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鷹取リュウゴ
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年男ふれきしぶる 1

1・俺、山中で道に迷う  「参ったな……。ここはいったいどこ、なんだ?」 新しい年の一番最初の日、元旦にご来光を仰ぎ見ようと思い立ち、俺の体力でも問題無く登れそうな程よい高さの山に来た。  【かんなび山 ファミリーハイキングコース】 「おっかしいなぁ……。道しるべの通りに登って来た筈なんだがなぁ」 登り始めて一時間。一向に山頂に到着しない。 それほどキツイ登り道じゃない。 空には明るい月が浮かんでいて懐中電灯で照らすよりも足元をくっきり見せてくれる。 途中に設けられている展望台から麓の街並みを見下ろせば、「今年」最初の夜更かしを楽しむ家々の明かりが星のように輝いている。 展望台からだとゆっくり登ってもあと30分程度で山頂に到着する――筈なのだが……。 朽ちかけた古い鳥居をくぐって、六体並んだ地蔵の前を過ぎ、小さな川にかかる朱塗りの太鼓橋を渡って……って、山頂に至る前にそんなポイントを通るとか案内看板に書いてあったかな? 引き返して確かめようとしたら戻るべき道に深い霧が立ち込めていて先が見えない。 来る時には霧なんか少しも出ていなかったのだけど、誤って川に落ちる危険性もあるだろうし、まずはこのまま山頂目指して先へと進む。 さら進むこと一時間。 「やっぱりおかしいな。もうすぐ日の出の時間なのにまだ真っ暗だなんて……」 奇妙なのは月の位置が少しも動いていないように見える。 市街地のそばにある低い山で迷いようがないほど遊歩道やハイキング道が整備されている開けた山なのに。 不安を募らせながらもう少しだけ、と進んで行くと繁みの向こうに光が二つ。 「ああ、良かった~。ようやくゴールに着いたのか……、あ、あれ?」 大きな鳥居の前に到着した。明かりは鳥居の柱に結ばれた提灯だった。 山の頂ではなく、立派な神社の境内に着いてしまった。 「山頂までのハイキングコースにこんな大きな神社があるとは書いていなかったよな? それに、とっくに元日になってるってのに正月らしさが微塵も無い」 新年を祝う飾りや看板も無いし未明から来る参拝客の姿も無い。シンと静まり過ぎていて何だか不気味だ。 『――おんやぁ? もしかして貴方、今年の年男さんで?』 「ふわぁっ!?」 急に声がしたもんだから思わず驚いて飛び退いてしまった。 「あんらら、驚かせちゃってごめんなさ~い。おいらはこのお社に勤めている者であやしい者じゃござんせんよぉ」 「へ? この神社で働いているのかい?」 提灯を持った神職らしい狩衣姿。頭に烏帽子も乗せている。この少年が神主さんなのか? 「はいな。おいらは年奉持(としほうじ)の子津(ねづ)って者でござんす。そろそろ今年の年神様にお仕えする最後の年男さんが現われる頃合いでしたんで様子を見に来たんでござんすよ」 神社の労働環境はよく分からないけどこんな真夜中、ってか未明に神主として働くにしては少々どころか凄く若い。 中学生がいいところの少年じゃないか。 神職の衣装がとてもよく似合う美少年だけど搾取されてはいませんか? 「そもそも、ここはなんて言う神社なんだい?」 「あらまぁ、知らずにこのお社に辿り着いたんでござんすか? いと珍しや。でもでも、これもまた奇しきご縁と言うんでしょうねぇ」 「初詣の前に山頂からご来光を拝む予定だったんだ。なのに道を間違えたみたいで」 「道を間違えた程度ではこのお社にゃ辿り着きません。きっと年神様のお導きでござんす。して貴方、ご年齢はおいくつで?」 「俺? 俺は23だけど」 「丑年のお生まれ?」 「そうだね」 「数えじゃ24歳でござんすね?」 「うん、まぁ――、って俺の年齢とか干支が何か関係あるのかい?」 「ほうらやっぱり年男じゃござんせんか貴方。なら年神様に招かれたに違いありません。ささ、こちらへ。貴方で最後になるんです。