淫交洞窟4
Added 2020-03-13 00:12:54 +0000 UTC4疑念 探検部は主に春と夏の長い休暇を利用して遠征するのが例年のパターンである。 特に、卒業を控えた4年生が居る場合は「追い出し」の意味も込めて最上級生のリクエストを最大限反映した行き先や内容になるよう調整される。 ただ、この年は部員に4年生が在籍しておらず、従って春の遠征は夏と同様に部員全員からの希望をできるだけ 聞いてから決定する流れとなっている。 そのような2大イベントとは別に、装備のチェックや各人の担当、また協力態勢の構築を図るべく小規模な探検を、連休を利用して何度か行っていた。 分かりやすく言い換えると「訓練」とも言う。 それ故、行き先はあまり遠くなく、それでいて怪我無く安全に鍛えられそうな場所を主に選択していた。 鹿屋と阿久根が陰交洞窟を提案した会議がお開きになった後、姶良を含む志布志、霧島の一年生3人は大学内の食堂で小腹を満たすべく早めの夕飯を食べていた。 「しかしさぁ、あの先輩たちがあそこまで段取り良く動くなんて、正直言って驚きだよな」 カレーライスを掬うスプーンをくるくると回して志布志が姶良と霧島に視線を向けた。 年齢より幼く見えるものの志布志は柔道の有段者であり、体格は一年生の中ではもっとも大きい。 「だよな。二人とも、どっちかって言うと言わなきゃやってくれないタイプだったのに」 ラーメンを啜る箸を止めた霧島の口調には驚きと同時にこれまでは若干軽んじていた素振りが窺える。 そんな霧島は探検部のウェブサイト管理を一人で任されるほどネットに強く、流行を含む様々な情報に通じている。 「さすがに先輩としての自覚が出て来たんじゃない? この春からは俺らが部を引っ張って行くんだ、みたいな」 牛丼にこれでもかと紅ショウガを乗せる姶良が素朴な期待感をこめて今回の会議を振り返った。 こうした姶良の誠実かつ配慮ある言動は探検部のみならず周囲を和ませるため、ある種の清涼剤、あるいは空気清浄器的な存在として誰からも可愛がられるキャラとして可愛がられている。 「だとしたら嬉しいんだけどな。部長も副部長もはっきりとは言わないけどさ、二年の中じゃ指宿先輩しかアテに出来ないのが悩みっぽい感じだったじゃん? けど、ここへ来て残りの二人も部に貢献できそうだと知って、マジで嬉しそうだったよな」 志布志のスプーンがカレーを持ち主の口許に運んだ。 枕崎部長と出水副部長が会議の終わりに見せた安堵の笑顔を思い出す。 「一番ホッとしてるのはその指宿先輩かもな」 鹿屋や阿久根と同じ二年の指宿は、あまり口数は多くないが率先して行動するタイプの性格だった。 そのため、自然と他の部員のフォローに回る役割を黙々とこなして来た。 特に、同じ学年のいささか頼りない鹿屋と阿久根を支える動きが誰の目にも明らかに多かったのだ。 また、体格的にも指宿は探検部で最もタフ、であった。 元々はラグビー強豪校として全国的に名高い高校のラグビー選手の一人だったのだが、高三の秋にアキレス腱を手術して以来 ドクターストップもあってラグビーの道を諦めた、と言う経歴の人物である。 ただ、諦めてからも可能な範囲での筋トレは欠かさず、探検部の中では最も頼りになる男として認められている。 一年生部員たちは、指宿がいずれ探検部の部長になるのだろう、と予想していた。 では、副部長は誰になるのかと想像するに、同じ二年の鹿屋か、それとも阿久根のどちらか、ではあるのだろうが、 どっちも「どうかなぁ?」と不安に思わずにはいられなかった。 きっと指宿も同じような思いを抱いているに違いない。 ところが、今回の会議では中心的な動きを見せ、事前に許可を取った上で探検候補地を提案してみせた。 この手際の良さ。 部長や副部長以上に指宿は嬉しく思ったに違いない――そのように後輩の三人は指宿の内心を推測していた。 