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鷹取リュウゴ
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俺と魔神とコックボアヒーロー 6

6強いモンスター? が現われた!  「え? 新作が描けない?」 3時間後、目を覚ましたサラリーマンは「綺羅」と名乗った。 「そうなんだよ~。いや~、ジャンルは決めたんだけどコレ! と言った新作の軸となるネタはなかなか思い付かなくてねぇ~。 だから気分転換もかねて前々からオファーを頂いてたテレビ番組に出演してみたんだけど、驚くほど周りが陽キャばっかでねぇ。 僕はこんなに新作に詰まって欝々と悩んでいるのになんでこいつらはこんなに明るく騒げるのだろう? って考えてたらどんどん落ち込んじゃって、気が付いたら公園のベンチでぼんやりしてたんだ」 差し出したミネラルウォーターをがぶがぶと飲んだかと思うとコンビニで買った焼きそばパンにばくりとかぶりついた。 「薄々気付いてたけど、もしかしてあなたは漫画家の『綺羅 朔也(きら さくや)』先生?」 「そうだよ? 君、僕の事知ってるんだ?」 「そりゃそうでしょ! 知っているに決まってるじゃありませんか!」 漫画家の「綺羅 朔也」と言えば10年前に発表した二作目が大ヒットしてアニメ化や映画化もされた超有名作品、『デビルズソード』の作者だ。 長く連載された『デビルズソード』そのものは去年惜しまれながらも最終回を迎え大好評の内に幕を閉じ、歴史に残る名作との評価を不動のモノにした。 そんな売れっ子で有名漫画家の先生が次の作品作りに悩んだだけであんなマリモ型モンスターに憑かれる事になるものなのか? もっと別の、深い悩みがあるのかも知れないけどさすがにそんなプライベートな事までは聞くに聞けない。 「さぁ、ひと息ついたようだしそろそろお帰り願うのが良いんじゃないか? 鉄也」 「そうだな。こんなとこに引き止めてたらそれこそ新作の妨げになるだろうし」 「ちょっと待って。君たちのお陰で凄く良いアイデアが出てきそうなんだよ! もう少しここに居させて欲しい! 頼むよ!」 手を合わせて拝む綺羅先生から離れ、俺は遠島だけをそばに寄せて小声で確かめた。 「……なぁ、どうする? あの先生ここに居たいらしいけど」 「俺はもちろん鉄也の意志を尊重するが、あの人間が居たら困るのは鉄也だろう?」 遠島がそうっと俺の股間を撫でた。 「ば、バカ。勃起しちまったらどうすんだ」 綺羅先生は俺のチンポに飲み込まれた事など覚えちゃいない。 モンスターに憑りつかれていたことも知らないのだ。 覚えているとしたら―― 「ところでさ、君たち正義のヒーローなんだろう? 僕を救うとか言っていたし。でも、気が付いたら君たちの部屋に運び込まれてて服だって僕のじゃない。 何だか気分がスッキリしたのは嬉しいんだけどもう少し説明って言うのかな? 僕に事情を話してはくれないかい?」 「い、いやぁ~、それって先生の夢とか空想じゃぁないっすか? 俺たちがヒーローとかそんなのあり得ないっしょ」 「誤魔化そうったってダメ。確かに僕は仕事上いろんな物事を空想するけれど、現実と夢との区別くらいできているし、何より、君たちのお陰で助けられたんだ、って言う強い確信みたいなものがあるんだ。 そんな恩人の事を何も知らず、お礼もせずに去るような真似はしたくはないんだよ。だから、隠さずに本当の事を教えて欲しい」 じっと俺の目を見て話す綺羅先生の意志は固そうだ。 ここで無理にお帰り願って後から勘繰られるのも後味が悪い。 「仕方がないな。先生、これから話すことは俺たちだけの秘密でお願いします」 「いいのか? 鉄也」 「ここまで言われたら話すしかないよ。綺羅先生なら何を聞いても俺たちに不利な行為はなさらないだろうし。 ねぇ、先生。そうですよね?」 「ああ、もちろんだ。誰にも口外しないし邪魔はしない、と約束するよ」 遠島は少し呆れ気味だったけど俺に任せる、と肩を叩いた。 俺は綺羅先生の前に立って皮膚と同化させていたヒーロースーツを浮き上がらせ、同時にいつもの体形からメガマッチョボディへと変身した。 