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鷹取リュウゴ
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淫欲流星コンバーター 7

7流星に堕ちる男  イベントスタッフのバイトを終えた「朝野 夕」、残業と上司の付き合いから解放された「細見 厚」 二人もまた『ゼクスパー』に融合した地球人である。  「おっしゃ! お疲れっした! 終電乗れそうなんでお先に失礼しまーす!」 某有名ゲームのフェス会場から急いで電車を乗り継ぎ帰宅しようとしていた朝野は、街灯のある明るい表通りに沿って歩いていた。 そんな朝野の前を黒い猫が横切った。 「ぉ! びっくりしたぁ! でも、かわいかったな~。まだ小さかったし子猫かな? あ、そうだ。もらい物だけどクッキーとか食べるかな?」 神社の繁みに入った猫を追い掛け朝野もまた神社の中に入った。 猫好きな朝野は小さな鳴き声を聞き逃すまいと耳をそばだてる。 すぐに「ニャ~」と聞こえた。 「お? あっちかな?」 リュックを前に回し、中からすぐにクッキーを取り出せるよう準備して静かに進む。 暗い地面、色合い的に見えにくい猫を探しながらゆっくり歩くと――「お! 居た!」 本殿ではなく小さな稲荷社の脇の砂地に、埋もれるような恰好で黒い猫がうずくまっているのが見えた。 「猫ちゃーん、お腹空いてないかい? クッキーなどいかがかな~?」 怯えさせないよう小声でささやきながらクッキーを取り出し小さく割った。 だが、黒い猫は動かない。 「あれ? やっぱクッキーにゃ興味無しかな? それとも、ヒトが怖いのかな?」 慎重に近づく。だが、動きは無い。逃げる気配も無い。 「――へ? 猫ちゃん、じゃないのか……」 暗がりだったため相当近づくまで気づかなかったが、それは、うずくまる黒い猫では無かった。 大気との摩擦で外殻が黒く焦げた『ゼクスパー』であった。 「何だろ? 黒いボール?」 何気なく触れた途端、『ゼクスパー』から中身がビュルッ! と溢れて朝野に飛びついた! 「ぬわぁっ!? な! な! な! なんだよ! コイツ! ぅおぶっ!」 逃げる間もなく朝野のカラダは肉色の触手に包まれ、有無を言わせず朝野と一体になる。  『融合完了』 こうして、『ゼクスパー』と朝野は完全に一つに融合した。  勤続4年目の細見が上司との「飲み」から逃れられた時には、自宅へ戻れる電車はとっくに無くなっていた。 仕方なくタクシーを拾って最寄りの住所を告げたものの、財布事情が寒々としていたため少し手前で降りることにした。 「まぁ、ちょっと歩くのだって酔い覚ましに丁度良いし。……しっかし、部長もセコイなぁ~。俺と割り勘だなんてさ。 自分から誘って来たくせに。ほんと、そんなに奢りたくないんだったら俺の安月給を先になんとかしてくれよ。 これじゃ残業したからって手元にちっとも残らないんだから」 タクシーから降りてボヤキながら歩く細見は、街区を跨ぐ規模になる大型マンションの建設予定地までやって来た。 細いロープと三角コーンが敷地の周囲を囲んでいるが、一年以上前から重機が数台あるだけでずっと更地の状態で放置されている。 「あ~、そういやぁ、この中を通りゃ近道じゃなかったっけか?」 アルコールが幾分残っていたせいだろう。実際には遠回りになってしまうのだが細見はロープを跨ぎ、ふらふらと建設予定地の中へと足を踏み入れた。 「う~、夜風で冷えるとションベンがしたくなるんだよな…、トイレ、トイレ……、マズいな、ダメだ、間に合わないぞ、こいつは」 自宅のトイレまでもたない、と膀胱が訴えた。 細見は仕方なく誰も周囲に居ない建設予定地の中で耐えがたい尿意を開放することにした。 鞄を置き錆びの浮かんだブルドーザーの陰に隠れて人目を避け、スラックスのフロントチャックを開く。 自慰を除けば3年以上排泄以外に使用されず寂し気にぶら下がるチンポを引っ張り出し、ブルルッと身震いを一つ挟む。 さぁ、解放の瞬間だ。 クッと突きだした腰と、さらに先にあるチンポの突端から小便が奔流となり放たれる。 「うひ~、あ~、出る出る~。さすがにビールばっか飲み過ぎたかもなぁ~」 普段よりも少し長い時間を要した小便の放出が終わってチンポをしまう。 そして鞄を取ってその場から離れようとした瞬間――「がっ! うわわ!」 細見は「何か」につまづき尻もちをついた。 「痛っててて~。あ~、くっそぉ~、泥だらけになっちまったじゃんか~。昨日クリーニングから戻ってきたばっかなのに~」 細見は自身に怪我がない事を認めると、スラックスの土を払って立ち上がろうとした。 が、時すでに遅し。つまづいた「何か」とは『ゼクスパー』だったのだ。 黒い殻の裂け目から肉色をした触手の蔓が細見の手首や足にヌメヌメと巻き付き、速やかにその拘束範囲を拡げる。 「は? 何だこりゃ? ……ぐは! んお! んぶふっ!?」 気付いた時には全身だけでは無く頭まで触手で侵され、次の悲鳴を上げる暇さえ与えず細見の肉体と混ざり合う。  『融合完了』 そして、『ゼクスパー』は細見を全て取り込み融合を遂げた。 朝野と細身、共に女性にのみ性的欲望を持つ男だったのだが、『ゼクスパー』との融合により男性にのみ興奮を覚え、男性だけを求めるカラダに変化した。 融合した直後、二人は意識を『ゼクスパー』に委ね、無意識のまま身だしなみを整えると自身の寝床のある場所へと移動する。 これは『ゼクスパー』との融合初期に起きる最適化行動の一つで「セーフモード」と言う。 融合によるショックからカラダと心を防御するため、本人の判断を待たず自動的に、半ば強制的に、安全な場所にて数時間の「スリープモード」へと移行させるための自動防御システムとして全ての『ゼクスパー』にあらかじめ備わっている。  さて、地球に落下した生殖機能拡張有機コンバーター・『ゼクスパー』は、「星輪 昴」「朝野 夕」「細見 厚」そして大学警備員の「尾張 初」の4人と融合した4機だけでは無い。 燃え尽きる事無く地上に到達した『ゼクスパー』であっても、機能を保てず起動すらできないほど大きなダメージを受けたモノはすぐに腐敗して跡形もなく消滅してしまった。 しかし、機能を有したまま生きている『ゼクスパー』は他にもまだ存在した。 例えば、昴が融合を果たした住宅街の公園にも、朝野が取り込まれた都心の神社にも、細見と反応した建設予定地にも、 或いは尾張と接触した大学構内にも。 大気との摩擦で焦げて爛れた外殻の隙間から鈍く脈打つ光を滲ませ、コンバート(変換)可能な知的生命体の到来を待っているのだった。


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