「まぁ、本当に鹿屋先輩と阿久根先輩が『生まれ変わった』かどうかは、今度の洞窟探検でハッキリするんだろうな」 締めくくるように志布志が呟きカレーライスを口にすると、他の二人も肯いてから箸を動かした。 そうして、話題は次第に一年上の先輩の事から離れ、バイト先の不満や課題の多さについての愚痴へと切り替わって行った。 ◇ 自宅に戻った指宿は、後輩たちの会話をよそに大きな疑念を抱いていた。 (指示待ちばかりのアイツらが率先して許可を取るために動いた? 今まで一度もそんな事をしてこなかった二人だぞ?) 決して多いとは言えない部員数を維持するため、そして、探検部と言う居場所を守るため、不甲斐ない同期二人の世話を随分と焼いてきた指宿の目は誤魔化せない。 「……考えたくはないが、裏があるんじゃないか? 一度の説得程度で簡単に許可を出すとも思えんし」 阿久根と鹿屋が今回見せた行動力を称賛した時の部長、そして副部長の目の輝き。 後輩一年たち三人が向ける敬意のこもった眼差し。 指宿は、そんな和やかさが満ちた会議の場で水を差すような発言はすべきではない、と理解していた。 それでも一人になって改めて振り返ってみれば、鹿屋と阿久根の態度には大いに疑問を感じていた。 「いや、疑わしいと言うだけでアイツらを追及するなんてできん。何かしら冬休み中に心を改めるような何かがあったのかも知れないしな。それが何かは分からんが……」 自身の疑念を払うように頭を振る指宿。 きっとこれは邪推と言うものなんだろう、自身の狭量を恥ずべきだ、と強いて納得させた指宿。 実は、すでに阿久根と鹿屋は別の意味で「心が改まって」いたばかりか、肉体までもが全く別の存在に切り替わっていたなどと気付くはずは無かった。 ネガティブな思考を切り替え鹿屋と阿久根に対する見方を良い方向へとシフトさせた指宿であったが、この二日後、決定的に疑念を持たざるを得ない状況に遭遇してしまうのだが……。 ◇ 探検部の基礎的な準備やトレーニングはもっぱら部員それぞれに任されている。 目的地についての情報収集するもよし。重いバックパックに耐えられるようカラダを鍛えるもよし。 または、仲間内でコミュケーションを取るもよし。 つまり、自分で課題を見つけ、それに対して各人が取り組み乗り越えていくのが探検部の「トレーニング」である。 逆に言えば探検中に必要な体力やサバイバル能力については自己責任が基本であり、本人にとって荷が重いと判断されれば現地まで同行したとしても強制的にベースキャンプで待機、あるいは帰される事があり得る。 「探検と無謀は別物」 枕崎部長は事あるごとにこの言葉を口に出して言っていた。代々の部長に伝わる口伝に近い言葉である。 大学の設置と共に生まれた探検部。廃部になる事無く存在できたのは安全第一を旨に探検活動をして来た結果なのだ。 万が一取り返しのつかない事故や怪我人などを出してしまえばどのような結果を招くか。 言わずもがな、とはこの事であろう。 この日、トレーニングのため指宿が学内のジムに顔を出すと、志布志や姶良、霧島の一年生組と入れ違いになった。 「指宿先輩は今からなんすね? 俺らは一通りこなしたんでお先っす!」 「うっす。お疲れ」 短く返す指宿。 バイトをこなしつつも週に3度は筋トレに励む後輩を、指宿は頼もしく感じていた。 そんな指宿本人は週5で学内ジムに通い、更なる屈強さを身に付けようとカラダを鍛えていた。 熱心なリハビリの結果、大学進学前にすっかり回復したアキレス腱が支える脚は、手術する前よりも明らかに筋量が増し逞しく成長している。 「お? 指宿じゃん。日に日にマッチョになってくよな? どうだ? 今からでもウチの部に入らねぇ?」 学内のジムは誰でも自由に利用できる。 とは言え、一番の利用者は指宿に勧誘の声を掛けてきた「ボディビルディング部」の部員たちであった。 探検部とは異なり「ボディビルディング部」の部員は40人近い大所帯なのだ。 