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鷹取リュウゴ
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リンクディルドの可能性 1

1セールスマン  「いえいえ! お代は結構でございます! お試し期間のキャンペーンですので!」 品の良い笑顔をピシッとしたスーツに乗せた男はそう言って俺に渡して来た。 何を、って? 驚くなかれ、ディルドだ。 いわゆる「張り型」 男性器をかたどって作られた擬似ペニス。オナホと同じアダルトグッズの一つ。 男はセールスマンとして俺の所へ突然やって来た。 普段であれば玄関を開けずにお帰り頂くのだが、覗き穴から見えた姿が俺好みの領域(ストライクゾーン)にぴったり収まっていたもんだからつい扉を開けてしまった。 「最先端バイオテクノロジーの結晶と呼べる画期的商品となっております! 継続してご利用になりたい場合には使用料金を頂きますが、残念ながらご不要となりましたら料金は一切発生しません!」 自信たっぷりの笑みを湛えていてもセールスマンが置いたものは男根のレプリカである卑猥な玩具。 「つっても俺、ディルドを使う趣味は無いんですけど?」 興味はあるけど俺には使いどころのないシロモノだ。 自分のアナルを弄る気は無いし使える相手もいやしない。オナホであればまだマシなのに、と思っていると、 「いえいえ! こちらの新商品『リンクディルド』は様々な楽しみ方ができるアイテムなのです!」 「と、言うと?」 あ、しまった。 そろそろ会話を切ってお引き取り頂きたかったのに引っ張れるチャンスを与えてしまうなんて。 「こちら、既存のディルドと大きく異なるポイントの一つに『快感リンク』がございまして、 文字通り快感がお客様ご自身のペニスとリンクするのです」 他人の、ましてやスーツが似合うイケメンの口から「ペニス」なんてモロな単語が飛び出すと、聞いてるこっちが少なからず照れてしまう。 が、そこは顔に出さず、何でも無いように受け止める。演技。そう、演技だ。コマンド、「ポーカーフェイス」で防御を選択。 ただ、『快感リンク』なんてよく分からぬ単語に反応し切れなかった面も否めない。 「何でしたら実際にどのようなものか、この場でお試しされますか?」 笑顔を引っ込めじっと俺の目を見つめてきた。 不意打ちのマジ顔攻撃で俺の防御は呆気なく崩された。「イケメン+眼力」の破壊力、半端ねぇ! 「は? はぁ!? じ、っじじ、実際に、ここで使ってみろ、と?」 できるか! 玄関先で、他人の前で、ディルドなんて使えるか! 「うーん……、さようですか……。ご無理でしたら仕方ありません。となると、私が個人で使用している『リンクディルド』でもって実演して、その様子をお客様にご覧頂く――」 「いや! だから! 実演なんていいから!」 ジャケットを脱いでベルトに手を掛けるもんだから慌てて制止して、さすがにもうお引き取り頂いた。 セースルマンは酷く残念がっていたが、こんな展開AVドラマじゃあるまいし常識的に考えてヤバイだろう? で、玄関先に残されたのは『リンクディルド』なる性玩具と、一枚の名刺だけ。 【マインドロック(株) セールスエンゲージパーソン 安倍野 晴明(あべの はるあき)】 ディルドの箱をひっくり返すとペロン一枚簡単なチラシ兼トリセツと、現物の「チンポもどき」が浜辺に打ち上げられた海洋生物の如くボロンと横たわる。 見たところただのディルドにしか見えんのだが、どこが最先端なんだ? つうか、こう言うタイプのシロモノでお試し期間なんてアリなのか? 下着同様、カラダに直接触れるタイプのものって大抵は一度使ったら返品不可で再利用なんてしないのが普通なんじゃないのか? てか、衛生的に考えて未使用でも返品は無理じゃないのか? 「て、ことは結局そのまま継続利用、って扱いになるのか? うわ、やられた。やっぱ玄関に上げるんじゃ無かった」 無料とか言ってても結局上手に釣り上げられてんだから俺もまだまだ甘ちゃんだ。 チラシの利用料を見てみると月々500円との事。高くは無いけど長く使うとそれなりの金額になる。 お試し期間が終了次第すぐに解約の意志を伝えて料金が発生しないようにしよう。 「あれ? そういやお試しの期間ってのはいつまでなんだ?」 あのイケメンセールスマンは期限がいつかは言っていなかった。チラシにも書いていない。 三日なのか一週間なのか、あるいは一か月なのか。 