7淫魔・セルグロン 腕がビキビキと膨張し着ていたジャケットがバリバリ引き裂かれていく。 背中がゴキッ! ボゴォッ! と盛り上がり分厚い背筋へと変化する。 見る間に首が太くなり肩が、胸が、腹筋が、あらゆる筋肉がボコボコ隆起し発達した。 ベルトがバツン! と弾け飛んで太ももがグングン太くなっていく。 全身がいかついマッチョボディになったかと思うと額の左右に牛のような太い角がズブズブ生え、尻の上からは黒い尻尾がズルンと伸びる。 「むっはぁぁ~! んんんう゛んんーーーっ!」 前屈みになった背中の中央部に二つの瘤がボコッ、ボコッ、と生まれたかと思うと瘤の中から二本の黒い「腕」がズチュゥッ! グチュゥゥッ! と左右に展開し、 その新たに生えた「腕」から黒い膜が拡がると蝙蝠のような翼になっていった。 「んっふうぅ~~。と、言う訳でこれが僕の正体。淫魔・セルグロンです~」 童顔マッチョ。それがひと目見た印象。 次に目を惹くのはやはり角や尻尾や翼。 さらには肌の色が青く、股間にぶら下がる巨大なペニスは紫色を見せている。 ここまでの変化を目の前で見せつけられたのだから、こいつが人間では無く淫魔だと認めざるを得ない。 しかし、だ―― 「淫魔? インキュバスって奴か? セルグロン?」 「そうなんですよ~。驚かせちゃってごめん~。僕の名はセルグロン。まだ淫魔としては半人前で~、人間界には体験留学っぽい感じでお邪魔しています~」 「聞きたい事は山ほどある。が、それは今は置いておいて、なぁ頼む! 淫魔でも悪魔でもなんでもいいから圭太を! 圭太をなんとかしてやってくれ! 元に戻してやってくれよ!」 マッチョな童顔淫魔に俺は伏して頼み込んだ。 「困ったなぁ~。僕があのオナホを創ったから言えるんだけど~、オナホで開発あるいは変化しちゃった性器は基本、戻せないんだよねぇ~」 「だったらどうすりゃいいんだよ!」 思わず叫んだ。オナホは取り戻せないのだから圭太は開発され続けるってことだろ! 「女性器をイメージしてオナホを使ったとしても数日程度であそこまで開発が進んで行くなんてあり得ない、と言うか想定外なんですよ~。 藤堂さんだってそうでしょう? 淫魔でも無い人間が休みなくオナホを使い続けるなんて出来ますか~?」 「それは……」 不可能だ。精力が飛躍的にアップしたとしても休みなく二日も三日もオナニーし続けられる訳が無い。 「とは言え、『コネクト・ディベロッパー』を使用している犯人は淫魔、かと言うとそうでは無いと思います~」 「何故だ? なぜそう思うんだよ?」 「だってだって、淫魔であれば人間から精を頂いちゃうのを優先しますんで~、オナホを使って自らの精力を消耗するなんてハッキリ言って無駄なんですよ~。 そんなヒマがあるなら人間を誘惑して精液を頂いちゃいます~」 「とするとお前もか?」 「はい~。僕も人間の精液が大好物なのです~。でも、僕はあまり誘惑術が上手くないので~、オナホを通じて精力をつまみ食いさせてもらっているんです~」 「つまみ食い?」 「人間がオナホに射精した内の1割程度を性エネルギーとして僕に送るように作られたのが『コネクト・ディベロッパー』と言うコネクトシリーズですね~」 そこから淫魔セルグロンの「真の」オナホ説明が始まった。 オナホを使えば使う程、精力が上がって行く事。 誰かを開発する場合、使用者のイメージが重要だが、開発される者は最初にオナホへイメージを植え付け記憶された者になる事。 「チンポが大きくなったり性欲や精液の量が増えるのはまぁ、『コネクト』シリーズ以外のオナホにもある基本性能なんです~」 オナホを使う時に女性器をイメージしてイクと、そのイメージが圭太に流れ込み徐々に圭太のアナルがマンコになっていくのだ、と。 開発を止めるにはオナホの使用を止めるかオナホを破壊するのが一番有効である事。 「もしくは、もうこれ以上開発できない、開発し尽した状態になっちゃうと~、止まる訳なんですが~」 「……まさか、圭太は女になっちまうのか?」 「いえいえ。そんなことは無いですね~。男の体のままなんですけど、アナルがマンコになったり子宮ができたりしちゃうんです~」 「は!? 子宮だと?」 「そうです~。子宮です~。それも『開発された子宮』になりますので、普通の人間の子宮とはかなり違うものになるかと~」 もはや俺は言葉が出なくなっていた。 淫魔・セルグロンの説明を聞いても圭太は元通りにならない、としか受け取れないからだ。 「それにしてもこのスピード、この短期間でこんなにも開発が進むなんて……。たとえアナルからヴァギナ化への上書き開発だとしてもちょーっと考えられない早さなんですよねぇ~」 「……だが、淫魔が使っているとも思えないのだろう?」 「そうなんですよ~。淫魔にとってはオナホなど興味がそそられたとしても、一回イけばバカバカしくなって使わなくなるでしょうねぇ~。 何せメリットがゼロなので~。 僕みたいにオナホを創り出す淫魔でも自分で使う気はまったくありませんから~。あれはあくまで使う人間から精力を掠め盗る、もとい、精力を頂戴するための淫魔具ですからねぇ~」 「失くしちまったのは俺のせいだが、圭太をこんな状態になるまで追い詰めているのはオナホを創ったお前の責任でもある。 なので、何とかしろ。 オナホがあっても元に戻せないと言っていたが、せめて圭太がこれ以上苦しまないようにしてくれよ」 快感地獄で仕事も日常生活もままならないなんて、苦痛以外の何物でも無い。 正直言ってセルグロンに責任があるかどうかは分からない。 そもそも、俺の邪(よこしま)な欲望を叶えるためにセルグロンはふさわしい提案とアイテムを寄越しただけ、とも言える。 だがそれでも、理屈を曲げてでも俺は圭太を何とかしてやりたい。 淫魔が相手だろうが使える手は何でも使ってやる。 「そこまで言われちゃうと仕方がないなぁ~」 紫色の巨根をビクビク震わせニヒヒとセルグロンが笑った。 「半人前の僕じゃこんな方法しか思いつかないけど、それでも構わないかな~?」 俺は、圭太が助かるのなら「もちろん」と、首を縦に振った。