タンクトップから太い腕を覗かせ日焼けマシンで褐色に焼けた肌を見せる同学年のボディビルディング部員の誘いを「いつも通り」軽くかわし、 指宿はいつものルーティンをこなす。 二度と足を故障せぬよう、しっかりとしたストレッチから負荷の高いハードな筋トレに入る。 曜日ごとに鍛えるメインの部位を変え、効果を実感しながら筋肉を形づくる。 仕上げに再びストレッチを行い緊張をほぐせば、30分以内に持参していたプロテインを咽喉に流し込む。 高校時代に学んだ効果的な筋トレのやり方を実践し、元々は痩せがちだった体重を倍増させることに成功した過去を持つ指宿。 もちろん体脂肪は無駄に増やさず、しかしながらコンスタントにスタミナを保てる12%前後をキープさせている。 そんな指宿がシャワールームでかいた汗を流していると、聞き覚えのある声が耳に入った。 『――次のターゲットを決めておこうぜ? やっぱりガタイの良い奴からだよな』 (この声は、阿久根だな。アイツがジムに来るなんて珍しい。真面目にトレーニングする気になったんだろう) 『それでジムに、か? 分かりやすい奴だ。つーか、ただ単に物色しに来ただけだろ? 今夜の相手を』 (こっちは鹿屋か。……物色? 今夜の相手? いったい何のハナシだ?) シャワーの音に紛れ、ところどころ聞き取れない。 ただ、さすがにその気はなくとも盗み聞きしているような状態だと思った指宿は、すぐに二人に向けた意識を外した。 数分後、シャワーを浴び終え更衣室に戻ろうとした指宿は見てしまった。 鹿屋と阿久根が「同じ」シャワーブースに入って行くのを。 (何故だ? どうして一つのブースに一緒に入るんだ?) どうやら鹿屋と阿久根は指宿の存在に気付いていない。 違和感を覚えた指宿はシャワールームのドアを開閉し、その場から「去った」風を装った。 『……やべ、興奮が収まんねぇ。さっき見たボディビルディングの連中、マジ美味そうだった』 『俺もだ。中でも加治木が一番良かったよな? 今夜はアイツを頂こうぜ?』 加治木と呼ばれた人物は先ほど指宿をボディビルディング部に勧誘していた男であり、指宿の友人でもあった。 (どうして加治木の名が? 頂くってどう言う意味だ?) 足音を立てぬよう、息を潜めて二人が籠るシャワーブースに近づく。ヌチャッ、グチュッ、と粘つく音が次第に大きく聞こえ始める。 『――の前に、ヤる事ヤってキモチ良くなろうぜ。さっきまで入ってたヤツは丁度出て行ったみたいだしな』 『そうだな。万が一誰かにバレたとしても記憶を抜いちまえば問題無いしな』 (記憶を抜く? 何を言っているんだ?) 自身の気配を消しつつ感覚はしっかりと鹿屋と阿久根へと向ける。 粘着く卑猥な音が明瞭になり、喘ぐ声と淫らな息遣いから二人の行為が何なのかを指宿に悟らせる。 (アイツら男同士で? しかも、こんな場所で!? バレたらどうするんだ! ヤバい事やってる自覚は無いのか!) 二人が入ったシャワーブースを一つ隔てた掃除用具入れの中に指宿は隠れた。 シャワーブースとは異なりフルサイズの扉であるため全身が隠せる。その上、目の位置には空気を通す細い穴もあり視界がある程度は利く。 『んう、ああ、あ、相変わらず、ヤ、やらしいケツマンだぜ……。俺のチンポを咥えてもまだ奥へ引きずり込もうとしやがる……』 『んぐ、ふ、ぅあ、いい、もっと奥、に、そう、デカくして、奥まで、突いて、くれ、よ、あぐ、ぅ、ん、んっ!』 阿久根と鹿屋の行為を察した指宿もまた、いつの間にかムラムラと興奮を覚えていた。 野郎同士の交尾などに興味を持った事の無い指宿。ただ、そのような世界があるとの知識だけは持っていた。 (な、何故だ? なぜ俺が……、この俺まで興奮している? 嘘だろ? 俺は……、男になんか興味ねぇ! 女以外で勃起しちまうなんてあり得ねぇ!) 指宿自身は性に疎い訳では無い。普通に性欲もありオナニーもし、高校時代に童貞を捨てていた。 しかし、性的対象では無い同性の、しかも良く知る人物による淫らな行為を盗み聞きする事で自身も性的興奮状態に陥っているなど考えられない事であった。 