先ほどから年神様が首を長~くしてお待ちでござんすよ」 子津と名乗った少年神主が俺の手を引いて暗い境内をずんずん歩いて行く。 困惑する俺に構わず玉砂利の音を響かせ、檜皮葺の社殿の一つに入ってしまう。 「あ、あの、俺、別にここに来る予定も無ければ、年男、なんてのとも違うんだけど~」 「さぁ、どうぞ。履物をこちらへ。お荷物も預からせて頂きますね」 パッパッと靴を脱がされ背負っていたリュックも奪われた。 「あ、それ、財布やスマホも入ってるんで勝手に――」 「心配ご無用。大丈夫でござんすよ。お帰りの際には全てそのまま、ちゃぁんとお返ししますんで。それよりもまずは身を清めて穢れを除かないといけません。 特に、ここに溜まっている不浄はしっかり吐き出して頂きませんと」 子津が俺の股間をテシテシと叩いた。 「な!? ど、どこ触ってんだよぉ~!」 「では、こちらへお上り下さい。禊ぎ祓いは基本の中の基本。チュウ心であり根本でござんす」 抗議の声を完全スルーした子津は『祓殿』と書かれた扁額がかかる扉を開けて俺を強引に引き込んだ。 「いやあの、だから、俺、山頂目指してハイキングしてただけで、初詣はご来光を拝んだ後にしようって決めてたんだけど!」 「さっきから何をおっしゃってるんです? 今年の年神様にきちんとご奉斎してこそ丑年の『年男』さんじゃぁござんせんか。さぁ、こちらの形代(かたしろ)にお名前を。誕生日は漢字で書いて下さいな」 どこから取り出したのか、墨の含んだ筆と人のカタチを模した白い紙を俺に突き出しすぐに書いてくれと言う。 他の神職の人は見当たらないし子津って言う子はちっともこっちの話を聞ききゃしない。 「書いたらすぐに出て行くからな」 渋々「形代」だと言う紙を受け取り名前と誕生日を書き込んだ。 「ほうほう、『牛窓 源我』(うしまど げんが)さん、 十二月三十一日、大晦日のお生まれで?」 「だから、今年の大晦日まではまだ23だけど」 「なるほどねぇ~。丑年のお生まれながらこちらにお見えになるのがこんなに遅かったのは一年の一番最後の日が誕生日だったからなんですかねぇ~」 「は? 何だそれ?」 生まれた日によってこの神社に来るタイミングが違うとでも言いたげな。 「ま、それよりもちゃちゃっと穢れを祓っちゃいましょ。いつまでも時を止めておくわけにも行きませんし」 もしかしてこの子津って子は少々オツムがあれ、なのか、あるいは漫画と現実がごちゃまぜになっちゃっているのだろうか? パッと見た感じ利口そうなのに残念な美少年なのか? ぶつぶつと何やら呪文めいた言葉を呟いてから俺の名が書かれた形代にふぅ、と息を吹きかけた。 すると、だ―― 「な!? な、なな! 何ぃぃーーーーっ!?」 唖然、呆然、そして愕然。 ひらりと宙を舞いながら「ヒュルン、ポンッ!」とただの紙切れがヒトに化けたのだ! 「しかも俺!? 俺が! もう一人!?」 一糸まとわぬ素っ裸ながら見間違ったりする筈がない。23年ずっと見ていた自分の姿。 髪をバッサリ切る前の、ロン毛だった一日前の俺の顔。 「それでは源我さん、こちらの形代へ罪や穢れ、もろもろ不浄なるモノを移しちゃっておくんなまし」 「は? え? 形代? いや、アイツも俺なんだが? マジック? イリュージョン?」 「手品なんかじゃぁござんせんけど、細かい事はどうだっていいじゃぁありませんか~。アレは源我さんのカタチになった形代なんざんす。ご用が済んだら祓って滅却するだけの道具でありまするよ」 「おう、その通りだぜ? 俺の本体さんよ。俺は道具。穢れを背負って消されるために現れた道具だ。 つう訳でさ、ドバーッと俺にぶち込んでくれや。溜めに溜め込んだてめぇの『穢れ』を、よ」 俺と同じ声で目にかかる長い前髪を手で払いのけ、俺をじっと見つめたもう一人の「俺」 肩にかかるほど伸ばした髪を一大決心して昨日、23歳の誕生日である大晦日に美容室でバッサリ切ってもらった。 「……お前は、昨日の俺、なのか?」 「違う。俺はお前の穢れをお前から移されるために出て来た道具。昨日か一昨日かは俺自身も知らん。 ぐずぐずしていては年神様に無礼だ。