「わわ! 確かにそうだ! あの時見たヒーローはこんな姿だったよ!」 少年のように顔を赤らめて俺のカラダの前に立ったり後ろに回ったりしてつぶさにチェックしている。 「す、凄い筋肉だ……、うわぁ、この背中の厚さたるや僕が描いた『剣のデビル』よりも分厚く盛り上がってるし、 腕もこんなに? 今すぐにでも模写させてもらいたいよ……」 「あ、あのー、先生? そろそろご説明差し上げてもよろしいっすか?」 「お! おっとぉ! ごめんごめん! とても興味深くってねぇ!」 すとんと座り直した綺羅先生に俺は改めて名乗った。 「俺は『ガルプマン』です。人間の目には見えないモンスターが先生に憑いていたのでソイツを除去させてもらいました」 「どうやって? どんな風にそのモンスターを退治してくれたんだい?」 「その部分も知りたいですか?」 「ああ、とても知りたい」 「本当に?」 「? 本当に知りたいんだけど、何かな? 知ると問題でもあるのかい?」 「問題があるとすれば、知った後で先生がどんなふうに思われるか、って事だけです」 「微妙な言い回しだね。もしかして知ってしまうと後悔するような話になるのかな?」 「その通りです」 「こう見えても僕は『デビルズソード』と言う作品を通して正義とは何か、正しさとは何かをいつも世に問い 自身でも考えてきたつもりだ。一見悪に見えても実は人を救う尊い行いなのだ、というシーンを何度描いたことか。 だから、怯むこと無く教えてもらいたい。 聞いたくらいで僕の感謝の気持ちは揺らいだりしないさ」 「じゃぁ、お話します。実は――」 ヒーロースーツの股間部分を撫でてチンポに快感の火を点ける。 すると、メリメリ、バキバキと勃起したイチモツが突き出したちまち視界のほとんどを肉色に染めた。 「おおおーーーー!? な、なに? なんだいこりゃ! ま、まさかとは思うけど、これ、これって……」 「俺のペニス、チンポです。マジで勃起させると長さ2m、直径40cmくらいのデカさになるんです。 そして、このチンポで綺羅先生とモンスターを丸ごと飲み込み、俺の玉袋の中でモンスターだけを消滅させたのです。 先生の服まで消しちまったのは俺のミスですが」 「いやいやいや! 凄い! 凄いよキミ! ええと、鉄也くん、じゃなくて『ガルプマン』だったよねぇ! チンポで僕を丸ごと飲み込んだ!? ハハッ! いやまったく僕の想像をはるかに超えていたよ! 実に素晴らしい!」 散々俺のチンポや対処方法を褒めちぎったかと思うと、いきなり黙り込んでしまった。 「せ、先生?」 「……やはり僕の勘は正しかったんだ。ここに居れば、君たちと居れば、良いアイデアが浮かんできそうだ、って言っただろう? そしてこの巨大なペニスと本物のヒーロー、と来たもんだ! こんなのアイデアの、ネタの宝庫じゃぁないか! よし決めた! 決めたぞ! やっぱり僕はここで新作の構想を練ることにする! いやなに食事や寝床の心配はいらないから。 それぐらい自力で何とでもするからさ」 綺羅先生は鞄からスマホを取り出しいずこかへ電話をかけた。 「あ! 氷上くん? ちょっとお願いがあるんだけど……。は? 場所? 僕の? いや、今それどころじゃないんだよ。大至急、急いで準備をお願いしたい。お金なら必要な分だけ使っちゃっていいから。 あ、領収書は取っておいてね? 来年の確定申告の時に必要になるので」 スマホを置いた綺羅先生は確かにこう言ったんだ。 「僕の新作作りに協力してくれたら感謝の気持ちとしてお金を受け取ってもらいたいんだ。 僕を助けてくれたって部分も加味して、そうだなぁ――」 綺羅先生が人差し指をピンと立てた。 「一万、すか?」 首を左右に振った。 「じゃぁ、10万?」 「感謝の気持ちはそんなもんじゃないよ」 「もしかして100万っすか!?」 そんな大金、もらっちまっていいのか? 「違う違う。これは一億、と言う意味だ。これでも少なすぎると僕は思っているんだけどね」 あまりに桁違いの金額を聞いて俺のチンポはギュルル! と縮んでしまった。 タマごとスーツの中にズプン、と潜り込みモッコリとした膨らみさえ見えないほどに。 