掃除用具入れの中で指宿は自分自身に戸惑っていた。ひどく焦っていた。 自身の股間の昂りを鎮める方法が思い浮かばない。 鹿屋や阿久根のサカり合う声が火に油であった。いっそ彼らの声をオカズにして抜いてしまおうか? いや、それじゃぁまるで変態だ。とんでもない破廉恥野郎ではないか。 額から汗が滲み、それが足元に数滴、落ちた。指宿のチンポは痛いほど張り詰めていた。 『――? おい、ちょっと待て……。なんか聞こえなかったか? もしかして、誰か居るんじゃね?』 『うえ? マジで? だったら記憶を抜いちまわねぇとな』 (俺の存在がバレたのか? ヤバい!) シャワーブースから顔を出して周囲を窺っていた鹿屋と阿久根が、顔だけではなく完全に外へ出てきた。 「あれ? 誰も居ないな……。俺の気のせいか? それとも換気扇から水滴でも落ちたのか?」 探りながらシャワールームを行き来する二人を指宿は「覗き穴」を通して見てしまった。 (あ、アイツら!? どうしてあんなカラダに!? しかも、あんな、あんなにも巨大なチンポ!) 鹿屋と阿久根の肉体が凄まじく逞しいマッスルボディとなっている。 首から下は黒いラバースーツを着こみ、ボディビルダーの如くマッチョな肉体。 しかも、彼らの股間から屹立するチンポは顔に届きそうなほど長く伸び、脚のように太い。 目を奪われ息を飲む指宿。 黒い皮膜にピッタリ覆われたなまめかしい巨大チンポを揺らめかせ、二度三度シャワールームを往復する二人。 「やっぱ鹿屋の気のせいだろ? それよか、ほら、続き、ヤろうぜ?」 鈴口をグパァと拡げた阿久根がドプドプと透明な粘液を溢れさせた。 (どうしてだ? どうしてボディスーツを着ていながら先走りが溢れ出ている?) その直後、シャワールームの外からいくつかの足音が近づくのが聞こえた。 鹿屋と阿久根は無言でうなずき合い、別々のシャワーブースへ素早く潜り込んだ。 「――――それで、加治木さん! 今度の大会には間に合いそうなんすか?」 「順調! 順調! 次こそは優勝ねらってっから! ばっちり絞って前回以上の仕上がりにはなってやるぜ!」 「へっへーん、俺だって負けてませんから!」 ジムに居たボディビルディング部の部員が複数、トレーニングを終えてシャワールームへ入って来た。 「それにしても、加治木さんと話してたさっきの、ええと、指宿さんっすか? あの人も凄いバルクしてるっすよね~」 「だろ? 俺もそう思うから何回も声かけてんだけどさぁ、中々なびいてくれないんだよな~」 「それだけ探検部に思い入れがあるって事なんすかね? こっちに来れば絶対花形選手になれそうなのに、もったいないっすよねー」 そんな会話を交わした後、彼らは空いているシャワーブースに入った。 そして、入れ替わるように阿久根と鹿屋が表に出てきた。 そのカラダは先ほど目にしたようなマッチョな肉体では無く、股間に聳えていた黒いチンポもまた標準的なサイズへと小さくなっており、 そして、全身を覆う黒い皮膜はどこにも見当たらなかった。 「あれ? 何か変なニオイしねぇ? 生臭いつうか、ザーメンぽい、つうか」 髪を洗い始めた加治木が他のブースに居る部員に尋ねた。 「そんな事言うから勃起しちゃったじゃないっすか~!」 「やっべ! 最近ヌいてなかったから、ギンギンになっちゃったっすよ!」 「ははは! だったら一発ダしちまえ! 俺もヤバイからこのままシコってヌイておくぜ!」 阿久根と鹿屋は加治木の声がするブースをじっと見つめてからシャワールームから去って行った。 指宿は掃除用具入れの中で身じろぎもせずじっと佇んでいた。 やがて、加治木たちボディビルディング部の部員たちがシャワーとオナニーを済ませて外に出て行った。 指宿はようやく掃除用具入れから解放されたが、もう一度シャワーを浴び直した。 付いた埃や汗を流すため。何より、自身の股間を加治木たちと同じように落ち着かせるために。