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体操のお兄さん 第三体操の2

第三体操の2 裏切りのギリィ  「お気づきになられましたか? ゼラン将軍」 ガバッと体を起こし、周囲と自身の安全を確認する。 よし……、この部屋は築40年のボロ部屋、もとい、寿礼荘のまま、俺のカラダも異常無し、だ。 だが、横に座っているコイツは一体誰だ? 俺をゼラン将軍と呼んだよな? すぐさまバトルフォームに移行するため意識をカラダの各器官に送る。 「変身っ! バトルフォーーーームッ!」 命令を受け俺の筋肉と言う筋肉がメリメリ膨張し、着ていた衣服が弾け飛び、膝下や肩が硬い鋼鉄状に変化してプロテクターの―― 「待って下さい。俺っちは将軍と戦うために来た訳じゃないんです。将軍と同じルガルムの一員ですって」 「む? ルガルムの者? なのか?」 「ええ。直接お会いするのは初めてですけど」 つまりは、敵じゃないのか?  それならどうして俺に催眠ガスなんてもんをぶちまけやがったんだよ、コイツは。 俺はほとんどバトルフォームになりかけたまま鼻や耳にピアスを付けた黒いツナギの男を見つめた。 「俺っちはギリィと言います。ある将軍に仕えていましてずっとヨーロッパ方面で仕事をしてたんすけど、急きょ日本に行ってくれって仰せつかっちまいまして」 話ながらギリィと名乗る男はルガルムの中でしか使われることのない戦闘員IDをすらすら俺に告げる。 「――で? その某将軍配下のギリィは何故ここに来たのかを説明してくれるんだろうな?」 俺以外の将軍配下と言うことは三将軍の誰かだ。敵では無いにせよ嫌がらせに来た可能性は十分にある。 総統閣下によって俺が将軍に取り立てていただいた事実を頭では理解しているものの、心の中では俺を将軍として見ておらず、隙あらば追い落とそうと狙っている連中だしな。 事と場合によっては少々痛い目に遭ってもらって、某将軍に「手を出すな」と牽制しなければならない。 「はい。お話しします。ある将軍からゼラン将軍の行動を見張って逐一報告せよ、と極秘の命令を頂いちまいまして」 極秘っつってたがいきなり話してしまってるぞ?  「……それだけ、か?」 「いえ、それだけじゃないんすわ。隙あらばゼラン将軍の――」 やはり隙あらば俺の寝首を掻くつもりかよ! とんだお仲間がいたもんだぜ! だったらその前に俺がコイツをぶっ潰して……。 「――日本攻略を手伝ってやれ、と」 「なぬ?」 完全にバトルフォームになってしまっていた俺だったが、ここで一気に拍子抜けした。 「どうしたんです? ゼラン将軍。まさかこんな狭い室内で戦闘訓練でもおっぱじめるおつもりなんすか?」 「え? いや、そういう予定は、無い、……無いな」 「だったら良かったすわ~。俺っちってば、あんまり戦闘は得意じゃないんすよ。どちらかって言うと諜報活動専門でしてね。 俺っちがバトルフォームに変身しても無類の強さでルガルム最強と名高いゼラン将軍には一撃も当たらないでしょうねぇ」 「お? 俺が、ルガルム最強? そ、そんな風に言われてんのかよ? 俺は……」 「ええ! そりゃぁもう! 遠いヨーロッパでも武名は鳴り響いていましたっすわ~!  それに、俺っちも個人的に興味を持っていましたんでね、一度直接お会いしたかったんです」 「…………直接会ってがっかりしたんじゃねぇか? こんな貧相なアパートの部屋が日本攻略の拠点だなんてな」 「? ホワイ? 良いじゃありません? 世間の目を欺くには好都合なチープ感じゃありませんか」 「………それに、具体的にゃ何一つ攻略に向けての手を打てていねぇ」 どうせ見りゃ分かるのだから先に「進捗ダメです」と言っておく方が良い。 「何事も情報収集からが基本っすわ。具体的なアクションは集めた情報を分析した上でのみ取れるもんだと思うんすよね。いくらゼラン将軍が日本出身だとしても、国一つ掌握するにはそれなりの時間がかかるのは当然でしょう」 「アクションだとかの以前に、日々の生活資金すらおぼつかない。このごろやっと副業で食っていけるようになったが……。 正直言って金が無さ過ぎる……」 「テレビ番組の『体操のお兄さん』、すか? メディア支配の足掛かりとして良い着目をされてるっすわ。 しかも、他の秘密組織のモノまで手なずけてらっしゃるのは流石だな、と」 「!? おい! 何でそんな事まで知ってる?」 「いやだなぁ。さっき言ったじゃありませんか? 俺っちの得意なのは諜報活動です、って」 「じゃ、じゃぁ、すでに調べはついてた、って事か……」 「いえ。知ったのはついさっき。この部屋に来てからっすわ」 「何? そいつはどう言う意味だ?」 「ま、出し惜しみしてても始まりませんからサクっと種明かししちまいますかぁ。 ――俺っちは、相手の記憶や知識を読むことが出来るんです」 「記憶や知識を読む?」 「そうっす。それも、ただの読心術みたいなレベルじゃぁありません。どっちかって言うと脳を一時的に支配して、本人が忘れちまってることまで思い出させたり、 俺っちの指示を脳に滑り込ませたり、ってな感じっすねぇ」 「つまりは催眠術とか洗脳みたいな感じなのか?」 「ま、それも近いんすけど、あくまで一時的なもんっすねぇ。命令したことは時間が経っちまえばすっかり 消えてしまうレベルっすわ。んでもって、俺っちの能力から『魂抜きのギリィ』なんてあだ名が付いてんすよねぇ」 戦闘は不得手と言っていたがギリィと言う男の能力は只者では無い。 まさに諜報活動にうってつけの能力者ではないか。見た目はチャラいヤンキー風情なのに侮れない奴だ。 バトルフォームになっていたカラダがミシミシ音を立てて通常状態に戻ってゆく。 戦闘に及ばないのであればバトルフォームでいる意味はない。無駄にエネルギーを浪費するだけだ。 「無礼を承知で先ほど、ゼラン将軍にも俺っちの能力を使わせてもらったんす。 んで、眠ってらっしゃる間にここ最近の状況を拝見させて頂いた、って訳で」 「玄関先で催眠スプレーをぶっかけたのは、俺を眠らせ記憶を読み取るためだったのか……」 「どちらかって言うとドアを開けた瞬間、ゼラン将軍ほどお強い方にいきなりぶっ飛ばされたら俺っち 簡単にあの世に行っちまいますから。それを防ぐため、って感じっすわ。相手がただの人間だったら、ああ言う小細工はしないんすけどね。 俺っち、ルガルム戦闘員としては変身しても最弱レベルっすけど、一般の人間よりかはちゃんと強化されてますんで」 そう言ってニヤッと笑うギリィは中指を突き出すと、その先端からニュルンと粘液に塗れる赤い触手を伸ばした。 「この触手でもって相手の脳に直接ダイブするんですわ。バトルフォームに変身したら全身から何本でも触手を出せるんすけど、今、なっちゃうと服が粘液でボトボトんなっちまいますからねぇ」 「十分戦闘力はあるじゃねぇか」 「いいえぇ。ゼラン将軍の鋼鉄のプロテクターの前じゃ全く歯が立たないんすわ」 「……お前の能力については把握した。それでだ、確か、俺の日本攻略の手助けをすると言っていたな?」 「はい。言いました」 総統閣下には必要最低限の「コスト」で日本を攻略してみせると宣言したが、ギリィの助けを借りるのはその「コスト」の範囲内だろう……と、思う。 「では、早速なんだが……」 ギリィの能力を借りれば鯵山を見つけ出す事も不可能じゃない筈。手詰まりだった現状を打破できるだろう。 「失踪中である日の出テレビジョン、衣装担当の鯵山慎吾について情報集め、っすね」 「それも俺の脳から直接読んだんだな?」 「はい。鯵山とゼラン将軍の夜のお愉しみも、他の人間とのセックスの詳細も拝見しました。 そして、『ビースレイブ』なる組織のヒーロー怪人、御門正義と言う将軍にとって釣り合わない、取るに足らない半端野郎とも毎晩のようにセックスなされている事も」 ところどころ言い方に棘がある。 手なずけるのは良いが「ルガルム日本支部に他の組織のモノを入れるなど言語道断」と、こいつなりに非難しようとしているのか。 「でも、ゼラン将軍がそれほどセックスがお好きでしたら、もっと早くお会いしたかったっすわ~。 これだけカッコイイんだからいろんな男が寄ってくるのも理解できるんすけどねぇ。正直プチ嫉妬しまくりっすわ。うっかり記憶を書き変えてしまいそうになっちまいましたもん」 どこまで俺の脳を読み漁ったかは知らないが、ルガルム本部にいた頃は、指導していた部下や新人戦闘員たちともっと盛んにヤりまくっていた、などとは言いにくい雰囲気だ。 「ちゃんと鯵山の情報を集めて来ますから、俺っちにもゼラン将軍の鋼鉄のチンポを味わわせて欲しいんすよ~。 裏切ってゼラン将軍に付くことに決めたんですし」 「裏切って?」 「おっと、言い間違えた。ギリィは、っすよ~! へへへ」 ギリィは黒いツナギを脱ぐと、その下には何も身に着けていなかった。 ボクサーのように引き締まって無駄な贅肉などない肉体。 乳首や臍周りに象形文字のような黒いタトゥーを彫りこんでいるが、ギリィの風貌には良く似合う。 そして、黒光りするチンポは三日月のように弓なりに反り勃ち、パンパンに膨張している亀頭の先からは大粒の我慢汁がボトリと垂れて糸を引いた。 「そんな、じっくり見つめられちまうと、さすがに恥ずかしいっすわ……。あの、もしかして、……こんなカラダじゃ、ダメ、っすか?……」 ふてぶてしく余裕のあった態度が一変し、上目遣いで恥ずかしがるギリィ。 これで俺の理性がプツンと切れた。 第三体操の3へ続く

体操のお兄さん 第三体操の2

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