ほら、早くヤろうぜ? お前の身に積もり積もった穢れを俺に寄越せ」 そう言った「俺」はすっと俺の前に近づいたかと思うといきなり股間のチャックを開け、中からチンポを引きずり出した。 かと思うと躊躇いもせず俺のチンポを口に含んでジュブジュブしゃぶり始めたではないか! 「ぬわは!? ちょ! ちょっとぉ! 何やってんだよぉ!」 「何、って、源我さんの穢れを祓っているのですよ? さっき言ったじゃござんせんか」 「こ! これが! お祓い!? んはぁ! た、ただの! フェラチオ! じゃねぇか!」 こんな子供の前でフェラなんかされてるトコを見られるなんて! けど、この「俺」、めちゃくちゃ上手ぇ! 俺なんか妄想でしかヤった事無いのに! すげぇ慣れた舌遣いで俺の敏感な急所を的確に責めてくるじゃんか! 「んふぁあああっ! も! ヤバイって! そ、んなに! 強く吸われっ! んひぎ! で、出ちまうっ! も! ヤメッ! んぐ! も! 出るっ! イグッ! イっちまう゛う゛う゛ーーーっ!」 ドビュゥ、ゴビュゥと腰をヒクつかせながら俺は「俺」の口に精液をドバドバ放出しちまった。 「――ぅふぅぅ。いっぱい射精(だ)したな。だが、まだだ。まだかなり残っている。残さず俺にぶちまけろ。穢れをもっと、俺に味わわせろ」 「源我さん。根こそぎ穢れを移さないと形代は消えませんよ? ここで我慢なんかしちゃぁダメでござんす。淀んで沈殿した欲望の汚物を形代の、過去の貴方にすっかり移し替えて頂きませんと~」 「そんなコト言われたって、はいそうですか、と出来る訳が……うわわっ!?」 もう一人の「俺」が俺のジャケットからズボンから、何から何までバンバン剥ぎ取って俺も「俺」みたいに全裸にしやがった。 「出来るじゃねぇか。こんなにチンポをおっ勃ててんだからよぉ」 「ち、違う! こいつはっ……」 「昨日、一大決心をしたんじゃ無かったのか? 自分の欲望に正直になる、って決意して、髪を切ったんじゃねぇのかよ?」 「ぅ、ぐ……」 そう。もう一人の「俺」の言う通りだった。 今までずっと隠して生きてきた俺と同じオトコへの性なる欲望。 踏み出す勇気も持てず欝々と自慰で済ませて来た我が劣情。 だけどこのまま、誰とも何もないまま、ひとり年を取って老いて行くだけの人生でいいのか? と己を叱咤し、一歩踏み出す一大決心をしたのが昨日。 その決意を不退転のものとする為にはまずは「カタチ」からだ、と思い立って口コミ評価の高い美容室で伸びた髪をばっさり短くし、 野郎臭いベリーショートにイメチェンを果たしたのだ。 「なぁ? 本体。ここでヤれなきゃ他でもできねぇぞ? 俺は幻。形代から生み出された触れる事のできる昨日の幻だ。 練習相手としちゃ悪くはないんじゃないか? 本番で恥をかく前に俺でレベルを上げていけよ? な? 後生大事に守っていた童貞臭ぇチンポでも使いようはあるってのを俺に教えてくれないか? なぁ?」 顔もカラダも俺と同じなのに、どうして雰囲気がこうもエロいのか。 野郎臭くなるために髪を切ったってのに、昨日の「俺」の方がよほど野郎っぽさが溢れ出ているなんて。 なんか釈然としねぇ。なんか理不尽だ。 今までじっとうずくまってた俺が、このまんまじゃダメだってようやく重い腰を上げる覚悟を決めて、出会いを求めて行動してやろうと思い立って潔く髪まで切った俺の決意が―― 俺の決意がバカみたいじゃんかよ!  「コノヤロウ! 何が童貞臭ぇチンポ、だ! ……ああ、そうだ! 俺は昨日までじっと引きこもって、セックスどころかフェラも何もやった事が無い正真正銘、筋金入りの童貞だ! だがな! 昨日の俺と瓜二つのお前だって一緒だろうが! 煽るだけ煽っているが お前も俺と同じだろうが! そこまで言うならくれてやるよ! 俺の童貞チンポで腰が立たなくなるまで犯してやる!」 「はっ! 言ったな? 言ったからには逃げるなよ? 俺のケツがバカになるまでがっつり掘り込んで、ザーメンを一滴残らず俺にぶちまけるんだな!」

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