「無理、無理無理。そ、そんな大金、受け取れないです……、先生こそ何を考えてらっしゃるんですか? 俺はこう見えてただの学生で、今日初めてヒーローとして人助けをした未熟な青二才ヒーローなんですよ?」 「僕が初めて!? そうかぁ! 光栄だなぁ~! ガルプマンに救われた最初の人間が僕だなんてさ! となると君たちの活動や成長を見ていくだけで僕にとって新作の基本は完成するんじゃないか?」 と、ここで今まで黙っていた遠島が口を挟んだ。 「新作、新作と言っておられますがね綺羅先生。常識的に考えてコックボアするヒーローだとか、アナルで快感を貪っちまうヒーローなんて世間は受け入れてはくれないんじゃないですか? 俺たちの事をネタにしたって先生のお名前に傷がつくだけです。こんなの考えるまでも無い、と思うんですがねぇ」 「いいや、違うね。遠島クン、だったかな? 君は僕がどんなジャンルの新作を描くつもりなのか知っているのかい?」 「そんなの知る訳が無いじゃないですか」 「だよね? 僕もまだ極々一部の人にしか言っていないんだけど、次の新作はBL、男同士の濃厚セックスを軸に据えた作品を描くつもりなんだ」 「は?」 「は?」 俺と遠島が同時に疑問符を吐いた。 「僕ももう31歳、そろそろ自分に正直に生きてみようか、って考えていたんだ。 でもほら、なまじ王道少年誌で成功しちゃったから皆の期待もたいてい同じ流れ、『デビルズソード』みたいな 勧善懲悪バトル漫画を求めている。 でも、最終回を描き終わって次に何を描こうか、って思った時、やっぱり自分の気持ちに正直に、自分の好きなモノを素直に表現していきたい、って、そんな望みが次第に大きくなったんだ」 要するに、何を言いたいのだろうか? 「僕は男が好き。男のカラダやチンポにとても興奮するし男同士でのセックスも好き。君たちもそうなんだろう? 見ていれば分かるよ。だって僕もそうなんだから」 有名漫画家先生の爆弾発言キター!  とか茶化して良い場合じゃ無いのは分かっているが、脳内で奇妙にもそんな字幕がドーンと打ち上がっていた。 遠島も反応に困って固まっている。従魔とは言え物事に対する感覚は俺や一般人と変わりないんだし。そりゃそうなるよ。 俺だって先生のカミングアウトに対しなんて答えりゃいいか、なんて返すべきか探しあぐねているのだし。  いきなり「トントン」、とノックする音が聞こえた。 空耳かな? と思っているとまたもやノックの音がした。空耳なんかじゃない。誰か知らないけど訪問者が玄関の前にやって来たんだ! 「あ、氷上くんかな? さすが彼は仕事が早いな~」 いそいそと玄関まで出迎えにいった綺羅先生は、一言二言会話を交わしたかと思うとすぐにドアを閉じて俺たちの前に戻って来た。 「はい、これ」 「なんすか?」 「1億円の小切手だけど」 「は?」 「は?」 これで何度目? 俺と遠島が同時に「は?」って言うのは。 「現金の方が良かったかな?」 「いやいやいや! そう言う意味じゃないって!」 「あ、そう? じゃぁ、熨斗も付けず裸で渡しちゃって申し訳ないんだけど、そちらをお納めください。 それとですね、このアパートを僕の第二スタジオとして買収しました」 「買収? いつの間に!?」 「氷上くんは凄く優秀なマネージャーでね。僕のスマホから位置を特定しちゃうし希望を伝えると大抵はその通りにしてくれるんだ。本当に優秀だよね!」 優秀って単語を二度も重ねているけど、そう言う意味で聞いたんじゃない。 「それと、ちょっぴり使いやすいようリフォームさせてもらうよ? もうすぐ工事の業者さんが来るだろうけど、工事中は僕の第一スタジオを提供するから」 「は?」 「はぁぁああ?」 もしかしてモンスターってのは『魔罹耗』の方じゃ無くて「綺羅 朔也」じゃぁないのか?  「いやぁ~! 本物のヒーローと一緒に過ごせるだなんて、僕はなんてラッキーなんだ! しかもこんな超巨根を持ってて筋肉も素晴らしいだなんて! 僕は今! 猛烈にインスピレーションを刺激されまくっちゃってるよぉぉ!」


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