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鷹取リュウゴ
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粘土男の性事情  10粘土男の体験談報告

 仕事納めの日。 帰宅途上、ここ数日続いた残業疲れでウトウトしてしまったら、降りるべき停留所を逃して知らない場所でバスを降りる羽目になった。 だが、ここへ来たのは初めてじゃない。 降りた瞬間は知らない場所だと思っていたが、背後の雑貨屋を見たら思い出した。 「そうだ。ここだったんだ。『慰昆堂』があったのは」 次に戻れるバスが来るまではまたもや1時間もある。 迷わず俺は慰昆堂に入った。 「いらっしゃいませ。おや? 貴方でしたか。またいらっしゃって下さったんですね! ありがとうございます」 暖房の効いた店内には前回同様所狭しと色々な雑貨が並んでいる。 虫の入った大きな琥珀。ラテン語の古書に古伊万里の赤い絵皿。タロットカードの横にはアフリカっぽいお面。 「ええと、またお邪魔します」 「どうぞどうぞ。よろしければコーヒーはいかがですか?」 「頂きます」 紫色の蜘蛛が描かれたコーヒーカップが座ったカウンターテーブルにすっと置かれた。 ひと口飲めば心地よい香りとほのかに甘味さえ感じられる苦みが、舌の上をすっと通り抜ける。 「やっぱり美味しいですね。どんなコーヒー豆を使ってらっしゃるんです?」 「実は、ごく普通の、スーパーで売ってる安物なんです」 「全然、そんな感じしませんね。高級な銘柄の豆だとばかり」 「素材は見劣りしてても、丁寧に扱えば高級品に勝るとも劣らない風味を引き出せる。それがコーヒーの面白さなんですよ。 ところで――」 ニッコリと微笑む若いオーナーがじっと静かに俺を見た。 前回、商品を無料でもらう代わりにオーナーと交わした約束。あの後、俺の身に起きた体験を話させるため、 ワンクッション置いてくれたのだろう。 「この店を出て家に着いた俺は、早速オーナーから頂いたクレイゴーレムの粉末を口にしました」 オーナーは口を挟むことなく、俺に続きを促す。 改めてコーヒーを少し飲んでから、俺はそれから起こった様々な体験をオーナーに語りだした。 粘土と化した肉体をもてあそんだ親友に腹を立て、お灸を据えてやった事。 その時、何人か別の男の精液を取り込んだりして変身できるレパートリーを増やしてみたりもした。 結局、友人は改心し、心から反省したのが分かったので許してやった。 また、ひと目惚れした青年とめでたく結ばれ交際がスタートした事もオーナーに話す。 「それはそれは、おめでとうございます!」 「トキオと出会ったきっかけも俺のカラダが粘土になったからです。そして、付き合う事になった時にも俺の粘土のカラダがとても役に立ったんです。 アイツの、トキオの超巨根を受け止められたのも、カラダが粘土だったからですし。何もかもオーナーのお陰です」 「いえいえ。私は単にアイテムをお渡ししただけで。実際にそれを使う決断をしたのも、行動に移されたのも お客様なのです。根底にあった現状を打破したい、自分を変えたい、そんな思いがお客様を動かしたんです。 私がやった事など、些細な事でしかありません」 謙遜する若いオーナーに、俺は敢えて否定もせず肯定もしなかった。 このオーナーは俺の言いたい事などきっとお見通しだろう。余計な世辞などすべきではないのだ。 「他には、もう、ございませんか?」 「他に、と言うと?」 「その後、親友の方とはどうなられましたか? また、変身するレパートリーについても」 「そうですねぇ……」 翔との関係は、ぶっちゃけ肉体関係ありの親友になった。 トキオにも紹介して俺との関係を説明したら、「んじゃ俺とも仲良くして欲しいっす。もち、セックス込みで!」 と言い出した。 「いや、アイツは俺と違ってカラダは粘土じゃないから、トキオの巨大チンポは入らないぞ?」 「でも、素股だったらできるし、何も挿入だけがセックスじゃないっしょ? それに俺って、見られてるほうが 興奮するんで、横に居てもらうだけでも良いんすよ」、と。 翔に伝えるとひどく乗り気で「面白い奴だな。良いぜ。気に入った」と、即OKだった。 それと、変身できる人物はあの後も少しずつ増やし、今では10人になっている。 いずれもマッチョだったりイケメンだったり、チンポが人並み以上に立派だったり、俺が見込んだ上物ばかりだ。 今じゃカラダの一部を別のモノに変化させる事も自在にできるようになった。 「たとえばこんなふうに、ですね――んふ!」 右腕の袖をまくって力を込める。すると、五本の指がグニュギュブとくっついてひとつに固まり、表面の色を やや濃い目の褐色に変え、丸みのある先端からベロリと皮が剥けて小さくくびれた部分よりも引き戻されると、 くびれよりも先がムクムク膨らみ、立派なカリの段差を持ったデカい亀頭になった。 