SamSuka
鷹取リュウゴ
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淫欲流星コンバーター 1

1彼方を目指す船  「……クヴェーラト、お前、また新しい玩具を買ったのか?」 亜空間自動航行時は特に何もやる事の無い搭乗員同士の会話だ。ただし彼らは共に地球の人間では無い。 姿はとても人間に似ているが決定的に異なる部分がある。 「前に買ったのは使えない代物だったんだ。ちゃんとフォーアーム仕様のモノを、って注文した筈なのに」 クヴェーラトと呼ばれた搭乗員は自身が口にした通り「4本の腕」を持っていたのだ。 「そいつは運が悪かったな。で、その使えない玩具はどうするんだ?」 「貰ってくれないか? ジェリエクス」 「冗談は止めてくれ。俺を殺す気か?」 ジェリエクスと呼ばれた搭乗員も腕が4本あった。 「冗談じゃないんだよ。もう俺の格納庫じゃ収まり切れなくってさ」 「そんなにか?」 「ああ。スリープポッドまで玩具で一杯になっちまって使用不能さ」 「そいつはマズイな。次の交替は36時間後だぞ? ポッドに入らないと細胞が崩壊するじゃないか」 「開拓惑星をこの目で見る前に死にたくはねぇなぁ」 「全員そう思っているんだがな」 彼らの搭乗する宇宙船は新しい惑星に移住するため十万の仲間を内包しながら航行している。 故郷である母星は、はるか後方の宇宙にてすでに滅びていた。老いた太陽の膨張に飲み込まれ、母星の全てが蒸発してしまったからだ。 「亜空間航行でも5千年かかる遥か彼方の新惑星なんざ目指さずとも、近傍にもいくつか候補があったのにな。 たとえば、ほら、その青い星」 クヴェーラトはホログラム計器の中で小さく光る青い色の惑星を指した。 「その惑星はダメだ。先住の知的生命がいる星にゃ立ち入らない、接触もしない、と委員会で決まったのを忘れたか?」 眉を顰めたジェリエクスが第二右腕でクヴェーラトの指を掴んだ。 「分かってるって。これはマジで冗談さ。俺だって委員会の提案に賛成した事は昨日のコトみたいに覚えてる」 「……だったら良い。俺もお前もあと36時間で交替だとは言え、この船の全てを預かる身だ。だからこそ 眠っている仲間を裏切るような発言は慎んでくれ」 「悪かった。気を付けるよ」 気まずい沈黙。計器の中、青い星を通過しようとする細かい光の粒子が雲のように見える。 その粒子一つ一つこそ彼らの宇宙船であり、万を越す大船団を形成しながら移住先の惑星へと進んでいるのだ。 ただし、船団は亜空間を進んでいるため通常空間に浮かぶ星々から認識される事は無い。 空気を改めるように朗らかな声でジェリエクスが尋ねた。 「んで? スリープポッドや格納庫のゴミはどうするんだ?」 「廃棄するしかないなぁ。でないと俺がスリープできず死んじまう」 「だったら急いでくれ。お前に死なれては俺も困る。新惑星に到着したらお前と生殖し、子を作る予定なんだからな」 「そうだ。俺たち家族になるんだもんな。お前と俺とで二人ずつ子を産んで、賑やかな6人家族に」 4つの手のひらを順に見つめるクヴェーラト。そこにまだ見ぬ我が子がいるかのように「ふっ」と微笑んだ。 「名前、もう決めてあるんだろ?」 「ああ。ジェリエクスみたいに逞しい◯◯◯人として育ってくれるように。……考えてある」 「実に楽しみだ」 「俺も」 「って! 和んでる場合か! クヴェーラト! 廃棄するんだったら早く廃棄して来い! 間に合わなくなっちまうぞ!」 「おっと。あと35時間しかないんだった。それじゃぁ、席を離れて悪いんだが例のガラクタどもを処分してくる」 一つ一つは小さく光る「点」として計器に表示されているが、宇宙船はそれぞれが十万の人間を乗せるに足る規模と、 5千年の亜空間航行を可能にできるエネルギープラントを搭載している巨大なものである。 船内に一つの都市が丸ごと収まっていると言っても過言ではない。 計器類の集中する「ブリッジ」からスリープポッドのあるエリアに移動するだけでも1時間は要する。 さらに、個人用格納庫へも1時間は見ておかなければならない。 往復だけで4時間は必要になるのだ。 「交替の時刻はどうにもできないからな。あと35時間後きっかりで次の生殖ペアが起床してここに来ちまう。 それまでに必ず戻ってくるんだぞ!」 引き継ぎ時は必ず両者とも揃っていなければならない。 「ああ! 急いで戻るから!」 2時間後、彼らの宇宙船から廃棄された様々なモノが亜空間領域から消え、通常の時間と物理法則が支配する宇宙空間に浮かび上がる。 廃棄物はやがて重力の網に絡めとられ、ゆっくりと青く光る星へ引き寄せられた。 そして、次々と大気圏へと飛び込み流星となって大地に落ちて行く。 多くは燃え尽き蒸発してしまうが、いくつかは燃え尽きずに地上へ降り注いだ。  太陽系、第三惑星、青く光る星、地球へ。 この物語は、 ある地球人青年が落下した流星の一つを手にした事から始まる、淫らで破廉恥なエロティック変身ストーリーである。


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