電話で確かめる事もできたのだが、ついさっき追い返したばっかの相手に聞くのは気が引ける。 まぁ、たったの一日、二日、って短期間では無いと思うのでもう放っておこう。  後日あらためてお試しの期限がいつまでになっているかを確認するとして、最先端で、画期的で、バイオテクノロジーの結晶、と謳われていた極太ディルドを手に取ってじっくりチェックしてみる。 長さはおよそ30cm、太さは直径約6cm。弾力がリアルに近いからシリコン製だろう。 竿の部分は褐色で亀頭は濃い目のピンク色。竿には浮き出た血管が表現され根元の玉もちゃんと複雑な皺まで作りこまれている。 「太くて長い、随分とご立派なディルドだな。俺のに比べて2倍はある」 腕ほどもある巨根サイズのディルドだ。 竿に比例してビッグな玉の根元部分を下にして床に置くとしっかり自立してくれる。 付属の吸盤と合わせるとより一層強く固定できそうで、これならアナルに挿入する時に照準を合わせやすい。 ソロでアナニーを楽しみたい者には親切設計と言えよう。 「――てか、おれはアナルはやらんけどね」 トリセツを広げ肝心な部分だけをざっくりと目で追う。 「快感リンクを使用する時には、基底部のボタンを押しリンクする人のペニスに10秒間押し当ててください、と」 そうするとこのディルドはリンクモードになってリンクした人と感覚がリンクする、……と言うのだが。 「マジか? んなバカな」 リンクモードを終了する際にはもう一度リンクした人のチンポに押し当てながら基底部のボタンを押す、と書かれている。 「リンクモード中のリンクディルドはあなたの『もう一つのペニス』となります。お一人で使用されても、パートナーとご一緒の時も、すばらしい快感を感じる事ができるでしょう……って」 使用上の注意として 「ディルドには快感のみをリンクさせ苦痛は自動で遮断する便利な機能が付いております。 ただ、本体が壊れてしまうような大きな衝撃を受けた場合は遮断しきれず使用者に苦痛が伝わってしまいますので、 くれぐれもやさしくお取り扱い下さい」 だ、そうだ。 まぁ、大事に扱え、って事なんだろう。 ◇  オカズとして開いた動画サイトではイケメンセールスマンに似た男がソファに座って自分のブツをゆるゆると扱き上げている。 なめらかな肌は健康的に日に焼けていて、引き締まった肉体は薄く脂肪が乗ったエロマッチョなボディだ。 音量を上げれば粘着く吐息が聞こえ、相当興奮しているのが「ナマ」で伝わって来る。 そんなオナニー動画を流しつつ俺も股間をさらけ出してチンポを引きずり出す。 すでに半勃ちにまで膨らんでいたチンポは急速に角度と硬度を上げ、たちまちフル勃起状態になった。 で、いつもならこのまま扱き上げてフィニッシュ、と言う流れになるのだが今日は違う。 イケメンセールスマン推奨の逸品、『リンクディルド』を試してやるのだ。 「ええと、基底部のボタン? ……あ、あった。これか」 基底部を覆うシリコンの内部にコリっと突き出たスイッチの感触があったのでそれを押す。 すると、竿に大きく『ON』と光る文字浮かんだ後、『LINK』と点滅する文字へ切り替わった。 「点滅している間にディルドをチンポに密着させるんだっけか?」 俺の亀頭にディルドの亀頭をピタリとくっつけ「兜合わせ」にて触れ合わせる。 特に電流が走る訳でも無く普通に亀頭が別のモノに当たっているだけ、って感じだ。 「待ち時間は10秒だったよな?」 10秒程度なんてあっという間に過ぎる。 念のため脳内で20秒ほど数えて、それから自分のチンポと引き離す。 点滅していた『LINK』の光文字がすうっと消えた。 これで「リンクモード」に、なっている筈。 「うん? なんか暖かい気がする……」 手から体温が伝わった、にしては人肌の温もりが本物のように感じられるのだ。 しかもしっとりとした汗のような湿り気も。 さわさわと撫でてみると「――っふ! ぅおふ!?」 今のは? 今の感覚は何なんだ!? 全然チンポに触れて無いのに直接触れられた感覚があった! 「こ、これが、『快感リンク』ってことか!」 そう気づいて意識をより強くディルドに向けると、チンポはまだ握っていないのに握られている指の感覚まで感じられ始めた。 しかも―― 「……しかも、だ。少しづつサイズも変わってきちゃいませんか? 俺のチンポが……」


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