操マットにもたれていたヒロキがマットの隙間から赤い布を引きずり出して広げた。 「うわ、野中のジャージじゃん」 「マジ? ――うわ~、マジで野中のジャージだ、こいつ見覚えあるよ……」 胸の部分に「野中」と刺繍が入っている赤いジャージだ。 ヒロキもリョウタも眉をひそめているのは「野中」と言う人物に対する嫌悪からだった。 野中と言う男は去年の夏休み前に退職した体育教師の一人だった。 退職した理由は俺たち生徒には伝えられていない。 『女子に手を出したのがバレた』や、『女の先生との不倫が校長にバレた』、或いは『男子生徒に手を出したのが生徒の親にバレた』なんて噂はいくつも飛び交って、 恰好の『ネタ』として生徒たちの間ではもち切りになっていた。 けれど、結局本当の退職理由は生徒たちに分からないまま夏休みに入ったため、ネタとしては下火になってしまった。 俺たちは野中の授業を直接受けた経験は無いのだけど、体格のデカさや屈強さを鼻にかけた威圧的な態度でもって、 とにかく評価が低かった。 「とっくに辞めた野中が体育館の地下倉庫に入り込んでいるとは考えにくいよな。つうことはさ、誰かが野中のジャージをパクってここに隠してた、ってことなんじゃないか?」 ヒロキから渡された赤いジャージを広げていたマサヒロは、自分の推理を言いながら何故かジャージに腕を通し、極当たり前のような顔で着こんでしまった。 「で、なんで着てんだ? 暑いだけだろ?」 「へ? なんで、って言われてもなぁ。何でだろう? 自分でも分かんねぇけど、まぁ、別にいいじゃん」 よく見るとマサヒロの股間が盛り上がっているようで、しきりにポジションを動かしていた。 「それで、どうする? まだこの辺りを調べてみる?」 ヒロキはもう十分じゃないか、と言葉を足した。 「だよなぁ、誰かがディルドでエッチぃ遊びをして出血してただけ、ってオチだったしな。マサヒロももうここは終わっても良いと思うだろ?」 「あ? あ、……ああ、そう、だな……」 リョウタから同意を求められたマサヒロは、少しぼんやりとした表情で返事を返した。 「そんじゃぁ、もう出ようぜ」 「おう……あ、悪ぃ、先に行っててくれ……、俺、片付けてから出るし……」 ジャージを着たままマサヒロは床に散らばるディルドをじっと見つめている。 「マサヒロが気にしないでも良いんじゃない? こんなの放っておこうぜ」 リョウタが面倒臭そうに言い、ヒロキも「どれも使った後みたいだし気持ち悪いじゃん。このままにしておこうよ」と、マサヒロを止める。 俺も「手を出さない方がいいんじゃない?」と、言ったけれどマサヒロは無反応だった。聞こえていなかったみたいだからしょうがないんだけど。 「いいんだって……。片付けてからすぐに追いかけるから、お前らは次の不思議スポットへ向かってくれ」 ぼんやりしてるかと思ったら、今度はかなりハッキリと告げた。 「そこまで言うんだったらそうすっけど。ほどほどにしとけよ?」 「第4の不思議って保健室だっけ? じゃぁ、ゆっくり保健室向かってるから急いでくれよ~」 「ああ、分かってるって」 リョウタとヒロキはマサヒロを残して地下の体育倉庫から出て行った。 俺もリョウタたちと一緒に一旦は体育館から出たけれど、マサヒロが心配になって途中で引き返して様子を見に来た。 「――ん゛っ! ぅ、ぐ、ぅぅ、んふ、う゛っ!」 マサヒロの呻き声だ。 地下倉庫のドアの隙間から聞こえてきた。 「マサヒロ! どうしたんだ!」 急いでドアを抜けてマサヒロの元に向かおうとした。だけど、俺の足は地下倉庫に一歩踏み込んだだけで、それ以上は進めなかった。 何故なら、マサヒロが赤いジャージを着たまま極太ディルドをケツに突っ込んで喘いでいたからだ。 「!? マ、マサヒロ……?」 俺の存在などお構いなく、赤いジャージに顔を埋めて臭いをスンスン嗅ぎながらディルドを抜き挿ししている。 「……はぁ、はぁ、野中、せんせぇ……、あ、ぃぃ、そのデッケェちんぽ、もっとぉ……」 まるでそこに野中が居て、野中のチンポで犯されて喜んでいるようなマサヒロ。 もしかしてマサヒロは前にもこんな事を野中からされていたのだろうか? 視線を感じて振り返ればリョウタとヒロキがドアの隙間からマサヒロの痴態を覗き見ている。 少しの間ニヤニヤと、奇妙な笑み浮かべてマサヒロのディルドアナニーを見ていた二人は、マサヒロに声をかけることも無く、ドアのそばから離れていった。