そして、デカい亀頭の先端に鈴口の裂け目が縦に入ると、陰茎と化した部分がさらに太くズルズル伸びて、 肘から先にメキメキと血管が浮き上がり、トキオのイチモツと同じ90cmの超巨大チンポになった。 変形による快感で鈴口からは透明な我慢汁がトロリと溢れ、ちゃんと刺激を与えれば気持ち良く射精可能だ。 「ほほぉ、これは確かに大きいですねぇ。じゃぁ、そんな立派なモノを見せて頂いたお礼に、私からもプレゼントを差し上げましょう」 若いオーナーはそう言うと、俺の腕チンポの尿道に白くて丸い飴玉のような物を突っ込んだ。 「ぬぉおおふ!? ふーっ、はふーっ、い、今のは何です?」 まさか、何の前触れも無く尿道の奥へ突っ込まれるとは思って無かったので、そのままゴクリとカラダに取り込んでしまった。 「今のは、精液を凝縮して結晶化させたモノなんです。ざっと30体分はあるでしょう」 「な! なんて事するんですか! そんなモノを取り込んじまったら、俺は、俺は……んぐふっ!?」 カラダ中にドクドクと拡がる様々な精液の味。 味だけでは無く精液を吐き出した者の肉体情報、そしてそいつの性的な記憶が次々と大量に流れ込み始めた! 「私の精液は入っていません。記憶や思考などは人間にお見せするようなものではありませんし。 ですが、今お渡しした結晶に含まれている精液は私が選び抜いた英雄、超人、魔人、魔獣ばかりですから、 色々とお楽しみ頂けるかと思います」 「ま、魔人!? 魔獣って!? モンスターの精液まで混じってるのかよ! そんなの俺、うお、っぐ、はぁ、はぁ、くっそ! ヤバ過ぎだろ! 何でそんなもんを俺に!」 「常識も、普段の自分もぶっ壊すほどの変革を味わうのでしたら、それぐらい変身できるほうが良いと思いませんか? ただ、ちょっとだけデメリットもありまして。意識をしっかりお持ちになっていないと自我が消える可能性があるんですよね」 「自我が消える!? そ、んなの! や、止め! ろっ! ぐふ! ぐが! あがはぁあああああああああああああ!」 あああ! 入って来る情報量が多すぎる! 待て! 待ってくれ! 整理ができない! 思考がまとまらない! カラダが! 変わる! 変化! 変えられちまう! 待てって! 変身する! 異形に! モンスターに!  止められねぇ! 額から角が突き出した!? と思ったら角は引っ込んで牙が生えた! なんだ?! 一瞬で牙が消えて尻尾? ケツから尻尾が生えてきた! 一本? いや、二本! じゃなくて何本も! 尻尾じゃないのもあるじゃないか! ヌルルって! 触手ってやつだぞこれ! ぬらぬら濡れた先っぽが亀頭みたくなってて気持ちいい! いや、気持ち良くなってる場合じゃ無ぇ! だけど! チンポを扱かれてるみたいでマジ気持ちイイ!  うぎゃぁあ! 顔が! 顔が牛みてぇになっちまってる! チンポが変形して巨大に勃起しちまう!   腹筋がボコボコ競り上がって! うわぁ! は、腹のど真ん中に目が! 眼球が! 腹筋を割ってメリメリと浮かんで!  腹に浮き出てきた目玉がオーナーを見ると―― 「お、オーナー! あんた、人間じゃなくて、く、蜘蛛? 蜘蛛の怪人だったのか!」 オーナーの「中身」が透けて見えた。 人の皮の下には複眼を持った蜘蛛の顔があった。オーナーは人間じゃ無かったのだ! 「そう言えば透視能力のある方の精液も含まれてたんでしたねぇ。敢えてお教えする必要はないと思いまして言ってませんでしたが、ご覧になったのでしたら仕方ありません。 おっしゃる通り、私は人間ではなく蜘蛛男なんです」 皮の下の蜘蛛の顔がニヤリと笑って牙を剥いた。 恐ろしくなって逃げようとしたものの強制変身がずっと続いていてカラダが自由に動かせない。 あと何人、いや、何体分の精液を吸収したらここから脱出できるんだ? そもそも、こんなに変身させられて 俺は、俺は、意識を保てるのか? 無事でいられるのか? 「うあ゛あ゛あ゛あ゛! か、カラダが! 銀色に? 融けるっ! 蕩けるっ! はひぃぃっ! なのに!  キモチイイッ! 凄ぇっ! ギボヂィィィィッ! う゛!? あ゛あ゛ーーーっ!  んひぃぃ! イ、イグ!イギソウッ! やぁっ! だめだぁっ! も、もう俺ぇっ! イ! イグゥッ! ィヤダァッ! うお! イグイグ! も! イグ! イ゛グゥゥゥーーーーーーーッ!」 恐怖と変身の快感と俺の意識と、混ざり合おうとする30体もの情報が遂に限界を超え、俺の脳が絶頂に達した。 「おや? イってしまわれたようですね? 風邪を引いたらいけませんし、店の奥で少し休んでて頂きましょう」 人のカタチなんかすっかり失ってぐにゃぐにゃ蠢く気味の悪い肉粘土の塊になっている俺を軽々と持ち上げた蜘蛛男は、 そのまま仕切りのカーテンをくぐって店の奥へと運んだ。 「ご安心を。取って食おうだなんて思ってません。再び目覚めるまでゆっくりなさってくださいね」 夢か現実か区別がつかないほど意識が快感に融けている俺の耳に、そんな言葉が聞こえた……、ような気がした。


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